私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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4章 そして悪意の嵐は、吹き始める

4-2 休暇明けの、学園内

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 夏季休暇も終え、各地に帰省していた生徒たちが帰還し、学園内はいつもの日常の騒がしさが戻って来た。
 各々が異なる日々を過ごしつつも、ここで再び同じ場所で学び、そして魔剣士として成長していくのだが、その異なる日々でやっていたことが休み明けに反映されやすいのだ。

「それで全員頑張って特訓していたのだが…‥」
「何故、ここまで相手の方が強くなって‥‥‥」
「いつ勝てる、分からぬけれど、諦めぬ‥‥‥‥いや、これはこれで快感が‥‥‥」

「…‥‥おかしな人がいたような気がするのですが、気のせいでしょうカ?」
「気のせいだと思った方が、良い事かもしれないぞ」

 休み明けの実力テストという事で、座学のテストも待ち受けていたのだが乗り越え、戦闘面でのテストとしての模擬戦が行われたのだが、ゼナの一人勝ちな状況ができがあっていた。
 これはこれで休み前の光景とも言えるので、いつもの日常が帰って来たような気がしなくもないのだけれども前以上に全滅までの早さが更新されてないだろうか?

 夏季休暇中、鍛練のための模擬戦相手になってもらっていたのだが‥‥‥そのせいで強化されてしまった可能性が非常に大きい。

「いえ、私自身の強さはちょっと停止中デス。拡張作業中ですがまだまだですので、ほんの少し技術を増やしただけなのですヨ」
「そうなのか?」
「ハイ。そもそもパワーは今ご主人様の方が上なので、受け流しや反射などの技術を磨いただけなのデス」

 ゼナ曰く、彼女のメイドとしての今の戦闘力は夏季休暇前の海での戦闘の一件で伸びた時以来、伸び悩んでいるらしい。
 俺の竜化の影響で強化されていたようだが、悪影響というべきか成長するバランスがおかしくなっていたようで、うまい事成長できなくなっているのだとか。いや、そもそも魔剣の成長の伸びしろと考えると何なのか気になるが‥‥‥深い沼に入りそうなので、聞くのはやめておこう。




 とにもかくにもそんな光景を経つつも、夏季休暇明けからは学園内で受ける授業内容に変化があるらしい。

「基礎的な部分から、実践面への授業へシフトか‥‥‥」
「おお、魔獣討伐に、本格的に出られるのか!」
「あ、でも毎日出るわけでもないし、どこに出るのかも分からないなら、すぐにでも向かえるわけではないのか‥‥‥」

 全員治療されて復活したところで、学園の方から今後の方針が書かれた紙が配布されて全員目を通す。
 内容を見れば、休暇前は魔剣の扱い方の基礎を叩きこんでいた授業がメインだったが、今の生徒たちの伸び方を見ると早めたほうが良いと判断されたらしく、学園長がそう発案して職員会議で可決されて授業の予定を早めてくれるようだ。

 あのロックンロールなというか、歳の割に元気過ぎる学園長がそんなことを言うとは…‥‥ただ騒がしいだけの爺さんじゃなかったということに驚きを隠せない。

「でも、研究部の方から魔獣が出ない日には、魔獣の代用品が出るという知らせもあるのか」
「あの、ぞなぞな言っているちょっと目が怖い人ですか…‥‥嫌な予感しかしないデス」

 生徒会研究部と言えば、入学初日からゼナへ視線を向けていたあの人とかが思い浮かぶ。

 あの研究部、生徒会の中でも変人ぞろいが多いようで、表面に出ている人物だけでも実はまだまともな類であるという噂もあり、闇が深そうだ。
 流石のゼナでも魔剣として何か思うところがあるのか関わり合いたくないところのようで、ちょっと嫌そうな顔になっていた。‥‥‥彼女にそんな顔をさせるとは、結構恐ろしい所なのかもしれない。



 そうこうしているうちに、どうやらその代用品とやらをさっそく見せてくれる時が来たようだ。
 なんでも、代用品が何なのか気になる生徒たちが出るのは予想されていたようで、ならば先に見せた方が後の不安もないだろうという事のようだが‥‥‥‥


「ははははは!!よく来てくれたぞなねぇ新入生、いや、既に魔剣に対して大分親しみ、慣れた1年生たちよ!!諸君らの不安払拭、魔獣代用品への信頼構築のために、直ぐにでもどのようなものなのか確認してもらうために、やって来たぞなぁぁ!!」
「さぁ、先輩の説明を聞いてほしいのです!!」

 学園の広い模擬戦場へ集められ、中央に立っているのは研究部部長のフォンティーヌと、その助手で俺たちの先輩でもある2年のマリアンヌという助手。

 そしてその横には何やら大きな檻が設置されていたのだが…‥‥見たところ、中には何もなかった。


「研究部長、何も入っていないように見えるのですが」
「当たり前ぞな。なぜならまだ、入れていないぞな。これから実演して見てもらうために、安全を考えて持ってきただけぞな」

 そう言いながら研究部長が何やら懐を探って取り出したのは、プルンとした球体の物体。

 中身に赤い目玉のようなものが入っているが、それが魔獣の代用品と言うのだろうか?


「ふふふ、これぞ魔獣相手ができない日のために、代々の研究部長に語り継がれているという『インスタント魔獣スライム』という道具ぞな!!どの様な魔獣を相手にしたいのかこちらの粉末で選ぶぞなが…‥‥とりあえずここは、一番お手軽な土の魔獣のもとにするぞな」

 取り出したスライムに謎の粉をかけ、スライムを檻の中に入れた。
 
 檻の中に入れたところで変化はないのだが、研究部長が手を叩くとマリアンヌがすぐに懐から魔剣を取り出した。

「さぁ、頼むぞなマリアンヌ。超熱々の熱湯を出せる魔剣『ホットスプ』で、奴にかけるぞな」
「はい!」

 返答し、魔剣を振りかぶった瞬間、熱々の熱湯が魔剣から放出され、檻の中にいたスライムにかけた。・


「あとは三秒経てば‥‥‥」
ボウン!!
【オッケェェラァァァ!!】

「「「!?」」」

 お湯がかかって三秒が経過した瞬間、スライムが音を立てて爆発した一瞬で、スライムの身体が変化してモグラのような魔獣の姿に変貌した。

「インスタント土魔獣『ミニオケラマン』の完成ぞな!!」

 まさかまさかの人工的な魔獣の出現に、俺たちは驚愕するのであった‥‥‥‥


「あ、でもこれインスタントで本当の魔獣とはちょっと違うぞな。乾燥したら即スライムに戻るという欠点があるので、火の魔獣にした瞬間に戻るのが欠点ぞなねぇ」
「それだと、乾燥させやすい熱を発する魔剣の類を持つ人たちでは相手にしにくいのでは?」
「安心するぞな。他の魔獣にできないという欠点を得た代わりに、火に耐性を持った魔獣にするスライムも用意しているのぞなぁ!!」

「‥‥‥魔獣って、こんな楽につくれて良いものだっけ?」
「あー‥‥‥魔剣だから分かる身で言わせてもらうのですが、モドキと言って良い類ですネ。中身までは再現できてないようですが、それでもここまでやる技術力は正直言って驚きデス」
「知りたいなら、ぜひともその魔剣を研究させてほしい!!」
「いえ、結構デス」

…‥‥即答であった。そしてゼナ、いつもなら前に立ったりするのに、さりげなく俺の後ろに隠れているのはどういうことだよ。彼女がちょっと恐れている時点で、この研究部長ただ者じゃないよなぁ‥‥‥
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