GAKU~神様に想像魔法というチートスキルを貰ったけど俺より強い奴が山ほどいた~

ゆりぞう

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2章 魔の大陸攻略編

領主との面会(2)

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 ルーシェルトが思っていた以上の出来事に暫く言葉を発することは出来なかった。もし話していた相手がガズールではなかったら到底信じられる話ではなかったからだ。この星が爆発してしまうなどど、頭のおかしい奴がいう事だと一蹴できたらどんなに良かった事だろう。

 しかし、長年の付き合いからガズールがそんな嘘をつくはずがないと断言出来た。とりあえず、自分が黙っていては話が進まないのでルーシェルトは一旦その事は頭の隅に置いて、話を進める。

「リンが魔の大陸に行った理由と、そこでガズールにも会えたというのは分かった。では、そのガクと言ったか?その者が神の使徒・・・アステリア様の使徒という事なのか?」

「いや、神の使徒かどうかは知らん。神によって別の世界から連れて来られたらしいぞ?」

 この中央大陸でも神アステリアとして、首都バラスキアに神殿がある。しかし、以前は各大陸には大神殿が存在し、立派なアステリアの像があったのだが、現在に伝わっているのはアステリアという神の名前のみで姿などは書物の記録に残っていないのだ。

 そのような事もあり神殿自体も小規模であり、神のお告げを聞ける巫女の一族もこの大陸に逃げ込んだ時には全滅しており、もはや神というのが本当にいるのかさえ人々は分かっては居なかった。

 勿論、ルーシェルトも名前こそ辛うじて知っている程度で、神の事をガズールから聞いたとしても半信半疑だった。

「ガクという者がそう言っているというだけで確証などはないという事か・・・。一度会って話をしてみなければいけないな。その者がこちらに来るという事はないのか?」

「来たそうにはしてたぞ?ただあいつにはやる事があるからな・・・忙しくて来れないんじゃねぇか?」

「・・・そうか。部下には話を通しておくから、もし来る事があるのならばここに連れてきてくれるか?・・・次はリンの弟の事だな。結論から言うと首都に行かせるわけにはいかん。」

「えッ?!な、なんでですか?!せっかく弟を助けれるかもしれないのに・・・。」

「待て。まだ話は終わってないぞ?アピス殿を連れて首都に行くことが出来ない、という事だ。リンかガズールが首都に行き、ここに弟を連れてくるのが最善だろう。・・・いや、ガズールは行かない方が良さそうだな。英雄ガズールが生きていたとなれば、騒ぎが大きくなりすぎるからな。」

「という事は、リンが首都に1人で行って診療所に預けているカイを引き取りに行けばいいんだな?リン、分かってると思うが他の目がある所で吸魔石を使うなよ?今まで絶対に治らなかった病気が治るんだぞ?下手したらここに戻ってこれなくなるからな。」

 今まで原因不明で治らない病気が治ったのを診療所の職員に目撃されてしまったら、きっとリンは追及を受ける事になる。そうなればすぐに城塞都市に戻ってくることはできないだろう。そんな事に全く気付いていなかったリンは頭を縦に大きく振って誤魔化していた。

「そうだな・・・診療所の職員には魔の大陸に行った事も一応隠しておけ。余っている神草を強請られるのも面倒だろうからな。私の名を出し、優秀な医者が見つかったとでも言っておけば追及をされることはあるまい。明日、私の馬車を貸し出すからその中で吸魔石とやらを弟に使うのだぞ?」

「はい。何から何までありがとうございます。」

「とりあえずは良いな。・・・アピス殿もせっかく観光に来たのに外に出してやれなくて済まぬ。申し訳ないがこの別館の中で過ごして頂きたい。何かあればここに居る私の部下に言ってくれ。」

『分かりました。残念ですがしょうがないですね。リンさんが戻ってくるまでお世話になります。』


 その後は解散をし、それぞれが部屋でゆっくりと休んでいた。しかし、ルーシェルトは未だ休むことが出来ずにいた。


 今日の話を長老達に話さないわけにはいかないだろうな・・・。しかし、まだガズールの話が本当かどうかは分からぬ。それに、このような話を他の者が信じるとは到底思えぬしな。一応長老達の耳にはいれておくか・・・。



 中央大陸には様々な種族が住んでいる。鍛冶が得意なドワーフ、長命種族として知られるエルフ、戦闘能力が高い獣人、大きく分けて4種が共存している。

 それぞれの種族の長が首都に集まり、4人で政治などを行っている。それによってこの中央大陸は回っている。

 元々このように民主主義のような形態ではなく、当初は国王と呼ばれる者がいた。この中央大陸に人類の生き残りを引き連れて来たのが初代国王であり、そして中央大陸の歴史上最後の国王でもある。

 初代国王は人間だった。人間の良い面も勿論知っているし、愚かな面も知っている。時が経つに連れ、人間の愚かな面が浮き出て来た。それが種族差別である。

 人間は数は多いが身体能力は他の種族の中では1番低いので他の種族を脅威に感じたのであろう。人間こそ1番!!そんな思想を掲げる愚かな者が現れて来た。

 初代国王は嘆いた。この大陸に逃げて来た当初は種族の垣根など存在せず互いに助け合い生きて来たのに・・・自分たちにとっての共通魔物の脅威が無くなるとこんなにも仲間を差別するのかと・・・。


 そこで初代国王は考えた。自分が、数が多い人間が王などをやっているからじゃないのか?このままではいけない。きっと近い未来、人間が他種族を滅ぼす時が来ると。それから初代国王は自身の生涯をかけ、現在のいわゆる民主主義のような形態にしていったのだという。




 翌朝になりリンはルーシェルトから馬車と少数の護衛を用意してもらい、首都バラスキアに向かった。

 しかし、領主の館では思わぬ問題が起こっていた。

「暇だな・・・なんもやる事がねぇ・・・よし!!アピス、模擬戦するぞ。」

『流石にそれはまずいんじゃないですか?昨日ルーシェルトさんに大人しくしていろと言われたばかりですよ?』

「だからってリンが帰ってくるまでこの部屋に居ろってか?アピスは本当にそれでいいのか?」

『それは・・・出来るならやっぱり町の観光とかしてみたいですよ?でも、僕が町に出たら人間を怖がらせてしまうのも理解できますし・・・。』

「ウジウジしやがって・・・それでも男か?そのぶら下げてるでっかいのはただの飾りなのか?俺に名案がある。ちょっとここで待ってろ。

 そう言い残し部屋から出ると、部屋の前に居る騎士になにやら話をしている。数分程騎士と話した後、部屋に戻ってきたガズールは少年のような笑みでアピスに親指を立てた。




 1時間後、騎士達の訓練場にガズールと全身フルプレートにバトルアックスを持った2メートルを超す巨体の騎士?が居た。

「中々似合ってるじゃねぇか。これならアピスが魔物って事はバレないな。」

 ガズールは部屋の前に居た騎士にアピスに着させるためにフルプレートアーマーがあるか尋ねていた。当然、その場に居た騎士では判断がつかず、領主であるルーシェルトに話がいった。

 あまりにも早すぎるガズールの我が儘にルーシェルトは頭を抱えた。しかし、ここでガズールを我慢させようなものなら爆発した時にどのような事になるか予想が出来なかった為、全身が隠れる事、訓練場から出ない事を条件にフルプレートアーマーの貸し出しを許可したのだった。

『そうでしょうか・・・僕がフルプレートアーマーを着るなんてなんだかウィリアム様になった気分です。』

「ガクの師匠だっけか?俺もいつかは手合わせしてみてぇな・・・よしッ!!アピス、昨日はあんまり全力で出来なかったからな、ここなら広いし思う存分やるぞ。」

 2人の戦いは凄まじく、次第に演習場には騎士達が集まり2人の戦いに見とれていた。そのような熱い戦いを見せられて黙っているほど、城塞都市に居る騎士たちは大人しくない。

 2人に指南してもらうべく騎士達は挑み、そして散っていった。その日の演習場には2人にボコボコにされた騎士達の姿で溢れかえっていたという。
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