商人でいこう!

八神

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「あっと、そうでした…お兄さん。死者の蘇生に興味はありませんか?」

「…死者の…蘇生…?」

「はい。死んだ人を生き返らせる事が出来る薬です」


男の唐突なゲーム的アイテムの言葉におうむ返しで聞くと笑顔で頷く。


「…興味はあるけど…なんで?」

「いやー、そろそろ本格的にヤバくて…」

「なるほど。まさか貴方からそんな話が出るなんて…」

「…いつからいたの?」


男の微妙な感じで笑いながらの返答に急に現れたお姉さんが意外そうに呟くので俺は驚きながら聞いた。


「今さっき。朝食が出来た事を伝えようかと思って」


一応今はおじさまが居ないから護衛も兼ねてね。と、お姉さんはウインクしながら返す。


「…座る位置変えれば良かった…」

「…やはり既に知られていましたか」


今日はドアを背に座っていた事を後悔して呟くと男がため息を吐きながら言う。


「…情報屋…というより学者としての噂で、よ」

「…なんの話?蘇生アイテム?」

「死者の蘇生を研究している偉い学者が居るんですが…色々ありまして、今は多額の借金を背負ってまして…」


返済できずにヤバイ状況に陥っているんですよ。と、男は良く分からない話をした。


「…死者の蘇生って…そんな凄い研究なら国から援助とかしないの?」

「3年前までは数億とか結構な資金援助があり、スポンサーも含めたら数十億もの巨額な金が動いていました」

「…でも間が悪かったわよね。基礎理論が完成してこれからだ、って時に成果不足で計画凍結なんて…」

「仕方ないですよ。数十億使ってもまだ理論しか完成しないなんて…政府だって税金の無駄は減らしたいでしょう?」


俺の疑問にお姉さんと男がこれまでの経緯を軽く説明し始める。


「ま、そんなこんな紆余曲折あって個人で研究を進めてたんだけど…資金の壁に阻まれてついに首が回らなくなったのよ」

「へー…可哀想」

「本人はあと2億ゼベルあれば完成する、と言ってまして…ソレで私もツテを使って色々な所に資金援助をお願いしてみましたがやはり無理でした」

「…なるほど」


そりゃそうだ。と、俺は今までの話を聞いて誰も金を出さない事に納得して頷く。


「…だから最後の砦として、お兄さんにお願いしに来ました」

「…いやぁ、2億ってキツい…しかも借金があるんでしょ?」

「ええ、まあ…1800万ほど…」

「…結構な額だな…」


俺の所に来た理由を聞いて悩むと更に男が借金の額を告げるので余計に悩む。


…200億円にプラス借金が18億円…しかも払っても完成するかどうかも分からないときたらなぁ…


ってか良くそんな状況で18億も借りれたもんだ。


「…お願い、なんとか出来ない?一応ほら、知り合いだから…首を吊るなんて最期は流石に…」

「…うーん…どう思う?完成するかな?」


お姉さんが手を合わせて上目遣いでお願いしてくるので俺は悩みながら判断を仰ぐ。


「…すると思う。私は彼を信じるわ」

「私も、今ある情報では資金さえあればきっと完成すると思います」

「……分かった。じゃあ出すよ」

「!ほんと!やった!」


二人の言葉に押されて俺はどうせゲームの金だ…!と、判断して頷くとお姉さんが嬉しそうに喜んだ。


「…今渡した方が良い?」

「出来るだけ早い方が良いとは思いますが…」

「…じゃあ…」


男に確認したあとに俺は数えながら札束をテーブルの上に積み上げていく。


「…2億1800万ゼベル、確かにお受け取り致しました。このお金は私が責任を持ってお渡しします」

「…うん、お願い」


男はテーブルの上に置いた金を数えるとアタッシュケースのようなカバンに入れていく。


「死者蘇生の薬が出来たら世界中に衝撃が走るわね」

「そりゃ、もう。みんな大喜びしますよ」

「…本当に完成すれば、ね…」

「後からあの時スポンサーになっておけば良かった…って後悔する人達の表情が目に浮かぶわぁ…」


俺が不安そうに返すとお姉さんは都合の良い未来を予想して悪そうな笑顔で呟いた。
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