ヒロインちゃんがんばる!

名無色

文字の大きさ
4 / 37

弟からの贈り物

しおりを挟む
魔法学校入学当日。

既に二回試着したこともあり新鮮味の薄れた制服に着替え鏡の前でおかしなところはないか確認する。

制服はキャラの個性を出しやすいようになのか、キャラデザ担当の人が決められなかったのか。

まあ理由はわからないけど何種類か用意されている。
色は白をベースに挿し色として金色が入っていることが共通していて、あとリボンとネクタイが学年によって色が変わる。

色が変わるといっても学年が変わる度に買い換えるとかではなく、卒業した人達の色を次の入学する人達の色にする、みたいなローテーション方式だ。

生徒は制服を注文するときに予算や好みで決めたり、入学して自分のやりたいことを見つけたらそれに合わせて買い換えたりするが、その色だけは自由に変えることはできない。

ちなみにそのときに出た、いらなくなった制服は元々生地が特殊なものとかで学校に返すと状態などに合わせてその分のお金を返してくれ、その制服は小さなお守りなどに使われバザールで売られるという。

うちは普通の暮らしはしていても制服を購入する予算はなく、学校側から特別に無償で用意してもらったものなので一番安いワンピースタイプにした。

ワンピースタイプは上から胸下ほどの長さのケープを身につけてそれを太めのリボンを結んで完成。

その太めのリボンは赤色で、これが今年入学する生徒の学年カラーである。

制服は他にもブレザーやセーラー、パンツスタイルなども用意されていたけど、ビビッと来た!とこれにした。

今考えると乙女ゲームに合わせていたのだろうか…?

「これ……着替えは楽だけど汚れたときスカートだけ変えるとか出来ない……。
あと丈短くない??誰かの趣味?趣味なの?」

二次元の制服系であまり膝丈膝下スカートは見ない。
風紀委員云々でもスカート短いなんてよくある。

元々の生活でも履いていたのは履いていた丈のスカートだけど、これで学校に通うというのに抵抗感を感じる。

というかワンピースタイプの場合は膝丈とか多いと思うんだけど、うーん?
主人公って結構動き回るから、動きやすいように、とか?

……まあ長さを変えるの無理だし普通に受け入れて、このまま行きますけど…。

「あ、と、は~………頭!」

元々淡い髪色に白のリボンとレース(と鍵)でつけなくてもよくないかって気になっていた。
でも何もつけないと手抜きしたのでは?って感じてしまう。

元々髪飾りは色々集めていてあるにはある、がなんかどれもこうしっくりこない。

というか制服が白で髪色が淡いので胸元にくる赤いリボンの存在感が強い。
そこに濃い色の髪飾りにすると頭と胸元に目がいってしまうようになる。

中途半端に顔がぼやけそうだから頭に濃い色使うのは……と頭を抱える。

じゃあやっぱり最初の予定通りあのキーホルダーつける??と言われるとそれも嫌だ。

「うーん………。」
「姉さん……?時間分かってる??」
「あ、リルおはよ~。ねえなんかいい髪飾り持ってない?」
「おはよ~…じゃないよ!?あと髪飾り買ってなかった??!」
「なんかイメージに合わなくて。」

なんで当日に言うんだよ!と叫んだあと、リルは時計を見て時間があまりないことに気付いたのか、ちょっと待っててと部屋を出て行ってしまった。

というかリル、普通に私の部屋入ってくるよな…。
それに待っててって、リル髪飾りなんか…あ、戻ってきた。

「はい、これ。」

そういって渡してきたのは白いシンプルなリボンに金色の小さな鍵のついた髪飾り。

カチューシャタイプで落ちる心配もないそれには、私の購入したものと似てはいるもののちゃんと髪飾りとして受け入れられる大きさと重さだ。

「リル……これ……。」
「入学祝い、用意したけど姉さんの買ったのと被ったから渡さなかったやつ。」
「~~~~~~!!」

これはちょっと感動する。涙でそう、出ないけど。

リルは普通にいい子だ。昔からちゃんと友達とかの誕生日をチェックしてプレゼント用意したりするくらいに。

だから何もないなんてことはないだろうとは思っていたけど、物とタイミングが最高すぎる!

「ありがとうリル~これつけて頑張るから!」
「はいはい。そんなことより、時間、わかってる?」
「え、時間?」

時計を確認する。うん、ギリギリ。

「………間に合うかなこれ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...