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組織との決着で章

225話

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 …‥‥先日のバハーム王国での騒動後、ルースは色々と動いた。

 過去のフェイカーの拠点を洗い出し、そこに残されている物や、その他資料などがないか探したのである。

 あの王国で戦った怪物は、過去のフェイカーが何らかのために残したもの。

 ならば、その他にも同様のものが眠っている可能性があり、それらが起動し、被害を及ぼす可能性があったからである。


 グレイモ王国の政府にも報告し、その他フェイカー撲滅を掲げるところにも情報を提供し、くまなく探してみた結果…‥‥



「…‥‥想像以上に残っていたなぁ…‥‥これでいくつ目だ?」
「大体4個目ですわね‥‥‥‥ルース君、疲れているようだけど大丈夫かしら?」
「まぁ、大丈夫かな」

 目の前にあった、休眠状態らしいフェイカーの生物兵器を、問答無用で消し飛ばした後、ルースのつぶやきにエルゼもつぶやき返した。


 将来的に安心安全平穏に暮らしたいルースではあるのだが…‥‥こうも残っていては、絶対に将来的に面倒ごとになるのを理解し、自ら出て潰しまくったのだが…‥‥正直言って、かなりの数が報告された。

 湖の中、廃墟に隠されていた地下室の中、誰もいかないような洞窟の中など、面倒な場所にも存在していた。


 もうちょっと、過去のフェイカ―壊滅に携わったところに、丁寧な調査をしてほしかったが‥‥‥まぁ、技術的というか、探索能力的な問題があったのだろう。

 いや、単なる無能が指揮していた可能性も否定できないが…‥‥まぁ、なんにせよ一つ一つ潰していけるから、まだ良しとしよう。


 ただ、問題としては、こうも移動を繰り返すと、ルース自身に疲労がたまる。

 タキ、ヴィーラに乗っての移動も可能だが、肉体的負担は避けられない。

 自力で飛行して移動することも可能だが、それはそれで体力を使うのである。


「はぁ…‥‥ちょっとゆっくりしたいなぁ」

 季節はまだ春で、初夏は近いけれどもまだ暖かい陽気。

 学園で受ける授業としては、もう大半が終わりに近づいているから暇もあるのだが…‥‥そうゆっくりできるようなことがあるだろうか?

 

 フェイカーを殲滅するまでは安心できないのだが、それでもゆっくりと休みたい気分にルースはなった。



「…‥‥あ、そうだわ」

 と、ルースの疲れた表情を見て、ふと何かを思いついたのかエルゼがポンと手を打った。

「ルース君、今度の休日にどこかへ息抜きしに行かないかしら?」
「え?」
「ここ最近、フェイカーを潰すことに躍起になって、あたしたちとの触れ合いも少ないし…‥‥たまには何もかも忘れて、遊んでも良いでしょう?」

 エルゼのその提案に、ルースは少し考え…‥‥受け入れる事にした。

「そうだな、そうしようか。‥‥‥でも、息抜きしにって、どこにだ?」
「そうね‥‥‥‥ここはひとつ、あの人に聞いてみようかしら?」
「あの人?」










「…‥‥ほぅ、体を休めるのに絶好のスポットかな?まぁ、私は昔からこもりがちでそう言うのには疎いのだが…‥‥それでも、自信をもって勧められる場所があるな」
「本当ですか?」
「ああ、間違いないな」


 都市メルドラン、住宅街にあるエルモア先生の家にて、ルースたちはエルモア先生に訪ねに来ていた。

 タキの古くからの友人でもあり、何かと知識が豊富な先生であれば、都合のいい場所を知っているかもしれないというエルゼの案であったが、思いのほか当たっていたようだ。


「そうだな‥‥‥さしあたり、エルバディア温泉かな。ここからかなりの距離がある秘境だった温泉だが‥‥‥季節外れなような気もするが、体を休めるにはいい場所のはずだな」
「そんな温泉があるのですか」
「ああ、間違いないな。現在では宿場町としても栄え、それなりに賑わっているので秘境とは言えなくなってきたらしいが…‥‥それでも、湯治などには最適だそうだな」
【ふむ、そう言えば昔行ったことがあるのぅ……】

 と、ここでこの家に居候しているタキが話しに入って来た。

【確か、あの時は住みかが別で、その場所争いで傷ついた体を癒すために訪れたのぅ。中々いい湯じゃったが‥‥‥そう言えば、つい最近、我と同じ国滅ぼしのモンスターが1体、住み着いたという話もあったのぅ】

 しみじみとそうつぶやいたタキであったが…‥‥今何か、明かにやばいものが混じっていたことにルースたちは気が付いた。


「タキ、国滅ぼしのモンスターが住み着いたって、大丈夫なのか?」
【大丈夫じゃよ。あやつは体も小さく、人に紛れて過ごすのが好きな輩じゃったからのぅ…‥‥気性は少々荒く、喧嘩・祭り好きの阿保を極めたものでもあったが、危害を加えてくることはないはずじゃ】

 後半が悪口だったような気がするが‥‥‥‥まぁ良いか。



「それじゃ、今度の休日にその温泉とやらを目指してみようかな…‥‥タキは移動のために一緒に来てもらうのは確定として、エルゼも来るよね?」
「ええ、絶対に行くわよ。予定もキャンセルできるし、どこにでもついていけるわ!‥‥‥‥めったにない、ルース君の残り湯を確保できそうだしね」
「今何か言ったか?」
「いいえ何も何も何も何もないわよ」

 ぶんぶんと首を横に振りまくるエルゼはさておき、フェイカーの事ばかり対処するのにはさすがに疲れた。

 こういう時は、とりあえずとことん休んで、ゆっくりしてみようかとルースは思うのであった。




‥‥‥‥これが、嵐の前の静けさともいえる平穏であったのだが…‥‥そのことにルースが気が付くのは、まだ先であった‥‥‥‥
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