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遅刻したら出会いがあった
しおりを挟む結論……というか結果から言うと普通に間に合わなかった。
各魔法学校には転移用魔法陣というものがあり、普段は使用できないが入学などのときには、各町にある移動魔法陣と繋げられ、それを使って移動する。
転移魔法陣は役所の一室に用意されており、緊急時や申請をして通れば使えるようになっている。
学生の場合はその日に準備をして役所に行き、そこで通うことになっている学校の名を伝える。
すると転移魔法陣の担当者がそこに繋げてくれ、それで目的の場所へと行けるのだ。
私ももちろんそれで移動するつもりだった。
別に私の魔力の高さのせいで~とか魔力耐性が~とかそういう話ではない。
私が単純に魔法学校の名前を覚えていなかったせいで手間取ったのだ。
普通は制服を見れば分かりそうなところだが、その転移魔法陣の担当者の方や周りにいた人達も分からなくて、どこだろうと確認している間に入学式のはじまる時間になった。
ここで不思議なことに、その時間になった瞬間私も周りの人も全員思い出した。
魔法学校の名前、一番大きくて有名な魔法学校の名前____フロロフィア魔法学校という名を。
フロロフィア魔法学校は校内に魔法研究施設があり、そこから承認された“フロロフィア印”の物だって世にありふれている。
なぜ思い出すことができなかったのかと首を傾げる周りに、これって夢鍵の乙女ゲームのシナリオなのだろうと鼓動が速くなる。
流行りの乙女ゲームもの、ヒロインは遅刻してというのも結構見かけた。
それの一つだとしたら、あまりにも理不尽で馬鹿馬鹿しいことだ。
今回は遅刻くらいで済んだので良かった。
けれどこれがもし命に関わることだったらと思うと、恐ろしい。
そんな大事になる前に、何か、何か対策を練らないと……。
「あの~…早く行かなくて大丈夫ですか??」
「え、あ、あ!い、今行きます!!」
これ以上の遅刻はダメだと慌てて転移魔法陣の上に立つ。
担当者の人は私がちゃんのサークル内に収まっていることを確認し、持っていた書類を確認しながらボソボソと言葉を紡ぎ始める。
その言葉に反応するように転移魔法陣が光、点滅を繰り返し、その眩しさに思わず目を瞑る。
下から柔らかな風が吹き、スカートと髪を揺らす。
ファンッと不思議な音色が聞こえ、風と光が収まった後ゆっくりと目を開く。
「遅い!今何時だと思ってるんだ!!」
「ご、ごめんなさい!!」
怒鳴られ反射的に頭を下げて謝る。
そのあとゆっくりと顔を上げて声のした方を確認する。
そこには黒く長い重そうなローブに身を包んだ男性が立っていた。
長い銀色の髪に鋭い金色の瞳。どこか狼を連想させるようなその姿が頭の中で、ある一つの立ち絵と重なる。
____間違いない、攻略対象。
普通の乙女ゲームもだが、本当にヒロインちゃんと攻略対象、一対一での遭遇率高いなと思わず顔が引きつった。
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