転生先はミミックでしたよ

志位斗 茂家波

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騎士王国ナイトガーデン編

戦ったばかりだというのに

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‥‥‥ガルティア女王との模擬戦を終えたディーは、しばし休憩を取らせてもらった。

 本来であれば、護衛依頼での役割として傍で待機してあたりを警戒する必要性がある。

 けれども、流石にあの戦闘を体感した後では本当に護衛が必要なのかつい疑問に思うのであった。


 だってさ、魔法を剣でぶった切ったり、無茶苦茶な力技が目立つ人だよ?

 百人斬りやチンピラを倒したとか言う話を聞くと、どうしても護衛が必要そうな人には思えない。

 と言うか、襲撃をかける実行犯の方に逃げてほしいと思える。

 捕まったら最後、絶対に逃げられないようなことになるよ。


「なんか面倒ごとに関わったかなぁ」
「自業自得と言う言葉をディーさんは知っているかニャ?」

 ルーシアがそばに来て、水を渡してくれたけど‥‥‥うん、その言葉知っているぞ。

 そして何も言い返せねぇ。普段通り生活していたはずが、ちょっと少女に偽装していた女王に話しかけたのが運の尽きであろうし、その時に関わりさえしなければこのようなことにならなかったと思うからね。




「くっくっくっくっく、なかなか面白かったぞディー殿」
「ニャっ!?」
「おっと、いつの間にいたんですかガルティア女王陛下」

 ふと背後から笑い声が聞こえたので見て見れば、鎧を脱いで政務用の衣服に着替えた女王の姿がそこにあった。

 ルーシアは驚いたけど、俺はちょっとだけこの人に対する耐性が付いたようで平常心を保てた。

 先ほどの戦闘時間は短かったにしても、かなり動き回っていたはずなのに汗一つかいていない。

 鎧もそこそこ重量があるだろうし、最期の押し合いのところで水をだばぁぁぁっと噴き出して流して濡れたはずなのに乾いているのである。

 おそらくは乾燥させる道具か何かを使用したのであろうが、疲労の色が見えないところを見ればどれだけ体力があるのだろうかと疑問に思えるのであった。


「その実力、このまま市政に放り出しておくのも持った否荷様に思えるのじゃよね。なんならば、お主この国に仕えてみぬか?」
「あー、戦争とかに駆り出される危険性があるなら丁寧にお断りさせていただきます」
「ちっ、残念じゃのぅ。お主が仕えておれば、あの口うるさい血の気の多い国を黙らせることができたかもしれぬのにのぅ」

 いや、女王陛下も充分血の気が多いともいますよ?

 ダンジョンに潜りたいというし、戦闘センスもかなりある上に意欲もあるし‥‥‥あれか、隣の芝生は青い、もしくはなくて七癖のように気が付いていないだけか。

 口をとがらせてガルティア女王陛下は残念そうに言ったけど、まぁ俺だって平和な暮らしを求めたいですからね。

 モンスターとして転生したが、ゆったりとした暮らしを望みたい。

 時たま討伐、時たまのんびり。

 それがこの世界での生活の理想であろう。

‥‥‥「戦闘」が入るのはね、モンスターがいる世界なもんで、ゴブリン退治とかあるし、アイテムドロップするから目当てのモノが欲しい時に戦闘するのが理由だよ。


「にしてものぅ、改めて戦闘して想ったのじゃがディー殿、お主の戦闘方法も相当なものじゃな。足場を崩すという事からやってのける時点で、すごいのじゃ」
「魔法が扱えますからね。凍らせて不安定にしたところで押して場外負けを狙ったんですけど‥‥‥女王陛下こそまさかそれぞ逆に利用して、ナイフの刃で滑るとは‥‥‥」

 スケートの応用でやったのはすごすぎるし、この人もう何で女王なんてやっているのかという冷たくなったよ。

「ま、お主はモンスターじゃし、人では思いつかぬようなことをやるようじゃな。もしお主が人間の男だったら、我が娘のうちだれかを嫁がせて、関係を作りたかったがのぅ」
「それって政略結婚になるんじゃ‥‥‥」
「なぁに、妾だって娘に不幸になるようなことはしないのじゃ。きちんと予め好みなどを調べて、背後からいろいろとサポートしていつの間にか好意を持つように仕向けるからのぅ」
「さらっと裏工作の予定を暴露しているじゃん!!」


 怖いぞこの人。自分の娘が不幸にならないように、相思相愛にしようとしていろいろ仕掛ける気だったのかよ。

 と言うか、そういえばルーシアが説明していたっけ。この人一応子持ちなんだよな‥‥‥夫が多いらしいけど。

 「母は強し」なんて言葉はあるけど、この人の場合その言葉をさらに上回る強さを持っているような気が、俺はしたのであった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――
SIDE陰から見ていた暗殺予定集団

「‥‥‥なぁ、俺達ってあの女王陛下を殺せるだろうか?」
「遠距離から気が付かれないように攻撃するとか」
「毒を持ってとか」
「いっその事護衛を突き破ってとか」
「色々方法はあったにせよ」
「「「「「「絶対無理だろあんな人に暗殺を仕掛けることはぁぁぁあ!!」」」」」

 その日、女王陛下を暗殺しようと企んでいた暗殺者たちは、模擬戦を見て女王の実力と、その対戦相手であったミミックの実力を目のあたりにした。

 それぞれ圧倒的な強者であると暗殺者たちは勘で知り、絶対に暗殺が自分達では不可能だと実感したのである。

 おかげで暗殺業に自信を無くし、依頼主の情報を暴露してこっそり逃げて田舎へ引き籠ろうかと、暗殺者たち全員はそう考えたのであった‥‥‥
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