まじかる⭐︎ふれぐらんす -魔法少女と3LDK-

むくみん

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第二章「傷だらけの汐苑」

01

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 「・・・あ~っ 怖かった・・・」

ヨーロッパのホラー映画はハリウッドにはない独特の不気味さがあるので、由希は好きだった。
今回見た映画は、薄幸の美少年が周囲の人間を殺めていく内容のサイコスリラーだ。
 (やっぱりホラーは心霊物よりもサイコ系の方が精神的にくるな・・・)
午後11時、由希はテレビの電源を切り、洗面所に向かった。
ホラー映画を見た後なので、鏡を見るのも怖く、部屋中の電気を全部つけて壁に背をつけながら歯を磨いた。

そして恐る恐る寝室のベッドに向かい、布団の中に入った。

 (眠れない・・・ まあ私、もう社畜じゃないし別にいいんだけどさ・・・)

・・・・・・・ 

・・・・・・・

・・・・・・・

それから一時間ほどが経った頃、突然玄関のチャイムが鳴った。
 「ひっ・・・!!」
折角眠りにつきかけていた由希は起き上がった。
 「誰・・・?こんな夜中に」
冴えた目で恐る恐る玄関に向かい、ドアスコープを覗いた。


 「ぎゃあああああああああああああああああ!!」
思わず由希は叫び、尻餅をついてしまった。

 「なしたんだ由希ちゃん!強盗でも来たのか!」
アルメルスが由希の叫び声を聞きつけ、書庫からトコトコと走ってきた。
 「お、お化けが・・・」
 「お化け!? どら、見せてみ」
由希はアルメルスをドアスコープまで持ち上げた。

  「・・・はんかくせ者(※「馬鹿」の意味) よく見てみ。紗南でねえか」
 「へ? 紗南ちゃん?」
由希はもう一度ドアスコープを覗いた。
色白の肌に長い髪で、俯いた姿はどこか幽霊にも見えたが、よくみてみると確かに紗南だ。
水色のパジャマを着た紗南は愛用の枕を抱きしめている。急いでドアを開けて中に入れてあげた。
 「さ、紗南ちゃん。どうしたの、こんな時間に・・・」
紗南は由希を見つめると、突然涙ぐんで
 「う、うう。ごめんなさい。怖くてどうしても・・・」

話を聞いてみると、それなりの事情があった。
紗南の母親である結衣は、どうしても外せない出張で留守にしているという。
 「本当に一人でいいの?」と心配する結衣に対し、
 「うん。私ももう3年生だし。一人でも大丈夫だよ」
と紗南は胸を張って言ったという。
しかし、夜中突然目が覚めてしまい、初めて過ごす一人の夜に耐えきれずに由希の部屋に来たという。

 「そういうことなら仕方がないね。じゃあ泊まってもいいよ」
 「は、はい。お邪魔します。なんかさっき、叫び声が聞こえましたけど・・・」
 「うーん? 気のせいじゃない? ね、アルちゃん」と由希は嘯く。
 「んだ。オラは何にも聞いてね」
 (幽霊と間違ったなんて、とても言えないよ・・・)

ベッドに入るや否や、紗南は安心したのかすぐに眠ってしまった。
 (この前のお風呂もそうだけど、これって法的には大丈夫なんだろうか)
由希はそんなことを考えながら目を閉じて、再び夢の中にへと戻って行った。
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