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冬休みの騒動で章
86話
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‥‥‥ソークジとの決闘する羽目になったのだが、その前にルースは学園長に相談しに来ていた。
「・・・・・というわけでして、その屑もとい貴族の決闘を受ける羽目になったのですが、この場合ってどのように対応したらいいんでしょうか?」
今回、決闘を行うのは学園長からしても面倒そうな輩を排除できる機会としてはありがたい。
だがしかし、この決闘では・・・・
「魔導書を使用ーして戦闘すーる場合もあーるし、情報の秘匿が無ーくなるか・・・」
ルースの持つ金色に輝く魔導書に関しての情報。
この情報に関しては、実は統制されてそう漏れ出ないようになっていた。
理由としては、その力の全容を未だに把握できておらず、また、悪用するような輩が出た際に、今へ移民のままでいるルースの身になにかある可能性が高いからである。
決闘ゆえに代理人を立ててということもできるのだが・・・・・というか、代理人になってくれそうな人はいるのだが、決闘はあくまで命を奪うのは禁じられているようであり、その代理人候補は下手すると血の海を見せそうなので頼むに頼めないのである。
まぁ、言わなくても一介の貴族の令嬢を代理人とするのはダメだろう。嬉々として出そうだけど、どう考えても相手が無事で済むとは思えない。
ゆえに、ルース本人が直接出たいのだが、その情報の問題で相談したのである。
しばしの間、バルション学園長は考え込み、結論を出した。
「よーし!こーの際、盛大にやーってしまえばいいよ!」
「え?」
バルション学園長は決断した。
今までは、ルースの力が目を付けられないように匿っていたのだが・・・・・・この際、その屑には生贄になってもらい、盛大にその力を見せつけてもらうのである。
隠していてもいつかはバレるだろうし、そうなる前に早い段階で一気にやってしまうのが得策であろう。
幸いというべきか、ルンブル王国との戦争は既に終わっているし、しばらくは戦争の気配もないため、狩りだされることはない。というか、させない。
そして、盛大にアピールしたところで、その背後にはバルション学園長自身と・・・・・できればエルゼやレリアにお願いして、公爵家やモーガス帝国の王族がバックについているように見せれば、そう簡単に手出しを出す阿呆はいなくなるだろうと思ったのである。
もしくは、国を滅ぼしたことのあるタキを見せて、いざとなれば国を簡単に滅ぼして出ていくことだって可能だとやってしまえばいいのだ。
‥‥‥ルース自身がいくら平穏を望んだとしても、大きな力を持つ者にはそう簡単にかなえられない。
ならば、その力をあえて見せつけまくることによって、厄介事を首位胃の人が抑え込めるようにすればいいのではないだろうかと、バルション学園長は思ったのである。
その考えを伝えようとして・・・・・ふと、彼女は気が付いた。
(あーれ?そういえばいつもの二人がみーえないね?)
いつもならば、この場にはルース以外にもエルゼやレリアがいた。
関係ないけれども、なんとなく一緒と言う感じでいるはずなのに・・・・・今日に限っては姿が見えないのである。
密かにルースの護衛という事も頼んでいたのだが、それでもここに姿を現さないのはおかしい。
なんとなく、ルースがらみの事だから二人で何かを企んでいるのではないだろうかと、学園長は検討を付けるのであった。
そして、その考えは当たっていた。
「・・・・・・よし、やっぱりバズカネェノ侯爵家には叩けば叩くほど汚職の証拠が出てくるな」
「ええ、ルース君と決闘だというけど、あの馬鹿屑野郎には痛い目を見てもらわないといけないからね。あの屑野郎の事だから、自身の力をアピールするために観客とかを呼びそうだけど、その場でこれらの証拠を堂々と見せつけてやるのはどうかしらね」
「うん、それでいいだろう。しかし、公爵家と帝国の力で探ってみてはいるが、本当に救いようのない屑だな」
「まぁ、そうだからこそ敵に回したのが誰なのか分かっていないようですし・・・・・・潰しましょうかね」
「「ふふふふふふふふふ」」
女子寮にて、それぞれの権力を動員して集めまくったバズカネェノ侯爵家の不正の山を前にして、コレをどう活かしてやろうかと、エルゼとレリアは互に不敵な笑みを浮かべていた。
―――――屑ニハ裁キヲ。デモ、コレハ怖イ・・・・・・
その様子を見て、同意はできるものの、あふれ出る殺意のようなものに、バトは身を震わせるのであった。
‥‥‥その日の真夜中、タキは都市に帰って来た。
エルモアの家に入り、久し振りに二人で風呂に入っていた。
とはいっても、尻尾や翼がぶつかり合うのできちんと縛って浴槽内の面積を増やすように努力はしていた。
【ふぅ・・・・久しぶりにゆっくり浸かれるのじゃ】
「今回は、どこに行っていたのかな?やけにボロボロだったけど・・・」
脱衣場にて、ボロボロになっていたタキの着物を思い出し、エルモアは尋ねた。
【ああ、ちょっと火山の方で火竜と争ってきたのじゃ。あやつとの戦闘でいい汗をかいたがのぅ・・・】
返答しつつも、ちょっと口を淀ませるタキ。
口が裂けても、その戦闘の影響が想定以上に周囲に出過ぎて、少々異常気象を起こしてしまったことなど、言えないのである。
バレれば確実にいろいろと面倒ごとになるのは、実は過去に経験済みだったのだ。
まぁ、過去に経験をしていたにしても、想定以上にやらかしているのもどうなのかといい値が・・・
何にせよ、タキは話題を変えることにした。
【それにしてものぅ、帰って思ったのじゃが、どうも都市内が騒がしくないかのぅ?】
ぴくぴくと、頭の狐耳を動かして音を拾うタキ。
モンスターである彼女の聴力は常人以上であり、ある程度までならその騒ぎが聞こえるのだ。
「ああ、それはどうやらどこかのバカ貴族が決闘を平民に仕掛けたとかだったかな?公衆の面前で堂々と宣言したから、その平民の方には声援を、屑貴族には文句を送るようなのだが・・・」
【ん?なんじゃこっちを見て?】
「いや、噂話で聞いたのだが、その平民ってうちの生徒だな」
【生徒?まぁ魔導書持ちの奴なら魔法でどうにかできそうなのじゃが・・・・・何でこっちを見るのじゃ?】
「関係なくはないはずだな。だって、その噂の人物は・・・・・・お前の召喚主のルースらしいな」
【‥‥‥へ?】
その話しを聞き、タキは目を丸くした。
【え?召喚主殿が決闘を?】
「相手側からの申し込みのようだが・・・・・もしかしたら、その最中に召喚されるかもな」
【なんじゃとぅ!?相手が屑だろうとも、貴族相手にそんな決闘を申し込まれるとは、一体何をやらかしたんじゃ召喚主殿はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】
その日、風呂場にはタキの叫びが響き渡るのであった‥‥‥
「・・・・・というわけでして、その屑もとい貴族の決闘を受ける羽目になったのですが、この場合ってどのように対応したらいいんでしょうか?」
今回、決闘を行うのは学園長からしても面倒そうな輩を排除できる機会としてはありがたい。
だがしかし、この決闘では・・・・
「魔導書を使用ーして戦闘すーる場合もあーるし、情報の秘匿が無ーくなるか・・・」
ルースの持つ金色に輝く魔導書に関しての情報。
この情報に関しては、実は統制されてそう漏れ出ないようになっていた。
理由としては、その力の全容を未だに把握できておらず、また、悪用するような輩が出た際に、今へ移民のままでいるルースの身になにかある可能性が高いからである。
決闘ゆえに代理人を立ててということもできるのだが・・・・・というか、代理人になってくれそうな人はいるのだが、決闘はあくまで命を奪うのは禁じられているようであり、その代理人候補は下手すると血の海を見せそうなので頼むに頼めないのである。
まぁ、言わなくても一介の貴族の令嬢を代理人とするのはダメだろう。嬉々として出そうだけど、どう考えても相手が無事で済むとは思えない。
ゆえに、ルース本人が直接出たいのだが、その情報の問題で相談したのである。
しばしの間、バルション学園長は考え込み、結論を出した。
「よーし!こーの際、盛大にやーってしまえばいいよ!」
「え?」
バルション学園長は決断した。
今までは、ルースの力が目を付けられないように匿っていたのだが・・・・・・この際、その屑には生贄になってもらい、盛大にその力を見せつけてもらうのである。
隠していてもいつかはバレるだろうし、そうなる前に早い段階で一気にやってしまうのが得策であろう。
幸いというべきか、ルンブル王国との戦争は既に終わっているし、しばらくは戦争の気配もないため、狩りだされることはない。というか、させない。
そして、盛大にアピールしたところで、その背後にはバルション学園長自身と・・・・・できればエルゼやレリアにお願いして、公爵家やモーガス帝国の王族がバックについているように見せれば、そう簡単に手出しを出す阿呆はいなくなるだろうと思ったのである。
もしくは、国を滅ぼしたことのあるタキを見せて、いざとなれば国を簡単に滅ぼして出ていくことだって可能だとやってしまえばいいのだ。
‥‥‥ルース自身がいくら平穏を望んだとしても、大きな力を持つ者にはそう簡単にかなえられない。
ならば、その力をあえて見せつけまくることによって、厄介事を首位胃の人が抑え込めるようにすればいいのではないだろうかと、バルション学園長は思ったのである。
その考えを伝えようとして・・・・・ふと、彼女は気が付いた。
(あーれ?そういえばいつもの二人がみーえないね?)
いつもならば、この場にはルース以外にもエルゼやレリアがいた。
関係ないけれども、なんとなく一緒と言う感じでいるはずなのに・・・・・今日に限っては姿が見えないのである。
密かにルースの護衛という事も頼んでいたのだが、それでもここに姿を現さないのはおかしい。
なんとなく、ルースがらみの事だから二人で何かを企んでいるのではないだろうかと、学園長は検討を付けるのであった。
そして、その考えは当たっていた。
「・・・・・・よし、やっぱりバズカネェノ侯爵家には叩けば叩くほど汚職の証拠が出てくるな」
「ええ、ルース君と決闘だというけど、あの馬鹿屑野郎には痛い目を見てもらわないといけないからね。あの屑野郎の事だから、自身の力をアピールするために観客とかを呼びそうだけど、その場でこれらの証拠を堂々と見せつけてやるのはどうかしらね」
「うん、それでいいだろう。しかし、公爵家と帝国の力で探ってみてはいるが、本当に救いようのない屑だな」
「まぁ、そうだからこそ敵に回したのが誰なのか分かっていないようですし・・・・・・潰しましょうかね」
「「ふふふふふふふふふ」」
女子寮にて、それぞれの権力を動員して集めまくったバズカネェノ侯爵家の不正の山を前にして、コレをどう活かしてやろうかと、エルゼとレリアは互に不敵な笑みを浮かべていた。
―――――屑ニハ裁キヲ。デモ、コレハ怖イ・・・・・・
その様子を見て、同意はできるものの、あふれ出る殺意のようなものに、バトは身を震わせるのであった。
‥‥‥その日の真夜中、タキは都市に帰って来た。
エルモアの家に入り、久し振りに二人で風呂に入っていた。
とはいっても、尻尾や翼がぶつかり合うのできちんと縛って浴槽内の面積を増やすように努力はしていた。
【ふぅ・・・・久しぶりにゆっくり浸かれるのじゃ】
「今回は、どこに行っていたのかな?やけにボロボロだったけど・・・」
脱衣場にて、ボロボロになっていたタキの着物を思い出し、エルモアは尋ねた。
【ああ、ちょっと火山の方で火竜と争ってきたのじゃ。あやつとの戦闘でいい汗をかいたがのぅ・・・】
返答しつつも、ちょっと口を淀ませるタキ。
口が裂けても、その戦闘の影響が想定以上に周囲に出過ぎて、少々異常気象を起こしてしまったことなど、言えないのである。
バレれば確実にいろいろと面倒ごとになるのは、実は過去に経験済みだったのだ。
まぁ、過去に経験をしていたにしても、想定以上にやらかしているのもどうなのかといい値が・・・
何にせよ、タキは話題を変えることにした。
【それにしてものぅ、帰って思ったのじゃが、どうも都市内が騒がしくないかのぅ?】
ぴくぴくと、頭の狐耳を動かして音を拾うタキ。
モンスターである彼女の聴力は常人以上であり、ある程度までならその騒ぎが聞こえるのだ。
「ああ、それはどうやらどこかのバカ貴族が決闘を平民に仕掛けたとかだったかな?公衆の面前で堂々と宣言したから、その平民の方には声援を、屑貴族には文句を送るようなのだが・・・」
【ん?なんじゃこっちを見て?】
「いや、噂話で聞いたのだが、その平民ってうちの生徒だな」
【生徒?まぁ魔導書持ちの奴なら魔法でどうにかできそうなのじゃが・・・・・何でこっちを見るのじゃ?】
「関係なくはないはずだな。だって、その噂の人物は・・・・・・お前の召喚主のルースらしいな」
【‥‥‥へ?】
その話しを聞き、タキは目を丸くした。
【え?召喚主殿が決闘を?】
「相手側からの申し込みのようだが・・・・・もしかしたら、その最中に召喚されるかもな」
【なんじゃとぅ!?相手が屑だろうとも、貴族相手にそんな決闘を申し込まれるとは、一体何をやらかしたんじゃ召喚主殿はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】
その日、風呂場にはタキの叫びが響き渡るのであった‥‥‥
応援ありがとうございます!
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