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第四章:逃避
第五話:再会
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「ローガン、痛い・・・・・・っ」
「こんなの、いつも団長にされてる事に比べれば優しいもんだろ」
ローガンの手が、俺の服に伸びた。
掛け合わせの部分を引きちぎり、俺の腹に手を沿わす。
「おい・・・・・・っ」
「団長がお前に触れるたび、俺すごく嫉妬してた。俺も、同じようにしたい」
じらすように脇腹を撫で、ローガンはにやりと笑う。
くすぐったいのと気持ち悪さで、俺は顔を横に背けた。
昔、発情期を迎えたエルヴィスに一度だけ押し倒され、同じようなことをされた。
あの時も恐怖と悪寒しかしなかったが、今よりも優しかった。我に返ったエルヴィスはその場で土下座し、自分で首をはねようとしたほどだ。
ああ、エルヴィス・・・・・・お前に会いたい。
「エルヴィス従兄さ・・・・・・っ」
「へえ? あいつの助け、待ってるんだ」
ローガンの声が冷たい。
腹を撫でている手が、俺の皮膚に爪を立てる。
突き刺すような痛みに、俺は思わずうめいた。
ローガンは嬉しそうに顔をほころばせ、俺のズボンを膝まで降ろした。
「なにすーー!」
「俺の前で二度と"あいつ"の名前が出せないようにしてやるよ」
体が馬鹿みたいに震える。
うつろな目をして笑っているのは、本当にあのローガンなのだろうか。
こいつはこんな奴じゃない。もっと優しくて、馬鹿で、信頼できる奴なのにーー。
「ロ、ローガン」
「団長にも、ヴァンパイアにも渡さない。お前は俺のだ」
ローガンの手が下着に掛かった瞬間、けたたましい警報が鳴り響いた。
本部が建設されて初めて鳴るーー侵入者を知らせる警報だ。
《総員、戦闘準備! 本部二階にヴァンパイア二体が出現! 繰り返す、戦闘準備ーー!》
アナウンスの声に、ローガンは驚いて天井を見上げた。
「ヴァンパイアが・・・・・・!?」
チャンスだ。
俺はローガンを蹴ってはね飛ばすと、出口へ走った。
逃げなくては。
どこでもいい。
本部の外へーー。
だが、扉にたどり着く直前、俺の体が後ろへ引っ張られた。
必死に逃げようとしていたため忘れてたがーー俺の首には、チェーンがつながれている。
床に寝ころんだまま、ローガンがチェーンを握っていた。
「どこ行くんだよ、ライアン」
再びチェーンを強く引かれ、俺の体が後ろへ傾く。
床に倒れた際頭を打ち、軽くめまいがした。
意識は飛ばなかったが、いっそ飛んでくれた方が幸せだったかもしれない。
倒れた俺に覆い被さり、ローガンがほくそ笑んでいる。
「逃がさねえよ。団長に食われる前に、俺がお前を食ってやる」
ローガンの長い舌が、俺の体を舐め回す。
執拗に胸ばかり責められ、俺の体が小刻みに震え始めた。
「う、ん・・・・・・っ」
「声殺してんじゃねえよ」
「・・・・・・っ」
絶対、声を出してなるものか。
心の伴っていない行為に、屈したくはない。
口の中に血の味がしようと、強く唇をかみ続ける。
ふと、ローガンの腰に携帯されている短剣が目に入った。
あれを、なんとかして奪えばーー。
「何考えてんの?」
「ぐ・・・・・・っ」
「逃げようなんて、考えない方がいいよ。今のお前じゃ、俺にすら勝てねえもん」
その通りだ。
今の俺には何もできない。
ひ弱で、逃げ腰の臆病者。
だけど、何もしないままこいつらの思い通りになるのは許せない。
俺は唇を掻むのをやめ、ローガンの首筋に思い切り噛みついた。
「う、あああああっ」
ローガンが悲鳴を上げて俺から離れる。
彼の体がのけぞっている間に、俺は素早く短剣を奪い、ローガンから離れた。
お互い息が荒い。
これからどうする?
「ローガン、俺の首の鎖を解け!」
「馬鹿か。そんな子供じみた脅しで、俺が解くわけないだろ」
「・・・・・・じゃあ」
「!?」
俺は短剣を、自分の喉に添えた。
「解いてくれないなら、今ここで自分の首を切る!」
「そ、そんな事できるわけーー!」
「お前等の言いなりになるぐらいなら、俺は死ぬ!」
短剣を持つ手が震える。
本当は切るつもりはない。
でも、こうでもしないと俺が本気だと言うことが伝わらない。
「・・・・・・っ」
俺は、意を決してナイフを持つ手に力を込めた。
ーーその時、部屋唯一の窓が爆発するように割れ、巨大な蝙蝠が侵入してきた。
いや、蝙蝠じゃない。
月を背に、皮膜の張った翼を室内で広げるのは、俺が会いたくてたまらなかった人ーー。
「ーーようやく見つけたぞ、輪が愛しい兎」
「・・・・・・エルヴィス!」
美しい従兄が広げる腕の中に、俺は迷うことなく飛び込んだ。
「こんなの、いつも団長にされてる事に比べれば優しいもんだろ」
ローガンの手が、俺の服に伸びた。
掛け合わせの部分を引きちぎり、俺の腹に手を沿わす。
「おい・・・・・・っ」
「団長がお前に触れるたび、俺すごく嫉妬してた。俺も、同じようにしたい」
じらすように脇腹を撫で、ローガンはにやりと笑う。
くすぐったいのと気持ち悪さで、俺は顔を横に背けた。
昔、発情期を迎えたエルヴィスに一度だけ押し倒され、同じようなことをされた。
あの時も恐怖と悪寒しかしなかったが、今よりも優しかった。我に返ったエルヴィスはその場で土下座し、自分で首をはねようとしたほどだ。
ああ、エルヴィス・・・・・・お前に会いたい。
「エルヴィス従兄さ・・・・・・っ」
「へえ? あいつの助け、待ってるんだ」
ローガンの声が冷たい。
腹を撫でている手が、俺の皮膚に爪を立てる。
突き刺すような痛みに、俺は思わずうめいた。
ローガンは嬉しそうに顔をほころばせ、俺のズボンを膝まで降ろした。
「なにすーー!」
「俺の前で二度と"あいつ"の名前が出せないようにしてやるよ」
体が馬鹿みたいに震える。
うつろな目をして笑っているのは、本当にあのローガンなのだろうか。
こいつはこんな奴じゃない。もっと優しくて、馬鹿で、信頼できる奴なのにーー。
「ロ、ローガン」
「団長にも、ヴァンパイアにも渡さない。お前は俺のだ」
ローガンの手が下着に掛かった瞬間、けたたましい警報が鳴り響いた。
本部が建設されて初めて鳴るーー侵入者を知らせる警報だ。
《総員、戦闘準備! 本部二階にヴァンパイア二体が出現! 繰り返す、戦闘準備ーー!》
アナウンスの声に、ローガンは驚いて天井を見上げた。
「ヴァンパイアが・・・・・・!?」
チャンスだ。
俺はローガンを蹴ってはね飛ばすと、出口へ走った。
逃げなくては。
どこでもいい。
本部の外へーー。
だが、扉にたどり着く直前、俺の体が後ろへ引っ張られた。
必死に逃げようとしていたため忘れてたがーー俺の首には、チェーンがつながれている。
床に寝ころんだまま、ローガンがチェーンを握っていた。
「どこ行くんだよ、ライアン」
再びチェーンを強く引かれ、俺の体が後ろへ傾く。
床に倒れた際頭を打ち、軽くめまいがした。
意識は飛ばなかったが、いっそ飛んでくれた方が幸せだったかもしれない。
倒れた俺に覆い被さり、ローガンがほくそ笑んでいる。
「逃がさねえよ。団長に食われる前に、俺がお前を食ってやる」
ローガンの長い舌が、俺の体を舐め回す。
執拗に胸ばかり責められ、俺の体が小刻みに震え始めた。
「う、ん・・・・・・っ」
「声殺してんじゃねえよ」
「・・・・・・っ」
絶対、声を出してなるものか。
心の伴っていない行為に、屈したくはない。
口の中に血の味がしようと、強く唇をかみ続ける。
ふと、ローガンの腰に携帯されている短剣が目に入った。
あれを、なんとかして奪えばーー。
「何考えてんの?」
「ぐ・・・・・・っ」
「逃げようなんて、考えない方がいいよ。今のお前じゃ、俺にすら勝てねえもん」
その通りだ。
今の俺には何もできない。
ひ弱で、逃げ腰の臆病者。
だけど、何もしないままこいつらの思い通りになるのは許せない。
俺は唇を掻むのをやめ、ローガンの首筋に思い切り噛みついた。
「う、あああああっ」
ローガンが悲鳴を上げて俺から離れる。
彼の体がのけぞっている間に、俺は素早く短剣を奪い、ローガンから離れた。
お互い息が荒い。
これからどうする?
「ローガン、俺の首の鎖を解け!」
「馬鹿か。そんな子供じみた脅しで、俺が解くわけないだろ」
「・・・・・・じゃあ」
「!?」
俺は短剣を、自分の喉に添えた。
「解いてくれないなら、今ここで自分の首を切る!」
「そ、そんな事できるわけーー!」
「お前等の言いなりになるぐらいなら、俺は死ぬ!」
短剣を持つ手が震える。
本当は切るつもりはない。
でも、こうでもしないと俺が本気だと言うことが伝わらない。
「・・・・・・っ」
俺は、意を決してナイフを持つ手に力を込めた。
ーーその時、部屋唯一の窓が爆発するように割れ、巨大な蝙蝠が侵入してきた。
いや、蝙蝠じゃない。
月を背に、皮膜の張った翼を室内で広げるのは、俺が会いたくてたまらなかった人ーー。
「ーーようやく見つけたぞ、輪が愛しい兎」
「・・・・・・エルヴィス!」
美しい従兄が広げる腕の中に、俺は迷うことなく飛び込んだ。
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