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夏も過ぎ去り、最後の学園生活で章
269話
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……長い長い夏休みも終わり、グリモワール学園に生徒たちは戻ってきていた。
ルースたちも同様に寮へ帰還し、始業式を迎えた。
「ふぅ、ようやく最後の学期・・・・・いよいよ学園卒業まで短くなってきた感覚を得たなぁ」
「ええ、長かったようで、案外短くも思えたわよね」
「何にしても、無事に皆集まっているのも良いな」
学園の食堂にて、始業式後の授業内容などの打ち合わせのためにいないバルション学園長や、ミュル、王城にいるルルリアとアルミアを除けば、いつものメンバーで集まっていた。
「にしても、夏休み間は召喚をしないでといって、いなくなったタキたちとはまだ音信不通なんだよなぁ‥」
魔導書を顕現させ、召喚魔法を使用してみたいが、まだ連絡の取れていない状況ではしづらい事にもどかしさを覚えながら、ルースはそうつぶやく。
タキとヴィーラ……モフモフ要員ともいえる彼女達が呼べないので、ちょっとばかりモフ不足なのである。
マロはペットのようにコロコロと転がっており、何時でも触れるから完全な不足にはならないが、それでもやはり違う毛質を持つ彼女達を触りたくもなる。
「あの女狐たちがいないのは平和だと思うわよ」
エルゼはそう言いながらも、ルースの事を想ってか、そこまできつい感情はない。
「というか、それだと必然的にエルモア先生もいないからね。あの液体人間はまだ眠らせているんだろう?」
「ああ、まだ元に戻すめどもないし、一応持ってきてはいるけれど保管して寝かせている状態かな」
レリアの言葉にうなずきつつ、ルースはそう返答する。
「ぬ?なんだ、その液体人間って?」
「あ、そっか。スアーンはいなかったんだったか」
夏休み中に、ルースたちとは別行動‥‥‥と言うよりも、何やら別世界へ迷い込み、命がけの旅をしてきたらしいスアーンにはまだ話していないことに、皆気が付いた。
……液体人間は、元々ルースが貰う予定の地にあった廃村に保管されていた、哀れなフェイカーの犠牲者である。
意思疎通も可能であるが、未だに元に戻すすべがなく、それまでは眠ってもらっているのだ。
「とは言え、どうすればいいのかもわからないし、そういう知恵がありそうなエルモア先生に知識を拝借したいんだよ」
「なるほどなぁ‥‥‥こっちが死にかけている間にも、そっちも色々あったんだな」
―――――ン?
説明を聞き、納得しているスアーン。
っと、ここでふとバトがスアーンの背後を見て首を傾げた。
―――――ネェ、ソレ、何?
「ん?」
バトの指さした方向を皆で見れば、スアーンの後方に何やらぽつんと小さな穴が開いていた。
「なんだこれ?」
そっとスアーンがその穴の内部をのぞき込もうとした、次の瞬間。
じゅるうううううううう!!
「ひっぎゃぁぁぁぁあぁ!?」
突然、穴から何か長いホースのようなものが飛び出したかと思うと、スアーンに吸い付き一瞬で飲み込んだ。
ルースたちがあっけに取られている間にもそのホースは引っ込み、穴は速攻で消え失せたのであった‥‥‥
「‥‥‥な、何が起きた?」
「下僕が‥‥‥飲み込まれた?」
「手早過ぎて、何もできなかったな‥‥‥」
―――――麺ヲ啜ルヨリモ早カッタネ。
あまりにも早いスアーンの消失に、ルースたちは驚愕を隠せない。
……何が起きたのか、理解できる者はいない。
ただ一つ言える事とすれば、新学期早々にスアーンは退場させられたという事ぐらいであろうか‥‥
「そう言えば、スアーンって卒業できるっけ?」
「点数的には、出席日数さえあればかろうじて・・・・・らしいわよ」
「いや、これ、絶望なのでは?」
まだ帰還しないタキたちに、突然吸い込まれて退場したスアーン。
残り短くなった学園生活早々に、何やら面倒ごとが発生したようであった…‥‥
ルースたちも同様に寮へ帰還し、始業式を迎えた。
「ふぅ、ようやく最後の学期・・・・・いよいよ学園卒業まで短くなってきた感覚を得たなぁ」
「ええ、長かったようで、案外短くも思えたわよね」
「何にしても、無事に皆集まっているのも良いな」
学園の食堂にて、始業式後の授業内容などの打ち合わせのためにいないバルション学園長や、ミュル、王城にいるルルリアとアルミアを除けば、いつものメンバーで集まっていた。
「にしても、夏休み間は召喚をしないでといって、いなくなったタキたちとはまだ音信不通なんだよなぁ‥」
魔導書を顕現させ、召喚魔法を使用してみたいが、まだ連絡の取れていない状況ではしづらい事にもどかしさを覚えながら、ルースはそうつぶやく。
タキとヴィーラ……モフモフ要員ともいえる彼女達が呼べないので、ちょっとばかりモフ不足なのである。
マロはペットのようにコロコロと転がっており、何時でも触れるから完全な不足にはならないが、それでもやはり違う毛質を持つ彼女達を触りたくもなる。
「あの女狐たちがいないのは平和だと思うわよ」
エルゼはそう言いながらも、ルースの事を想ってか、そこまできつい感情はない。
「というか、それだと必然的にエルモア先生もいないからね。あの液体人間はまだ眠らせているんだろう?」
「ああ、まだ元に戻すめどもないし、一応持ってきてはいるけれど保管して寝かせている状態かな」
レリアの言葉にうなずきつつ、ルースはそう返答する。
「ぬ?なんだ、その液体人間って?」
「あ、そっか。スアーンはいなかったんだったか」
夏休み中に、ルースたちとは別行動‥‥‥と言うよりも、何やら別世界へ迷い込み、命がけの旅をしてきたらしいスアーンにはまだ話していないことに、皆気が付いた。
……液体人間は、元々ルースが貰う予定の地にあった廃村に保管されていた、哀れなフェイカーの犠牲者である。
意思疎通も可能であるが、未だに元に戻すすべがなく、それまでは眠ってもらっているのだ。
「とは言え、どうすればいいのかもわからないし、そういう知恵がありそうなエルモア先生に知識を拝借したいんだよ」
「なるほどなぁ‥‥‥こっちが死にかけている間にも、そっちも色々あったんだな」
―――――ン?
説明を聞き、納得しているスアーン。
っと、ここでふとバトがスアーンの背後を見て首を傾げた。
―――――ネェ、ソレ、何?
「ん?」
バトの指さした方向を皆で見れば、スアーンの後方に何やらぽつんと小さな穴が開いていた。
「なんだこれ?」
そっとスアーンがその穴の内部をのぞき込もうとした、次の瞬間。
じゅるうううううううう!!
「ひっぎゃぁぁぁぁあぁ!?」
突然、穴から何か長いホースのようなものが飛び出したかと思うと、スアーンに吸い付き一瞬で飲み込んだ。
ルースたちがあっけに取られている間にもそのホースは引っ込み、穴は速攻で消え失せたのであった‥‥‥
「‥‥‥な、何が起きた?」
「下僕が‥‥‥飲み込まれた?」
「手早過ぎて、何もできなかったな‥‥‥」
―――――麺ヲ啜ルヨリモ早カッタネ。
あまりにも早いスアーンの消失に、ルースたちは驚愕を隠せない。
……何が起きたのか、理解できる者はいない。
ただ一つ言える事とすれば、新学期早々にスアーンは退場させられたという事ぐらいであろうか‥‥
「そう言えば、スアーンって卒業できるっけ?」
「点数的には、出席日数さえあればかろうじて・・・・・らしいわよ」
「いや、これ、絶望なのでは?」
まだ帰還しないタキたちに、突然吸い込まれて退場したスアーン。
残り短くなった学園生活早々に、何やら面倒ごとが発生したようであった…‥‥
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