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中編2
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(……あれ?)
ずいぶん長く眠ったようであったが、クラリスが目を開けると、そこは知らない場所になっていた。
ギロチンは確かに落ちてきて、自身は亡き者にされたはずだが…‥‥これはどういうことだろうか?
暖かそうなベッドに彼女は寝かされており、窓があったので外を見てみれば、霧深いけれどもうっそうとした森が生い茂っていた。
「…‥‥ああ、ここが死後の世界なのかしら?」
首を傾げ、クラリスはそうつぶやく。
「いや、死んでいませんよ?」
「え?」
ふと、声が聞こえたので振り返ってみれば、そこには一人の少女がいた。
クラリスと同レベルか…‥‥もしくはそれ以上のレベルの金髪の美少女がそこにおり、手には何やら着替えのような物を持っていた。
気が付けば、自身が素っ裸であったことを認識したクラリスは、慌ててその着替えを受け取って、着替え始めるのであった。
「‥‥‥えっと、その、貴女は誰かしら?それにここは一体?」
着替え終わり、少々落ち着いてからクラリスは目の前の美少女に声をかけた。
「私?私の名前はミーナ、この家の持ち主で魔女なのよ。で、ここは帰らずの森の中にある私の家よ!」
「‥‥‥『帰らずの森』!?」
名前とか魔女とかは別として、『帰らずの森』という言葉にクラリスは驚いた。
『帰らずの森』、それは絶対に人がちょっかいをかけてはいけない場所であり、この世界の国々の暗黙の了解の元、絶対不可侵とされている特殊な森なのだ。
その理由としては、この森にはとんでもない魔女と悪魔が住んでおり、彼等の不興を買えば国そのものが滅びるといわれているからである。
近年はその存在が疑わしく、国内ではそろそろ開発させてもらったほうが良いのではないかと言われていたが‥‥‥ここがその帰らずの森の内部とは思えなかった。
というか、目の前の少女が魔女と言ったが、つまりこの銛にいるという魔女なのであろうか?
「‥‥‥全然、国を滅ぼすような子には見えないわね」
ぼそりと、思わずクラリスはそうつぶやいた。
「ん?私『は』国を滅ぼさないよ?」
「あ、そうなの‥‥‥んん?」
「は」ということは、それ以外が滅ぼすことを含んでいるようにクラリスは思えた。
となれば、この森にいるとされる、魔女とセットの悪魔の方だろうか。
というか、そもそも何故ギロチンでやられたはずなのに、自身がここにいるのかクラリスは気になった。
「えっと、なんでわたくしがここにいるわけ?確かにあの時、ギロチンを喰らったはずなのだけれども…‥」
「ああ、そのこと?あのギロチンが偽物で、用意した偽の死体を彼等が喜んでいたうちに、兄さまが貴方をここへ運んだだけなのよ」
「…‥‥偽物のギロチン?」
話によれば、どうもあのギロチンは、最初から誰も切れないようなまがい物だったらしい。
予め用意されていた代物なのだが、あの屑たちにはまったく気がつかれていなかったようで、クラリスの首が切れそうになった瞬間、目にもとまらぬ速さで、この少女が兄さまと呼ぶ存在によって偽物の死体と入れ替えられ、切れたように見せかけて屑共が歓喜しているうちに、素早くこの家へ運んで来たそうなのだ。
「え?でもわたくしを助けたのはどういうことなの?」
この目の前にいる少女は初対面だし、先ほど出てきた兄さまとやらも見たことが無い。
それなのに、見ず知らずの他人のはずのクラリスを助ける意味はあったのだろうか?
「んー、これはちょっと面倒というか、兄さまがこの間やらかしたこともあったんだけど‥‥‥まぁ、ある人の依頼を受けて、私たちは貴女を助けたのよ」
「依頼によって?」
「ええ、貴女が処刑されるらしいと聞いた人がいて、自分がその立場ではすぐには動けないから、とりあえず動けそうな私たちに白羽の矢が立って、助けるように動いたのよ。兄さまは面倒くさそうにぶつぶつと言っていたけど、優しいからなんにしても明らかすぎる冤罪の貴女を助けたと思うわ」
クラリスの質問に、にこやかに目の前の少女‥‥‥魔女ニーナはそう答えた。
「一応、貴女の家族の公爵家には無事を伝えているわ。あと、その依頼してきた人がようやく動けるようになって、今は兄さまと一緒に公爵家の屋敷にて話し合っているはずよ」
「そうなの……?」
そこまで聞き、クラリスは家族に自分の無事が伝わってよかったと心から安堵した。
と、その時であった。
チリ~~~~ン チリ~~~~~~ン ヘニョォォォォオン
「あ、玄関の扉の音だわ。兄さまたちが帰って来たようね」
「いやちょっと待って、最後の音が明らかにおかしくなかった?」
鈴の音のような音がなって、ミーナが気が付いたように部屋から出て言った。
……どう考えても3回目の音がおかしいが、気にしたら負けなのだろうか。
とにもかくにも、今はその命の恩人らしいミーナの兄さまとやらと、クラリスを助けるように依頼した相手が誰なのか、彼女は気になったのであった。
ずいぶん長く眠ったようであったが、クラリスが目を開けると、そこは知らない場所になっていた。
ギロチンは確かに落ちてきて、自身は亡き者にされたはずだが…‥‥これはどういうことだろうか?
暖かそうなベッドに彼女は寝かされており、窓があったので外を見てみれば、霧深いけれどもうっそうとした森が生い茂っていた。
「…‥‥ああ、ここが死後の世界なのかしら?」
首を傾げ、クラリスはそうつぶやく。
「いや、死んでいませんよ?」
「え?」
ふと、声が聞こえたので振り返ってみれば、そこには一人の少女がいた。
クラリスと同レベルか…‥‥もしくはそれ以上のレベルの金髪の美少女がそこにおり、手には何やら着替えのような物を持っていた。
気が付けば、自身が素っ裸であったことを認識したクラリスは、慌ててその着替えを受け取って、着替え始めるのであった。
「‥‥‥えっと、その、貴女は誰かしら?それにここは一体?」
着替え終わり、少々落ち着いてからクラリスは目の前の美少女に声をかけた。
「私?私の名前はミーナ、この家の持ち主で魔女なのよ。で、ここは帰らずの森の中にある私の家よ!」
「‥‥‥『帰らずの森』!?」
名前とか魔女とかは別として、『帰らずの森』という言葉にクラリスは驚いた。
『帰らずの森』、それは絶対に人がちょっかいをかけてはいけない場所であり、この世界の国々の暗黙の了解の元、絶対不可侵とされている特殊な森なのだ。
その理由としては、この森にはとんでもない魔女と悪魔が住んでおり、彼等の不興を買えば国そのものが滅びるといわれているからである。
近年はその存在が疑わしく、国内ではそろそろ開発させてもらったほうが良いのではないかと言われていたが‥‥‥ここがその帰らずの森の内部とは思えなかった。
というか、目の前の少女が魔女と言ったが、つまりこの銛にいるという魔女なのであろうか?
「‥‥‥全然、国を滅ぼすような子には見えないわね」
ぼそりと、思わずクラリスはそうつぶやいた。
「ん?私『は』国を滅ぼさないよ?」
「あ、そうなの‥‥‥んん?」
「は」ということは、それ以外が滅ぼすことを含んでいるようにクラリスは思えた。
となれば、この森にいるとされる、魔女とセットの悪魔の方だろうか。
というか、そもそも何故ギロチンでやられたはずなのに、自身がここにいるのかクラリスは気になった。
「えっと、なんでわたくしがここにいるわけ?確かにあの時、ギロチンを喰らったはずなのだけれども…‥」
「ああ、そのこと?あのギロチンが偽物で、用意した偽の死体を彼等が喜んでいたうちに、兄さまが貴方をここへ運んだだけなのよ」
「…‥‥偽物のギロチン?」
話によれば、どうもあのギロチンは、最初から誰も切れないようなまがい物だったらしい。
予め用意されていた代物なのだが、あの屑たちにはまったく気がつかれていなかったようで、クラリスの首が切れそうになった瞬間、目にもとまらぬ速さで、この少女が兄さまと呼ぶ存在によって偽物の死体と入れ替えられ、切れたように見せかけて屑共が歓喜しているうちに、素早くこの家へ運んで来たそうなのだ。
「え?でもわたくしを助けたのはどういうことなの?」
この目の前にいる少女は初対面だし、先ほど出てきた兄さまとやらも見たことが無い。
それなのに、見ず知らずの他人のはずのクラリスを助ける意味はあったのだろうか?
「んー、これはちょっと面倒というか、兄さまがこの間やらかしたこともあったんだけど‥‥‥まぁ、ある人の依頼を受けて、私たちは貴女を助けたのよ」
「依頼によって?」
「ええ、貴女が処刑されるらしいと聞いた人がいて、自分がその立場ではすぐには動けないから、とりあえず動けそうな私たちに白羽の矢が立って、助けるように動いたのよ。兄さまは面倒くさそうにぶつぶつと言っていたけど、優しいからなんにしても明らかすぎる冤罪の貴女を助けたと思うわ」
クラリスの質問に、にこやかに目の前の少女‥‥‥魔女ニーナはそう答えた。
「一応、貴女の家族の公爵家には無事を伝えているわ。あと、その依頼してきた人がようやく動けるようになって、今は兄さまと一緒に公爵家の屋敷にて話し合っているはずよ」
「そうなの……?」
そこまで聞き、クラリスは家族に自分の無事が伝わってよかったと心から安堵した。
と、その時であった。
チリ~~~~ン チリ~~~~~~ン ヘニョォォォォオン
「あ、玄関の扉の音だわ。兄さまたちが帰って来たようね」
「いやちょっと待って、最後の音が明らかにおかしくなかった?」
鈴の音のような音がなって、ミーナが気が付いたように部屋から出て言った。
……どう考えても3回目の音がおかしいが、気にしたら負けなのだろうか。
とにもかくにも、今はその命の恩人らしいミーナの兄さまとやらと、クラリスを助けるように依頼した相手が誰なのか、彼女は気になったのであった。
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