GAKU~神様に想像魔法というチートスキルを貰ったけど俺より強い奴が山ほどいた~

ゆりぞう

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回想

強敵との死闘

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 扉を開けると薄暗い道が続き、奥の方から微かに明かりが見える。



 ガクは明かりの方へ歩いていくと広い空間にでた。円形状の広場の周りを高い壁で覆われ、まるで籠の中に捕らわれた鳥のような感覚を覚える。



 壁の奥には数千人が座れるほどの観客席があり、今は誰も座っていないせいか少し寂し気な空気が流れていた。ガクはこの広い空間に見覚えがあった。



「コロッセオ・・・。」



 ガクも実際に見たことは無かったが、学校の授業で教科書に載っていたので知っていた。



 辺りの壁には黒くなってしまっている血痕や、地面に骸骨が横たわり心臓に一突きしたであろう剣が地面に突き刺さっている。いつものガクなら骸骨に近づき、「ただの屍のようだ。」とか軽口を言いそうだが、そんな余裕はガクには無かった。無論この散らばっている骨などが本物ではなくダンジョンが作り出した只のオブジェクトだと分かってはいる、分かっているのだが、ガクの表情にはいつもの余裕はなく真剣そのものだ。



 この闘技場で数多の奴隷や動物が命を賭して戦い死んでいった・・・まるで死者の怨念が渦巻いているような異様な雰囲気にガクは吞まれているのではない。辺りは不自然な程静まっているせいもあるのだろうが、1つの足音がやけに響き渡っていた。



 もちろんその足音はガクやウィリアムのものではなく、ガクの対面にある通路の奥から響いてきていた。



 まだ姿は見えないがその者が発しているだろう殺気がガクの肌に突き刺さるような感覚があった。




 この感覚、今までで1番の強敵だな・・・明らかに俺より強い。



 コツコツという足音が徐々にガクがいる闘技場に近づいていた。薄暗い通路から出てきたその魔物を見てすかさずガクは鑑定を行った。





【名前】 【スパルタクス(デュラハン)】A+

【年齢】  ?

【種族】  アンデッド

【体力】  B

【攻撃】  A

【防御】  A

【魔力】  C

【素早さ】 A

【運】   B

【固有スキル】 ???



 ネームドのデュラハン。

 生前は持ち前の剣術センスで数多の強豪を地べたに這いつくばらせてきた反乱軍の英雄。

 アンデッドになった現在も剣術の腕は衰えておらず、むしろ人間だった頃より凶悪になっている。

 基本的に光魔法に弱いアンデッドだが、このデュラハンにも当てはまるかどうかは分からない。



 今までで最高ランクの魔物かよ・・・しかもネームドとか勘弁してくれよ・・・。これは腹括るしかねぇか。



 スパルタクスは闘技場の中央に進みでると優雅に騎士の礼を取った後剣を構えた。



 全身禍々しい深い闇に吸い込まれそうな漆黒の鎧に右手にはロングソードに左手に円形の盾、その構えからは全く隙が見当たらない。




 死地にこそ活路あり・・・聞いた時は何言ってんだ?とか思ってたけど、今がまさにその状況だな・・・隙がないなら無理やりにでも作ってやる!!



 瞬時に相手に飛び込み上段からの振り下ろしをするが、スパルタクスは盾の表面で剣先を滑らせ、身体が泳いでしまったガクを追撃するように剣を横一文字に一閃。



 ガクは泳いだ身体に逆らわずにスパルタクスの横一文字をしゃがみ込みながら回避をすると、がら空きになったスパルタクスの右脇腹に振り向きながら一撃を加えた。



 相手の鎧には浅く傷が付いているだけでさほどダメージを受けている様子はない。それでもガクはスパルタクスと剣で打ち合い続けた。




 なぜ魔法を使わない?と思うかもしれないが、これはガクなりの意地だろう。



 ウィリアムがガクに剣術を教えてくれた、言わば剣の師匠だ。このダンジョン最後の試験で人型の・・・それも剣術を得意とする魔物が相手だったのだ。自分がどれだけ剣術で戦えるのかそれを確認すると同時に、ウィリアムに自分の成長を見てほしかったのだろう。




 最初こそスパルタクスは型にはまらないガクの野性味溢れる動きや剣術に戸惑っていたようだが、ガクの動きにも徐々に慣れ、ガクの動きを捉えてきていた。



 一進一退の攻防が続いていたが、少しづつガクの身体に傷が増えていく。どれも浅い傷でしかないが、いつ致命的なケガを受けてもおかしくはない状況だった。



 ガクの身体は傷だらけであるのに対して、スパルタクスは鎧に傷こそついているものの、ダメージを受けてないように見える。誰が見てもガクが劣勢なのは明らかだった。



 スパルタクスは肩を僅かに動かしたり、重心の位置を変えたりと様々なフェイントを巧みに使いガクを翻弄している。次第にスパルタクスの攻撃に対応できなくなり、シールドバッシュによりガクは大きく吹き飛ばされてしまった。避けれないと感じたガクは自信が後ろに飛ぶことによりダメージを最小限に留めていた。



 すぐに体制を整えたが、スパルタクスの追撃はない。ガクが立ち上がり向かってくるのを待っているようだ。






 悔しいけど剣の腕はあっちの方が数段上だな・・・結局、初撃しかまともに攻撃を当てれなかったな。



 舐めてたわけじゃねぇけど、ここからは全力で行かないとやられるな。



 ガクの魔力の高まりにスパルタクスは反応したかと思うと、何かを唱え始めた。すると巨大な魔法陣が出現し、眩い光と共に骨の馬に跨るスパルタクスが現れた。




 先程まではロングソードと盾を持っていたが、今は骨の馬の上でハルバードを両手に持っていた。




 さっきまでは俺に合わせてたってことか・・・・舐めやがって・・・【インフェルノ】



 巨大な火柱が骨の馬に乗ったスパルタクスを包み込む。しかし、ハルバードで切り裂きながら炎の壁を突破しハルバードを掬い上げるようにガクに迫ってきている。



 ハルバードを横に回避しスパルタクスを見ると、先程のインフェルノで鎧は真っ赤に染まり融解しつつあり、骨の馬も光の粒になって消えていった。



 それでもスパルタクスは諦めておらず、ハルバードを構えながらガクに突進してくる。



 ガクは剣に光の魔法を纏わせ、横なぎをしてきたハルバードをバックステップで躱し、最後はスパルタクスを光の魔力が籠った剣で真っ二つにし最後の試験は終了した。



 光の粒になりながら消えていく姿をスパルタクスがしていた騎士の礼をしながら見送っているとなんだかスパルタクスが微笑んでいるように感じた。




 魔力量が増え、今回の戦闘で魔力をそこまで消費こそしなかったが、極限状態での戦闘ということもあり疲労感が今までと比べると段違いだったようで、ガクは仰向けに倒れ込んだ。



「格上の騎士相手に身体強化も使わないで挑んだ時は儂の寿命が縮むかと思ったわい。剣を持ち始めて数か月でここまでの相手と渡り合えるとは思ってもみんかったぞ?」



「・・・ウィル爺に寿命なんてものがあるのか少し疑問があるんだが?けど、もう少しいい勝負ができると思ったんだけどなぁ・・・でも、少しは自分に自信が付いたよ。ありがとうな。」



「・・・儂はガクに剣術を教えたが、それはガクを剣士や騎士にしたくて教えたわけではないぞ?剣に拘るなとは言わんが、ガクの強みは魔法じゃろう?それを使わんで生き残って行けるほど外の世界は甘くはないぞ?魔法を極め、剣術も極める。まだまだ先は果てしなく長いじゃろうがその2つを極めることがこれからの目標じゃな。ほれ、いつまでも寝てないでさっさと立たんか。」




 なんか前もこんな事があったような・・・さてと、おぉ!?金箱だ!!



 今の今までぐったりとしていたガクだったが報酬が金箱だと分かると、もの凄い勢いで金箱に走って近づいて行った。ウィリアムは子供のようにはしゃぐガクの後ろ姿をまるで孫でも見るかのように穏やかな表情で見つめていた。




 はやる気持ちを抑えつつ、しっかりと鑑定をして罠が仕掛けられていない事を確認したガクは早速中身を確認した。



 中には淡く輝く虹色の球体が1つだけ入っていた。




「・・・・は?これだけ?」




 いやいや・・・金箱だぞ?よく見ると神々しく輝いてるじゃねーか。きっとすごい物に違いない・・・とりあえず鑑定でもしてみるか。



【ジェフティのオーブ】



 魔法に精通しており、特に魔術を用いて物を作るのが得意な、別の星の神の一人。

 ジェフティの力が宿ったオーブには【魔道具製作】のスキルが込められている。




 ・・・これはすごいんだろうか?とりあえず使ってみるか・・・これどうやって使うんだ?



 ガクがオーブを手にした途端、オーブの光がガクの額に吸い込まれて行き、【魔道具製作】について必要な知識などが全て頭に入ってきた。そしてオーブは光が失われると粉々に砕け散った。



 膨大な量の知識が頭に入ってきた為、頭が割れたかのような痛みが走り1人で悶絶していた。



「がっかりしたかと思えば今度は一人で転げ回って・・・一体何をしておるのじゃ?」



 呆れながら話しかけてきたウィリアムにガクはすぐに事情を説明しようとしたが、事情を説明できたのはそれから数分程経ち頭痛が治まってからだった。
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