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冒険者ギルド

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「すみません~。」


 俺は冒険者ギルドの中に入って声を掛ける。


「ん? 何だオマエ。見ない顔だな。」


 胸に金属製の胸当てを着けた坊主頭の大男が声を掛けてくる。
 鍛えているのだろう。腕の太さはまるで木の幹みたいだった。
 腰には長剣を差し、顔には無数の古傷があった。


「えっと、昨日この街に来た者で仕事を探してここに来ました。」

「冒険者になりに来たって事か。それにしては体が貧弱そうだな・・・しかも歳も大分いってそうだ。普通、その歳で冒険者になるヤツはいないぜ?」

「そうなんですか? 」

「まぁな。冒険者ってのは過酷な場所にも行くし、強い魔物とも戦ったりもする。体が良く動く若い内からガッポリ稼いで歳を取ったらその財産で楽しく暮らすのがセオリーだな。兄ちゃんみたいなヤツが今から冒険者を始めるのは厳しいと思うぜ?」

「そうですか・・・しかし手持ちも無いので急いで稼がないとなんです。」

「格好も変だし訳アリみたいだな?俺はポド、Bランク冒険者だ。兄ちゃん名前は?」

「俺の名前は明日野 悠士です。」

「ん? アスノって変わった名前だな。 ユージって名字の貴族なんていたかな・・・」

「あっ、名前が悠士で名字が明日野です。」

「そうなのか。しかし名字持ちって事は兄ちゃん貴族だったんだな。貴族様も冒険者になるとは世も末だな。廃嫡でもされて家でも出されたか?」

「いえいえ、貴族ではないです。俺の故郷では貴族じゃなくても全員名字が持てるんですよ。」

「へぇー変わった所なんだな。こっちじゃ貴族以外は名字なんて持てないからな。」

「そうなんですかぁ。事情があって故郷からいきなりコチラに来るハメになってしまったので・・・今日の宿代も無いのです。」

「はぁー。しょうがねぇなぁ・・・冒険者なんて楽な仕事ばっかじゃねぇぞ。 ほれ、あそこのカウンターで登録できるから行きな。」

「ありがとうございます。」


 俺はポドさんにお礼を言ってカウンターへと向かった。


「いらっしゃいませ。本日はどのような御用件でしょうか?」


 受付にいたのは若い金色の長髪をした綺麗なお姉さんだった。


「すみません。冒険者になりたいんですが・・・」

「はい。冒険者のシステムはご存知でしょうか?」

「いえ、知らないです。」

「では説明をさせていただきますね。まず冒険者にはランクがありS・A・B・C・D・Eとなります。Eからスタートし、Sが最高となります。依頼ももランクがあり、Eランクから自分の1ランク上まで受注可能となります。一定数依頼をこなすとランクアップ致します。依頼のランクが高いものほど自分のランクアップがしやすいですが依頼を失敗するとペナルティが発生するのでお気をつけ下さい。勿論、命を落としたりもするので依頼は慎重に受けるようにお願いします。」

「はい、分かりました。」


 自分の身の丈にあった依頼を受けないと簡単に死んでしまいそうだな・・・まぁ、普通に暮らせればいいから特にランクアップは目指したりしないけどね。


「それではこちらに名前を記入して下さい。」


 俺は名前を紙に書き、お姉さんに渡す。


「はい、ありがとうございます。お名前はユウジ様ですね。それではこちらのプレートが冒険者の証になりますので無くさないようにお願いします。」


 お姉さんから銅でできた首から下げるタイプのプレートを貰った。


「おう、ユウジ。登録できたみたいだな。」


 そう言われて後ろを振り向くとポドさんがいた。


「ポドさん。はい、無事に終わりました。ありがとうございます。」

「おう、いいってことよ。それより歳も近そうだし、俺の事はポドでいいぜ。口調も普通でかまわん。」

「ついつい前の仕事のクセがね。分かったよポド。」

「それより早速依頼を受けるんだろ?」

「お金も無いしね。そのつもりかな。」

「たそうだ。フラン、E・Dランクの仕事は何かあるか?」


 ポドがお姉さんに話し掛ける。そうか綺麗なお姉さんはフランというのか。覚えておこう。


「そうですね。今、E・Dランクで紹介できるのはゴブリン退治、薬草採取、下水道掃除でしょうか。」

「それだと下水道掃除が妥当か・・・」


 ポドが下水道掃除に決めようとしている。確かにゴブリンを退治するのは無理だろうなぁ。武器も無いしね。下水道掃除はできればやりたくないなぁ・・・


「あのぅ、薬草採取じゃダメですか?」

「いや、薬草採取っていっても城壁の外に出ないと採取できないし、出れば魔物だっているんだぞ?王都周辺は兵士の巡回もあって比較的に安全だが、まったく魔物が出ない訳じゃねぇ。武器も無ければ買う金も無いんだろ?それに薬草を入れるカゴかバッグだって必要なんだぞ?」

「えっと・・・ギルドで道具のレンタルとかは出来ないのかな?」

「ユウジ様、掃除用具ならともかく、武器や冒険に必要な道具の貸し出しはしていません。」

「そうなんですか?」

「はい。安易に貸し出して死なれては困るからです。冒険に必要な物を自分で用意するところから冒険者は始まっているのですよ。死亡率の高い仕事ですので半端な気持ちで外に出ないようにする為です。」


 フランさんは毅然として俺に話した。 命に関わる事だからしょうがないか・・・俺もまだ死にたくないし、大人しく下水道掃除をするか。


「そういえば、ユウジ様は何かスキルをお持ちでしょうか?」

「えっと、算術と家事を持っています。」

「それでしたら昨日、急遽入った依頼がお勧めできます。宿屋から人手不足なので仕事の手伝いの依頼が来ています。」

「あ、じゃあそれでお願いします。」



※※※※※

 俺はフランさんとポドに別れを言って指定された仕事場所に向かった。


「あれ?ここって・・・」

「おや、さっきの兄ちゃんじゃないか。何か用かい?」

「はい。冒険者ギルドからの依頼で仕事に来ました!」

「兄ちゃんがねぇ。 まぁいいさ。アタシはナイラ。とりあえず中にお入り。忙しいから早速仕事に取り掛かってもらうよ!」


 こうして俺の冒険者としての初仕事が始まるのだった。
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