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彼女の行く場所は(悪役令嬢視点)
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図書室に先生の姿はなく、代わりにジュリアスが魔法薬学が得意な友人と何かを話し合っていた。
その友人も攻略対象の一人だから大丈夫だろうと、すぐにフィリアが居なくなったことを伝え、彼女の行きそうな場所をメモした紙を渡した。
彼は怪訝そうな顔をしながらも分かったと言い、そのまま友人を連れて図書室から出て行った。
その姿を見送ったから、軽く息を吐く。
「ふぅ……これならきっとすぐ見つかるわよね。」
まさかここでもう一人の攻略に会うなんて……。
柳緑色の髪を一つに結い上げた青緑の綺麗な色をしたタレ目が特徴的な、穏やかな雰囲気の青年。
名前はテナ・メデル。メデル伯爵家の次男で、体の弱い兄の代わりに爵位を継ぐと噂される将来有望な青年だ。
メデル家は代々回復魔法が得意な者が多く、その力で何度も王族を救ってきた。
ただ回復魔法を使える兄は病弱で起き上がるのにもやっとで、彼は貴族にしては珍しく魔力の量が少ないため魔法は中級までしか使えない。
そのことが原因で、兄弟揃って役立たずと両親からの愛情を与えられずに育った。
自分に魔力があれば、そう考えた彼は幼い頃から魔法薬について学ぶようになる。
魔法薬学を選んだのは、回復魔法ではどうにもならない兄を少しでも楽にしてあげられるものがあればという理由が大きく、あとは魔力が少ないから魔法を学んでも仕方ないと判断したからだ。
元々素質があったのか、彼はぐんぐんと成長していき、魔法では下から数えるほどの順位だが魔法薬学では学内二位ととても優秀だ。
……まあ私が一位をキープするようになってからちょっと嫌われてるみたいなのよね。
こっちは二位だと王太子の婚約者としての自覚が云々とお叱りの手紙が来るから、いつも徹夜で頑張ってのことだから恨まないで欲しい。
顔に出すわけじゃないから、ある意味一番厄介な相手だと思う。
ルートだと結構ストレスが溜まっていた彼に優しく声をかけ、癒してあげるという感じのイベントが多かった。
定番の膝枕イベントも確か彼のルートだけだった。
そこで寛ぎながら色々と話してくれ、それをフィリアが持ち前の明るさで悩みを吹っ飛ばしてくれる、だったはず。
………記憶が曖昧だわ。一度覚えていることを書き出すべきね。
「っと……そうだ今はフィリアのこと。」
もう一枚、シリカ先生に渡すはずだったメモを確認する。
ゲームでフィリアがらよく立ち寄った場所を書き出し、あとはフィリアが立ち寄らない場所も書いてある。
立ち寄る場所には主に攻略対象と遭遇する、図書室や実験室などで、立ち寄らない場所には転移魔法陣のある部屋や校内にある実習に使われる森とかを。
彼女は家族に頑張る、迷惑をかけないと思っていて、心が迷いそうな転移魔法陣には近づかないのだ。
それに彼女は転移魔法陣については詳しく学ぼうとしなかった。他に勉強したいことがあると言っていたが、もしかするとそれも心の迷いになると考えたのかだろうか。
あとは森、彼女が森に入るのは実習の時だけで、最初の実習でトラブルが発生してみんなから逸れてしまうというイベントの時だ。
森の中は葉が生い茂っていることもあり昼間でも薄暗く、夕方になると足元が見えなくなるほどで、外から見ても怪しげな雰囲気の漂う森だ、彼女は一人で森には入らないだろう。
「探すのなら……そうね、やっぱり食堂……かしら。」
彼女のことだから既にお菓子を貰いに行っているかもしれない。
甘いものが好きなフィリアは、よく食堂でお菓子を貰って持ち歩いていた。
そのお菓子を攻略対象と分け合って食べたりするイベントもいくつかある。わざわざスチルも用意されていて、お菓子がすごくリアルに描いてあるくらいに気合の入っていたイベントだ。
………夢鍵作ってる時にお菓子でも食べていたのだろうか。それとも甘味に飢えていたのだろうか。
「………とりあえずは食堂で、あとは……。」
この学校、人一人探すの大変だからそろそろ対策を考えるべき。
そんなことを考えながら図書室から出て、食堂のある方向へと歩き出した。
その友人も攻略対象の一人だから大丈夫だろうと、すぐにフィリアが居なくなったことを伝え、彼女の行きそうな場所をメモした紙を渡した。
彼は怪訝そうな顔をしながらも分かったと言い、そのまま友人を連れて図書室から出て行った。
その姿を見送ったから、軽く息を吐く。
「ふぅ……これならきっとすぐ見つかるわよね。」
まさかここでもう一人の攻略に会うなんて……。
柳緑色の髪を一つに結い上げた青緑の綺麗な色をしたタレ目が特徴的な、穏やかな雰囲気の青年。
名前はテナ・メデル。メデル伯爵家の次男で、体の弱い兄の代わりに爵位を継ぐと噂される将来有望な青年だ。
メデル家は代々回復魔法が得意な者が多く、その力で何度も王族を救ってきた。
ただ回復魔法を使える兄は病弱で起き上がるのにもやっとで、彼は貴族にしては珍しく魔力の量が少ないため魔法は中級までしか使えない。
そのことが原因で、兄弟揃って役立たずと両親からの愛情を与えられずに育った。
自分に魔力があれば、そう考えた彼は幼い頃から魔法薬について学ぶようになる。
魔法薬学を選んだのは、回復魔法ではどうにもならない兄を少しでも楽にしてあげられるものがあればという理由が大きく、あとは魔力が少ないから魔法を学んでも仕方ないと判断したからだ。
元々素質があったのか、彼はぐんぐんと成長していき、魔法では下から数えるほどの順位だが魔法薬学では学内二位ととても優秀だ。
……まあ私が一位をキープするようになってからちょっと嫌われてるみたいなのよね。
こっちは二位だと王太子の婚約者としての自覚が云々とお叱りの手紙が来るから、いつも徹夜で頑張ってのことだから恨まないで欲しい。
顔に出すわけじゃないから、ある意味一番厄介な相手だと思う。
ルートだと結構ストレスが溜まっていた彼に優しく声をかけ、癒してあげるという感じのイベントが多かった。
定番の膝枕イベントも確か彼のルートだけだった。
そこで寛ぎながら色々と話してくれ、それをフィリアが持ち前の明るさで悩みを吹っ飛ばしてくれる、だったはず。
………記憶が曖昧だわ。一度覚えていることを書き出すべきね。
「っと……そうだ今はフィリアのこと。」
もう一枚、シリカ先生に渡すはずだったメモを確認する。
ゲームでフィリアがらよく立ち寄った場所を書き出し、あとはフィリアが立ち寄らない場所も書いてある。
立ち寄る場所には主に攻略対象と遭遇する、図書室や実験室などで、立ち寄らない場所には転移魔法陣のある部屋や校内にある実習に使われる森とかを。
彼女は家族に頑張る、迷惑をかけないと思っていて、心が迷いそうな転移魔法陣には近づかないのだ。
それに彼女は転移魔法陣については詳しく学ぼうとしなかった。他に勉強したいことがあると言っていたが、もしかするとそれも心の迷いになると考えたのかだろうか。
あとは森、彼女が森に入るのは実習の時だけで、最初の実習でトラブルが発生してみんなから逸れてしまうというイベントの時だ。
森の中は葉が生い茂っていることもあり昼間でも薄暗く、夕方になると足元が見えなくなるほどで、外から見ても怪しげな雰囲気の漂う森だ、彼女は一人で森には入らないだろう。
「探すのなら……そうね、やっぱり食堂……かしら。」
彼女のことだから既にお菓子を貰いに行っているかもしれない。
甘いものが好きなフィリアは、よく食堂でお菓子を貰って持ち歩いていた。
そのお菓子を攻略対象と分け合って食べたりするイベントもいくつかある。わざわざスチルも用意されていて、お菓子がすごくリアルに描いてあるくらいに気合の入っていたイベントだ。
………夢鍵作ってる時にお菓子でも食べていたのだろうか。それとも甘味に飢えていたのだろうか。
「………とりあえずは食堂で、あとは……。」
この学校、人一人探すの大変だからそろそろ対策を考えるべき。
そんなことを考えながら図書室から出て、食堂のある方向へと歩き出した。
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