私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~

志位斗 茂家波

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6章 悪意と善意、トラブルメーカーと苦労人

6-2 片付けはきちんと、やりきりたかった

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‥‥‥留学が終われば当然、王国に戻るためにきちんと身の整理をしなければいけなくなる。

 そう、寮の自室もしっかり片付けて荷物を王国の方の自室に届けつつ、きれいさっぱりとしなければいけないのだが…‥‥

「えっと、ガルビディス液はこっちの安全薬品の方に、ギタリアン酸は危険物だからこちらの方に…ちょっと、量が多いデスネ」
「それだけのものをここに保管した人が何を言うのやら」
「というか、学園の寮に危険物の持ち込みはやめてほしいですわね」

 当然、ゼナの部屋の方も綺麗に片付ける必要があったのだが、如何せん色々とあり過ぎた。

 どうやら結構な量の材料や試作品を保管していたようで、撤去作業に追われているのだが少々手が足りない様子。

 こういう事が専門な姉もいるそうだが、流石に自分でやったことは自分で片付けろという事でにべもなく断られており、一人で片付ける羽目になったようである。

 しかしどこから、これだけの量の薬品やその他の素材を集めてきたのやら。基本的な資金源は賞金首の捕縛だが、それでも量がそこそこあるようだ

「そこはきちんと、考えて使いましたからネ。安くなっている時とか、まとめてお得などあるのデス。危険物系に関しても取り扱いは本来不味いですガ、メイドたるものしっかりと扱うだけの技能もありますし‥‥‥一応、法律に触れないようにと思いまして取扱いに関する帝国・王国、その他国々の必要な免許などは既に取得済みなのデス」
「いつのまにやったんだよ」


 というか、きちんと許可をもらってもいたようで、ちゃんと扱って良いようにしていたらしい。

 律儀なようにも思えるのだが、これもしかして取得のための勉強ついでに更に色々と学んでいたのではなかろうか‥‥‥勤勉というべきか、それとも目的のためならば手段を択ばずに出来るだけ得られるものを増やすためにやっているのか。

 そのあたりを突っ込むのはやめておこう。他に何を持っているのか想像するのが怖い所もある。

「まぁ、ご主人様の安全を考えるならば、まずは人間の安全の範疇を理解するべきですからネ。許可を取るために学ぶ中にあるので、物凄くためになりましたヨ」
「何だろう、ためになるといっているけど、ろくでもないことのほうに使うための知識を蓄えられた気がする」
「さらっとやばいものをどんどん積み重ねている気がしますわね」

 学べば学ぶほど、より凶悪なものを作りかねない。

 でもきちんと、ある程度の人道的な倫理には沿っているんだよなぁ‥‥‥これで倫理観も何も無かったら、それこそとんでも兵器とかやらかしかねないし、学んで安全性などを確保してくれるようにしているのはまだ良い方なのだろう。



 そう思いつつも、いくつも箱詰めにしてきちんと片付け、だいぶスッキリしてきたようではある。

「あとは、壁や床、天井に張り巡らせた配線などを取り除けば完了ですネ」
「本当に何をやっているんだよ、ゼナ」
「セキュリティ性を高めるためにやっただけデス」

 なお、安全対策として侵入者撃退用のトラップも仕掛けているようで、そちらの解除もしなければいけないようである。

 トラップの中身としては、万が一誤作動しても命の保証はするために、多少は控えめなものを使っているそうだ。

「スーパーコショウ爆弾、唐辛子粉塵発射装置、メカノミ、爆発毛玉変化薬噴射装置、ただのスタンガン、脱毛薬Mark3‥‥‥色々とありましたが、結局そこまで使用することはなかったですネ」
「あら?そこまで、ってことは作動したことがありますの?」
「はい、数回ほど探ろうと侵入を試みた人がいる記録がありますネ。大抵、学園に入る前に張り巡らせているトラップの方にかかっているので、ここまで来ることが出来たのはほんの一握りしかないようですが、それでも全部撃退成功してマス」
「安全性が確保されているのは良いけど、その試みた奴らの末路も気になるな‥」

 まぁ、ゼナの部屋だけを狙って来たとは考えられないけどね。学園には他の貴族家の子女などもいるだろうし、そもそも破神布みたいな組織だっているんだ。

 色々と怪しい目的、良からぬ企み等々をもって入り込もうとする輩はいるだろうと想像できるが‥‥‥そいつらにとって、今までゼナがここに滞在していたことが運の尽きだろう。


「そう考えると、ペルシャの方に仕掛けて俺たちを一気に別の場所へやることに成功した組織が、唯一の成功例みたいなものなのだろうか‥‥‥」
「あれはもう二度と起こさせないですけれどネ。私達がいなくなっても、大丈夫なように仕掛けていマス」
「というと?」
「少々、学園周辺の空間干渉を行いまして、転移などはできないようにしておきまシタ」

 本当に何をやっているのだろうか、このメイド。

 息をするように自然ととんでもない事をしでかしているような気がしなくもないが‥‥‥うん、まぁ、学園の安全が保障されるのであれば気にしないほうが吉か。

「あ、フィー、諦めた目になりましたわね」
「いや、ルルシアも同じ目になっているだろ」
「ふふふ、わたくしも同じ気分でしたわね」

 そろって苦笑いを浮かべるが、ゼナのやらかしたことを考えるとお互いにツッコミを放棄してしまうのも無理はないだろう。

 ああ、彼女に対抗できるだけのツッコミ力はもはや、誰も持っていないのだろうか。

 いや、仮に持っていたとしてもさらに上回ることをされる可能性は既にあり‥‥‥最強のツッコミ人が現れる日は、物凄く遠そうであった‥‥‥


「なぁ、ゼナ。一つ聞いて良いかな?」
「何でしょうカ?」
「お前の血縁者に、ツッコミ専門の人っていないの?」
「‥‥‥居ましたガ、絶縁状態になっているらしいですネ。連絡も取れないですし、今頃どこで何をしているのか、わかっていないのデス」

‥‥‥いたのか、そんな専門の人。そして絶縁って、何をしたらそうなったのだろうか。いや、考えるのは容易いけどやめておこう。

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