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二、違いにご用心
2ー26、心底呆れた。
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夕闇がゆっくりと一番星を見せ始めたとき、慎司は孟起とタイラを町一番の病院に連れて来た。地方病院としては大きいほうだが、外から見てもこれといった特徴は見られない平凡な造りである。後ろから救急車がサイレンを鳴らして裏手に受かっていった。
「あの人たちは追ってきたりしていないか?」
「一寸待つでござる」
「誰もついてきてない。ったく、ここに来る道がら警戒しとけよ?バレたら不味いくらいわかってんだろ」
おまえ本当にあの試験に合格したのかと孟起は心底呆れた。
再会した時は昔の部隊長と副隊長の変化に驚いた。玄劉はずいぶん呑気になった。こっちは前からそうではないかと思っていたので、仰天することはなかった。戦争が無くなったからだろう。雲長のほうはずいぶんと、丸くなっていた。雲長たちと別れて数年し語ってないが、その間に彼らの性格をこうまで変貌させる何かが起こったんだろうか?
あまり知りたいとも思えない。それは、彼の息子が如実に語っている。
「・・・・・・」
落ち込んだタイラを引っ張って二人は病院内に入った。
「あら、黒崎さん。本当にマメね。早く目が覚めるといいのだけれど。後ろの人たちは・・・・・・随分毛色の変わったお友達ね」
受付のお姉さんと顔馴染みになるほど通っているらしい。慎司の性格を考えるとおそらく毎日。あの過去話といい、このことといい、慎司がそいつに入れ込んでいることは丸分かりだ。だが、毎日はちと不味いなと孟起は思った。今まで見つからなかったことが奇跡としか思えない。ここのことを察知されるのも時間の問題だろう。
「こいつのじゃなくて患者のだ」
「もっと意外。まぁいいでしょ。部屋は変わってないから慎司君が案内してくれるわ。あの子も友達が来てくれたのだからきっと喜ぶでしょう。時間はいつも通りでいいから。でも、病院内では静かにお願いしますよ」
またねと手を振る受付のお姉さんと別れると慎司の後を二人はついていった。顔馴染みは受付だけではなく、出会う看護士、先生、子供からお年寄りの患者まで全員が慎司に声をかけるのだから彼はこの病院でかなり良い印象をもたれている。
「あら、慎司君。相変わらず元気そうね」
「看護士長さんもお変わりなく。病状は?」
「脈拍、呼吸、脳波、共に正常です。ただ、相変わらず・・・・・・」
「そうですか。これからもあいつをよろしくお願いします」
一礼した慎司にもちろんですよと軽く肩を叩いて看護士長は去っていった。病院の雰囲気を好きな人は少ない。清潔だが、どこか死の臭いの漂う場所。患者はそれを敏感に感知する。精神的負担。それを乗り越えた奴が満足行く結果を残す。生であれ、死であれ。
慎司は通常の病室を通り抜け、関係者以外立ち入り禁止の扉を何の躊躇なく開けた。薄暗い通路をしばらく歩き、厳重に封印された扉の前で止まった。
続く
「あの人たちは追ってきたりしていないか?」
「一寸待つでござる」
「誰もついてきてない。ったく、ここに来る道がら警戒しとけよ?バレたら不味いくらいわかってんだろ」
おまえ本当にあの試験に合格したのかと孟起は心底呆れた。
再会した時は昔の部隊長と副隊長の変化に驚いた。玄劉はずいぶん呑気になった。こっちは前からそうではないかと思っていたので、仰天することはなかった。戦争が無くなったからだろう。雲長のほうはずいぶんと、丸くなっていた。雲長たちと別れて数年し語ってないが、その間に彼らの性格をこうまで変貌させる何かが起こったんだろうか?
あまり知りたいとも思えない。それは、彼の息子が如実に語っている。
「・・・・・・」
落ち込んだタイラを引っ張って二人は病院内に入った。
「あら、黒崎さん。本当にマメね。早く目が覚めるといいのだけれど。後ろの人たちは・・・・・・随分毛色の変わったお友達ね」
受付のお姉さんと顔馴染みになるほど通っているらしい。慎司の性格を考えるとおそらく毎日。あの過去話といい、このことといい、慎司がそいつに入れ込んでいることは丸分かりだ。だが、毎日はちと不味いなと孟起は思った。今まで見つからなかったことが奇跡としか思えない。ここのことを察知されるのも時間の問題だろう。
「こいつのじゃなくて患者のだ」
「もっと意外。まぁいいでしょ。部屋は変わってないから慎司君が案内してくれるわ。あの子も友達が来てくれたのだからきっと喜ぶでしょう。時間はいつも通りでいいから。でも、病院内では静かにお願いしますよ」
またねと手を振る受付のお姉さんと別れると慎司の後を二人はついていった。顔馴染みは受付だけではなく、出会う看護士、先生、子供からお年寄りの患者まで全員が慎司に声をかけるのだから彼はこの病院でかなり良い印象をもたれている。
「あら、慎司君。相変わらず元気そうね」
「看護士長さんもお変わりなく。病状は?」
「脈拍、呼吸、脳波、共に正常です。ただ、相変わらず・・・・・・」
「そうですか。これからもあいつをよろしくお願いします」
一礼した慎司にもちろんですよと軽く肩を叩いて看護士長は去っていった。病院の雰囲気を好きな人は少ない。清潔だが、どこか死の臭いの漂う場所。患者はそれを敏感に感知する。精神的負担。それを乗り越えた奴が満足行く結果を残す。生であれ、死であれ。
慎司は通常の病室を通り抜け、関係者以外立ち入り禁止の扉を何の躊躇なく開けた。薄暗い通路をしばらく歩き、厳重に封印された扉の前で止まった。
続く
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