GAKU~神様に想像魔法というチートスキルを貰ったけど俺より強い奴が山ほどいた~

ゆりぞう

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2章 魔の大陸攻略編

日頃の恨みを果たす時

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「あいつのせいで体力的に疲れたというより、精神的に疲れたな・・・ストーカー恐るべし。」


 今日でダンジョン入って5日・・・。今が32階層だから、まだ半分以下か。ストーカーの相手してたから少し遅れ気味だな。さすがに40階層にある、トレントの森で酒なんて取る時間はなさそうだな。

 41階層からは今みたいなペースでは進めないだろうし、少し急ぐか。アスラには2,3か月って約束だったから、さすがに遅れるのは申し訳ないというか、追加報酬を強請られるのは目に見えてるからな。それは流石に回避したい・・・。




 その翌日にはガクは41階層に到着していた。

 41階層から50階層までは洞窟型になるのだが、そこからが少々厄介なのだ。道を進んで行って階層を見つけ下の階層に降りる、というような構造ではなく、41階層からは降りるとまず転移の魔法陣が設置された小部屋があり、転移をしていって下の階層に続く道を見つける。

 これだけならこの階層を何度も通って来ているガクなら、転移先のルートさえ覚えてしまえば楽だと思うだろう。実際ガクもそう思っていた。

 マップ機能を使い、自分がどこに飛ばされたか苦労しながらも丁寧に記録した。これならば次からは楽が出来るとそう信じて・・・それが間違いだと分かったのは少し経ってからの事である。

 転移された場所には必ずしも魔物がいるわけではなく、宝箱が置いてあったり何もない部屋だったり様々だが、共通しているのは転移の魔法陣が部屋の角に2つある事だった。

 最初は左の魔法陣に乗り転移先のマップを埋めていった。しかし、何度目かの転移で1つ前に転移した部屋に戻ってしまったのだ。こういう事もあるんだなと思っていたガクだが、同じように左の魔法陣に乗ると全く別な場所に飛ばされたのだ。

 ここでガクはようやく気付いた。この転移の魔法陣は行き先固定の魔法陣ではなく、ランダムに転移先が決まるのだと。その事に気付いたガクは膝から崩れ落ちた。

 つまり、運が良ければ1回の転移で下の階層に続く部屋に行ける事もあるが、逆に運が悪いと一生この階層から抜け出せなくなってしまう鬼畜な仕様となっていた。

 41階層から先は運ある者のみが先に進むことが出来る、ギャンブル的要素を含む階層なのだ。


 ガクのステータス上の【運】はC+。魔の大陸に来て4年近く経つが、ほとんど上がっていない。それは何故なのか。単純に【運】のステータスを上げる事の出来る魔石がランクの低い魔物からしか取れないからだ。

 必然的に魔力量の少ない魔石を吸収した所でステータスの上昇には期待できない。例えば、ステータスをFからEに上げる為にCランクの魔石が10個必要だとしよう。しかし、EからDに上げるにはCランクの魔石100個以上は必要になる。

 ステータスが上がれば上がる程、必要な魔石の量が増えていくので中々ステータスが上がらないのだ。

 それはガクだけではなく、この世界に住んでいる人間達にも適用される。魔石を吸収しステータスを上げる事が出来るのはガクだけだ。他の人間達は魔力を多く含んだ物を食べる事、もしくは日々に鍛錬によってしか強くはなっていかない。

 中央大陸に生息している魔物の最高ランクはB。それも滅多に現れる事はないので、中央大陸に住む冒険者のステータスは低いままなのだ。

 ちなみに、以前魔の大陸に入り込んだ2人組のブァナルとアルスだが【運】以外のステータスはオールEだが【運】はSSS。彼らが何故このように運が良いのかは分かっていないが、きっと彼らなら1回の転移で下の階層に行く事が出来るだろう。


「ここからは俺の運次第だな・・・記念すべき1発目の転移・・・頼むぞッ!!」

 気合十分に転移をするガクだが、行きついた先は・・・



「うわッ・・・・1発目からこいつかよ・・・。」


 ガクが転移した部屋の中央には見慣れた姿の者が立っていた。砂色のフードが付いたコートを羽織り、腰には2本の曲刀、ここにいるはずのないスーの姿があった。

 勿論、そこに居るのはスー本人ではない。最初にこの魔物に会った時はガクも驚愕した。なんせ何処からどう見てもスー本人にしか見えないからだ。

幻惑の影ダズルシャドー B  】それがスーに化けている魔物の名だ。この魔物は対峙した相手の心の中を覗き、最も印象が強い者の姿になり襲い掛かって来る。

 今回は、というか幻惑の影ダズルシャドーに会うたびにスーの姿をして出てくるのだが、普通なら自分の家族や大切な人の姿となり出てくるだろう。

 いくら魔物と分かっていても自分の大切な人に刃を向けることが出来るだろうか。必ず躊躇はするだろう。この魔物は相手の隙をついて攻撃を仕掛けてくるのだから、厄介極まりない。

 しかし、普通ではないガクにそれは当てはまらなかった。



「俺はなんて運が良いんだッ!魔物とはいえ姿形はスーだからな・・・俺の、いやアピスとガズールの分も含めた、日頃の恨みを晴らさせてもらおうか。」

 スーの姿をした魔物に不敵な笑みを浮かべ、指をポキッと鳴らしながらゆっくりと近づいていく。


「アピスが作っていた干し肉に勝手に虫ソースを塗りたくった分ッ!!」

 ガクの右ストレートがスーの顔面を捉え吹っ飛んでいく。しかし、体制を整え2本の曲刀を巧みに操りながらガクに切りかかってくる。

「そして・・・これはッ!!ガズールが大事にチビチビと飲んでいた酒を虫の幼虫漬けにした分だッ!!」

 スーの攻撃を華麗に避け、カウンター気味に掬い上げるようなアッパーで天井付近まで飛ばす。

「最後にこれはッ!!俺の夢のマイホームの一室をコロガリバッタの養殖場にした怒りだッ!!」

 重力に従って落ちて来たスーに、この日一番のガクの怒りの右ストレートがスーに直撃し、壁にもの凄い勢いでぶつかり、魔石を残し黒い霧となって消えていった。

 理不尽にも日頃の恨みを一身に受けた幻惑の影ダズルシャドー。戦闘を終えたガクはスッキリした表情をしていたという。
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