っておい

シロ

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三、調査は進行して・・・いない!?

3ー20、背中を見て

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 雲長がスタートウの玄劉の家に戻った後、玄劉宛に企業の裏帳簿が届けられていた。その直後資料に記してあった企業の会社が爆破されたとの情報が入り、そのすぐ後に女の声で電話がかかってきた。電話の女性はカッコイイ男の人に頼まれたからと言っていたそうだ。雲長の頼みは面倒なのばかりなので普段なら断っているのだが、今回は自分も彼に頼んでしまったため、断れなかった。他の協力者もそこにいる可能性が高い。シリュウ=子龍の方はかなりの人がシリュウの写真を見せて彼だと頷いた。
もう一つの結果は該当者なし。彼と仲がいい人は大勢、他学科他学年も含めると学校全員レベルに顔が知れていて、知らない人の方が少なかった。彼と特に親しかった人たちの話からすると、誰にでも人当たりがよく、先生方からも気に入られていたそうだ。彼が人から頼まれることは多々あったが、彼自身が人に頼むことはほとんどなく、頼まれたことがあるのは俺くらいだと親友だったと言った色男は自慢げに話した。
わかったことといえば、どうやら子龍は親友と名乗った男と違って女性との交際はほとんどなかったこと。それでもかなりもてていたらしく、未だに彼の死を悔やんでいる女子生徒も多かった。資料を運んでもらった女性もすぐに見つかった。女子生徒ではなく事務係の女性で、昨晩は父親の手術に付きっ切りで病院内にいたことがわかった。もちろん、電話をしてはいない。
「あいつらの話が確かならここ一ヶ月に彼のことを訊きに来たのは俺だけらしい。だが、電話の女は口からでまかせにしては尋ねた時に子龍の特徴を事細かに述べてたそうだ。どう考えても偶然見かけたんじゃなく、本人から直接頼まれた。もちろん、その女も共犯だろう。ただ、気になるのは受話器を取った直後に社長が聞いた声だ」
「若い女性の声、でござるな」
「該当する奴って言ったら小龍が偽名として使ってる井上 久美子本人だが、証拠がまるでねー。当の本人である可能性も他の奴の可能性もすてきれねーし、とりあえずわかってるのは女がいるってことぐらいか」
「その女性の声、サードのではないでござろうか。拙者ら彼女の生の声を聞いたわけではござらぬし」
「それも考えられるな。いや、寧ろそう考える方が自然か。変声期前の少年は女声優がやってることが多いらしいし。ともかく、タイラはもう一度子龍を尋ねてくれ」
「孟起はどうするのでござるか?」
「牛乳とパンは三時間目と四時間目の間の昼休みでこの学校の男子がよく早弁する組み合わせのようだからな。潜伏期間は約一時間半。早い奴ならそろそろ効果が現れる頃だろ」
直後、三階の窓ガラスが割れ、机がタイラのそばに落ちてきた。続いて絹を引き裂くような女子生徒の悲鳴。校舎内に走っていった孟起の背中を見てタイラは思った。
そういえば、彼一度もまともに授業を聞いてない、と。

                                 続く
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