転生先はミミックでしたよ

志位斗 茂家波

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コモンセンスシティ生活編

無茶苦茶である

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「……なるほど、あの腐れ騎士たちの報告書で、俺についての話があったから見に来てみたという事ですか」
「そうじゃよ。まぁ、実際に来てみてこの今まで身内以外にはほとんどばれなかった変装が、こうもあっさりと見抜かれた事には度肝を抜かれたがのぅ」

 ディーの言葉に対して、くっくっくっくっくっと笑いながら女王ガルティアは返答した。


 今いる場所は、都合上ルーシアと泊っている宿の一室であり、念のために防音の魔法を使って周囲に音が漏れないようにして、現在俺は目の前の少女……騎士王国ナイトガーデンの女王というガルティアという人と話をしていた。

 さすがに往来の通りで内容が内容だけに話すとまずそうだったからね。

 対処しやすくて、聞かれない様に魔法を張ったこの一室でとりあえず話しているけど……何だこの女王様は。

 

 どうやら先日、クビになった騎士たちの処分をしていた際に、その報告書内でコモンセンスシティでの所業が書かれていたようで、その中に知性があるミミック……要は俺の事を偶々知ったらしい。

 モンスターの中には会話可能なものもいるが、ミミックというのは聞いたことがないそうだ。

 そこで、興味を持ったガルティア女王はわざわざここまで出向いてきて、実際に身に来たそうである。

 移動手段は、騎士たちから没収した国の所持物であるワイバーンだそうだが、どうやらあのドMと化していた奴らしい。

 なんか新たに目覚めているようだけど……あのワイバーンに一体何があったのだろうか。


 ちなみに、招待がばれても女王は現在まだ少女の姿である。

 さすがに音は消しても姿は見えているようなものだし、女王がここにいるといろいろと騒ぎになるから内密にしてほしいそうな。

 で、偽装も解かずにここにいるのだが……うーむ、なんかどう考えても行動力があり過ぎる困った人のようにしか思えない。

 なお、犬に偽装させているワイバーンは現在女王の命令によって宿前で逆立ち待機。

 恍惚した笑みを浮かべて足をプルプルしていたけど……動物愛護団体とかに怒られそうだな。


「なぁに、デルタ宰相には置き手紙で伝えておるのじゃよ。むやみやたらに捜索しに来ようとしたら、クビどころか千切れる様な脅しをかけておるから、当分は平穏無事じゃ」

 けららと笑って言うけど……まだ顔も見ていませんが、とりあえずデルタ宰相さんの苦労は心中お察しいたします。

 絶対こういう人がいたらその配下の人って大変だよな……あったまてっかてーかみたいなノリでつるんと禿げそうだ。

 まぁ、今の俺はミミックなので髪が生えていないからそんな心配はないけどな。

 こういう時ばかりは、安心感から考えるとよかっただろう。




「それにしても、本当にお主人間のようなミミックじゃのう。ミミックは本来人を丸のみかゴリゴリと砕いて食すというのに、普通に街になじんで生活しておるとは驚くのじゃ」

 まじまじと俺を見ながら、頬をつねって夢じゃないことを確かめるガルティア女王。

 しかしまぁ、俺の前世人間だしな……ここで言うべきか言わぬべきか。

 まだわからんし言わないでおくか。




「ま、こうして対峙してよくお主の事はわかったのじゃ。この変装用の『偽装の指輪』の効力を無視して見抜ける力、それだけでも十分すごい事なのじゃよ」

 小指にはめられている銀色の小さな指輪を見せて、説明してくれるがルティア女王。

 なんでもその「偽装の指輪」とかいう魔道具マジックアイテムは相当強力な偽装効果をかけるようで、内蔵されている本人に合わせた様々な変装パターンを周囲の人々に見せるらしい。

 「鑑定眼」のスキル、詳しい説明プリーズ。

―――――――――――――――――――――――――――
『偽装の指輪』
魔道具マジックアイテムの一種であり、王族専用の特注品。
ナイトガーデンの王家が代々受け継ぐものの一つとされており、内蔵されている変装パターンから着装者が望んだ姿に偽装する。
常に更新されており、最新の流行から時代遅れの姿まで内蔵されています。
現在の所持者はガルティア女王であり、偽装パターンは現在100種類を超えている。



―――――――――――――――――――――――――――

 先祖から伝わる物のようであり、国宝だとも言われているようだが……

「そこは女王権限をフル活用し、こうしてわらわがお忍びで出かける際の道具として、役立つように所持したのじゃ!おかげでいろいろできているしのぅ」
「具体的には何を?」
「町娘に化けて買い物を楽しんだり、女王という身分を忘れて遊びに出かけたり」


 へー、そこはまともそうな使い方をしているのか。まぁ、権力者は自由が少ないとも言うし、自由に動くために使用しているのか。



「女中やメイドに化けてこっそり不正貴族の証拠を集めたり、探ったり、表に流してみたり」

ん?

「娼婦に化けて娼館のナンバーワンの座を目指してみたり、悪質な客に玉潰しをしたり」

んん?

「奴隷に化けて悪質なオークション会場で売られてみたり、こっそり鍵を盗んで開放したり」

んんん?

「汚職や淫猥な現場を抑えるために、突撃のための変装用としても重宝しているのじゃよ!!」
「ちょっと待って!?なんか思いっきりとんでもないことをやっていないか!?」

 この女王、自由過ぎるでしょ!!

 自信満々な笑みを浮かべた女王に対して、ディーは思わずツッコミを入れた。


 そして思う。この人の配下の人達の苦労が途方もなさそうだと。



……先ほど名前に出てきたデルタ宰相以外にも、苦労している人が多そうだ。

 護衛とか、大臣とか、城仕えの女中とか……何をしているんだろうかこの人は。



 だが、そんな無茶苦茶をしているせいか、国民からは良く慕われて親しい仲にもなっているという。

 暴れん〇将軍や水〇黄門が混ざったような人だなぁ……国のために働いているのは良いとしても、仕えている人たちの心労を考えてはくれないだろうか。

 というか、現在進行形でまたその心労を与えているのではないだろうか。


……今度、「錬金釜」のスキルで胃薬や毛生え薬が出たら献上しに行こうかな。その人たちのせめてもの支えになるように、そして今冥福を祈ります(死んでいないけど)。

 なんとなく不憫に思えて、ディーはそう心で思うのであった。

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