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嫌な事は向こうからやってくる
#78 見逃してもらえないようデス
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SIDEシアン
‥‥‥ヌルダニアン王国軍による侵攻を退け、都市アルバスには平和が戻った。
避難していた住民たちも、予想以上に早くすんだ戦闘には驚きつつ、いつもの生活へと戻る。
だがしかし、世の中そう簡単に片付くものではなかった。
「‥‥‥で、やっぱりミニワゼシスターズって、問題になりますか?」
「ええ、なるわね。…‥‥正直言って、予想以上だったというのもあるけれども、十分大問題ね」
都市アルバスのとある店の一室、軍が攻めて来る前も話し合いに利用した場所にて、シアンたちは第2王女のミスティアと話していた。
先日のヌルダニアン王国軍が進撃してきて、略奪される可能性があったので、その行為を防ぐためにミニワゼ製造に手を貸してもらったわけなのだが…‥‥どうやらミニワゼシスターズの戦闘力が、非常に大問題になるのだとか。
まぁ、無理はないだろう。
新たに製作されたミニワゼシスターズの3体、フンフ、ゼクス、ズィーベンも含め、計6体となったのだが、彼女達の戦闘能力が一国の軍すらも凌駕するほどだと、あのヌルダニアン王国軍との戦闘で証明してしまったのである。
戦場をたった6体の小さな人形のようなメイドゴーレムが、切り裂き、薙ぎ払い、爆発させ…‥‥終いにはトドメと言わんばかりに合体してパワーアップし、完璧に兵士たちの心をへし折った。
しかもあれで実はまだ、全力を出していないというのだから驚きである。合体もたくさん種類があるようだし……あの銀色のワゼのような姿以外にも、メカらしいものとか、まったくの別物とか、挙句の果てには巨大化などもあるそうだ。
何にしても、これだけの過剰戦力が、その主でもある僕の元に集まっていることは、国としても非常に不味い。
「僕にその気はないけれども、下手すると国をも征服できそうなその戦力を狙うような馬鹿が出るかもしれないという事ですよね?」
「そういう事よ。こればかりは、本当に頭の痛い問題なのですわ」
僕自身はこの戦力を悪用する気はない。
しいて言うのであれば、日々のワゼのお手伝いぐらいなのだが…‥
【でも、知ってしまえば力を使いたくなるような者もいますものね‥‥‥】
「そういうことだよ」
ハクロの言葉に、その場の全員がうんうんと頷く。
世のなかはきれいごとばかりでは済まないというのは分かるが、それでも理不尽なぐらい悪人が出る。
いつぞやか、僕がキレてぶん殴った馬鹿野郎がそのいい例であろう。…‥‥ワゼの手に任せ、悲惨な末路を送ったはずだけど、第2第3の馬鹿がいてもおかしくはない。
何にしても、この事はここにいる者たちだけで判断することは難しい。
「ゆえに、一旦お父様、もとい国王陛下にわたくしは説明しに帰還しますわ。こういう国の大事を決めるような事は、おしつけゲフンゲフン、陛下に任せた方が良いですもの」
今さらっと押しつける気満々のような言葉が出たような気もしなくはない。
まぁ、かなりの面倒ごとだからこそ、現実逃避したくなるのも無理はない。
「でも、こんな話をそう簡単に信じてもらえるのだろうか?」
戦闘を直接見ているのならまだしも、言葉だけでは説得力が足りない。
となれば、説得力を増すためにも見本が必要であろう。
「それなら、ミニワゼシスターズの一体を持っていけば良いかもしれないけれども…‥ワゼ、大丈夫だよね?」
「大丈夫デス」
「ミニワゼたちも大丈夫?」
「ツー!」
「スー!」
「フー!」
「ファー!」
「シー!」
「セー!」
全員の返答からして、誰でもいいから大丈夫と言っているようである。
しかし…‥‥誰にしよう。正直言って、どれも髪の色が違うだけで同じような見た目だからなぁ‥‥‥ウェポンフォルムが一番の差別化何だろうけれども‥‥‥
「魔法が使えるゼクスも良いし、機関銃のツヴァイも説得力があるかな?」
【鎖鎌のドライ、双鞭のフンフも、インパクトで言えば強い方ですよね?】
「フィーアのハンマーや、ズィーベンのホースなどもありマス」
6体のうち1体をという考えであったが、誰を取ってもインパクトと説得力が増すであろう。
ミスティアとその愉快な護衛達とも話し合ったが、中々結論が出づらく、頭を悩ませる。
しょうがないのでくじ引きにして決める事にし、結果として選ばれたのは…‥‥
「それじゃ、フィーア、君に決めるね」
「フー!!」
びしっと敬礼して、承諾したフィーア。
緑髪のこの子はハンマーに双剣とわかりやすい武器を持ち、印象も悪くないはずである。
とりあえず、ミスティア王女にフィーアを預け、彼女を持って首都にある王城にて、国王陛下の前で説明してもらう事になり、一旦この話は帰還するまで保留という事になったのであった。
「フィーア、ご主人様からの王城での説明任務、無事に話してくだサイ」
「フー!」
ワゼの言葉に返答しつつ、ミスティア王女たちは馬車に乗って帰還していく。
この帰路に限っては、フィーアもいるし、盗賊に襲われても多分大丈夫であろう。
「でも、絶対に面倒ごとになるというか、既になっているよね‥‥‥」
何にしても、あの進軍さえなければまだ平穏だったかもしれないが…‥‥しょうがないよね?
とりあえず、今日は疲れたので、僕らも家に帰ることにしたのであった…‥‥
―――――――――――――――――――
SIDEミスティア
「フ~♪フフフ~♪」
「‥‥‥」
馬車に揺られながら、ミスティア王女はフィーアの様子を見ていた。
あのワゼというメイドをモデルにして、簡略化した姿の人形のようなメイドゴーレムというが、鼻歌を歌って外を見ている様子だけだと、人間で言えばただの少女のようにしか見えない。
「えっと、何か不満があれば言っても良いですわよ?」
「フ?‥フ~、フフフ?」
「え?特にないのかしら?」
「フ」
「しいて言うのであれば、馬車の揺れが少々気になる?」
「フー」
「でも、まぁ大丈夫。酔わないから安心して…‥‥って、ゴーレムが酔う事があるのかしら?」
「フフフ」
「あ、考えたら酔わないよね。って…‥」
‥‥‥とりあえず、微妙な空気にならないようにミスティアは話しかけたのだが、思った以上にフィーアとの会話がつながる。
少しづつ面白くなり、いつしか世間話で盛り上がっていくのであった。
「フー!フフフ、フー!」
「へぇ、あの都市に腕のいい薬屋がいて、そこの美容液とかはあのハクロさんも使用しているの!それはすごく効果がありそうね」
「フ、フーフ~」
「なるほど…‥‥お母様たちにあげるだけではなく、政治的にも使えるかもしれないと?そうね、確かにわたくしもだけれども、女性にとって美容などは興味の尽きないテーマだものね」
「フーフフフー」
「そういう使い方もすれば、もしかすると馬鹿共も一掃できる?ええ?そんなこともできるの?」
年頃の女の子のしている会話のように、二人は楽しく話し合う。
ただ、フィーアの言葉が「フ」だけで成り立っているのに、なぜ相互理解できるのか、馬車から漏れ出る音を聞きながら、護衛の者たちは首をかしげる。
でも、よく聞いてみようと想えば理解できてしまうし、謎が多かった。
(‥‥‥‥うん、深く考えないほうが良さそうだな!)
なぜ理解できるのかという疑問は非常に大きいが、考えても答えが出ないのは明白。
ゆえに、なぜ理解できるのかわからないながらも、馬車内で行われている会話に、ほっこりと温かい目で見守るのであった‥‥‥‥
‥‥‥ヌルダニアン王国軍による侵攻を退け、都市アルバスには平和が戻った。
避難していた住民たちも、予想以上に早くすんだ戦闘には驚きつつ、いつもの生活へと戻る。
だがしかし、世の中そう簡単に片付くものではなかった。
「‥‥‥で、やっぱりミニワゼシスターズって、問題になりますか?」
「ええ、なるわね。…‥‥正直言って、予想以上だったというのもあるけれども、十分大問題ね」
都市アルバスのとある店の一室、軍が攻めて来る前も話し合いに利用した場所にて、シアンたちは第2王女のミスティアと話していた。
先日のヌルダニアン王国軍が進撃してきて、略奪される可能性があったので、その行為を防ぐためにミニワゼ製造に手を貸してもらったわけなのだが…‥‥どうやらミニワゼシスターズの戦闘力が、非常に大問題になるのだとか。
まぁ、無理はないだろう。
新たに製作されたミニワゼシスターズの3体、フンフ、ゼクス、ズィーベンも含め、計6体となったのだが、彼女達の戦闘能力が一国の軍すらも凌駕するほどだと、あのヌルダニアン王国軍との戦闘で証明してしまったのである。
戦場をたった6体の小さな人形のようなメイドゴーレムが、切り裂き、薙ぎ払い、爆発させ…‥‥終いにはトドメと言わんばかりに合体してパワーアップし、完璧に兵士たちの心をへし折った。
しかもあれで実はまだ、全力を出していないというのだから驚きである。合体もたくさん種類があるようだし……あの銀色のワゼのような姿以外にも、メカらしいものとか、まったくの別物とか、挙句の果てには巨大化などもあるそうだ。
何にしても、これだけの過剰戦力が、その主でもある僕の元に集まっていることは、国としても非常に不味い。
「僕にその気はないけれども、下手すると国をも征服できそうなその戦力を狙うような馬鹿が出るかもしれないという事ですよね?」
「そういう事よ。こればかりは、本当に頭の痛い問題なのですわ」
僕自身はこの戦力を悪用する気はない。
しいて言うのであれば、日々のワゼのお手伝いぐらいなのだが…‥
【でも、知ってしまえば力を使いたくなるような者もいますものね‥‥‥】
「そういうことだよ」
ハクロの言葉に、その場の全員がうんうんと頷く。
世のなかはきれいごとばかりでは済まないというのは分かるが、それでも理不尽なぐらい悪人が出る。
いつぞやか、僕がキレてぶん殴った馬鹿野郎がそのいい例であろう。…‥‥ワゼの手に任せ、悲惨な末路を送ったはずだけど、第2第3の馬鹿がいてもおかしくはない。
何にしても、この事はここにいる者たちだけで判断することは難しい。
「ゆえに、一旦お父様、もとい国王陛下にわたくしは説明しに帰還しますわ。こういう国の大事を決めるような事は、おしつけゲフンゲフン、陛下に任せた方が良いですもの」
今さらっと押しつける気満々のような言葉が出たような気もしなくはない。
まぁ、かなりの面倒ごとだからこそ、現実逃避したくなるのも無理はない。
「でも、こんな話をそう簡単に信じてもらえるのだろうか?」
戦闘を直接見ているのならまだしも、言葉だけでは説得力が足りない。
となれば、説得力を増すためにも見本が必要であろう。
「それなら、ミニワゼシスターズの一体を持っていけば良いかもしれないけれども…‥ワゼ、大丈夫だよね?」
「大丈夫デス」
「ミニワゼたちも大丈夫?」
「ツー!」
「スー!」
「フー!」
「ファー!」
「シー!」
「セー!」
全員の返答からして、誰でもいいから大丈夫と言っているようである。
しかし…‥‥誰にしよう。正直言って、どれも髪の色が違うだけで同じような見た目だからなぁ‥‥‥ウェポンフォルムが一番の差別化何だろうけれども‥‥‥
「魔法が使えるゼクスも良いし、機関銃のツヴァイも説得力があるかな?」
【鎖鎌のドライ、双鞭のフンフも、インパクトで言えば強い方ですよね?】
「フィーアのハンマーや、ズィーベンのホースなどもありマス」
6体のうち1体をという考えであったが、誰を取ってもインパクトと説得力が増すであろう。
ミスティアとその愉快な護衛達とも話し合ったが、中々結論が出づらく、頭を悩ませる。
しょうがないのでくじ引きにして決める事にし、結果として選ばれたのは…‥‥
「それじゃ、フィーア、君に決めるね」
「フー!!」
びしっと敬礼して、承諾したフィーア。
緑髪のこの子はハンマーに双剣とわかりやすい武器を持ち、印象も悪くないはずである。
とりあえず、ミスティア王女にフィーアを預け、彼女を持って首都にある王城にて、国王陛下の前で説明してもらう事になり、一旦この話は帰還するまで保留という事になったのであった。
「フィーア、ご主人様からの王城での説明任務、無事に話してくだサイ」
「フー!」
ワゼの言葉に返答しつつ、ミスティア王女たちは馬車に乗って帰還していく。
この帰路に限っては、フィーアもいるし、盗賊に襲われても多分大丈夫であろう。
「でも、絶対に面倒ごとになるというか、既になっているよね‥‥‥」
何にしても、あの進軍さえなければまだ平穏だったかもしれないが…‥‥しょうがないよね?
とりあえず、今日は疲れたので、僕らも家に帰ることにしたのであった…‥‥
―――――――――――――――――――
SIDEミスティア
「フ~♪フフフ~♪」
「‥‥‥」
馬車に揺られながら、ミスティア王女はフィーアの様子を見ていた。
あのワゼというメイドをモデルにして、簡略化した姿の人形のようなメイドゴーレムというが、鼻歌を歌って外を見ている様子だけだと、人間で言えばただの少女のようにしか見えない。
「えっと、何か不満があれば言っても良いですわよ?」
「フ?‥フ~、フフフ?」
「え?特にないのかしら?」
「フ」
「しいて言うのであれば、馬車の揺れが少々気になる?」
「フー」
「でも、まぁ大丈夫。酔わないから安心して…‥‥って、ゴーレムが酔う事があるのかしら?」
「フフフ」
「あ、考えたら酔わないよね。って…‥」
‥‥‥とりあえず、微妙な空気にならないようにミスティアは話しかけたのだが、思った以上にフィーアとの会話がつながる。
少しづつ面白くなり、いつしか世間話で盛り上がっていくのであった。
「フー!フフフ、フー!」
「へぇ、あの都市に腕のいい薬屋がいて、そこの美容液とかはあのハクロさんも使用しているの!それはすごく効果がありそうね」
「フ、フーフ~」
「なるほど…‥‥お母様たちにあげるだけではなく、政治的にも使えるかもしれないと?そうね、確かにわたくしもだけれども、女性にとって美容などは興味の尽きないテーマだものね」
「フーフフフー」
「そういう使い方もすれば、もしかすると馬鹿共も一掃できる?ええ?そんなこともできるの?」
年頃の女の子のしている会話のように、二人は楽しく話し合う。
ただ、フィーアの言葉が「フ」だけで成り立っているのに、なぜ相互理解できるのか、馬車から漏れ出る音を聞きながら、護衛の者たちは首をかしげる。
でも、よく聞いてみようと想えば理解できてしまうし、謎が多かった。
(‥‥‥‥うん、深く考えないほうが良さそうだな!)
なぜ理解できるのかという疑問は非常に大きいが、考えても答えが出ないのは明白。
ゆえに、なぜ理解できるのかわからないながらも、馬車内で行われている会話に、ほっこりと温かい目で見守るのであった‥‥‥‥
応援ありがとうございます!
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