憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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13 生徒会との接触

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‥‥‥精神的に疲れていたとはいえ、とりあえず生徒会との話し合い。

 気を抜くのは不味そうだと感じつつ、生徒会室に用意された席にディーたちは座り込んだ。



「えっと、本当ならばまだいるんだけどね、今ちょっと所用でいないから僕等だけなんだよね」

 副生徒会長であるグラディが笑いながらそう説明する。

 何にしても、この場にいるのは俺たちと‥‥‥もう一人、こちらはこちらで顔面偏差値が高そうな男が、そこにいた。

「説明しなくても良いぞ、弟よ。この話し合いは、こちらの個人的な物もあるからこそ、他の者たちを下がらせただけだろう」
「いわなくても良いんだけどね。ゼノバース兄上」

 口を開いたその男‥‥‥グラディの兄と思わしき人物。

 というか、第2王子の兄ってことは…‥‥

「ああ、そう言えばまだ自己紹介がまだだったな。わたしはこの弟の兄をしており、ここの生徒会長でもあるゼノバース。第1王子にして、『武闘家』の職業を持っている者だ」

…‥‥予想的中。案の定というか、第1王子でした。




 カクカクシカジカと手短にこちらも自己紹介を行う。

 なお、第3王子や第1王女とかも居るはずなのだがこちらは他国へ留学中らしく、ここで会う可能性はそうそうないらしい。

 何にしても、ある程度のやり取りを行ったところで、本題に入ることにした。


「…‥‥ところで、ここまで行ったところで問いかけますが、なぜわざわざ生徒会が俺たちのことを呼びだしたのでしょうか?まだ入学して間もないですし、そこまで気に掛けるようなことでも‥‥‥」
「いや、十分に気に掛けることはあった」
「というか、既に噂になっているんだけど?」

 その問いかけに対して、王子二人ともそう答えた。


 いわく、本来であれば気になる生徒がいたとしても、数週間ほどたってからの噂などで知るらしい。

 だがしかし、今回の俺の場合は…‥‥

「君のその召喚獣‥‥メイドゴーレムのノインだったか」
「彼女のやらかし具合が、十分に広まっているんだよ」

 何しろ、召喚される召喚獣の中でも異質な彼女。

 召喚獣にしては理性がありすぎるし、人とそう変わらない点が多い。

 だがしかし、やることなすことが人外の範疇に入り続け、容姿も綺麗だからこそ色々と噂になってしまっているのだとか。

「‥‥‥私、そんなに人目を惹きますカ?」
「惹くよ惹くよ、めっちゃ惹いているよ」
「報告にあるだけでも、食堂での輝く料理、学園教師の召喚獣に対しても一歩も引かず、やることなすことが噂になり過ぎて、前例が余り無いレベルだ」

 ノインの問いかけに、二人で呆れたように説明する。

「まぁ、何にしてもだ。ここまで色々とやらかす召喚獣というのも珍しいからな。一度こちらとしてはゆっくり話し合って、まずはそのやらかしをどうにかして欲しいという思いもあったりはする」
「それに関しては、本当にすいません」
「あと、気になる報告の中で、血の海に沈めた人数が多くなっているのは…‥‥いや、これは別に良いか。犠牲者の復活後に、女子が寄らなくなっているからね。自業自得か」

…‥‥血の海に沈めた、って何?

「召喚獣とは言え、私だってか弱い女ですからネ。風呂を覗かれれば正当防衛もやむを得なかったのデス」
「正当防衛?」
「か弱い?」
「…‥‥話していてよく分かったが、常識から色々と逸脱しているのは良く分かった」

 何にしても、風呂覗きに関しては自業自得なのだから仕方がない事とは言え、それ以外の事と今後に関しての話をするためにわざわざ俺たちをここへ呼び出したという事が、本題だったようだ。

「一応ここは、適性で出た職業での、活かし方を学ぶ場所だからな…‥‥ある程度制御できているならまだしも、この報告の量を見ると君の場合、ちょっと見離せない状態に近いかな」
「王族という立場は、この学園では放棄しているが‥‥‥やらかし具合にしても、その能力は異常に高いと見る事が出来るのは、見過ごせない点だ」

 教師たちに教えを請わせるほどでもあり、その他諸々でも能力の高さを見せるノイン。

 そんな彼女は、王族という立場にいる彼らにとっては放置できないのだとか。

 現在、この王国の王位継承権は第1~3王子までしっかり争っており、第1王女に関しても参戦中。

 学園での学び舎もまたその争いの場であり、できるだけ血生臭い事は無いように互いに腹の探り合いもしているのだが、そんな中でノインが出てしまった。

 その能力の高さは、現状まだ学園内での噂にとどまっているとはいえ、外部に漏れるのはあまり好ましくない。

「人の口に戸は立てられぬ、って言葉もあるけどね…‥‥」
「今はまだ、我々の王位継承争いは外部からの干渉を受けずに、互いに切磋琢磨している状態。だがな、王族という立場をみて、欲に目をくらんでやらかそうとする輩はいるのだ」
「何しろ貴族の世界は混沌の世界と言っても過言じゃないからね。派閥争いもあるわけだし、王位継承権争いでも、こちらに干渉して甘い汁を盗み取ろうと考える阿呆はいるんだよ」
「そんな中で、彼女のような能力の高い人材は‥‥‥」
「僕等への、捧げものとして利用しようと考える輩が出るんだよ」

 交互に話しつつ、その厄介なことに関して理解させられる。

 要は、王位継承権争いで王子につきつつ、少しでも媚を売っていい目を見ようと考える輩がいる。

 そしてその媚の材料として、ノインを利用できないかと考える輩がいるという事だろう。



 幸いというか、この学園自体はそれなりに不干渉の場。

 貴族だろうと平民だろうと何だろうと、ここでは等しく各々の適正の職業に関する学び舎であり、自由の場。

 土足でどかどかと踏み荒らされることはほとんどないのだが、そこを踏み荒らそうと考えるような輩が出てもおかしくないのだとか。

「んー‥‥‥私を利用しようと考えても、従いませんヨ。私はご主人様の召喚獣であり、それ以外の方の命令などは聞きたくありませんからネ」
「まぁ、それは分かる。こうして実際に話し合う場の中でも、君が彼に尽くすその忠誠心は、その馬鹿共に見習ってほしいほどだからね」
「でもね、だからこそその主である彼に対して危害を加えるような輩が出るかもしれないんだ」
「…‥‥ご主人様への、危害ですカ」

…‥‥グラディのその言葉を聞いた瞬間、ふとノインの纏う雰囲気が切り替わった。

 明るいというか、冷静というか、そんな彼女とはまた違う雰囲気。

 目の光が鋭くなり、強烈な寒気を思わせ、思わずぶるっと全員身を震わせる。


「‥‥‥それは絶対にさせまセン。メイドたるもの、尽くすべき主に対しての危害は事前に防止し、行われた場合は徹底排除すべきキ。そう、私のメイドの嗜みにも記録されており、徹底抗戦、殲滅を行うだけデス」


 寒気というか、威圧感というか…‥‥その時のノインの様子を見た俺たちは、後で語る羽目になる。

 本気で彼女を怒らせた場合、相手がどの様な末路を辿るのかということを‥‥‥‥


「まぁ、今はまだ大丈夫そうですが…‥‥ああ、だからこそ、ご主人様をここへ呼んだのですネ」

 重圧が消え失せ、そうつぶやくノイン。

「ふむ、もう分ったのか」
「ええ、そうデス。生徒会へ呼んだのは‥‥‥ご主人様を、生徒会預かりの身にしてしまおうという魂胆ですネ?」
「その通り」

 王位継承権争いの今の状態を変えないためにも、そして俺に対する安全対策においても、どうやら生徒会の方へ、身を預けさせて欲しいのだとか。

「と言っても、保護とかではないな。実質的に、生徒会の役員の一人になってほしいだけだ」
「生徒会へ入れば、その肩書だけでもそれなりにできるからね。仕事も時期によってはあるけど‥‥‥僕らがいるからこそ、簡単に手出しもできないはずだ」

 何しろ、生徒会の会長・副会長が王子で固められており、王族の権力はここでは行使しないが、それでも将来を考えると手を出しにくくなるのだとか。

「だからね、ここでの話し合いでそれなりに現状の危うさも理解できただろうし‥‥‥」
「生徒会へ、入ってもらいたい。役員としては、庶務と言ったところか」

 まぁ、実質的に仕事はほとんどないようなもので、生徒会の肩書を名乗ってもらうだけでいいのだとか。

 虎の威を借る狐と言う言葉があるらしいが、今はその威を借りまくってくれれば十分だという。

「‥‥‥そちらのメリットは?俺たちを生徒会へ入れるだけだと、精々その有象無象の輩たちから守りつつ、王位継承争いにそう関わる事は無いような‥‥‥」
「それ自体が、こちらのメリットだ」
「王位継承権争いに関わらないようにしてくれれば、それで十分だからね」

 とにもかくにも、入ったほうが良さそうである。

 一応、特にこれと言って困る事もないし、生徒会の肩書で厄除けできるのであれば願ったりもない、

「じゃあ、生徒会へ入ります」
「うん、わかったよ」
「では、こちらの書類にある程度目を通してサインしてくれ。後はコチラで処理して、生徒会へ正式に入ったことを通達しよう」

 何にしても、これで面倒事を減らせそうなのであれば、良い事のはずである。

 損する話という訳でもなかったし、ちょっと話すだけで多くの利益を得たように、俺は思うのであった‥‥‥‥







「ふぅ‥‥‥彼が生徒会に入ってくれてよかったよ」
「ああ、まったくだ。これでいらぬ狸共も余計な手出しはできまい」

 生徒会への届け出も終わり、ディーが退出した後で、グラディとゼノバースは椅子に腰かけ、話し合う。

 
「見ておくこともできたが‥‥‥警戒を怠らずにしておいたほうがいいという事を、認識できたな」
「内心、滅茶苦茶怖かったなぁ‥‥‥」

 ノインの冷ややかな、殲滅などを行うと言う言葉。

 あれが脅しでもなんでもなく、普通にこなせると彼らは理解したのだ。

「召喚獣も異常だが‥‥‥そんな彼女にそこまで尽くさせられるという彼、ディーと言ったか。あの者自身もそれなりに器はあるだろう。とすれば、もう一つ問題が出るな」
「といいますと?」
「召喚士に、基本的に召喚獣は一体程度…‥‥そのぐらいは知っているだろう。複数体という話もあるが、基本的にその程度。だが、彼のあの器の大きさなどを考えると…‥‥まだ増えるな」
「‥‥‥兄上、冗談でもシャレにならない様な気がするのは気のせいでしょうか?」
「気のせいではないだろうな」

 過去の召喚士たちの例を見る限り、そこまで異常性がある者はあまり無いはず。

 だがしかし、今回のディーの場合、その異常性があり得るのだ。

「少なくとも、王位継承権争にあまり関わる事はこれで出来なくなったはずだ。そう考えると良いのだが‥」

 これで、この件が終わるわけでもない。

 ディーの立場では見えないことも、王族の立場である彼らからは見える事もあり、予想もできる。

「あの威圧ぶりを見ると、下手すると本気でシャレにならないことも起きるかもな‥‥‥」

 そうつぶやきつつ、兄弟そろって溜息を吐くのであった‥‥‥‥

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