子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
431 / 480

壮年期 5

しおりを挟む
…その10日後。


ライツの王女が拠点へとやって来た。


「おや、久しぶりですね」

「そうですね。突然の申し出にも関わらず受け入れて下さり、感謝申し上げます」


本部の建物の前に豪華な馬車が停まり、中から姫が降りて来るので俺が挨拶すると姫が笑顔で返して軽く頭を下げながらお礼を言う。


「いえいえ。ただ遊びに来るだけであればいつだって歓迎しますよ」

「え?」

「…え?」


俺の返答に姫が驚いたような感じで返すので俺は不思議に思いながら確認するように返す。


「あの…滞在の件は…」

「…滞在?」

「調印式までの二日間、この拠点に滞在させていただく…という話になっているはずなのですが…」

「…まじ?」


姫は困ったように呟き、俺がなんだそりゃ?と思いながら尋ねると初耳の情報を今話すので俺は驚きながら呟く。


「…もしかして、何も聞いていないのですか?」

「えーと…はい。別に滞在する事自体は問題無いのですが、なにぶん何の準備も出来ていないので…もてなしや歓迎は期待しないで下さい」

「一昨日に『クライン辺境伯から許可を頂いた』と返事がありましたが……まさか…虚報…?」


姫の確認に俺は記憶を探って思い出すように呟くも一切思い当たる節が無く、肯定しながらも不安にさせないようその場で滞在の許可を出して断りを入れると姫は考えるように呟いて怪訝そうな顔をする。


「自分は今初めて聞きました。もし団員や代行達…あと家族にそのような話があれば自分に手紙や報告書、口頭での報告が必ずあるはずなんですけどね」

「…そうですか…少々お待ち下さい。今ガリル…護衛騎士へと確認してきますので」


俺がこの件について全く何も聞いてない事を告げると姫は考えながら呟いて馬車に乗り、今おそらく手続きの最中であろう護衛達の下へと向かった。


「…さて、俺も先生達に話を通しに行くか」


俺は一旦建物の中に入って変化魔法を使って分身し、魔法協会の支部にいるであろうお姉さんに姫の滞在について伝えに行く事に。




ーーーー




「…やはり『許可は取れた』と。この手紙を見て下さい」

「……あ、本当だ。『貴殿の要求に対しクライン辺境伯からは快諾の返事を頂き許可を得た』って書いてある」


エントランスで報告書を読んでいると姫が戻って来て手紙を差し出し、中身を確認すると確かに許可が出たという文面が書かれている。


「んん~?そうなると多分俺に話を通さずに勝手に話を進めた奴がいるな…この件はライツ側の手違いじゃなくて非は一切無いからコッチ…ラスタ側の落ち度だね、コレは」

「そうでしたか。私共の勘違いでなくて一安心です」


俺は疑問に思いながらどっかの貴族の嫌がらせか…?と予想しつつ、とりあえずフォローして返すと姫が安心したように返す。


「とりあえず部屋に案内します。あ、そうだ…護衛の人達は兵舎の方に泊まってもらう事になりますが、大丈夫ですか?」

「はい。問題ありません。指示に従わせます」

「じゃあこっちです」


俺が本部一階の居住スペースに案内しようとしてふと思いついた確認を取ると姫は了承してくれ、普段は使う事の無いいつもとは反対側の場所へと案内した。


「どこの部屋を使ってもいいので。朝食は6時、昼食は12時、夕食は大体18時ぐらいだね、一応呼びには来るようにします」

「分かりました。よろしくお願いします」


俺は姫に複数ある部屋の内どこでも自由に使用しても良い事と食事の時間を告げ、案内が完了したので姫を置いて自室へと戻る。


「…おっと、団長。今ドルフ男爵と名乗る貴族が来てるんだが…」

「ドルフ男爵?」


報告書や手紙を全部読み終えたので暇潰しに団員達と手合わせでもするか…と本部から出て訓練場へと向かっていると団員の一人が駆け寄って来て来客の報告をしてきた。


「…誰だ?聞いた事無い名前だな…新興貴族の誰かか?」

「なんでも団長に早急な話がある、って言ってたらしいがどうする?」

「うーん…まあとりあえず会うだけあってみるか。本部に連れて来て」

「分かった」


俺は不思議に思いながら予想すると団員が用件を告げて確認し、少し悩んで会う事にして指示を出す。



そして来た道を戻って自室にて来客を待つ事に。



「…団長、連れて来たぞ」

「ご苦労さん」

「初めまして、クライン辺境伯。早速ですがコレを」


…ドアがノックされた後に団員が報告するので俺が労いの言葉をかけると50代ぐらいのおじさんが入って来て、頭を下げながら挨拶すると直ぐに書簡のようなものを差し出してくる。


「…封筒?」

「ダリーヌ公爵からでございます」

「ダリーヌ公爵?」


俺が不思議に思いながら受け取るとおじさんが差し出し人の身分を告げ、俺は確か外交関係のお偉いさんだっけ?と思い出しながら呟いて封筒を開けた。


「……ちょっと確認したい事があるんですが」

「なんでしょうか?」

「この『ライツの王女の滞在を受け入れて欲しい』ってのは断ったらどうなるんですか?」

「そ、それは…」


俺は手紙の内容を読んだ後に仕返し的な嫌味のようなイタズラで確認するとおじさんが露骨に狼狽える。


「いくら公爵だからといって当人に了解も得ず…というか話すらせずに勝手に『許可を得た』と嘘を吐いて騙すのはいかがなものか、と思うのですが。事情が察せるのであれば、ある程度なら受け入れはしますけども…今回のは流石に相手側にも失礼ですし」


どんな事情があったのかお聞かせ願えますか?と、俺は二度目を防ぐために責めるように言った後に尋ねた。


「わ、私の方ではなんとも…」

「では今の言葉を手紙に書きますので公爵に渡してもらえますか?それであれば受け入れについては『とりあえず』了承いたしますが」

「わ、分かりました」


おじさんの困りながらの返答に俺が脅すように要求するとおじさんは頷いて了承する。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...