一条春都の料理帖

藤里 侑

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レシピ集

1.春都のからあげ

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 どうも皆さん、一条春都です。
 最近寒かったり暑かったり、着る物にも過ごし方にも困るような日が続いていますね。風邪をひかないよう、気を付けたいものです。
 さて今日は俺がいつも作っているご飯の話をしようと思います。
 作り方とか、おいしい食べ方とか、色々ここで話せたらいいなと思ってます。あ、でも、あくまで「俺はこう作ってる」っていう感じなんで、そこんとこよろしくお願いします。
 ご飯って、好みがありますからね。
 というわけで、記念すべき第一回目。スペシャルゲストをお呼びしております。
「はい。自己紹介どうぞ」
「どーも! 井上咲良でーす! 好きな食べ物は揚げ物! 特にとんかつが好きです! よろしくお願いしまーす!」
「元気だな……」
「こういう時は元気出してなんぼだろ~、春都もテンション上げてこーぜ!」
 はい、こちら、高校で出会いすでに腐れ縁の井上咲良です。何で仲良くなったのか、二人そろって謎ではありますが、まあ、この際いいでしょう。
「んで、今日は何作んの?」
 にこにこ笑顔で楽しそうですね。
「今日はからあげを作るぞ」
「おお! いいね~、最高!」
「ちゃんと手は洗ったか?」
「洗いました! 先生!」
「誰が先生だ」
 えー、まずは鶏肉を準備します。もも肉、胸肉、その他お好みで。今日はもも肉と胸肉、両方準備しました。さっぱりもがっつりも味わいたいですからね。でっかい肉を買って来て自分で切り分けてもいいですし、切り身を買ってきてもいいです。今日は切り身なんで、さっそく調理開始です。
「出来上ったからあげを買ってくるのは?」
「いいけど、今日の趣旨には合わんな」
「そっかー」
 出来合いの総菜もいいですが、今日は俺の作るからあげ、ということで。
「まずは、鶏肉の味付けから。鶏肉ボウルに入れてー」
「はいよー。味付けはどうすんの?」
「醤油、白だし、酒、にんにくにしょうが。うちの味付けはそうしてる」
「すでにうまそうな匂いしてるな!」
 分量は……各適量です。
 漬け込んでいる間に、何か作りましょうか。
「よし、咲良。一緒になんか揚げるぞ。何食いたい」
「ポテト!」
「いい選択だ」
 ジャガイモを洗ったら皮をむき、短冊切りにします。それをビニール袋に入れて、片栗粉をまぶし、揚げます。
「熱い油って怖いな。跳ねる?」
「跳ねる」
 どうやら咲良は油跳ねが怖いようなので、俺が揚げます。何度やけどしたことか。
 いまだに揚げ物は身構えます。洗い物も、掃除も大変ですからね。でも揚げたてってうまいんですよ。
 キッチンペーパーを皿に敷いておきます。いい感じに揚がったらのせて……
「塩?」
「塩だな」
 ちょっとつまみ食いしちゃいましょう。
「いただきます」
 揚げたてのポテトはサックサクで香ばしく、中はトロッと甘い。塩気もちょうどいいですね。つまみ食いと言いながら、ついつい食べ過ぎてしまいます。
 これにゲームやアニメがあれば、秒でなくなっちゃいますね。
 もちろん、ケチャップやマヨネーズをつけてもいいでしょう。
 フライドポテトも工夫しようと思えばいくらでもできますが、当然、これでうまいので今日はこのままで。
 さて、そろそろからあげを。
「からあげには片栗粉?」
「小麦粉と半分ずつだな。俺はそれが好きだ」
 鶏のからあげも、油がとても跳ねます。あの揚げたてのおいしさを思い、頑張っています。同じように皿にキッチンペーパーを。
 鶏肉を入れた時、ジュワーッという程度に油を熱します。いい音ですねえ、心がワクワクします。
 二度揚げという手法もありますが、俺は一度で揚げ切ります。
 こんがりいい色に揚がったら、完成です。
「もーらいっ」
「あっ」
 咲良め、抜け駆けずるいぞ。
「ん~、熱々うま~」
 だろうな。
 もう一つあるから、俺も。
 カリッと香ばしい表面、もちっとした肉からジュワッと染み出す肉汁。もも肉の醍醐味といえば、この脂でしょう。濃いうま味とこってり感が、からあげって感じがします。皮もカリッともちっとしていてうまいですね。
 うん、中心までしっかり火が通っています。火はちゃんと通しましょう。
 そんでもって、からあげにはマヨネーズですね。まったりとしたマヨネーズが、からあげのこってりによく合うのです。脂にマヨネーズ、どうしてこううまいのでしょう。
 胸肉はさっぱりしています。噛み応えのある肉は、もも肉の食べ応えに負けません。レモンを絞ってもいいですね。酸味とさわやかな香りがベストマッチなのです。
「からあげっつったら、ご飯だな!」
 咲良の言葉には完全同意。揚げたてのからあげに炊き立てのご飯。なんとまあ、贅沢なことでしょう。
 熱々のからあげをほおばり、ジュワッとうま味が広がったところに、ホカホカのご飯を追いかける。
 この上ない幸せです。
 これだから、家で揚げ物をすることを諦められないのです。
 少し冷めたポテトも、もちもちしていい感じですね。
「春都のからあげってさー、無限に食える気がすんだけど」
「そうだろう」
「あっという間になくなるな」
 そうなのです。大量に作っておいても、明日の朝食べるんだ、と心に決めておいても、あっという間に食べてしまうのです。
 まあ、幸せなことです。
 同じような味付けでも、母さんやばあちゃんが作るとまた味わいが違うのも、またいいところですね。
 さて、今日はたらふく食べて満足したのでこの辺で。
 次は何が食べたいかなあ。

「ごちそうさまでした」
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