ヒロインちゃんがんばる!

名無色

文字の大きさ
3 / 37

淡い色と髪飾り

しおりを挟む
まあ見飽きました。
自分の顔に、というかどう頑張って表情を変えても見飽きるものは見飽きる。

というかそれよりも気になるのは制服が届いて試着した時にはすっごくワクワクしてたというのに。

この制服に合わせるためにちょっと奮発して可愛い髪飾り買いに行って、制服試着してあんなにノリノリだったのに。

「これ……髪飾りであってる??」

いよいよ明日から学校だ!乙女ゲームの世界だ!
最初は混乱したり冷静になったり(?)を繰り返していたのに、結構普通に生活できた。

攻略対象枠である人達を別に避ける必要もないし、普通でいいよね普通で、と割とあっさり受け入れて

荷物をまとめて全部送って、明日は制服を着て学校に向かって話を聞いて荷解きして。

そう考えて髪飾りの存在を思い出して、もう一度制服を着て髪飾りをつけてみたところ……なんかコレジャナイ感。

「髪飾り……髪飾りっていうかこれキーホルダーじゃない??私キーホルダー髪につけてない??」

パチンと挟んで固定するタイプの髪飾りは、私の手のひらほどの大きさで、白いリボンに白いレース、それに普通の鍵ほどの大きさのアンティーク調の鍵の飾りが付いている。

一つのものとしては私的には可愛いと思うが、大きさ的にも鍵の飾りの重さ的にも髪につけるのが正解なのかと不安になる。

いや髪飾りで買ったんだけど……なぜこれを選んだ私。

“私”としての記憶を得てから同じ年頃の女の子とは会わなかったのでこういうのは普通なのかどうかもわからない。

………やっぱりこの鍵は邪魔じゃない?これだよ全ての原因。

この鍵なかったら軽いし、リボンとレースならまあありだろう。

鍵デカイし重いよ、ほんとなんでこんなの髪につけようとしたんだよ。

「あー、そういえばタイトルに鍵ってついてたか……。
ということは、これは夢鍵のヒロインですよって分かりやすくするためのアイテム??」

にしてもこれはないって、重いよ、ちょっとした鈍器だよ、材質何これ。

こんなのつけて走ったら髪の毛抜けそうなんだけど、というか普通にズレ落ちそうなの感じだよ??

え、これ落として攻略対象に拾ってもらってキャッキャするようなイベントあったりする??

「…………いや白に白のこれ落としたら汚れの目立ちそうだし、まず重いから外れたら気付くよね…。」

というかこれ濃い色の方がよくない?
髪も結構色素薄めって感じの金だし、目は色が変わるとはいえ白だし。

なんかこう………頭部が淡い……といえばいいのか。
顔は可愛いっちゃ可愛いんだけど…。

そもそもこの世界みんな顔がいいからよくよく考えると100%好みの差次第だなって気付いた。

もっとはっきりした方がよかったんじゃないの?
髪の色とか桃色とか如何にもって感じでもよかったような気もするし、いやほんと薄くない?濃くしない?

どういうヒロインなのか分からないからもしかすると何かあるのかもしれないし、ただ単に本物のヒロインちゃんと比較するために対称的に決めたのかもしれない。

「うーん……?そもそも夢鍵の方のヒロインちゃんってこんな薄かったっけ……?なんか背景に埋没しそうな薄さなんだけど…。」

レビューとかで「淡い色の背景だとなんか背景に馴染む、悪い意味で」とか書かれない?書かれてない?

「……まあ考えても答えが出ないからやめよっと。
でもこの髪飾り……キーホルダーは髪につけていくの不安だから鞄につけよう…。」

家に置いていくことも考えたけど、奮発したかったやつだし……鍵だし……と言い訳しながら鞄にぶら下げる。

まずこれが何も関係ないとは思えない。
何か乙女ゲームとしてのキーアイテム、何かを示すものかもしれないし。

可能性としてはタイトルにある夢の鍵というものが実際にあってそれに繋がるアイテムか。

この夢鍵という乙女ゲームがターン制の場合そのターン、時間制限のようなものを示すためのものか。

誰の√に入れたのか、また現在の好感度を目に見えるようにしたものか。

あとは……たまにある好感度以外にゲージがありそれによってバッドやデッド、友情エンドなどにいくものか。

いずれにせよ置いて行って後悔する可能性が高い。

………まあそれよりも気になるといえば。

「………この世界、乙女ゲームの中にあった乙女ゲームの世界ではあるけど、これがそのどちらの乙女ゲームの世界なのかは今の所分からないんだよね…。」

これがフィア夢の世界であれば本当のヒロインちゃんは悪役令嬢であるヒロインだけど、これがもし夢鍵の世界であればそれは私がヒロインちゃんだということだ。

乙女ゲームの中の乙女ゲームの世界に転生した!

それ自体何故かビビッときたのもよく分からないけど。

そういう類の小説をよく目にしていたからか、あるいは記憶にない自分の最期を受け入れられないから楽しそうに考えてしまったのか。

「あーだめだめ!やっぱりややこしすぎる!意味がわからないー!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...