クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

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第2章 エリクシア

第52話 黒騎士再び

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 現在地はアルカーナ大迷宮地下40階。既に1回40階の魔物は倒しており、今地下41階に降りるところだったが、急に真下から突き上げるような衝撃が来たと感じれば、その魔物は首を無くしたまま復活した。

 名を黄金の騎士。正式名称はレオン達さえも見たことが無いので分からないが、名前は見たままの姿から付けた。

 この魔物は亜人という種族らしいけど、それ以前に纏っている鎧が硬すぎる。なんとか剥がすことが出来ればこっちのものだと思うんだけど……。

「俺を忘れるな……」

 そこでふと僕の横から前に出てきたのはレイクだった。たしかレイクの魔式はほぼ即死のようなものだっけ。でも、強い精神力や自我を持つ相手は効きにくいという、"弱らせる"前提の力だから使い勝手が悪くてあまり前には出てこないんだよね。

「もはやコイツはエリクシアの操り人形だ。精神力も自我も無い。俺の力で即死できる……じゃ、消えてくれ」

 レイクは首のない黄金騎士に対して、親指で首を斬る動作をすると、黄金騎士は何事も無くうつ伏せに静かに倒れた。

「流石だねレイクは。毎度予想した斜め上をいくんだから。じゃあ地下41へ進もうか」

「あー……」

 レイクは毎度こうだ。まだガルムラルクと行動を共にしてから日が浅いから確実ではないけれど、レイクに至っては戦闘時と通常時の緊張感がどちらも無さすぎる。
 常に眠たそうに、気怠そうに。普通に会話する時だって話を聞いているのかすら分からないくらいだ。

 そうして僕は地下41階へ、42、43階。50階まで何も問題なく下りることが出来た。それまでは全て亜人で40階のような騎士はおらず、盗賊や骸骨騎士くらいで、ここまでの戦闘状況を見るに10階ごとに強い魔物が配置されているのだと推測する。

 レイクが感じた地下100階の気配まで50という折返し地点に来た訳だが、僕はこの50階で問題に衝突した。
 僕はそこで出会った魔物をしっかりと覚えていた。しかも数は4体。この大迷宮はそろそろ確実に僕らを殺しに掛かってきていると感じた。

 その名をガウェイン。真っ黒なフルプレートアーマを纒い、身長は2mを超える大型の剣士。片手に等身大の長剣を持ち、その身体能力は人間を遥かに超える。

 次にジャべロット。古代ローマの人が着ていたような装束に、片手には神々しく光を放つロンギヌスと呼ばれる聖槍。投槍として使うようだか、それなりの盾かギリギリで回避しないといつまでも貫通・追尾してくるという厄介性能。

 次にマサムネ。僕が元居た世界の戦国時代の武士のような姿をしており、片手には禍々しいオーラを放つ刀。前回戦った時は神聖皇国ロギアの教皇様が居たから意外にあっさりと勝てたが、今回の力は未知数に近い。

 最後にアルテミス。古代ギリシャの兵士の姿をしており、片手には黄金に輝く装飾が施された弓をを持つ。これも教皇様にすぐに倒されたが、噂によれば当たったら100%即死効果を持つらしい。
 しかもこれを一発ではなく矢を雨にして降らしてくることもあるのだとか。

 とにかくヤバい4体の魔物。1体だけでもキツイというのに、これじゃ最早絶望しか感じない。一切の希望なんて望めもない。

「レオン。こいつら4人はマジでヤバいから。凄まじい乱戦になるかも」

「あぁ分かってるぜハク。化け物じみたオーラをひしひしと感じるぜぇ」

「ヤバいっすよリーダー! こんなの各個撃破なんて絶対に無理っす!」

「んなこと誰も言ってねぇだろ! とにかく、全員集まれ! 一人でも単独行動したら死ぬぞ!」

 そうして僕はレオンの言うとおりに全体を見回せるような体制になる。
 そこで聞き慣れない声がこの地下空間全体に響く。

『また会ったな、守護者の下僕よ。聖域ニルヴァーナにて我らの侵攻を良く防いだ』

 え? どこから聞こえてくるんだ?

『我が名は騎士ガウェイン。また貴様に会える時が来るとは予想していなかった』

 なんと前までは雄叫びしか上げてこなかった騎士がしっかりと人間の言葉を話して意思疎通を図ってきた。

「え、喋れたの!?」

『此処は一度死した魔物の魂が集う場所。言うなれば死者の楽園。しかしここは生ある者、生者か来る場所では無い。その行為は我らの眠りを妨げる死者への冒涜である。
 守護者の下僕よ! 今その場から一歩でも進んで見よ。我らは貴様を敵とみなす。
 もし斬られたく無ければ、後ろへ下がれ』

 僕はどっと冷や汗を流す。と言うのは僕はこの回避能力を過信し始めていた頃、初めて殺されかけたのがこの黒騎士だからだ。
 それもその化け物が今や4体。勝てる希望が見つからない。

 それにだ。僕はこのアルカーナ大迷宮に来たのは、暇つぶしにただエリクリシアの製法が分かったというからここに来た訳であって、別にエリクシアの製法を見つけるのら、特に重要な任務でも依頼でもない。達成期間無期限の依頼なんだよね。
 僕はそっとレオンを見て、小声で話す。

「どうする? レオン?」

「あ? そりゃ、行くに決まってんだろ。お前が今逃げても俺らはここに残るぜ?」

「言っちゃ悪いけどさ。死にたいとか言わないよね?」

「バカ言え。こんなに勝てるかも分からねえ相手を前に戦ってみてえと思うのは戦士の性だろ」

 んー、例え300年前の組織の子孫でも戦闘民族の感覚は引き継いでるかぁ……。
 これは仕方が無いのかなぁ……?

「んでも、最終決定権はお前だ。ハク。もしお前が撤退するって言うんなら出口まで護衛するぜ?」

「その後はどうせまた潜るって言うんだろう? うーん君たちをここで捨てたら5000万オロって金が無駄になっちゃうからねぇ。
 それに、どうせ今ここで止めてもやりたいことは無い! だから行こう!」

「おうよ!! てめぇら! いくぞおおぉ!」

「「「「うおおおおおぉ!!」」」」

  そうして僕とレオンとみんなは雄叫びを上げて4体の化け物に向かって立ち向かった。
 どうせやりたいことないし。という下らない理由を掲げて。
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