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第五章:この愛、永遠に
第二話:300年越しの契り
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外では恐れられている二人が、揃ってもの悲しげにうなだれている。
不覚にも俺は吹き出してしまい、その場にいた全員の視線を集めた。
「王子・・・・・・」
「殿下・・・・・・」
エルヴィスとイザークが、同時に俺に恨みがましく声をかける。
それがよけいに笑いを誘った。
普段は反発してばかりなのに、どうしてこういう時は息がぴったりなのだろう。
「ご、ごめ・・・・・・だって、二人が怒られてる姿なんて、見たことなくて・・・・・・っ」
溜まってた疲労が、笑いとともに体から抜けていくようだ。
目尻に溜まった涙を指先で拭い、深く息を吸い込んだ。
呼吸を整えていると、エルヴィスが俺の横に腰掛けた。
俺の髪をなでながら、頬を緩ませる。
わずかに涙の浮かぶ瞳を見て、俺は息をのんだ。
「に、従兄さん?」
「・・・・・・お前が、また私の横で笑っている。夢じゃないんだよな・・・・・・」
ゆっくりエルヴィスの顔が傾斜し、俺の肩に乗った。
小刻みに揺れる従兄の肩を抱き、俺はイザーク達に視線を送った。
今は、二人にしてほしい。
お願い、と唇だけ動かすと、眷属三人は静かに頭を下げ、居室から音もなく出て行った。
二人きりになった室内で、俺は従兄を抱きしめ、髪をすくように撫でる。
指の間を通り抜ける柔らかな髪の感触が心地いい。
すごく、穏やかな時間だった。
ゆったりと流れる時に酔いしれていると、エルヴィスが急に顔を上げた。
潤んだ目を隠すためか、節目がちに。
その仕草が、妙に色っぽかった。
「従兄さん? 大丈夫?」
「すまない、みっともない姿を・・・・・・」
「そんな事ない。俺の前では、気を張らなくていいんだよ」
「そうだな」
エルヴィスは俺の頬に唇を寄せ、吐息をこぼす。
俺も彼の頬に手を添えたが、急に視点がぐるりと回り、座っていたソファに押し倒されていた。
「に、従兄さん?」
覆い被さるようにして見下ろしてくるエルヴィスを、少し動揺しながら見つめる。
試しに起きあがろうとしたが、阻まれた。
答えを求めて首を傾げると、エルヴィスの唇がにやりと弧を描いた。
「次に従兄さんと呼んだら仕置きをすると言ったのに・・・・・・三百年の間に記憶力が落ちたか?」
「・・・・・・あ、やば」
「そうか、お前はお仕置きされたいのか。そうなんだな?」
「え? いや違」
「なら、望みのままに」
言うが早いか、エルヴィスは俺に深く口付けた。
今まで、唇と唇が触れ合う程度のキスしか経験したことのない俺は、口内を動き回るぬるついた感触に戸惑う。
どうすればいいのか分からないまま、必死にエルヴィスの腕を掴み、顔を背けようとする。
こんなキスーー知らない。
今まで紳士的だった従兄が、猛獣に変化したように思えるほど、激しい。
エルヴィスは何度も顔の角度を変えては俺の口内を蹂躙し、やがて俺の後頭部を押さえ、さらに深く舌を這わす。
「ん、ふあ・・・・・・っ」
いつ、どこで息をすればいいのか分からない。
頭も体も痺れ、すがるように兄のシャツを握りしめる。
もう嫌。やめて。
俺の頭が、狂いそうだ。
「や、にいさ・・・・・・んあっ」
話した事で俺の口が開かれ、隙を見逃さなかったエルヴィスは舌をぐるりと動かし、俺の舌をからめ取った。
思考まで痺れてきた。
ただエルヴィスに翻弄され、身を任せるしかない。
体が震え、熱かった。
俺の手が力なくずり落ちると、エルヴィスはようやく唇を離した。
互いの唾液によって、なまめかしく濡れた唇。
唇と同じ赤に染まった舌でねっとりと舐めあげられ、俺は身震いした。
体感したことのない感覚に、心拍数があがっていく。
怖い・・・・・・この感覚は、何だ?
どくどくと心臓が跳ね回り、キスの余韻で頭が浮遊感に包まれる。
口の端から唾液が垂れるのも気にならないほど、俺の意識はエルヴィスへと向いていた。
「エルヴィス、従兄さ・・・・・・っ」
従兄の腕を握りしめると、エルヴィスは俺の額や頬、首にリップ音とともに軽いキスを散りばめていく。
まるで鳥につつかれているようで、くすぐったい。
笑いを漏らすと、エルヴィスは対照的に静かな表情で俺を見据えた。
瞳には、情欲の炎をともして。
「王子、婚約後三百年も経ってしまったがーー今、番の契りを結んでも良いだろうか」
「そ、それって・・・・・・」
「お前さえよければ、初夜の代わりに今抱かせてほしい」
「・・・・・・っ」
まっすぐ目を見つめられたままはっきりと紡がれた言葉に、俺はびくりと体を揺らした。
不覚にも俺は吹き出してしまい、その場にいた全員の視線を集めた。
「王子・・・・・・」
「殿下・・・・・・」
エルヴィスとイザークが、同時に俺に恨みがましく声をかける。
それがよけいに笑いを誘った。
普段は反発してばかりなのに、どうしてこういう時は息がぴったりなのだろう。
「ご、ごめ・・・・・・だって、二人が怒られてる姿なんて、見たことなくて・・・・・・っ」
溜まってた疲労が、笑いとともに体から抜けていくようだ。
目尻に溜まった涙を指先で拭い、深く息を吸い込んだ。
呼吸を整えていると、エルヴィスが俺の横に腰掛けた。
俺の髪をなでながら、頬を緩ませる。
わずかに涙の浮かぶ瞳を見て、俺は息をのんだ。
「に、従兄さん?」
「・・・・・・お前が、また私の横で笑っている。夢じゃないんだよな・・・・・・」
ゆっくりエルヴィスの顔が傾斜し、俺の肩に乗った。
小刻みに揺れる従兄の肩を抱き、俺はイザーク達に視線を送った。
今は、二人にしてほしい。
お願い、と唇だけ動かすと、眷属三人は静かに頭を下げ、居室から音もなく出て行った。
二人きりになった室内で、俺は従兄を抱きしめ、髪をすくように撫でる。
指の間を通り抜ける柔らかな髪の感触が心地いい。
すごく、穏やかな時間だった。
ゆったりと流れる時に酔いしれていると、エルヴィスが急に顔を上げた。
潤んだ目を隠すためか、節目がちに。
その仕草が、妙に色っぽかった。
「従兄さん? 大丈夫?」
「すまない、みっともない姿を・・・・・・」
「そんな事ない。俺の前では、気を張らなくていいんだよ」
「そうだな」
エルヴィスは俺の頬に唇を寄せ、吐息をこぼす。
俺も彼の頬に手を添えたが、急に視点がぐるりと回り、座っていたソファに押し倒されていた。
「に、従兄さん?」
覆い被さるようにして見下ろしてくるエルヴィスを、少し動揺しながら見つめる。
試しに起きあがろうとしたが、阻まれた。
答えを求めて首を傾げると、エルヴィスの唇がにやりと弧を描いた。
「次に従兄さんと呼んだら仕置きをすると言ったのに・・・・・・三百年の間に記憶力が落ちたか?」
「・・・・・・あ、やば」
「そうか、お前はお仕置きされたいのか。そうなんだな?」
「え? いや違」
「なら、望みのままに」
言うが早いか、エルヴィスは俺に深く口付けた。
今まで、唇と唇が触れ合う程度のキスしか経験したことのない俺は、口内を動き回るぬるついた感触に戸惑う。
どうすればいいのか分からないまま、必死にエルヴィスの腕を掴み、顔を背けようとする。
こんなキスーー知らない。
今まで紳士的だった従兄が、猛獣に変化したように思えるほど、激しい。
エルヴィスは何度も顔の角度を変えては俺の口内を蹂躙し、やがて俺の後頭部を押さえ、さらに深く舌を這わす。
「ん、ふあ・・・・・・っ」
いつ、どこで息をすればいいのか分からない。
頭も体も痺れ、すがるように兄のシャツを握りしめる。
もう嫌。やめて。
俺の頭が、狂いそうだ。
「や、にいさ・・・・・・んあっ」
話した事で俺の口が開かれ、隙を見逃さなかったエルヴィスは舌をぐるりと動かし、俺の舌をからめ取った。
思考まで痺れてきた。
ただエルヴィスに翻弄され、身を任せるしかない。
体が震え、熱かった。
俺の手が力なくずり落ちると、エルヴィスはようやく唇を離した。
互いの唾液によって、なまめかしく濡れた唇。
唇と同じ赤に染まった舌でねっとりと舐めあげられ、俺は身震いした。
体感したことのない感覚に、心拍数があがっていく。
怖い・・・・・・この感覚は、何だ?
どくどくと心臓が跳ね回り、キスの余韻で頭が浮遊感に包まれる。
口の端から唾液が垂れるのも気にならないほど、俺の意識はエルヴィスへと向いていた。
「エルヴィス、従兄さ・・・・・・っ」
従兄の腕を握りしめると、エルヴィスは俺の額や頬、首にリップ音とともに軽いキスを散りばめていく。
まるで鳥につつかれているようで、くすぐったい。
笑いを漏らすと、エルヴィスは対照的に静かな表情で俺を見据えた。
瞳には、情欲の炎をともして。
「王子、婚約後三百年も経ってしまったがーー今、番の契りを結んでも良いだろうか」
「そ、それって・・・・・・」
「お前さえよければ、初夜の代わりに今抱かせてほしい」
「・・・・・・っ」
まっすぐ目を見つめられたままはっきりと紡がれた言葉に、俺はびくりと体を揺らした。
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