24 / 45
第四章 経済支援は領主の務め
24.毒、抜けましたか?
しおりを挟む
明日商工ギルドに出すラフ仕様を作るからと、フリーは案外早く帰って行った。
お義母様は残念そうだったけれど、「仕事なら仕方ないわ」とアンバーと一緒に玄関で見送ってくださる。
「じゃあ、アンバー。明日また」
アンバーの頬にキスを落とす。
ヴァスキア様の前でもフリーは平気だった。だからアンバーにはいつものことだ。
でもお義母様は「あらあら」と、嬉しそうな困ったような複雑な表情をなさっていた。
遠ざかる馬車がだんだん小さくなって、夜の闇に消える。
「東の館、どうやらお客様のようね」
ちらりと東の方へ視線をやって、お義母様は薄く微笑んでおいでだ。
「わたくしは先に休みます。アンバーは好きになさい」
「はい、お義母様。おやすみなさいませ」
実は食事の間中、東へ向かったユーインをアンバーはずっと気にしていた。
まだ毒の抜けていないユーインに、東の館は危険すぎると思ったからだ。
お義母様の背中をお見送りして、アンバーは素早く玄関扉を開けて表に飛び出した。
付き添いはつけない。
おそらく誰かに見られていい現場ではない。簡単に想像がつくから。
小走りで五分ほどの距離に、古い石造りの館があった。
メンテナンスが行き届いていないらしく、壁のあちこちに苔が生えて雨や風の汚れがこびりついている。それでも十分すぎる広さと作りだ。少なくともアンバーが住んでいた官舎より、よほど立派だと思う。
その玄関のすぐ側に、騎士のものらしい馬が五頭ほど繋いであった。
(マクレーンの騎士のものじゃない?)
鞍についている紋章が違うのだ。マクレーン家のものではなかった。
(あれは……)
王都の騎士団のものだ。
嫌な予感がする。
騎士団が本館を訪ねてこない理由はひとつ。人目をはばかることだからだ。
その彼らが東の館にいるとなれば、エイミーが何かしでかしたにちがいない。
「だからわたしはなんにも知りませんって、さっきから言ってますよね?」
玄関扉の向こうから、高いヒステリックな声がした。
ああ、やはりだ。
母といいエイミーといい、アンバーの苦手な女はどうして同じような声を出すのだろう。
知らないうちに眉が寄り、嫌なため息が漏れる。だけど嫌だからといって、引き返すことはできない。
この嫌な声を浴びせかけられているユーインが、アンバーにはとても心配だ。
覚悟を決めて、扉を開けた。
「アンバー、なぜ来たんだ?」
すぐにユーインが飛んできて、アンバーの視界を自分の大きな身体で覆い隠す。
「お客様がおいでになっているようなので、気になって」
本館から見えたわけじゃないけど、「東のあたりが騒がしい」とお義母様は気づいておいでだった。だから嘘ではない。
……ということにしておく。
「私は王都第一騎士団長ディラン・アストファルガーと申します。お騒がせして申し訳ない」
浅黒い肌に黒い瞳が印象的な騎士団長は、短く刈り込んだ黒髪がいかにも武闘派っぽい。
年のころはおそらく三十少し前くらい。
ユーインと同じくらいの背丈に、がっしりした筋肉質の立派な身体をしている。
「アンバー・ケイシー・マクレーンでございます。アストファルガー様には、お初にお目にかかります」
第一騎士団長アストファルガー閣下のお名は、面識のなかったアンバーでも知っている。
王都には3つの騎士団があってそれぞれに騎士団長がいるけれど、最上位は第一騎士団長だ。だから騎士団として何かを決めなければならない時には、第一騎士団長が決裁書類にサインをする。
つまり今アンバーの目の前にいる騎士は、プレイリー王国で一番エラい騎士なのだ。
確か生家は侯爵家。次男なので別に家を興して、現在の爵位は子爵だと記憶している。
「夫人には一度、協力をお願いしたことがあります。憶えておいでか?」
笑うと目元に皺が幾筋か刻まれる。それが騎士団長のいかつい印象を和らげて、少し優しい感じにしてくれる。
「マクレーン辺境伯家あての通信についてです。誘拐事件の」
「はい。よく憶えております」
あの時アンバーは騎士団長の署名の入った許可状を見せられて、捜査に協力したのだ。
重大な犯罪に関わる事案なので、業務上知りえたことを余さず話してほしいという要請だった。
(あの時の誘拐事件の捜査でここに?)
思いついて、ああそうかもしれないと納得する。
エイミーの誘拐事件について、アンバーも変だとは思っていたのだ。
誘拐犯はとても重い罪に問われる。同じ危険を冒すのなら、使用人ではなく家族を狙うはずなのにと。
「あの時の犯人を捕らえたのですが、共犯者としてこちらの女性の名が挙がってきたんですよ」
語尾まではっきりした騎士団長の言葉は、聞いていて爽快だった。
きっとこの人は、嘘に最も遠い世界で生きているのだろうとアンバーは思う。
「だから違うって言ってるでしょう? わたしは被害者ですよ? どうしてそんなひどい言いがかりをつけるの?」
第一騎士団の屈強な騎士に、エイミーは腕をねじり上げられている。
相当痛いだろうに、赤毛を振り乱してきゃんきゃん威嚇し続けている。
「わたしはマクレーン辺境伯家の恩人よ? とても親しい関係なの。たかが騎士風情がわたしに手を上げるだなんて、ユーインが黙っていないわ」
(うわ! すごい、この毒女)
アンバーは怒るより、呆れた。
恩人とか、とても親しいとか、極めつけは「騎士風情」だ。
自分をどれだけ尊いと思っているのだろうか。自らを省みるとか、身の丈を知るとか、そういう言葉は彼女の辞書にはないのか。
(たぶんないんでしょうね)
前世の職場にも、同じようなのがいた。
他人のことをブスだとか頭が悪いとか言い散らす女。
じゃあ自分はどうなのかというと、縦は小さく百四十センチそこそこだ。反対に横は大きくて、推定体重九十キロ近くあったと思う。
頭が良いか悪いかは一概に言えないけれど、社内認定資格試験を連続で5回は落ちていた。
ああいう手合いは自分に限りなく甘い。
世界で一番美しいのはあなただと、そう言ってくれる魔法の鏡を心の中に持っているのかもしれない。
「たかが騎士風情の俺には、おまえを逮捕する権限がある。これ以上騒げばもう少し痛い目にあってもらうが?」
皮肉な笑いを唇の端にためて、アストファルガー騎士団長は低い声で静かに聞いた。
いや、聞いたなんて穏やかなものじゃない。脅しだ。
「この女には余罪があるかもしれません。ご当家に関わるデリケートな問題なので、できれば確証を得てからマクレーン閣下にお話ししたいのです。しかし少なくとも今回の誘拐事件については証拠が揃っていますので、このまま王都へ連行します」
騎士団長はユーインの方へ向き直り、淡々と説明する。
決定事項だ。そんな調子で。
「いやよ、ユーイン。わたしをこいつらに渡すの? 母さんを捨てたみたいにわたしのことも捨てるの? 誰が何を言っても、母さんやわたしだけはユーインを信じてたのに! そんなひどいこと、ユーインはしないわよね?」
腕をねじ上げられたエイミーは、涙ながらにユーインに訴える。
伝家の宝刀と、彼女が信じている「母さん」を連発して。
びくりとユーインの身体が震えるのを、エイミーは見逃さない。
「母さんは死ぬ間際までユーインが助けてくれるって信じてたのよ。あの女、子供もないのに辺境伯夫人の座にい続けたあの女がどんなに虐めても、母さんはいつも言ってた。ユーインが必ず助けてくれるって。でもユーインはこなかったよね? わたしは恨んでないよ? 仕方なかったんだって思ってる。 あの女に逆らえなかったんでしょ? でも今度は違うよね? ユーインは辺境伯なんだから」
たたみかけてくるエイミーの、耳を塞ぎたくなるほどの虚言と妄言に、アンバーの方が先にぷちんと弾けそうになる。
頬を叩いて黙らせてやりたかったけれど、それをしてはいけない。
もしアンバーがここで口を挟めば、ユーインの解毒は先送りになって、いつかまたエイミーに「母さん」を連発されて苦しむことになる。
心を鬼にして放っておかなくては……。
騎士団長相手に無理を通すようなら、ユーインはおしまいだ。
マクレーン辺境伯である資格を、自ら捨てることになる。
(でもいきなり自分で毒を断てと言われても、苦しいわよね)
いまだにハロウズの母の前で、手に冷たい汗をかくアンバーだ。
毒とわかっていても、長年毒に侵された身ですぐに強気に出ることは難しい。
だからユーインの震える指先にそっと手を伸ばす。
きゅっと握った。
(大丈夫だから。きっとできるから)
ぴくんとユーインの指先が反応して、少しずつ震えがおさまってゆく。
ふうと、ユーインは大きく息を吐いた。
「アストファルガー騎士団長、連れて行ってくれ。この女は我が家とは無縁の者だ。虚言、妄言を喚き散らすが、そのあたりご配慮いただければありがたい」
落ち着いたテノールの声は、いかにも辺境伯当主に相応しい謹厳なもので。
はっきりとエイミーの存在そのものを否定した。
お義母様は残念そうだったけれど、「仕事なら仕方ないわ」とアンバーと一緒に玄関で見送ってくださる。
「じゃあ、アンバー。明日また」
アンバーの頬にキスを落とす。
ヴァスキア様の前でもフリーは平気だった。だからアンバーにはいつものことだ。
でもお義母様は「あらあら」と、嬉しそうな困ったような複雑な表情をなさっていた。
遠ざかる馬車がだんだん小さくなって、夜の闇に消える。
「東の館、どうやらお客様のようね」
ちらりと東の方へ視線をやって、お義母様は薄く微笑んでおいでだ。
「わたくしは先に休みます。アンバーは好きになさい」
「はい、お義母様。おやすみなさいませ」
実は食事の間中、東へ向かったユーインをアンバーはずっと気にしていた。
まだ毒の抜けていないユーインに、東の館は危険すぎると思ったからだ。
お義母様の背中をお見送りして、アンバーは素早く玄関扉を開けて表に飛び出した。
付き添いはつけない。
おそらく誰かに見られていい現場ではない。簡単に想像がつくから。
小走りで五分ほどの距離に、古い石造りの館があった。
メンテナンスが行き届いていないらしく、壁のあちこちに苔が生えて雨や風の汚れがこびりついている。それでも十分すぎる広さと作りだ。少なくともアンバーが住んでいた官舎より、よほど立派だと思う。
その玄関のすぐ側に、騎士のものらしい馬が五頭ほど繋いであった。
(マクレーンの騎士のものじゃない?)
鞍についている紋章が違うのだ。マクレーン家のものではなかった。
(あれは……)
王都の騎士団のものだ。
嫌な予感がする。
騎士団が本館を訪ねてこない理由はひとつ。人目をはばかることだからだ。
その彼らが東の館にいるとなれば、エイミーが何かしでかしたにちがいない。
「だからわたしはなんにも知りませんって、さっきから言ってますよね?」
玄関扉の向こうから、高いヒステリックな声がした。
ああ、やはりだ。
母といいエイミーといい、アンバーの苦手な女はどうして同じような声を出すのだろう。
知らないうちに眉が寄り、嫌なため息が漏れる。だけど嫌だからといって、引き返すことはできない。
この嫌な声を浴びせかけられているユーインが、アンバーにはとても心配だ。
覚悟を決めて、扉を開けた。
「アンバー、なぜ来たんだ?」
すぐにユーインが飛んできて、アンバーの視界を自分の大きな身体で覆い隠す。
「お客様がおいでになっているようなので、気になって」
本館から見えたわけじゃないけど、「東のあたりが騒がしい」とお義母様は気づいておいでだった。だから嘘ではない。
……ということにしておく。
「私は王都第一騎士団長ディラン・アストファルガーと申します。お騒がせして申し訳ない」
浅黒い肌に黒い瞳が印象的な騎士団長は、短く刈り込んだ黒髪がいかにも武闘派っぽい。
年のころはおそらく三十少し前くらい。
ユーインと同じくらいの背丈に、がっしりした筋肉質の立派な身体をしている。
「アンバー・ケイシー・マクレーンでございます。アストファルガー様には、お初にお目にかかります」
第一騎士団長アストファルガー閣下のお名は、面識のなかったアンバーでも知っている。
王都には3つの騎士団があってそれぞれに騎士団長がいるけれど、最上位は第一騎士団長だ。だから騎士団として何かを決めなければならない時には、第一騎士団長が決裁書類にサインをする。
つまり今アンバーの目の前にいる騎士は、プレイリー王国で一番エラい騎士なのだ。
確か生家は侯爵家。次男なので別に家を興して、現在の爵位は子爵だと記憶している。
「夫人には一度、協力をお願いしたことがあります。憶えておいでか?」
笑うと目元に皺が幾筋か刻まれる。それが騎士団長のいかつい印象を和らげて、少し優しい感じにしてくれる。
「マクレーン辺境伯家あての通信についてです。誘拐事件の」
「はい。よく憶えております」
あの時アンバーは騎士団長の署名の入った許可状を見せられて、捜査に協力したのだ。
重大な犯罪に関わる事案なので、業務上知りえたことを余さず話してほしいという要請だった。
(あの時の誘拐事件の捜査でここに?)
思いついて、ああそうかもしれないと納得する。
エイミーの誘拐事件について、アンバーも変だとは思っていたのだ。
誘拐犯はとても重い罪に問われる。同じ危険を冒すのなら、使用人ではなく家族を狙うはずなのにと。
「あの時の犯人を捕らえたのですが、共犯者としてこちらの女性の名が挙がってきたんですよ」
語尾まではっきりした騎士団長の言葉は、聞いていて爽快だった。
きっとこの人は、嘘に最も遠い世界で生きているのだろうとアンバーは思う。
「だから違うって言ってるでしょう? わたしは被害者ですよ? どうしてそんなひどい言いがかりをつけるの?」
第一騎士団の屈強な騎士に、エイミーは腕をねじり上げられている。
相当痛いだろうに、赤毛を振り乱してきゃんきゃん威嚇し続けている。
「わたしはマクレーン辺境伯家の恩人よ? とても親しい関係なの。たかが騎士風情がわたしに手を上げるだなんて、ユーインが黙っていないわ」
(うわ! すごい、この毒女)
アンバーは怒るより、呆れた。
恩人とか、とても親しいとか、極めつけは「騎士風情」だ。
自分をどれだけ尊いと思っているのだろうか。自らを省みるとか、身の丈を知るとか、そういう言葉は彼女の辞書にはないのか。
(たぶんないんでしょうね)
前世の職場にも、同じようなのがいた。
他人のことをブスだとか頭が悪いとか言い散らす女。
じゃあ自分はどうなのかというと、縦は小さく百四十センチそこそこだ。反対に横は大きくて、推定体重九十キロ近くあったと思う。
頭が良いか悪いかは一概に言えないけれど、社内認定資格試験を連続で5回は落ちていた。
ああいう手合いは自分に限りなく甘い。
世界で一番美しいのはあなただと、そう言ってくれる魔法の鏡を心の中に持っているのかもしれない。
「たかが騎士風情の俺には、おまえを逮捕する権限がある。これ以上騒げばもう少し痛い目にあってもらうが?」
皮肉な笑いを唇の端にためて、アストファルガー騎士団長は低い声で静かに聞いた。
いや、聞いたなんて穏やかなものじゃない。脅しだ。
「この女には余罪があるかもしれません。ご当家に関わるデリケートな問題なので、できれば確証を得てからマクレーン閣下にお話ししたいのです。しかし少なくとも今回の誘拐事件については証拠が揃っていますので、このまま王都へ連行します」
騎士団長はユーインの方へ向き直り、淡々と説明する。
決定事項だ。そんな調子で。
「いやよ、ユーイン。わたしをこいつらに渡すの? 母さんを捨てたみたいにわたしのことも捨てるの? 誰が何を言っても、母さんやわたしだけはユーインを信じてたのに! そんなひどいこと、ユーインはしないわよね?」
腕をねじ上げられたエイミーは、涙ながらにユーインに訴える。
伝家の宝刀と、彼女が信じている「母さん」を連発して。
びくりとユーインの身体が震えるのを、エイミーは見逃さない。
「母さんは死ぬ間際までユーインが助けてくれるって信じてたのよ。あの女、子供もないのに辺境伯夫人の座にい続けたあの女がどんなに虐めても、母さんはいつも言ってた。ユーインが必ず助けてくれるって。でもユーインはこなかったよね? わたしは恨んでないよ? 仕方なかったんだって思ってる。 あの女に逆らえなかったんでしょ? でも今度は違うよね? ユーインは辺境伯なんだから」
たたみかけてくるエイミーの、耳を塞ぎたくなるほどの虚言と妄言に、アンバーの方が先にぷちんと弾けそうになる。
頬を叩いて黙らせてやりたかったけれど、それをしてはいけない。
もしアンバーがここで口を挟めば、ユーインの解毒は先送りになって、いつかまたエイミーに「母さん」を連発されて苦しむことになる。
心を鬼にして放っておかなくては……。
騎士団長相手に無理を通すようなら、ユーインはおしまいだ。
マクレーン辺境伯である資格を、自ら捨てることになる。
(でもいきなり自分で毒を断てと言われても、苦しいわよね)
いまだにハロウズの母の前で、手に冷たい汗をかくアンバーだ。
毒とわかっていても、長年毒に侵された身ですぐに強気に出ることは難しい。
だからユーインの震える指先にそっと手を伸ばす。
きゅっと握った。
(大丈夫だから。きっとできるから)
ぴくんとユーインの指先が反応して、少しずつ震えがおさまってゆく。
ふうと、ユーインは大きく息を吐いた。
「アストファルガー騎士団長、連れて行ってくれ。この女は我が家とは無縁の者だ。虚言、妄言を喚き散らすが、そのあたりご配慮いただければありがたい」
落ち着いたテノールの声は、いかにも辺境伯当主に相応しい謹厳なもので。
はっきりとエイミーの存在そのものを否定した。
133
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる