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学園1年目
71話
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【‥‥‥勘弁してください】
「‥‥‥」
ルースの前では今、土下座をしているタキと、にこやかな笑みを浮かべつつその目の中は全く笑っていないエルゼの姿があった。
数分前、本日はタキと食堂で昼食を食べた翌日なのだが、どうやらエルゼはすぐに帰ってきたようである。
そして、人型の状態でルースと接触したことをすぐさまかぎつけ、その瞬間周囲の気温が一気に下がったような気がした。
その場にいた生徒たちは勘でその場から逃げていったが…‥‥
「ルース君、ちょっと彼女を召喚してくれないかしら?」
「えっと、なんで?」
「あの女狐に、少しだけお話があるからよ]
エルゼに笑顔で頼まれたが、明らかに副音声とでもいうべき部分におかしな言葉があったような気がした。
だがしかし、逆らうのは命の危機に関わるとルースは判断。ついでにレリアは 「あ、ちょっと用事を思い出したなぁ~~~~」っと、物凄く目を背けて逃げようとした。
だがしかし、一人で死地へ向かいたくないルースは逃亡を許さず、素早く光・木・氷の複合魔法で拘束し、道連れ決定。
「・・・・死なばもろともという言葉があるんだよな」
「せめて逃がしてくれぇぇぇ!!」
ぎゅううううっと腕をつかんで懇願してきたが……その時に柔らかい物を感じた。
すると、エルゼがものすごい冷酷な眼で見てきて、ルースとレリアは互に逃れられないと悟った。
放課後、学園長の訓練がいつもならあるのだが、どうやら今日は特別にない様子。
その為、この時間にタキを召喚し、そして召喚されて何か察したのかタキは逃げようとしたが、素早くエルゼが氷魔法で拘束し身動き取れないようにした。
拘束を解くために、サイズが小さい人型に化け、再び逃走をタキは図ろうとしたが、エルゼにがっしりつかまれていた。
・・・・・・仮にも国を滅ぼしたことがあるモンスターだから簡単に逃げられそうなものなのだが、どうやらエルゼのじわじわと浸透してくる威圧のせいで本来の能力を発揮できないようだ。
それだけの実力があるのならば、以前あったディゾルブゴーレムのときに発揮してほしいものなのだが、生憎ルースに関しての時限定のようだ。
そして、タキはもう逃げられないと悟ったのか、その場に素早く土下座し、今に至るのであった。
――――――コ、怖イヨ。
その様子を見て、ルースのポケットから覗き見していたバトがそうつぶやき、奥に引っ込んで震えた。
うん、あれは確かに怖い。
言いようのない恐怖というべきか、なんというかあの状態のエルゼにがありとあらゆる生き物は勝利を得ることが無いように思えるよ。
ふと、横にいたレリアを見ると、彼女はなにやら無我の境地に入って精神的に逃げた様子。
・・・・・さすが戦姫。現実逃避のための手段も兼ね備えているとは。
レリアに倣い、ルースも一旦意識をどこかへ飛ばし、この状況から逃れ・・・・いや、止めた。
「考えてみれば、送還で逃げるなあいつ・・・・」
召喚主が気絶してしまえば、召喚されたモンスターは送還される。
つまり、この状況をつくりだした原因が逃亡することになり、恐怖の味わい損・・・・・・いや、それはだめだ。
しっかり元凶にも味わってもらわなければいけないとルースは思い、気を失わないようにしてあえて見守ることにしたのであった。
「さぁて、何でわざわざ貴女が食堂でルース君といたのかな?んん?あたしがいない時になんでかなー?」
【ひいいいいいい!!】
にこやかに、でもその声は冷ややかにエルゼから尋ねられ、思わず背筋が凍りつきそうなほど寒くなるタキ。
助けを求めるように召喚主であるルースを見てみれば、見ているのは分かるのだが、明らかに距離を取られているのが分かる。
せめて召還を解除してさえくれればいいのだが……生贄として投げ出されていることをタキは悟って絶望した。
【い、いやその・・・・・たまにはいいかなと思っただけじゃよ!!しょ、食堂の飯に興味もああったし、されども我が入るには、いささかあの姿では大きすぎるゆえに、この人型をとっただけじゃ!!】
だらだらと冷や汗を流しつつ、何とか弁明するタキ。
・・・・・まぁ、本当はこの理由とは違う物があるのだが。
召喚主であるルースに、何かこう変な輩が付くような気配がしたので、その輩が付かないようにと思っての好意で食堂まで一緒にいたのである。
とはいえ、「好意」といった時点で何かを終えさせられると感じたタキはそう答えざるを得ないのであった。
「ふーん、でもそれってあたしが一緒の時でもいいわね?・・・・・、まぁ少なくともレリアと二人っきりなんて状況は避けているから良いのかもしれないけど‥‥」
(お?)
エルゼのその言葉に、タキは希望の光を見つけた。
絶望のさなかに輝く小さな光。
エルゼとしてはレリアに対してどうもルースに対する感情が女のものであると感じており、二人きりにはさせたくはなかった。
バトがいるが、あれは体が小さいのでまだいいと判断しているのだが、出来るだけルースが女の子と二人っきりになる状況を避けたいのである。
その為、冷静にエルゼが考えると、タキがいたほうが二人きりという状況は避けられていたのではないだろうかと思えたのだ。
(お、お、お?)
もしかしたらこの状況から助かるかもしれない。
その希望の光を見て、タキは尻尾を震わせたのだが…‥‥現実とは甘くないものである。
いや、口は禍の下というのが原因というべきか。
【そ、そうなのじゃよ!!2人きりにはさせておらぬし、何かと一緒に喋れて楽しかったのじゃ!】
・・・・・・余計な一言というか、「一緒に」「楽しかった」というワードがアウトだった。
ガシッツ!!
【‥‥‥へ?】
気が付けば、何やら巨大な水の腕が出現し、タキを握っていた。
「・・・・・ふ~ん、あたし抜きで一緒に喋れて楽しかったのね。ええ。楽しかったのね?」
エルゼのハイライトが消えた目で睨みつけられ、タキは己の失言に気が付く。
いつの間にこの魔法を発動させたのかはわからないが、とりあえず・・・・・やっちまったとしか言えなかった。
「さてと、そんな女狐には尻尾の毛を全部抜いてあげて、これからの季節に活用できるマフラーにしてあげるわね」
にこりと微笑みながら言うエルゼ。
その言葉に優しさというものは無く、人はここまで無慈悲になれるのかとタキは学ぶ。
【い、嫌じゃあぁぁ!!我の尻尾の毛を抜かれるのは嫌じゃぁぁぁあ!!】
暴れて抜け出そうとしたが、どうやらしっかりと力がいれにくい姿勢に体が固定されてしまったようで、逃げようがない。
そうこうしている間に、もう一つの水の腕が出来上がり、タキの尻尾に手をかける。
「それじゃ、景気よくいくわね☆」
ぶっちぃぃぃぃ!!
【ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】
・・・・・冬が深まり始めた寒空の中、一匹のモンスターの悲鳴が響き渡るのであった。
「・・・・・お?帰って来たな‥‥って」
送還され、戻ってきたタキを見てエルモアは目を丸くする。
そこには、9本あった尻尾のうち2本が丸裸にされ、1本半ほど毛が抜かれたタキがいたのであった。
【・・・・・まさか本当に我の毛を抜くとは。あの小娘、絶対にいつか仕返しをしてやるのじゃぁぁ!!】
涙目でそう決意宣言をするタキ。
毛を逆立て、どれだけ怒っているのかは理解できるのだが‥‥‥
「・・・・・はて?お前は国を滅ぼせるほどのモンスターだったよな。普通に正面から力技で挑めば勝てるのではないかな?」
首を傾げ、そう疑問を口にするエルモア。喉が渇いたので水を飲みつつ、腰かけて話を聞いてあげる体勢へと入った。
【いや、お主は分かっておらぬのじゃ!!あの悪魔のような、いやそれすらも凌駕するような小娘には力技でごり押ししても仕返しにはならぬ!!精神的巨大なダメージを与えてやらねばいけないのじゃよ!!】
力で勝つのは確かに簡単だろう。
でも、それでは気が晴れないのだとタキは力説した。
【・・・・・そうじゃ!!あの小娘は召喚主殿を好いておったな。ならば、目の前で召喚主殿の唇を、いや、むしろ童貞をいただけば十分すぎる仕返しになるのじゃよ!!】
ぶーーーーーーっつ!!
「ごほっつ、ぐふっつ・・・・ちょっと、お前、本気で言っているのかな?」
タキのその叫びに、思わず飲んでいた水を吹き出して、むせ返るエルモア。
【うむ!!そうすれば召喚主殿の初めてをとれなかったあの小娘には心の傷がすごく深くつくであろう!!】
「・・・・・その前に命を終えそうだけどな」
自信満々に言うタキに、呆れた声でそう言ってやるエルモア。
どう考えても、そんなことをすればむしろ命を失うよりも悲惨な目に遭うのではないのだろうかと心配したくもなった。
「そもそも、お前にとっても初めてとなるのではなかったかな?」
【そ、それは‥‥‥】
エルモアの問いかけに、タキは顔を赤くして小さくなる。
ちょっと冷静になって考え、自身の発言に羞恥を感じたようである。
【ぬぅ・・・・じゃがしかし、そうでもしなければあの小娘の心に傷など・・・・】
「はいはい、復讐は何も生まないからやめておくのが良いかな」
小さくなるタキに対して、エルモアは面倒くさくなって適当に声をかける。
とはいえ、このままでは終わりそうにはないなとエルモアは思い、仮にも友人であるタキに対して同情する気持ちはあった。
そこでふと、思いついた。
「・・・・・だったら、召喚主殿とやらを背中に乗せて適当に走り回ってみるのはどうかな?景色の変わりようを楽しみ合い、同乗者を無くせばそれで十分じゃないかな?」
【それじゃ!!】
エルモアのその案に、目を輝かせて受諾したタキ。
・・・・・・とはいえ、後々絶対に今日あったような目にまた合うだろうとエルモアは思ったが、これはこれで面白そうなのであえて口にはしないのであった。
「‥‥‥」
ルースの前では今、土下座をしているタキと、にこやかな笑みを浮かべつつその目の中は全く笑っていないエルゼの姿があった。
数分前、本日はタキと食堂で昼食を食べた翌日なのだが、どうやらエルゼはすぐに帰ってきたようである。
そして、人型の状態でルースと接触したことをすぐさまかぎつけ、その瞬間周囲の気温が一気に下がったような気がした。
その場にいた生徒たちは勘でその場から逃げていったが…‥‥
「ルース君、ちょっと彼女を召喚してくれないかしら?」
「えっと、なんで?」
「あの女狐に、少しだけお話があるからよ]
エルゼに笑顔で頼まれたが、明らかに副音声とでもいうべき部分におかしな言葉があったような気がした。
だがしかし、逆らうのは命の危機に関わるとルースは判断。ついでにレリアは 「あ、ちょっと用事を思い出したなぁ~~~~」っと、物凄く目を背けて逃げようとした。
だがしかし、一人で死地へ向かいたくないルースは逃亡を許さず、素早く光・木・氷の複合魔法で拘束し、道連れ決定。
「・・・・死なばもろともという言葉があるんだよな」
「せめて逃がしてくれぇぇぇ!!」
ぎゅううううっと腕をつかんで懇願してきたが……その時に柔らかい物を感じた。
すると、エルゼがものすごい冷酷な眼で見てきて、ルースとレリアは互に逃れられないと悟った。
放課後、学園長の訓練がいつもならあるのだが、どうやら今日は特別にない様子。
その為、この時間にタキを召喚し、そして召喚されて何か察したのかタキは逃げようとしたが、素早くエルゼが氷魔法で拘束し身動き取れないようにした。
拘束を解くために、サイズが小さい人型に化け、再び逃走をタキは図ろうとしたが、エルゼにがっしりつかまれていた。
・・・・・・仮にも国を滅ぼしたことがあるモンスターだから簡単に逃げられそうなものなのだが、どうやらエルゼのじわじわと浸透してくる威圧のせいで本来の能力を発揮できないようだ。
それだけの実力があるのならば、以前あったディゾルブゴーレムのときに発揮してほしいものなのだが、生憎ルースに関しての時限定のようだ。
そして、タキはもう逃げられないと悟ったのか、その場に素早く土下座し、今に至るのであった。
――――――コ、怖イヨ。
その様子を見て、ルースのポケットから覗き見していたバトがそうつぶやき、奥に引っ込んで震えた。
うん、あれは確かに怖い。
言いようのない恐怖というべきか、なんというかあの状態のエルゼにがありとあらゆる生き物は勝利を得ることが無いように思えるよ。
ふと、横にいたレリアを見ると、彼女はなにやら無我の境地に入って精神的に逃げた様子。
・・・・・さすが戦姫。現実逃避のための手段も兼ね備えているとは。
レリアに倣い、ルースも一旦意識をどこかへ飛ばし、この状況から逃れ・・・・いや、止めた。
「考えてみれば、送還で逃げるなあいつ・・・・」
召喚主が気絶してしまえば、召喚されたモンスターは送還される。
つまり、この状況をつくりだした原因が逃亡することになり、恐怖の味わい損・・・・・・いや、それはだめだ。
しっかり元凶にも味わってもらわなければいけないとルースは思い、気を失わないようにしてあえて見守ることにしたのであった。
「さぁて、何でわざわざ貴女が食堂でルース君といたのかな?んん?あたしがいない時になんでかなー?」
【ひいいいいいい!!】
にこやかに、でもその声は冷ややかにエルゼから尋ねられ、思わず背筋が凍りつきそうなほど寒くなるタキ。
助けを求めるように召喚主であるルースを見てみれば、見ているのは分かるのだが、明らかに距離を取られているのが分かる。
せめて召還を解除してさえくれればいいのだが……生贄として投げ出されていることをタキは悟って絶望した。
【い、いやその・・・・・たまにはいいかなと思っただけじゃよ!!しょ、食堂の飯に興味もああったし、されども我が入るには、いささかあの姿では大きすぎるゆえに、この人型をとっただけじゃ!!】
だらだらと冷や汗を流しつつ、何とか弁明するタキ。
・・・・・まぁ、本当はこの理由とは違う物があるのだが。
召喚主であるルースに、何かこう変な輩が付くような気配がしたので、その輩が付かないようにと思っての好意で食堂まで一緒にいたのである。
とはいえ、「好意」といった時点で何かを終えさせられると感じたタキはそう答えざるを得ないのであった。
「ふーん、でもそれってあたしが一緒の時でもいいわね?・・・・・、まぁ少なくともレリアと二人っきりなんて状況は避けているから良いのかもしれないけど‥‥」
(お?)
エルゼのその言葉に、タキは希望の光を見つけた。
絶望のさなかに輝く小さな光。
エルゼとしてはレリアに対してどうもルースに対する感情が女のものであると感じており、二人きりにはさせたくはなかった。
バトがいるが、あれは体が小さいのでまだいいと判断しているのだが、出来るだけルースが女の子と二人っきりになる状況を避けたいのである。
その為、冷静にエルゼが考えると、タキがいたほうが二人きりという状況は避けられていたのではないだろうかと思えたのだ。
(お、お、お?)
もしかしたらこの状況から助かるかもしれない。
その希望の光を見て、タキは尻尾を震わせたのだが…‥‥現実とは甘くないものである。
いや、口は禍の下というのが原因というべきか。
【そ、そうなのじゃよ!!2人きりにはさせておらぬし、何かと一緒に喋れて楽しかったのじゃ!】
・・・・・・余計な一言というか、「一緒に」「楽しかった」というワードがアウトだった。
ガシッツ!!
【‥‥‥へ?】
気が付けば、何やら巨大な水の腕が出現し、タキを握っていた。
「・・・・・ふ~ん、あたし抜きで一緒に喋れて楽しかったのね。ええ。楽しかったのね?」
エルゼのハイライトが消えた目で睨みつけられ、タキは己の失言に気が付く。
いつの間にこの魔法を発動させたのかはわからないが、とりあえず・・・・・やっちまったとしか言えなかった。
「さてと、そんな女狐には尻尾の毛を全部抜いてあげて、これからの季節に活用できるマフラーにしてあげるわね」
にこりと微笑みながら言うエルゼ。
その言葉に優しさというものは無く、人はここまで無慈悲になれるのかとタキは学ぶ。
【い、嫌じゃあぁぁ!!我の尻尾の毛を抜かれるのは嫌じゃぁぁぁあ!!】
暴れて抜け出そうとしたが、どうやらしっかりと力がいれにくい姿勢に体が固定されてしまったようで、逃げようがない。
そうこうしている間に、もう一つの水の腕が出来上がり、タキの尻尾に手をかける。
「それじゃ、景気よくいくわね☆」
ぶっちぃぃぃぃ!!
【ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】
・・・・・冬が深まり始めた寒空の中、一匹のモンスターの悲鳴が響き渡るのであった。
「・・・・・お?帰って来たな‥‥って」
送還され、戻ってきたタキを見てエルモアは目を丸くする。
そこには、9本あった尻尾のうち2本が丸裸にされ、1本半ほど毛が抜かれたタキがいたのであった。
【・・・・・まさか本当に我の毛を抜くとは。あの小娘、絶対にいつか仕返しをしてやるのじゃぁぁ!!】
涙目でそう決意宣言をするタキ。
毛を逆立て、どれだけ怒っているのかは理解できるのだが‥‥‥
「・・・・・はて?お前は国を滅ぼせるほどのモンスターだったよな。普通に正面から力技で挑めば勝てるのではないかな?」
首を傾げ、そう疑問を口にするエルモア。喉が渇いたので水を飲みつつ、腰かけて話を聞いてあげる体勢へと入った。
【いや、お主は分かっておらぬのじゃ!!あの悪魔のような、いやそれすらも凌駕するような小娘には力技でごり押ししても仕返しにはならぬ!!精神的巨大なダメージを与えてやらねばいけないのじゃよ!!】
力で勝つのは確かに簡単だろう。
でも、それでは気が晴れないのだとタキは力説した。
【・・・・・そうじゃ!!あの小娘は召喚主殿を好いておったな。ならば、目の前で召喚主殿の唇を、いや、むしろ童貞をいただけば十分すぎる仕返しになるのじゃよ!!】
ぶーーーーーーっつ!!
「ごほっつ、ぐふっつ・・・・ちょっと、お前、本気で言っているのかな?」
タキのその叫びに、思わず飲んでいた水を吹き出して、むせ返るエルモア。
【うむ!!そうすれば召喚主殿の初めてをとれなかったあの小娘には心の傷がすごく深くつくであろう!!】
「・・・・・その前に命を終えそうだけどな」
自信満々に言うタキに、呆れた声でそう言ってやるエルモア。
どう考えても、そんなことをすればむしろ命を失うよりも悲惨な目に遭うのではないのだろうかと心配したくもなった。
「そもそも、お前にとっても初めてとなるのではなかったかな?」
【そ、それは‥‥‥】
エルモアの問いかけに、タキは顔を赤くして小さくなる。
ちょっと冷静になって考え、自身の発言に羞恥を感じたようである。
【ぬぅ・・・・じゃがしかし、そうでもしなければあの小娘の心に傷など・・・・】
「はいはい、復讐は何も生まないからやめておくのが良いかな」
小さくなるタキに対して、エルモアは面倒くさくなって適当に声をかける。
とはいえ、このままでは終わりそうにはないなとエルモアは思い、仮にも友人であるタキに対して同情する気持ちはあった。
そこでふと、思いついた。
「・・・・・だったら、召喚主殿とやらを背中に乗せて適当に走り回ってみるのはどうかな?景色の変わりようを楽しみ合い、同乗者を無くせばそれで十分じゃないかな?」
【それじゃ!!】
エルモアのその案に、目を輝かせて受諾したタキ。
・・・・・・とはいえ、後々絶対に今日あったような目にまた合うだろうとエルモアは思ったが、これはこれで面白そうなのであえて口にはしないのであった。
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