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113 攻めよりも守る方が大変である
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リザの酒などを作る能力を利用した、『すべてが酒に作戦』。
この作戦が成功すれば、あのサメムキムキマッチョ怪魚を水中から陸上の場へ移すか、あるいは酔っぱらわせて正常に動けなくすることができるはずである。
そう考えつつ、作戦を決行したのは良いのだが‥‥‥どうも相手の方は勘が鋭かったらしい。
【ジャァァァグ!!】
一直線に怪魚は咆哮をあげながら、体を浸して水を酒に変えている作業中のリザの元へ向かう。
「こちらへの考えを読んで、狙うつもりだろうが‥‥‥それはむしろ悪手だ!」
リザを狙うためには、周辺から泳いで狙う気なのだろうが、そうなると確実に彼女を狙うコースが特定しやすくなる。
水中を縦横無尽、適当に泳がれると照準を付けにくいが、彼女を狙うという方向性がはっきりするからこそ、こちらの狙う先を検討しやすい。
「セイ!!」
ノインが狙いを定めて、ナイフを投げると、水中へと飛びこまれ、一瞬赤い水がその場に吹き上がる。
「どうやら皮膚自体は、そこまで頑強でもないようデス。鋭利な刃物などであれば裂けるようデス」
「騎士学科の方で、水面ギリギリで待機!浮上してきそうであれば切り裂くように!!」
「ついでに魔法も試したのじゃが‥‥‥ふむ、狙いさえ当てれば、ちまちまっと小さいながらもダメージを与えられるようじゃな」
「魔法使い学科の方も魔法攻撃用意!ついでにタンクマン学科の者たちは防衛手段として自ら沈み込み、水中で抑え込むように!」
「「「いえっさぁぁぁぁ!!」」」
俺たちの戦いぶりを見て、王子たちの方も生徒会としての権限を活かし、生徒たちに支持をして各学科の強みを生かしながら怪魚への対応にあたらせる。
嬉々としてタンクマン学科の生徒たちが飛び込み、水中からの攻撃もある程度は防御可能なはずだ。
「カトレア、日照不足なら一旦ルビーに雨雲の上まで運んでもらえ!雲の上ならば流石に雨による妨害もないだろうし、今は夜だが時間が経過すれば朝日が昇って利用できるはずだ!」
「了解ですわ!」
「了解したのでござるよ!」
この雷雨の中、彼女達の場合は力を発揮しにくい。
ならば、その発揮できる場所からの遠距離攻撃ができれば問題は無いはずである。
「ついでにリリスはその大収納な箱で周囲の水を飲みこみまくれ!供給に追いつかないかもしれないが、それでも多少は水位が下がるはずだ!」
「グゲェ!」
全部を酒に変えても良いが、酒の中でも自由だと困るだろうし、一応水位も下げておきたい。
そう考えて命じると、了解というように返事して、リリスも水中へ飛び込んだ。
そして彼女の飛び込んだところに渦が出来上がり、周囲の水流はそこへ引き寄せられる。
【ジャァァァァァァァァグ!!】
思いのほか、その水流の勢いも強いようで、怪魚の方も流されかける。
そしてその分、こちらも進路を予想しやすくなり、怪魚狙いへの攻撃が直撃しやすくなった。
「魚雷はありませんが、ナイフで十分そうですネ」
風切り音を多く立て、どこから取り出したのか大量のナイフを投げ飛ばすノインの言葉に、俺も頷く。
あっちでは剣、あっちでは魔法、そっちではドM集団と、中々鉄壁の布陣。
水もリザのおかげでどんどん酒に変わって、相手の動きやすい水中自体が無くなっていく。
「‥‥‥あ、酒に変わるってことは、水中に沈んだタンクマンも酔っぱらうのでは?」
「それは大丈夫なようデス。守りだけならできますし、酒で酔っ払って普段時用に欲望を噴き出して守りを固めているようデス」
酒の勢いを借りた、内なる性癖の大暴露。それもある意味、タンクマンたちの強さともなり、相手の妨害を徹底的にやっているようである。
時折水面に赤い血が見えるが、これはあの怪魚の流すもののようだ。
「そもそも、あの怪魚自体が何なのかが気になるけど…‥‥死体に変えたら、ゆっくりと調査できるか?」
雷雨と水害と共に現れた、サメにマッスルな肉体が付いた怪魚。
あんなモンスターは聞いたこともないし、見たこともないし‥‥‥どう見ても何か道を間違えた成れの果てにしか見えない存在である。
とにもかくにも、全校生徒も協力して戦闘を続けて数時間程度。
夜もそろそろ開ける頃合いになったところで、ちょうど朝日が昇って来たのか上空のルビーとカトレアの攻撃が加わり始めた。
ズドォォォォォォン!!
【ジャァァァァァァァァァァァァァグ!?】
「お、カトレアの太陽光線に、ルビーの火炎がまとわりついて攻撃してきたな」
正確には、太陽の光を集め、光合成を一気に活性化させて生じたエネルギーをぶつける技らしいが‥‥‥上空からの極太光線の一撃は水中でも拡散されず、怪魚の体を焼いていく。
…‥‥そしていよいよ、周囲が全て酒に変化したのか、遂に怪魚が水中から飛び出してきた。
【ジャァァァァァァ!!】
空中を器用に三回転し、陸地になっていた場所へ華麗に着地する。
戦闘をしている相手でなければ、見事な身体能力だと感心しそうだが、相手はもう陸戦へ移る気らしい。
ぐっとこぶしを構え、むきぃっとさらに力み、筋肉が肥大化していく。
サメであった部分がその肉塊へ飲み込まれていき、最終的にできたのは、一体の筋肉の巨人であった。
【ジバァァァァァァグゥ!!】
「咆哮もくぐもった感じになったか…‥‥」
というか、見た目的にはさっきの怪魚形態よりも、今の筋肉玉の方がまだ違和感ない。
「何にしても、陸戦へ持ち込めたんだ!」
「いざ、全員一斉攻撃開始ぃぃ!!」
水上を魔法使い学科が氷の魔法で足場を作り上げ、その上を騎士学科や武闘家学科など、こういう時にこそお任せあれというような者たちが突き進み、取り囲んで攻撃していく。
タンクマン学科の者たちも浮上し、前線へ自ら盾になるために動き、こちらの攻勢が有利となった。
【ジバァァァァァァ!!】
ぶんぶんと、その強靭な筋肉だるまの肉体は、薙ぎ払ったりはすることができれども、鎧はその筋肉しかなく、剣やナイフなどの刃物で切り裂かれ、再生する能力を見せ付けたが魔法で追撃され、次第に押されていく。
相手が筋肉もりもりな怪魚であっても、人体構造に近いところがあるので、膝の裏だとか、爪の間だとか、的確に急所となり得る箇所を攻撃していく。
ノインたちも加わり、上空からはカトレアの光線が降り注いで焼かれていき、リザが酒変換作業を終えたので相手の筋肉を弛緩させるツボを押していき、防御を弱めていく。
戦えば戦うほどより不利な状況へ陥っていき、怪魚もとい筋肉だるまは再生すらもできなくなってきたのか出血をぬぐうことすらできず、だんだん弱っていく。
…‥‥が、最後になると、急に動きが変わった。
【ジバ、ジババ‥‥‥ジャアァァァァァァグ!!】
けたたましい咆哮をあげ、様子の変化に驚いた者たちは慌てて後方へ下がり、相手の出方を伺う。
すると、筋肉怪魚の筋肉が一気に肥大化したかと思えば‥‥‥
ポン、ぷっしゅううううううううううううう!!
「…‥‥なんだ?」
空気が抜けるような音と共に、膨れ上がっていた筋肉が見る見る間にしぼんでいき、あっという間にサメ部分が出てきたかと思えば、筋肉質な手足はその勢いのまましぼんで、遂にはあったのかどうかも分からない状態となり、その場にはただの巨大なサメが横たわっているようにしか見えない光景となった。
絶命でもして、一気に力を失ったのかと一同が思った…‥‥次の瞬間である。
ぶじゅううううううううううう!!
「今度はサメ部分が膨れ上がった!?」
筋肉がしぼんだのとは逆に、サメの部分が不気味な音と共に膨れ上がり始めた。
ブクブクと空気を吸い込む様子もないのに、体が異常なまで肥大化していき、血管のような物が浮き上がり始め、不気味な風船へと化していく。
「‥‥あ、不味いですネ」
「どうした、ノイン」
「センサーで確認できましたが、内部熱量の増加を確認。自爆する気のようデス」
「…なんだと!?」
どうもあの怪魚、最後に一発大博打とでもいうつもりなのか、自爆に踏み切ったらしい。
しかも、止めるために攻撃するのも不味いそうで、一突きでもすればあっという間にその瞬間に大爆発を起こすらしい。
「爆発の規模は!?」
「これはあの熱量からの計算ですが‥‥‥この様子ですと、半径500m、いえ、なにやら暴走に近いものもあるようですし…‥‥10㎞が巻き込まれる可能性が高いと思われマス」
かなりシャレにならない、とんでもなさすぎる大爆発。
いざとなればリリスの中に全員を入れて防ぎきるという手段もあるが‥‥‥
「ここは都市の中だぞ!!まだ住民が屋根の上とかにいるんだが!!」
「その人たちも、全員避難させようにも時間ないだろ!!」
今にも爆発しそうな怪魚の姿に、何もできない。
「リリスの中に、アレ入れられるか?」
「グゲェ…‥‥グゲ」
無理というように、首を振るリリス。
そもそも、水位を下げるために水を大量に入れているせいで容量も不安なところが多く、箱が本体でもあるのでその内部での爆発は危険らしい。
「となると、爆発させないように、地上だと被害も出るから、なんとか10㎞以上の上空で爆発させるのが一番の手か…?」
とはいえ、今この場にいる者たちの中で、それができる者はいないだろう。
ルビーは飛翔可能なのだが、彼女が犠牲になりそうだし、そもそも運ぶにしてももはや揺れ一つすら許さないような危険物に触れる事もできない。
「いや、できれば氷漬けにしてしまうのも手じゃとは思う。怪魚であろうが、アレは生き物の類ともいえるじゃろうし、生命活動を極端に抑えればいいとは思うのじゃが‥‥」
ゼネがそう提案するが、そんな大規模な氷魔法は彼女でもできないようで、魔法使い学科など氷が扱える生徒、教員でも無理らしい。
「上空へ運べないなら、氷漬けが良いかもしれないけど、それができるような奴はいないし、どうしたら…‥‥」
全員で考えこむも、もはや時間は無いだろう。
自分達だけで助かりたいなら、リリスの中へ逃げ込めばいいが、それだと都市の人々が巻き込まれて後味も悪くなるだろうし、救えない者がいるというのも嫌である。
どうにかするには…‥‥
「‥‥‥あ、そうだディー君。いい案を思いついた」
っと、悩んでいたところで、ふとグラディが思いついたかのように発言した。
「何かあるのか?」
「ディー君、確かに氷漬けの手段が一番有効なのかもしれないけど、アレを爆発前に瞬時にできる者なんて、この中にはいないだろう。できたとしても、それだけ非常識な氷を扱える者なのだろうが、そんなものは探しても少数ぐらいしかいないだろう」
「それは分かっているんだけど」
「だったら、そんな非常識な奴を君の召喚で呼び寄せて、どうにかしてもらうことができないのか?」
「…‥‥それだ!!」
ゼネやリリス、リザと言った面子が続いてちょっと抜けていたが、召喚魔法でこの状況を覆せるような召喚獣を呼びだせればいい。
だがしかし、そんな都合よく召喚できるわけでもないし、都合のいい存在扱いもしたくないし…‥‥いや、でも氷を扱えるのがいれば、冬の時期とかに雪に紛れるとかできそうだし、呼んでも損はないだろう。
「と言っても、新しい召喚獣を召喚できたところで、そう都合よくいくわけもないけど‥一か八かの賭けだ!!」
ノインたちにアイコンタクトで確認したが、全員反論は無い。
この状況を覆せるような、的確な召喚獣を呼びだせればいいが‥‥‥何にしても『異界の召喚士』である俺の職業に希望を託すしかない!!
「時間もないし、いつも以上に早口で召喚!!『来たれ、我がモノ、氷結の者よ』」
頭の中に浮かび上がる召喚のための詠唱文的には良いのだが‥‥どうなのか。
「『汝は常に、我が元へ、全てを凍てつかせ、氷獄の者でもある』」
「『我が命を受け、風と共に参れ、さすれば汝に名を与えん』」
「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はアナスタシア!!我が元へ来たまえ!!』」
詠唱を終えると同時に、顕現していた魔法陣が輝き、煙が発生する。
そして数秒後、煙が晴れると同時に、俺たちの元へ冷たい風が通り抜けてきた。
「…‥‥個体名、アナスタシア‥‥‥ここに参上‥‥‥くぅ。よろしくお願い‥‥‥いたします・・・・・召喚主様‥‥‥そしておやすみなさい‥‥‥すやぁ」
「…‥‥いや寝るなよ!?」
呼び出すと同時に、どこからともなく布団を取り出して寝始めた召喚獣アナスタシアに対して、俺はそうツッコミをいれる。
今まで召喚してきた中でも、速攻で眠りにつくとか予想外なんだが!!
「‥‥‥じゃあ、どうすれば早く眠れるのぅ?」
「あのでっかい風船モドキを瞬時に氷漬けとかにできればいいんだけど」
「了解‥‥‥むにゃぁ」
眠いのか目をこすりながらも、アナスタシアは布団から這い出て、その姿を現す。
眠そうに髪で片目が隠れつつもこすり、目の色や髪色は白く、着ているのは可愛らしい花柄のパジャマである。
‥‥‥この状況で言うのもなんだけど、なんか上だけしか着ていないというか、下のズボンとかないというか、色々と危ない少女。
「あれ、凍らせるよ‥‥‥『氷結地獄』」
むにゃむにゃと眠そうにしながらも、爆裂風船モドキと化した怪魚に手を向け、そうつぶやいた瞬間‥‥‥
カッキィィィィィン!!
「「「「「…‥‥!?」」」」」
瞬時に怪魚が巨大な氷塊に包まれ、肥大化が停止した。
「ついでに‥‥‥危なそうだし…‥えいっ」
眠気を我慢しながら、プルプルと指を動かすと、その氷塊は一瞬のうちに砕け散った。
爆発させることもなく、一気に氷結させ砕いたアナスタシア…‥‥
「‥あ、マイロード、一つ‥‥‥良い?」
「なんだ?」
布団へ戻ろうとした彼女は、ふと何かを思い出したのか一旦やめて、俺の方へ近寄って来た。
「眠いし、寒いし‥‥‥ちょっと一緒に入って」
「え?」
‥‥‥‥という間もなく、瞬時に足元が氷結し、動かせなくなった。
気が付くのに少し時間がかかり、その隙に素早くその細腕でどこにそんな力があるのか分からないほど俺をつかんで布団に引きずり込む。
「それじゃ、お休み‥‥‥暖かい‥‥‥」
「…‥‥ええええ?」
…‥‥ぴとっとくっつき、寝息を立てはじめたアナスタシアに、全員どうしたものかと分からない声を上げる。
気が付けば、いつの間にか豪雨も消え去っており、綺麗に太陽が上空で輝き始めていたのであった…‥‥
この作戦が成功すれば、あのサメムキムキマッチョ怪魚を水中から陸上の場へ移すか、あるいは酔っぱらわせて正常に動けなくすることができるはずである。
そう考えつつ、作戦を決行したのは良いのだが‥‥‥どうも相手の方は勘が鋭かったらしい。
【ジャァァァグ!!】
一直線に怪魚は咆哮をあげながら、体を浸して水を酒に変えている作業中のリザの元へ向かう。
「こちらへの考えを読んで、狙うつもりだろうが‥‥‥それはむしろ悪手だ!」
リザを狙うためには、周辺から泳いで狙う気なのだろうが、そうなると確実に彼女を狙うコースが特定しやすくなる。
水中を縦横無尽、適当に泳がれると照準を付けにくいが、彼女を狙うという方向性がはっきりするからこそ、こちらの狙う先を検討しやすい。
「セイ!!」
ノインが狙いを定めて、ナイフを投げると、水中へと飛びこまれ、一瞬赤い水がその場に吹き上がる。
「どうやら皮膚自体は、そこまで頑強でもないようデス。鋭利な刃物などであれば裂けるようデス」
「騎士学科の方で、水面ギリギリで待機!浮上してきそうであれば切り裂くように!!」
「ついでに魔法も試したのじゃが‥‥‥ふむ、狙いさえ当てれば、ちまちまっと小さいながらもダメージを与えられるようじゃな」
「魔法使い学科の方も魔法攻撃用意!ついでにタンクマン学科の者たちは防衛手段として自ら沈み込み、水中で抑え込むように!」
「「「いえっさぁぁぁぁ!!」」」
俺たちの戦いぶりを見て、王子たちの方も生徒会としての権限を活かし、生徒たちに支持をして各学科の強みを生かしながら怪魚への対応にあたらせる。
嬉々としてタンクマン学科の生徒たちが飛び込み、水中からの攻撃もある程度は防御可能なはずだ。
「カトレア、日照不足なら一旦ルビーに雨雲の上まで運んでもらえ!雲の上ならば流石に雨による妨害もないだろうし、今は夜だが時間が経過すれば朝日が昇って利用できるはずだ!」
「了解ですわ!」
「了解したのでござるよ!」
この雷雨の中、彼女達の場合は力を発揮しにくい。
ならば、その発揮できる場所からの遠距離攻撃ができれば問題は無いはずである。
「ついでにリリスはその大収納な箱で周囲の水を飲みこみまくれ!供給に追いつかないかもしれないが、それでも多少は水位が下がるはずだ!」
「グゲェ!」
全部を酒に変えても良いが、酒の中でも自由だと困るだろうし、一応水位も下げておきたい。
そう考えて命じると、了解というように返事して、リリスも水中へ飛び込んだ。
そして彼女の飛び込んだところに渦が出来上がり、周囲の水流はそこへ引き寄せられる。
【ジャァァァァァァァァグ!!】
思いのほか、その水流の勢いも強いようで、怪魚の方も流されかける。
そしてその分、こちらも進路を予想しやすくなり、怪魚狙いへの攻撃が直撃しやすくなった。
「魚雷はありませんが、ナイフで十分そうですネ」
風切り音を多く立て、どこから取り出したのか大量のナイフを投げ飛ばすノインの言葉に、俺も頷く。
あっちでは剣、あっちでは魔法、そっちではドM集団と、中々鉄壁の布陣。
水もリザのおかげでどんどん酒に変わって、相手の動きやすい水中自体が無くなっていく。
「‥‥‥あ、酒に変わるってことは、水中に沈んだタンクマンも酔っぱらうのでは?」
「それは大丈夫なようデス。守りだけならできますし、酒で酔っ払って普段時用に欲望を噴き出して守りを固めているようデス」
酒の勢いを借りた、内なる性癖の大暴露。それもある意味、タンクマンたちの強さともなり、相手の妨害を徹底的にやっているようである。
時折水面に赤い血が見えるが、これはあの怪魚の流すもののようだ。
「そもそも、あの怪魚自体が何なのかが気になるけど…‥‥死体に変えたら、ゆっくりと調査できるか?」
雷雨と水害と共に現れた、サメにマッスルな肉体が付いた怪魚。
あんなモンスターは聞いたこともないし、見たこともないし‥‥‥どう見ても何か道を間違えた成れの果てにしか見えない存在である。
とにもかくにも、全校生徒も協力して戦闘を続けて数時間程度。
夜もそろそろ開ける頃合いになったところで、ちょうど朝日が昇って来たのか上空のルビーとカトレアの攻撃が加わり始めた。
ズドォォォォォォン!!
【ジャァァァァァァァァァァァァァグ!?】
「お、カトレアの太陽光線に、ルビーの火炎がまとわりついて攻撃してきたな」
正確には、太陽の光を集め、光合成を一気に活性化させて生じたエネルギーをぶつける技らしいが‥‥‥上空からの極太光線の一撃は水中でも拡散されず、怪魚の体を焼いていく。
…‥‥そしていよいよ、周囲が全て酒に変化したのか、遂に怪魚が水中から飛び出してきた。
【ジャァァァァァァ!!】
空中を器用に三回転し、陸地になっていた場所へ華麗に着地する。
戦闘をしている相手でなければ、見事な身体能力だと感心しそうだが、相手はもう陸戦へ移る気らしい。
ぐっとこぶしを構え、むきぃっとさらに力み、筋肉が肥大化していく。
サメであった部分がその肉塊へ飲み込まれていき、最終的にできたのは、一体の筋肉の巨人であった。
【ジバァァァァァァグゥ!!】
「咆哮もくぐもった感じになったか…‥‥」
というか、見た目的にはさっきの怪魚形態よりも、今の筋肉玉の方がまだ違和感ない。
「何にしても、陸戦へ持ち込めたんだ!」
「いざ、全員一斉攻撃開始ぃぃ!!」
水上を魔法使い学科が氷の魔法で足場を作り上げ、その上を騎士学科や武闘家学科など、こういう時にこそお任せあれというような者たちが突き進み、取り囲んで攻撃していく。
タンクマン学科の者たちも浮上し、前線へ自ら盾になるために動き、こちらの攻勢が有利となった。
【ジバァァァァァァ!!】
ぶんぶんと、その強靭な筋肉だるまの肉体は、薙ぎ払ったりはすることができれども、鎧はその筋肉しかなく、剣やナイフなどの刃物で切り裂かれ、再生する能力を見せ付けたが魔法で追撃され、次第に押されていく。
相手が筋肉もりもりな怪魚であっても、人体構造に近いところがあるので、膝の裏だとか、爪の間だとか、的確に急所となり得る箇所を攻撃していく。
ノインたちも加わり、上空からはカトレアの光線が降り注いで焼かれていき、リザが酒変換作業を終えたので相手の筋肉を弛緩させるツボを押していき、防御を弱めていく。
戦えば戦うほどより不利な状況へ陥っていき、怪魚もとい筋肉だるまは再生すらもできなくなってきたのか出血をぬぐうことすらできず、だんだん弱っていく。
…‥‥が、最後になると、急に動きが変わった。
【ジバ、ジババ‥‥‥ジャアァァァァァァグ!!】
けたたましい咆哮をあげ、様子の変化に驚いた者たちは慌てて後方へ下がり、相手の出方を伺う。
すると、筋肉怪魚の筋肉が一気に肥大化したかと思えば‥‥‥
ポン、ぷっしゅううううううううううううう!!
「…‥‥なんだ?」
空気が抜けるような音と共に、膨れ上がっていた筋肉が見る見る間にしぼんでいき、あっという間にサメ部分が出てきたかと思えば、筋肉質な手足はその勢いのまましぼんで、遂にはあったのかどうかも分からない状態となり、その場にはただの巨大なサメが横たわっているようにしか見えない光景となった。
絶命でもして、一気に力を失ったのかと一同が思った…‥‥次の瞬間である。
ぶじゅううううううううううう!!
「今度はサメ部分が膨れ上がった!?」
筋肉がしぼんだのとは逆に、サメの部分が不気味な音と共に膨れ上がり始めた。
ブクブクと空気を吸い込む様子もないのに、体が異常なまで肥大化していき、血管のような物が浮き上がり始め、不気味な風船へと化していく。
「‥‥あ、不味いですネ」
「どうした、ノイン」
「センサーで確認できましたが、内部熱量の増加を確認。自爆する気のようデス」
「…なんだと!?」
どうもあの怪魚、最後に一発大博打とでもいうつもりなのか、自爆に踏み切ったらしい。
しかも、止めるために攻撃するのも不味いそうで、一突きでもすればあっという間にその瞬間に大爆発を起こすらしい。
「爆発の規模は!?」
「これはあの熱量からの計算ですが‥‥‥この様子ですと、半径500m、いえ、なにやら暴走に近いものもあるようですし…‥‥10㎞が巻き込まれる可能性が高いと思われマス」
かなりシャレにならない、とんでもなさすぎる大爆発。
いざとなればリリスの中に全員を入れて防ぎきるという手段もあるが‥‥‥
「ここは都市の中だぞ!!まだ住民が屋根の上とかにいるんだが!!」
「その人たちも、全員避難させようにも時間ないだろ!!」
今にも爆発しそうな怪魚の姿に、何もできない。
「リリスの中に、アレ入れられるか?」
「グゲェ…‥‥グゲ」
無理というように、首を振るリリス。
そもそも、水位を下げるために水を大量に入れているせいで容量も不安なところが多く、箱が本体でもあるのでその内部での爆発は危険らしい。
「となると、爆発させないように、地上だと被害も出るから、なんとか10㎞以上の上空で爆発させるのが一番の手か…?」
とはいえ、今この場にいる者たちの中で、それができる者はいないだろう。
ルビーは飛翔可能なのだが、彼女が犠牲になりそうだし、そもそも運ぶにしてももはや揺れ一つすら許さないような危険物に触れる事もできない。
「いや、できれば氷漬けにしてしまうのも手じゃとは思う。怪魚であろうが、アレは生き物の類ともいえるじゃろうし、生命活動を極端に抑えればいいとは思うのじゃが‥‥」
ゼネがそう提案するが、そんな大規模な氷魔法は彼女でもできないようで、魔法使い学科など氷が扱える生徒、教員でも無理らしい。
「上空へ運べないなら、氷漬けが良いかもしれないけど、それができるような奴はいないし、どうしたら…‥‥」
全員で考えこむも、もはや時間は無いだろう。
自分達だけで助かりたいなら、リリスの中へ逃げ込めばいいが、それだと都市の人々が巻き込まれて後味も悪くなるだろうし、救えない者がいるというのも嫌である。
どうにかするには…‥‥
「‥‥‥あ、そうだディー君。いい案を思いついた」
っと、悩んでいたところで、ふとグラディが思いついたかのように発言した。
「何かあるのか?」
「ディー君、確かに氷漬けの手段が一番有効なのかもしれないけど、アレを爆発前に瞬時にできる者なんて、この中にはいないだろう。できたとしても、それだけ非常識な氷を扱える者なのだろうが、そんなものは探しても少数ぐらいしかいないだろう」
「それは分かっているんだけど」
「だったら、そんな非常識な奴を君の召喚で呼び寄せて、どうにかしてもらうことができないのか?」
「…‥‥それだ!!」
ゼネやリリス、リザと言った面子が続いてちょっと抜けていたが、召喚魔法でこの状況を覆せるような召喚獣を呼びだせればいい。
だがしかし、そんな都合よく召喚できるわけでもないし、都合のいい存在扱いもしたくないし…‥‥いや、でも氷を扱えるのがいれば、冬の時期とかに雪に紛れるとかできそうだし、呼んでも損はないだろう。
「と言っても、新しい召喚獣を召喚できたところで、そう都合よくいくわけもないけど‥一か八かの賭けだ!!」
ノインたちにアイコンタクトで確認したが、全員反論は無い。
この状況を覆せるような、的確な召喚獣を呼びだせればいいが‥‥‥何にしても『異界の召喚士』である俺の職業に希望を託すしかない!!
「時間もないし、いつも以上に早口で召喚!!『来たれ、我がモノ、氷結の者よ』」
頭の中に浮かび上がる召喚のための詠唱文的には良いのだが‥‥どうなのか。
「『汝は常に、我が元へ、全てを凍てつかせ、氷獄の者でもある』」
「『我が命を受け、風と共に参れ、さすれば汝に名を与えん』」
「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はアナスタシア!!我が元へ来たまえ!!』」
詠唱を終えると同時に、顕現していた魔法陣が輝き、煙が発生する。
そして数秒後、煙が晴れると同時に、俺たちの元へ冷たい風が通り抜けてきた。
「…‥‥個体名、アナスタシア‥‥‥ここに参上‥‥‥くぅ。よろしくお願い‥‥‥いたします・・・・・召喚主様‥‥‥そしておやすみなさい‥‥‥すやぁ」
「…‥‥いや寝るなよ!?」
呼び出すと同時に、どこからともなく布団を取り出して寝始めた召喚獣アナスタシアに対して、俺はそうツッコミをいれる。
今まで召喚してきた中でも、速攻で眠りにつくとか予想外なんだが!!
「‥‥‥じゃあ、どうすれば早く眠れるのぅ?」
「あのでっかい風船モドキを瞬時に氷漬けとかにできればいいんだけど」
「了解‥‥‥むにゃぁ」
眠いのか目をこすりながらも、アナスタシアは布団から這い出て、その姿を現す。
眠そうに髪で片目が隠れつつもこすり、目の色や髪色は白く、着ているのは可愛らしい花柄のパジャマである。
‥‥‥この状況で言うのもなんだけど、なんか上だけしか着ていないというか、下のズボンとかないというか、色々と危ない少女。
「あれ、凍らせるよ‥‥‥『氷結地獄』」
むにゃむにゃと眠そうにしながらも、爆裂風船モドキと化した怪魚に手を向け、そうつぶやいた瞬間‥‥‥
カッキィィィィィン!!
「「「「「…‥‥!?」」」」」
瞬時に怪魚が巨大な氷塊に包まれ、肥大化が停止した。
「ついでに‥‥‥危なそうだし…‥えいっ」
眠気を我慢しながら、プルプルと指を動かすと、その氷塊は一瞬のうちに砕け散った。
爆発させることもなく、一気に氷結させ砕いたアナスタシア…‥‥
「‥あ、マイロード、一つ‥‥‥良い?」
「なんだ?」
布団へ戻ろうとした彼女は、ふと何かを思い出したのか一旦やめて、俺の方へ近寄って来た。
「眠いし、寒いし‥‥‥ちょっと一緒に入って」
「え?」
‥‥‥‥という間もなく、瞬時に足元が氷結し、動かせなくなった。
気が付くのに少し時間がかかり、その隙に素早くその細腕でどこにそんな力があるのか分からないほど俺をつかんで布団に引きずり込む。
「それじゃ、お休み‥‥‥暖かい‥‥‥」
「…‥‥ええええ?」
…‥‥ぴとっとくっつき、寝息を立てはじめたアナスタシアに、全員どうしたものかと分からない声を上げる。
気が付けば、いつの間にか豪雨も消え去っており、綺麗に太陽が上空で輝き始めていたのであった…‥‥
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