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102 ろくでもないことであるようなないような
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…‥‥ディーの叙爵が行われる前夜。
学園の方では採点を終え、結果を集計して満足げに深い眠りに教師陣が就いていた丁度その頃、王城の方では準備が整えられていた。
今回は平民の身分でありながら、様々な功績を出してきたとある人物の叙爵というのもあり、与えられる爵位は領地を持たぬ準男爵程度というのもあり、本人の気質なども考え、やや簡素な式を行うことになっていた。
「まぁ、ディー君ならこれで良いとは思うけれども…‥‥油断できないなぁ」
「弟よ、それは分かるぞ」
準備が進められ、明日へのチェックをされている中で、窓際でその会場の様子を見てつぶやいたグラディの言葉に、ゼノバースはそう答える。
ミウやエルディムは、夏季休暇も終わったので、それぞれが留学先へ戻っているのだが、彼等もまた、グラディたちと同じような不安を抱いているだろう。
というのも…‥‥
「簡単な叙爵式で、地位を国王が与えるけれども…‥‥あの父上だからなぁ」
「絶対に何かやらかす予感しかしないからな」
互に顔を見合わせてそう口にする。
このヴィステルダム王国の国王は、やるときはやる人物であり、『遊び人』という職業をうまく活用して幅広い情報収集やコミュニケーション力で周辺諸国とも手を取り合いやすく、国民からはそれなりに親しまれているだろう。
だがしかし、実はこの『遊び人』という職業だけに、ちょっとした欠点というか、遊び心を無意識のうちに出してしまうことがあるのだ。
以前、ミウがリザをディーの召喚獣にすればいいと言ったあの言葉も、実はその職業を持っている彼女自身の無意識な発言であり、その結果がやらかしである。
そして今回の国王に関しても、また同じようなやらかしをする可能性もあり、彼らは気にしているのだ。
今はまだ互に王位継承権を争う中とは言え、同じ父親のやらかしぶりを見ていると不安を覚えるのも同じである。
「一応、森林国の一件で、ディー君をさらに推薦として国の特別諜報への推薦とかもしていたけれども‥‥‥」
「それだけで終わるような気がしないよな…‥‥」
あの国王だけに、その行動は読み切れない。
無駄に頭が切れ、それを無駄に生かし、無駄にやらかす…‥‥無駄の3連星とも言うべき行動を、彼らは人生でどれだけの回数を見てきたであろうか。
父親としては一応いい人でもあるはずなのだが‥‥‥いかんせん、その部分での不安を考えると、少しばかり気が気ではないのである。
「聞いた話じゃ、夜中に学園の寮へ侵入しようとする不審者も増加しているようだし、王城の方でも式を止めるようにとか言うような輩もいるからねぇ」
「何も生み出せない者だからこそ、何かを生み出す者によってその場を奪われる恐怖故の行動か…‥‥さっさと潰してしまえば良いが、難しい事もあるからな」
適切な証拠を見つけ次第、様々な沙汰を下したりはするが、根絶は難しい。
人間、一度生活水準を上げれば下げにくいようで、だからこそ自身の地位を脅かすような者をどうにかしたいと考えるのもいるだろう。
「無駄に働くなら、少しでも研鑽してより生み出せるようになればいいだけの話だとは思うんだけどね」
王子たちは王子たちで、実は無能の救済手段を取っていたりもするのである。
何かができなくとも、別の何かができればいい。適材適所というものをよく知っているので、そこへ連れていくことぐらいはできるのだ。
けれども、どうしてもその適材適所を見つけられないか、あったとしても働く気もないのか、救いようがないような輩が出てしまうのもあり、ちょっと頭の痛い問題でもあった。
「何にしても、あの父が絶対やらかすだろうからなぁ‥‥‥警備を増やしてもらう方が良いか」
「いざとなれば、母上方にも頼もうか」
正妃、側室などもおり、そっちに頼んで暴走を止めてもらう方が良いのかもしれない。
そう考えつつ、彼らなりに行動を移し始めるのであった。
「まぁ、僕が王になったら色々とうまく付き合っておきたいね」
「ああ、こちらの方が王になる気があるがな」
「「…‥‥」」
…‥‥王位継承権争いはあるとは言え、まだにらみ合いで済む程度である彼らは平和な方であろう。
世のなかには、血で血を洗うような血生臭い継承権争いも存在するのだから‥‥‥‥
「‥‥‥すぅ‥‥‥ぴぃ‥‥‥」
「…‥‥本日は、もういないようデス」
そうつぶやきつつ、そっと己の主を撫で、ノインはそうつぶやく。
彼女のひざ元には、膝枕状態で熟睡しているディーの姿があり、その眠りは平和そのもの。
「ふふふ、今日は私で良かったデス。重要な時がある前夜だからこそ、ご主人様にはしっかりと安眠を取ってもらわないといけないですからネ」
普段は冷静な彼女とは言え、こういう時は穏やかな笑顔であり、そうつぶやく。
ディーを起こさないように気を使いつつ、最適な角度を保ち続け、そっと眠りの質を向上させるのである。
くるくる回っていた彼女のアホ毛も、ようやく周辺の敵が失せたのかピタッと止まっている。
「ご主人様の安眠は、きちんと守ってますからネ」
そう言いながら、つい動いてしまう彼女の手は、そっとディーの顔を優しく撫で上げる。
メイドゴーレムゆえに、主へ尽くしてしまうのはそうなのだが、それ以外にも彼女はしっかりと心から尽くすようにしている。
彼女自身、召喚で呼ばれた身ではあるが、今はもうそんなことは関係ないだろう。
「‥‥‥でも、まだできることがあるのに、中々そうならないのは残念デス」
他の召喚獣たちもいるからこそできないこともあるし、今の年齢・肉体ではもうちょっとと言うべきなのかもしれないところで、それができないというのもある。
メイドだからこそ尽くすのもあるが、ゴーレムであるとは言え女でもあり、より一層捧げたくもなるのだ。
「まぁ、それをしたら当然他の方々も動きそうですし、今はまだその時ではないようデス」
その手の機能もあるとは言え、やってしまえば収拾がつかなさそうなのもあり、そっと心の中にその想いはしまっておく。
いつの日か、そう遠くない時にでも取り出せばいいだろうし、今はただ、彼女にとってのご主人様であるディーの快眠を守ればいいだろう。
「とはいえ、隙を作る事もしませんけどネ」
にゅーいんぐいっ!!
「‥‥‥‥おおぅ、接近がバレたでありんすか」
「流石にデータを取ってますので、油断をしなければ確実につかめマス」
いつの間にか忍び寄っていたリザの腕をつかみ、ツボを押されるまえにひねり上げるノイン。
「貴女の順番は、もうちょっと先デス。順番抜かしはダメですからネ」
「わかったでありんすよ」
そう言いながら、リザは扉を音もなくあけ、自室の方へ戻る。
「でも、わっちは新参者とはいえ、それでも狙えそうなときは狙わせてもらうでありんすよ」
「恩人というだけではない部分でも、執着心強いですネ」
「それも種族柄でありんすね。ダーリンが魅力あると言えるでありんすが‥‥‥今宵は退散でありんす」
扉が閉じたのを確認し、ディーの睡眠状態も確認し、まだ起きない状態なのを確かめる。
「ま、この程度で起きないご主人様もすごいデス」
ある意味一種の才能とも言えるだろう。
そう思いながらも、もう間もなく起床時間になりそうなので、そろそろ離れるべき時に、ふとノインはある事を思いついた。
「そう言えば、データ収集の一環で、こういうのもご主人様に喜ばれるかもしれないというのもありましたが…‥‥試してみるべきでしょうカ?」
…‥‥不審者掃除をしつつ、寮内の見回りをしている中で、偶然彼女はそれを見つけた。
一応、男子生徒が多くいるせいか、それとも彼女達のようなのがいるせいか、それはその場に巧妙に隠されており、暴き出しつつも相手の心情も考え、仮にディーへ何かをしでかそうものならばそれで社会的制裁を加えようと考えていた、とある書物の数々。
幸いというか、彼女自身はデータ上のものでそこまで詳しく思い出すことはないのだが、作成者には無いような部分もあり、それを利用できるような手段。
「‥‥‥まだちょっとありますし、やってみるべきでしょウ」
起きなければ問題なさそうだし、今はちょっとした好奇心というのもある。
「窒息しないように気を使って、きちんと後頭部の方へ乗せるためにも横に乗せて…‥‥」
ごそごそと音を立てないようにそっとメイド服の上部分を脱ぎ、体勢を整え、実行してみたが…‥‥思いのほか、しっくりと来た。
「ご主人様の睡眠質向上確認…‥‥とは言え、ちょっと高いですカネ。もうちょっと間に沈めこませて‥‥‥」
「んん‥‥‥」
「‥‥‥うん、今は無理ですネ。ちょっと浅くなってきたようですし、やめておきましょウ」
そうつぶやき、そっとディーの頭を枕へ戻し、そそくさとメイド服を着直して何事もなかったかのように取り繕う。
「ほんのちょっとだけ、もうちょっとこうしたい、より深くしたいのもありましたが‥‥‥まぁ、考えないでおきましょウ」
少しだけ頬を赤くしたが、すぐに元に戻すのであった‥‥‥‥
「ふわぁあ…‥‥良く寝たな」
「おはようございます、ご主人様。良い夢は見られましたカ?」
「見たと言えば見たような、見なかったような…‥‥夢って覚えてなかったりするからなぁ。ああ、でもなんかふわっと柔らかい何かに包まれたようで、気持ちよかったというのはあったかも?」
「そうですカ」
‥‥‥そして数回ほど、順番が来るたびに試行錯誤を重ねる中で、他の召喚獣たちが気が付き、同様の行為をしようと企んだのはまた後の話である。
「拙者はさらしを取ればいいだけでござるよ」
「わっちも同じく脱げばいいだけでありんすね」
数秒ほどですぐにできたが…‥‥擬音の桁が違っていた。
「‥‥‥似ているのが多いのに、脅威の格差を見たでござる‥‥‥」
「儂はそこは気にせぬがのぅ。大きければ、その分襲われる可能性も‥‥‥おおぅ、トラウマが‥‥」
ついでに一名、昔のトラウマを思い出してしまったのも、また別の話である‥‥‥‥
学園の方では採点を終え、結果を集計して満足げに深い眠りに教師陣が就いていた丁度その頃、王城の方では準備が整えられていた。
今回は平民の身分でありながら、様々な功績を出してきたとある人物の叙爵というのもあり、与えられる爵位は領地を持たぬ準男爵程度というのもあり、本人の気質なども考え、やや簡素な式を行うことになっていた。
「まぁ、ディー君ならこれで良いとは思うけれども…‥‥油断できないなぁ」
「弟よ、それは分かるぞ」
準備が進められ、明日へのチェックをされている中で、窓際でその会場の様子を見てつぶやいたグラディの言葉に、ゼノバースはそう答える。
ミウやエルディムは、夏季休暇も終わったので、それぞれが留学先へ戻っているのだが、彼等もまた、グラディたちと同じような不安を抱いているだろう。
というのも…‥‥
「簡単な叙爵式で、地位を国王が与えるけれども…‥‥あの父上だからなぁ」
「絶対に何かやらかす予感しかしないからな」
互に顔を見合わせてそう口にする。
このヴィステルダム王国の国王は、やるときはやる人物であり、『遊び人』という職業をうまく活用して幅広い情報収集やコミュニケーション力で周辺諸国とも手を取り合いやすく、国民からはそれなりに親しまれているだろう。
だがしかし、実はこの『遊び人』という職業だけに、ちょっとした欠点というか、遊び心を無意識のうちに出してしまうことがあるのだ。
以前、ミウがリザをディーの召喚獣にすればいいと言ったあの言葉も、実はその職業を持っている彼女自身の無意識な発言であり、その結果がやらかしである。
そして今回の国王に関しても、また同じようなやらかしをする可能性もあり、彼らは気にしているのだ。
今はまだ互に王位継承権を争う中とは言え、同じ父親のやらかしぶりを見ていると不安を覚えるのも同じである。
「一応、森林国の一件で、ディー君をさらに推薦として国の特別諜報への推薦とかもしていたけれども‥‥‥」
「それだけで終わるような気がしないよな…‥‥」
あの国王だけに、その行動は読み切れない。
無駄に頭が切れ、それを無駄に生かし、無駄にやらかす…‥‥無駄の3連星とも言うべき行動を、彼らは人生でどれだけの回数を見てきたであろうか。
父親としては一応いい人でもあるはずなのだが‥‥‥いかんせん、その部分での不安を考えると、少しばかり気が気ではないのである。
「聞いた話じゃ、夜中に学園の寮へ侵入しようとする不審者も増加しているようだし、王城の方でも式を止めるようにとか言うような輩もいるからねぇ」
「何も生み出せない者だからこそ、何かを生み出す者によってその場を奪われる恐怖故の行動か…‥‥さっさと潰してしまえば良いが、難しい事もあるからな」
適切な証拠を見つけ次第、様々な沙汰を下したりはするが、根絶は難しい。
人間、一度生活水準を上げれば下げにくいようで、だからこそ自身の地位を脅かすような者をどうにかしたいと考えるのもいるだろう。
「無駄に働くなら、少しでも研鑽してより生み出せるようになればいいだけの話だとは思うんだけどね」
王子たちは王子たちで、実は無能の救済手段を取っていたりもするのである。
何かができなくとも、別の何かができればいい。適材適所というものをよく知っているので、そこへ連れていくことぐらいはできるのだ。
けれども、どうしてもその適材適所を見つけられないか、あったとしても働く気もないのか、救いようがないような輩が出てしまうのもあり、ちょっと頭の痛い問題でもあった。
「何にしても、あの父が絶対やらかすだろうからなぁ‥‥‥警備を増やしてもらう方が良いか」
「いざとなれば、母上方にも頼もうか」
正妃、側室などもおり、そっちに頼んで暴走を止めてもらう方が良いのかもしれない。
そう考えつつ、彼らなりに行動を移し始めるのであった。
「まぁ、僕が王になったら色々とうまく付き合っておきたいね」
「ああ、こちらの方が王になる気があるがな」
「「…‥‥」」
…‥‥王位継承権争いはあるとは言え、まだにらみ合いで済む程度である彼らは平和な方であろう。
世のなかには、血で血を洗うような血生臭い継承権争いも存在するのだから‥‥‥‥
「‥‥‥すぅ‥‥‥ぴぃ‥‥‥」
「…‥‥本日は、もういないようデス」
そうつぶやきつつ、そっと己の主を撫で、ノインはそうつぶやく。
彼女のひざ元には、膝枕状態で熟睡しているディーの姿があり、その眠りは平和そのもの。
「ふふふ、今日は私で良かったデス。重要な時がある前夜だからこそ、ご主人様にはしっかりと安眠を取ってもらわないといけないですからネ」
普段は冷静な彼女とは言え、こういう時は穏やかな笑顔であり、そうつぶやく。
ディーを起こさないように気を使いつつ、最適な角度を保ち続け、そっと眠りの質を向上させるのである。
くるくる回っていた彼女のアホ毛も、ようやく周辺の敵が失せたのかピタッと止まっている。
「ご主人様の安眠は、きちんと守ってますからネ」
そう言いながら、つい動いてしまう彼女の手は、そっとディーの顔を優しく撫で上げる。
メイドゴーレムゆえに、主へ尽くしてしまうのはそうなのだが、それ以外にも彼女はしっかりと心から尽くすようにしている。
彼女自身、召喚で呼ばれた身ではあるが、今はもうそんなことは関係ないだろう。
「‥‥‥でも、まだできることがあるのに、中々そうならないのは残念デス」
他の召喚獣たちもいるからこそできないこともあるし、今の年齢・肉体ではもうちょっとと言うべきなのかもしれないところで、それができないというのもある。
メイドだからこそ尽くすのもあるが、ゴーレムであるとは言え女でもあり、より一層捧げたくもなるのだ。
「まぁ、それをしたら当然他の方々も動きそうですし、今はまだその時ではないようデス」
その手の機能もあるとは言え、やってしまえば収拾がつかなさそうなのもあり、そっと心の中にその想いはしまっておく。
いつの日か、そう遠くない時にでも取り出せばいいだろうし、今はただ、彼女にとってのご主人様であるディーの快眠を守ればいいだろう。
「とはいえ、隙を作る事もしませんけどネ」
にゅーいんぐいっ!!
「‥‥‥‥おおぅ、接近がバレたでありんすか」
「流石にデータを取ってますので、油断をしなければ確実につかめマス」
いつの間にか忍び寄っていたリザの腕をつかみ、ツボを押されるまえにひねり上げるノイン。
「貴女の順番は、もうちょっと先デス。順番抜かしはダメですからネ」
「わかったでありんすよ」
そう言いながら、リザは扉を音もなくあけ、自室の方へ戻る。
「でも、わっちは新参者とはいえ、それでも狙えそうなときは狙わせてもらうでありんすよ」
「恩人というだけではない部分でも、執着心強いですネ」
「それも種族柄でありんすね。ダーリンが魅力あると言えるでありんすが‥‥‥今宵は退散でありんす」
扉が閉じたのを確認し、ディーの睡眠状態も確認し、まだ起きない状態なのを確かめる。
「ま、この程度で起きないご主人様もすごいデス」
ある意味一種の才能とも言えるだろう。
そう思いながらも、もう間もなく起床時間になりそうなので、そろそろ離れるべき時に、ふとノインはある事を思いついた。
「そう言えば、データ収集の一環で、こういうのもご主人様に喜ばれるかもしれないというのもありましたが…‥‥試してみるべきでしょうカ?」
…‥‥不審者掃除をしつつ、寮内の見回りをしている中で、偶然彼女はそれを見つけた。
一応、男子生徒が多くいるせいか、それとも彼女達のようなのがいるせいか、それはその場に巧妙に隠されており、暴き出しつつも相手の心情も考え、仮にディーへ何かをしでかそうものならばそれで社会的制裁を加えようと考えていた、とある書物の数々。
幸いというか、彼女自身はデータ上のものでそこまで詳しく思い出すことはないのだが、作成者には無いような部分もあり、それを利用できるような手段。
「‥‥‥まだちょっとありますし、やってみるべきでしょウ」
起きなければ問題なさそうだし、今はちょっとした好奇心というのもある。
「窒息しないように気を使って、きちんと後頭部の方へ乗せるためにも横に乗せて…‥‥」
ごそごそと音を立てないようにそっとメイド服の上部分を脱ぎ、体勢を整え、実行してみたが…‥‥思いのほか、しっくりと来た。
「ご主人様の睡眠質向上確認…‥‥とは言え、ちょっと高いですカネ。もうちょっと間に沈めこませて‥‥‥」
「んん‥‥‥」
「‥‥‥うん、今は無理ですネ。ちょっと浅くなってきたようですし、やめておきましょウ」
そうつぶやき、そっとディーの頭を枕へ戻し、そそくさとメイド服を着直して何事もなかったかのように取り繕う。
「ほんのちょっとだけ、もうちょっとこうしたい、より深くしたいのもありましたが‥‥‥まぁ、考えないでおきましょウ」
少しだけ頬を赤くしたが、すぐに元に戻すのであった‥‥‥‥
「ふわぁあ…‥‥良く寝たな」
「おはようございます、ご主人様。良い夢は見られましたカ?」
「見たと言えば見たような、見なかったような…‥‥夢って覚えてなかったりするからなぁ。ああ、でもなんかふわっと柔らかい何かに包まれたようで、気持ちよかったというのはあったかも?」
「そうですカ」
‥‥‥そして数回ほど、順番が来るたびに試行錯誤を重ねる中で、他の召喚獣たちが気が付き、同様の行為をしようと企んだのはまた後の話である。
「拙者はさらしを取ればいいだけでござるよ」
「わっちも同じく脱げばいいだけでありんすね」
数秒ほどですぐにできたが…‥‥擬音の桁が違っていた。
「‥‥‥似ているのが多いのに、脅威の格差を見たでござる‥‥‥」
「儂はそこは気にせぬがのぅ。大きければ、その分襲われる可能性も‥‥‥おおぅ、トラウマが‥‥」
ついでに一名、昔のトラウマを思い出してしまったのも、また別の話である‥‥‥‥
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