私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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6章 悪意と善意、トラブルメーカーと苦労人

6-1 忘れがちに、なることも

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‥‥‥夏季休暇も終わり、暑き日々は次第に寒い風が吹き始めて飛んでいく。

 生徒たちがそれぞれの家に帰っていた学園にも人が戻り、休みの間にも欠かさなかった鍛練の結果を見せ、地道に魔剣士としての実力を伸ばしていくのだ。

 まぁ、そんな努力があったとしても、先は長いなと思わせることは当たり前にあった。

「久しぶりに、魔剣士の生徒たち全員対戦しましたが、実力は向上してますネ。モードを切り替えることはありませんでしたが、それでもヒヤッとした部分はありましたヨ」
「と言っておきながら、全員ぶちのめしきるのはどうなのだろうか」
「そしてご丁寧に、積み重ねるのはきついのだが」
「しかも余裕があるのか縛っているのか、順番に足だ手だ鼻だ目だ腹だと攻撃して無力化し切るのはどうやっているのか」
「あと…主の俺も一緒に、どさくさに紛れて一番最初に無力化されるのはどうなのか」
「「「一番ヤバいドラゴンだから、最初に潰すのは仕方がない事では?」」」
「全員仲が良いですネ」

 ダーインスレイヴ学園の生徒たち、魔剣を持つ全員でゼナ相手に模擬戦の授業で全力で挑んだが、本日は見事に全員完敗となってしまった。

 この休暇の間に自己改造だとか魔剣鍛冶師だとか、色々とやっていたようでゼナの実力は相当跳ね上がっていたようで、数の暴力も楽々と覆されてしまうようだ。

 というか、純粋に個人の力でも負けるんだが‥俺の次に、フィリアも火炎竜の姿で轟沈していたりする。ドラゴンの尻尾、掴んでぶん回して投げ飛ばすってどういう力業だよ。

「そもそも、魔獣の命を奪うために魔剣が必要だけど、その魔剣自身が自立稼働する上に実力が吹っ飛び過ぎている時点で、魔剣士としての俺の存在意義はあるのだろうか…」
「フィー、遠い目になってますわね‥」
「黄昏なくても大丈夫ですよ、ご主人様。魔剣は主がいなければ成り立たないので、私だけで全ての魔獣を屠るのは無理なのデス」
「‥‥‥本当に?」
「‥‥‥‥‥‥ハイ」

 今、ものすっごく間が空いたような気がするのだが、こっちに目を向けて返事してくれないだろうか。





 とにもかくにも全員良い様にフルボッコにされたとはいえ、それでもまだまだ魔剣士として成長途上。

 学生の身ゆえに学ぶことも多く、より経験を積む必要性があるだろう。

 だからこそ、この時期から帝国の学園では魔獣討伐の実践が増強されるようである。


「でも、残念ながらその実践教育の時期に、留学終わって王国へ戻るんだよなぁ」
「あ、そう言えばフィーは留学生の身分でしたわね」

 結構長いこと留学していたような気分で忘れがちになっていたが、俺、立場上はあくまでも交換留学生の身で、帝国の生徒ではない。

 半年と少しほど留学期間が定めれており、あとひと月ほどで帰国することが決定しているのだ。

 まぁ、夏季休暇中は思いっきり帰郷というか帰国の形になっていたが‥‥‥それはそれ、これはこれというやつであろう。

 何にしても、もう少しでドルマリア王国のデュランダル学園へ戻ることになっており、惜しい気もするがここで学べたことは王国では得ることができない経験だったので、十分価値があるだろう。

「そもそも、帝国でも普通はないような事件ばかりでしたわよね?植物大発生とか、山崩壊とか」
「それもそうだった」

 価値がある云々の前に、ありえないようなことが多かったが‥‥それでも、帰国までもう少しとなる。

 ここでの学びもしっかり最後まで吸収しつつ、王国の方に戻っても活かし切ろうと思うのであった‥‥‥



「‥‥‥そう言えば、王国の方の学園が今、どうなっているのかも気になるんだよな」
「そうですの?」
「だって俺、一応生徒会の財務部のほうについているからな。留学という限られた期間とは言え、そんな部分が抜けていてよかったのかと思うところもあるんだよなぁ」
「問題ないデス。ご主人様不在の間、不正が無いようにきちんと学園の方で動かれていたようですし、その不安も考えて私が先に手を回しておいたので、何事もないでしょウ」
「へぇ、そうか‥‥具体的には何をしたんだ?」
「普通に監視と会計などの計算の代役を頼んだことぐらいですネ。姉たちにではなく、ちゃんと信頼のおけるところへ頼んだので問題ないのデス」

 あ、なんかそれはそれで安心したかもな。ゼナの姉妹ってフンフさんの時点で無茶苦茶な感じもするし、兄弟姉妹って似るというから他の姉とかだと余計にやらかしていそうだったけど、違う人なら安心かもしれないな‥‥‥
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