青春日記～禁断の恋だとしても、忘れられない日常を綴ります～

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３

「…もう…隼くんったら本当にずるい…」

俯いたまま昭恵さんが小さく呟いた。

「え？」

「っ！！近いっ！！」

「あ…ごめん…」

昭恵さんは真っ赤な顔のまま、体をサッと引くようにして僕から距離を取った。

僕は昭恵さんの声が聞こえなかったので、少し彼女に身を寄せたつもりだったが、自分で思ったよりも、その距離が近すぎたみたいだ。

「……っ私は…嬉しいけど嬉しくないよ…」

「え？」

「隼くんと話せることが。だって心臓持たないんだもん。」

「…そうなの？」

「うん。隼くんってさ、菜摘さんと付き合う前に誰かと付き合ったことある？」

「ないよ。菜摘さんが初めて。」

「じゃあ…兄弟に女の人多い？」

「うん…僕以外女の人だよ。姉が二人。」

「…やっぱり…」

「え、何が？」

昭恵さんは何かに納得したような顔で、今度は僕をじっと見つめている。

「隼くん、随分女の扱いに慣れてるなーと思ってたら…家族に女の人が多いなら納得よ。」

「え！？慣れてないよ！？むしろ、菜摘さんと付き合うまでは女子とほとんど話したことすらなかったし…」

「無自覚かあ～。これは恐ろしいわね。」

「？？？」

昭恵さんがずっと一人で何かに納得している一方、僕は彼女の言いたいことが何であるかを全く掴めないでいた。

その間も、昭恵さんは僕の全身を舐め回すようにジロジロと見ている。

「えーと…昭恵さんはさっきから何を言ってるの…？」

「隼くんってば、本当にどうしようもないくらい無自覚に女の子の扱いが上手くて、気づいたら自分を好きにさせてるタイプなんだから…！サラッと女子がドキッとすることも言えちゃうし。」

「い、言えないよ！?何そのイメージ…僕そんな女の子と話してないでしょ…？？」

「んもう、わかってないんだから…」

そう言って、昭恵さんは再び顔を下に向けてしばらく黙ってしまった。

僕は、昭恵さんにそんなイメージを持たれていたのかと驚いていた。

僕は菜摘さん以外の女子にはもちろん興味がない。

話すとしても、昭恵さんやクラスの数人の女子のみだ。

それなのに、なぜ僕が女子に慣れているイメージになっているのか…。