BUZZER OF YOUTH

第3章 最初で最後の国体

第158話 熾烈な競争

国体選考（1日目）は残すところ、それぞれのチームでの試合を残すのみ。











まず最初にミニゲームを行ったのはA対B。







バシッ！！








桐神・米田と賢のジャンプボールは身長に勝る賢が競り勝つ。





だが。











ズザァッ！！！








弾いたボールはBチーム・長谷川（兄）が倒れ込みながらキープ。







長谷川、慎太郎へパス。







慎太郎「ナイス長谷川さん」






長谷川（兄）「おう」








慎太郎「よし！1本！」








残るBチームの慶鵬・神指、湘洋・徳山、米田がオフェンスに向かう。








竹前「ディフェンス！マーク確認！」




竹前「中山オッケー！」


相模・北田「長谷川！」


相模・阿部「神指オッケー！」


織田「徳山さんオッケー！」


賢「米田さん！」









トップで慎太郎がボールを持ち、竹前がそれをガードする。






ボールキープする慎太郎と、プレッシャーをかける竹前。






慎太郎（思いの外隙がないな…湘洋の平井さんや洛阪の塚森さんとやってるみたいだ…）



竹前（プレッシャーなんてないかの如く落ち着いてやがる…これがルーキーなのかよ）













神指「ヘイ！」









ビッ！！










神指がマークを振り切ったのを見て慎太郎はパスを出す。







神指、1オン1を構えるも…










バチィッ！！








神指「!?」









マッチアップの阿部がボールを弾く。








賢「おお…」
（何処に隙があったんだろう…？）










ボールは北田が拾う。









北田「走れ！！」








だが…










バチッ！










北田「!?」








慎太郎「油断大敵！」







北田「くっ…」









慎太郎がボールを弾く。








北田、辛うじてボールはキープしたもののこれにより速攻は失敗。








慎太郎（全国制覇するなら、こんなとこでつまづいてる訳にはいかねえんだ！）














新城「両チーム最初から火花バチバチだな」





長崎「全員がライバルだからな、俺だって北条がいようと3番スモールフォワードのポジションは簡単には渡さねえよ？
お前も、チームでキャプテンだからって中山にスタメン奪われかねねえよ？それに他チームのガード…平井や竹前だっているんだ」



新城「愚問だな長崎。慎太郎の強みも弱みもよく知ってる。遅れを取るつもりは更々ねえよ…誰にもな」







試合するチームが入れ替わっても、その空気は同じ。





本戦メンバーに生き残る為、それぞれが持ち味を発揮する。







そしてそれぞれのチームが対戦チームを入れ替えて数試合をこなし、この日の日程は終わる。












-練習終了後の控え室-







唐沢、白石、原、宮藤の4監督が協議している。







唐沢「では、各ポジションでほぼ当確なのは以下の通りで」




白石「そうですね」











そこには、各選手のある程度の情報が書き込まれている。






・1番ポイントカード


新城 敦史（星垓3年）184㎝

攻守のバランスが良く、状況判断に長ける。速いトランジションゲーム、スローなハーフコートゲーム両方に対応できるサイズと技術スキルがある。


平井 圭太郎（湘洋大付属3年）181㎝

オフェンスでは球ボール離れが良く、所属チームの特色的にハーフコートゲームが得意。ディフェンス力の高さで相手の勢いを削ぐ役割を果たせる。




・2番シューティングガード


櫻田 祥人（桐神学園1年）184㎝

シュータータイプだがオールラウンドに得点を量産できるオフェンスマシーン。フィジカルは強くないが守備力も一定以上あり1年生ながら主力を任せられる。


真田 直斗（星垓2年）183㎝

オフェンスでの得点はほとんどがマークを外してのスポットアップスリー。神奈川では貴重な3＆Dタイプ。小柄だが全国では大型フォワードをもマークできるフィジカルのタフさを証明した。


長谷川 卓司（法帝大三3年）183㎝

他の2人と比べて尖った武器はないが、経験と老獪さを武器に相手の隙を見逃さない。ポイントカードやスモールフォワードでの起用も可能な為汎用性が高い。



・3番スモールフォワード


北条 涼真（星垓1年）188㎝

1年生ながら攻守で超一流。勝負強い為ここぞの場面で真価を発揮する。文句なくチームのエースとして主力を担う。


長崎 健正（桐神学園3年）185㎝

櫻田が同じチームで目立たないものの、オフェンス能力で言えば北条にも匹敵する点取り屋。ディフェンスでは劣るが櫻田との相性も良く裏方にも回れるバランサーでもある。


阿部 理人（東裁大相模3年）185㎝

長崎とは対照的にディフェンス力が売り。北条にも劣らぬそのディフェンス力とシューティングガードを務められる、ペリメータディフェンスの切り札。




・4番パワーフォワード


徳山 勝美（湘洋大付属3年）192㎝

フォワードの両ポジションを兼務できる2ウェイプレイヤー。選手としての完成度は高く、リバウンド力もセンターと張り合う程。


織田 雄太（湘洋大付属1年）196㎝

徳山と同じく両フォワードを務められる。外からはあまり打たないものの、ポストからのドライブの切れ味とフィジカルの強さは一級品。テクニックならば徳山以上の物を持っている。センター並の体格も魅力。



5番センター

髙木 悠介（星垓3年）198㎝

純粋なセンターとしても強いが器用さとテクニックはフォワードそのもの。ビッグラインナップではパワーフォワードを務める場面も想定できる。


中西 岳（湘洋大付属3年）201㎝

現状、神奈川で唯一の2メートルオーバー選手。髙木がオフェンスの軸ならばこちらはディフェンスの軸。ブロックが得意でありリムプロテクト能力は県内No.1。


梅村 聡紀（東裁大相模1年）195㎝

荒削りだが機動力はガード並。オフェンスディフェンスどちらでも活躍できる身体能力を持っている。精神的にも成長しており泥臭いプレイも積極的にする。









原「以上の13人は当確として…あと2人ですね」




宮藤「かと言って層は既に厚い。補強の必要があるポジションはほとんどない」




白石「強いて言うならポイントカードとパワーフォワードはまだ2人、入れるならそこだが…」






唐沢「……」






白石「唐沢先生、ヘッドコーチは貴方です。何か考えはありますでしょうか？」










唐沢「ええ」


















-翌日の練習の合間、選手サイド-





2日目も同じような日程で練習。


今はその、休憩時間。





1年生同士は前から知った仲なのもあり、すっかり気軽に話すようになっている。






涼真「毎日練習からバチバチだなホント」





梅村「上級生下級生関係なく生き残りに必死だからな」




慎太郎「メンバー、今日発表だろ？どうなるんだろ」




櫻田「もうほぼ軸になるメンバーは決まったみたいだけどね、宮藤先生のとこ行った時見せてはもらえなかったけどメンバー表ほぼ埋まってるみたいだし」





織田「しかし…どこの選手も鍛えてきてるな…楽な相手なんていなかったぜほんと」




田口「ああ、特にあの星垓の2年の…」





涼真「神崎先輩か？」





田口「そうそう、背はそうでもないけどディフェンスのプレッシャーが凄かった…夏見た時とは雲泥の差だ」






慎太郎「俺は村越先輩がスリー打ってきたのに1番ビビったわ…あの人インサイドだろ？」




織田「なんとなくわかるけどな。インサイドには梅村がいる。だったらそこからパスアウトでスリーを打てる選手が1人増えるだけでチームはより強力になる」






梅村「なるほど…」






櫻田「お前わかってなかったのかよ…」






慎太郎「法帝の竹前先輩もディフェンスに磨きがかかってたし…」



長谷川（弟）「そりゃディフェンス力でスタメンになった人だからな。あとここだけの話…めっちゃ性格は悪いんだあの人。
人が嫌がることさせたら誰も勝てない」




慎太郎「確かに…いやらしいディフェンスだったし当たりも強かったしな、ラフプレイギリギリの場面もあったし」




梅村「ポイントカードなら今野先輩も負けてねえぜ？なんたって今年のインターハイ予選のアシスト王だからな
でも、どうせならここに椿や岸も呼んで貰えればよかったのにって思っちまう」





櫻田「新海もな。でもそれじゃどう考えたってガードが過剰だ」






織田「俺は山本はいなくてよかったと思う。煩うるさいし」





長谷川（弟）「チームメイトへの扱いが酷い…」






涼真「発表が待ち遠しいな」
（唐沢先生はどんな基準で選考するのかな）











そして、熾烈な国体選考が終わり









次回、いよいよ本戦出場メンバーの発表。














……To be continued