白露の蜘蛛はあなたを愛しましょう ~転生者以上にチート過ぎませんか~ (仮)

志位斗 茂家波

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出会いましょう、新しい世界と共に

第四十七話 祝いはゆっくりとして

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…植物の化け物の騒動から一週間が経過し、どうやら王都の復興は無事に終わったらしい。
 魔獣の大群による死骸処理やら素材採取やら、怪我人の治療に建物の再建等々多く、あちこちで人が忙しく動いていたのもあって、学園の休みが明けるのもずれ込んだが…

「とりあえず、平和な休みなのは良いか。あの騒動、相当疲れたからなぁ」
【そうですよね。私なんて、疲労どころか吐血して、相当ヤバい状態になりましたからね】

 ぐでーっと、今日は休日らしくのんびり過ごそうということでベッドに寝転がりながらそうつぶやけば、上の方でハンモックに寝転がってゴロゴロしているハクロがそう口にする。

「それにしても、蜘蛛部分がだいぶ小さくなったけど…ハンモックで寝続けているよね」
【いやー、ベッドも利用しやすくなったのですが、やはりこっちのほうが私としてはしっくりくる部分があるから、やめられないですよ】

 

 あの騒動の中で、ハクロの姿は変わった。
 大きかった蜘蛛部分がだいぶ縮小されており、腰のちょっと上あたりにあるのだが、元々もふもふの毛があったことで尻尾のように見えなくもない。
 食指だった脚もハイニーソを着ているような黒さを持つ肌があり、先のほうが人の脚ではなく鋭くとがった形状になっているようだ。

 その他上部分に大きな変化はないようだが…それでも、最大の特徴であった蜘蛛部分が見にくくなったことで、印象としては変わったように見える。
 魔獣としてよりも、より人に近くなったような…どことなく、柔らかそうな感じだろうか。

【キュル、でもやっぱりいちばん良いのは旦那様をぎゅっと抱いて寝るときですけれどね!それが一番、私にとって幸せに寝やすいのですよ!!】
「ちゃんと加減してね。姿が変わっただけじゃなくて、力とか諸々パワーアップしているようだし…」

 騒動終了早々に、抱きしめ死もといおっぱ…いや、それはやめておこう。
 あまりも不名誉な死にざまを晒しかけたが、彼女の力が相当上がったことが原因なのだろう。

 実際、姿が変わったということで魔獣の専門家の方々に検査をしてもらったわけだが、変化前と後で比較してみたところ、全体的な能力が相当向上していたらしい。
 糸の出す速さや駆け抜ける速さ、殴る力や計算能力等々、元から高かった部分が目に見てわかるほど上がっていたようだ。

 その反面、大きな蜘蛛の体を失ったせいか体重がだいぶ減ったらしいが…そこまでの影響はないらしい。
 具体的な数値は魔獣とはいえ女の子なので聞くことはなかったが、少なくとも力があっても重量差が大きい相手にまともにつかみかかるのは避けたほうが良いようだ。
 そんなことはないとは思いたいが…まぁ、それ以外に支障が出そうな部分がない。
 むしろ、姿が変わったことで新たにできることが増えたようである。


【聖属性の効果を纏った糸の精製や、広範囲回復魔法が使用できるようになりましたし…これで、万が一にでも旦那様が怪我される危機があっても、一瞬で浄化を行うことや旦那様をすぐに治療できるようになりましたよ!!】
「聖女と言っても過言じゃないようなことが出来ているんだよなぁ…なる気はないよね?」
【無いですよ。私は、旦那様のお嫁さんにはなりますけどね!!】

…相当とんでもないことが出来ている自覚があるのだろうか、彼女は。
 いや、元々ツッコミどころ満載なほどの能力が多かったのもあり、今更な感じがしなくもない。

 大きく成長したことで、聖女と大差ない様な力も得ているようだが…うーん、加護を授けたりすることやら色々とやっていたのもあって、その影響があったのかなぁ。



 とにもかくにも、そんなぶっ飛んだ能力も追加されたのもあるが、今回の騒動の原因となった化け物を葬り去った功績もあり、今度王都内での国王主催による復興祭が開催されることが決まり、そこで褒章を受け取ることも決まったようである。

 騒動に関わり活躍した人すべてに褒美が与えられるらしいが、その中でも怪物を倒したことが評価されており、一番すごいのがもらえるのではないかと噂になっている。

 彼女の実力を考えると、あってもおかしくはないとは思う。
 むしろ、やらかしてきたことを考えると遅かったような気がしなくもない…国に繋ぎ止めたいような思惑も透けて見える。
 ハクロ、相当ヤバいもんなぁ…野放しにしたら不味いというのはわかるのだろう。大人たちの大変な感じが伝わってくる。

 でも、そんな思惑に彼女が動かされるかといえば、無理だろうと言わざるを得ない。
 番以外に言うことを聞く気が無いというか…害をなすような結果になれば相手が誰であっても冷酷に、冷徹に、残虐に、彼女は容赦なく手を下すこともできる。

 蜘蛛でありながらも、逆鱗に触れたら恐ろしい竜のようだ。
 そんな彼女に対して、番なら制することが出来るのではと思われる部分もあるが…うん、無理。
 都合の良い制御ボタンではなく、振り回されまくっている。

 制御できるなんて、甘く見たら駄目だ。
 だからこそ、程々のところで良い感じの関係を築くことが、最善策だろう。

「…そう考えると、まだ無理に大人の世界に入らなくていい今が、一番良い時間なのかもなぁ」
【私としては、早く旦那様に大人になってほしいところもありますけれどね。人の都合というのは理解していますけれども、素敵なお嫁さんとしての結婚もしたいですよ】
「それはまだまだ、先になるよ」
【むぅ…こうなったらいっそ、時間を早めるような魔法を習得できないか、ウニウニの魔女さんに聞いてみようかな…】

 そんなもの、習得しないでほしい。
 いくら魔女でも、そんな都合良いものはないとは思うのだが、ハクロと対等な感じの勝負ができそうな噂もあるし、何とも言えない。

 まだ見ぬ未来に、そんな魔法を習得されたらたまったものじゃないなと呆れつつ、姿が変わってもハクロはハクロだったと、どこか安心する気持ちにルドはなるのであった…


「というか、魔法で時間を進めても意味ないよ。法的な部分とか、色々あるからね」
【それもそうですね。それに、時間がある方が旦那様と過ごす思い出も多くなりますし…ええ、習得はあきらめましょう。…でも、旦那様の体を大人にすれば、それはそれで…】

…なんかぞわっと、凄い悪寒がしてきたぞ。
 魔獣よりも人に近い容姿になりつつあるのに、その中身が獣というか肉食系に近くなってないよね…?



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