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番外編『魔法使いがいく!』
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案内役の兵士達は城下町を抜け、城の中に入り…
階段を登って上の方へと進んで行く。
「…司令官、使者をお連れしました」
「…入れ」
兵士達はある場所で止まるとドアをノックして用件を告げ、返事を聞くと少女達を残して来た道を引き返して行った。
「失礼」
「…貴様ら、どこの使者だ?」
男が一応挨拶のような言葉を言って真っ先に部屋の中に入ると…
テーブルを囲んで数名の男達が座っており、上座に居た『司令官』と表示されているおじさんが問う。
「我々はA国の使者だ、これ以上無駄な犠牲は出したくたい。降伏する事をお勧めする」
「っ…!貴様らが…!」
「降伏!?こんな早く勧告に来るとは…!司令官、どうすれば…」
『大将』と表示されてる男の言葉におじさんは驚き周りの取り巻き達が動揺した。
「援軍を期待しているなら無駄だ…既に周りは包囲している。到着する前に我々はココを陥落させる事が出来る」
「…包囲だと…?大した嘘だな、我々が何も知らないとでも?」
「包囲網は先程完成したばかりだ、見たところ王都を防衛している兵は4000もいかない程度…我々が包囲させている兵は9000だ」
今もこの王都を目指して増援が進軍中である。と男はおじさんに現状を知らせる。
「ふん、たかが9000程度でこの王都が陥とせるとでも?ソレは貴様らが良く知っているハズだ」
「確かに、包囲戦だけでは増援が来るまでに終わらせる事は出来ない…が。こちらには聖騎士を倒した『枢機卿』がいる」
「ぐっ…!!」
余裕の態度を取るおじさんも男の一言で表情が変わった。
「この王都を陥とせたのは聖騎士の成果…あの力を前に我々が王都を手離し撤退する事を余儀なくされたからだ」
「堅固な城門でさえ軽々と破る力の持ち主を相手に籠城戦など無意味ですから」
「…くっ…!もしも…もしも、だ!我々が降伏した場合。身の安全はどうなる?」
男と護衛の言葉におじさんは苦々しい表情で確認を取る。
「降伏された場合は捕虜として身の安全は保証されます」
「そんなもの!どうやって信じれば良い!」
「…今や我が軍の指揮権は一時的ではありますが全権、枢機卿に委ねられております」
男の説明に取り巻きが声を荒げると軍の内情を話し始めた。
「その枢機卿が捕虜を丁重に扱え、と宣言しておられます。ソレを信じるかは任せますが」
「…その枢機卿とやらは『魔導師』か?」
「おそらくは」
「……分かった。聖騎士が負けた時点で我々にはどう足掻いても打つ手は無い…降伏しよう」
おじさんの敗北宣言に周りの取り巻き達がざわざわと騒ぎ出すが直ぐに静かになる。
「素晴らしい判断だ、兵を無駄に消耗させない考えは流石は司令官の地位に登りつめただけはある」
「…ふん、抜かせ…敵の言葉など信じるに値せん。おい!王都にいる全ての兵へ命令だ!我々はこれより降伏する、速やかに武装解除をして城門を解放せよ!」
「はっ!」
男が褒めるもおじさんは鼻で笑って近くの兵に伝令を出す。
「…勧告は上手くいったようです…一旦戻りましょうか、お嬢様」
「うむ、何事なく進んで良かった!」
「私はココに残ります、地下に幽閉されてる兵達を解放しないといけませんので」
…こうして王都奪還作戦は敵方の降伏…という形で成功した。
階段を登って上の方へと進んで行く。
「…司令官、使者をお連れしました」
「…入れ」
兵士達はある場所で止まるとドアをノックして用件を告げ、返事を聞くと少女達を残して来た道を引き返して行った。
「失礼」
「…貴様ら、どこの使者だ?」
男が一応挨拶のような言葉を言って真っ先に部屋の中に入ると…
テーブルを囲んで数名の男達が座っており、上座に居た『司令官』と表示されているおじさんが問う。
「我々はA国の使者だ、これ以上無駄な犠牲は出したくたい。降伏する事をお勧めする」
「っ…!貴様らが…!」
「降伏!?こんな早く勧告に来るとは…!司令官、どうすれば…」
『大将』と表示されてる男の言葉におじさんは驚き周りの取り巻き達が動揺した。
「援軍を期待しているなら無駄だ…既に周りは包囲している。到着する前に我々はココを陥落させる事が出来る」
「…包囲だと…?大した嘘だな、我々が何も知らないとでも?」
「包囲網は先程完成したばかりだ、見たところ王都を防衛している兵は4000もいかない程度…我々が包囲させている兵は9000だ」
今もこの王都を目指して増援が進軍中である。と男はおじさんに現状を知らせる。
「ふん、たかが9000程度でこの王都が陥とせるとでも?ソレは貴様らが良く知っているハズだ」
「確かに、包囲戦だけでは増援が来るまでに終わらせる事は出来ない…が。こちらには聖騎士を倒した『枢機卿』がいる」
「ぐっ…!!」
余裕の態度を取るおじさんも男の一言で表情が変わった。
「この王都を陥とせたのは聖騎士の成果…あの力を前に我々が王都を手離し撤退する事を余儀なくされたからだ」
「堅固な城門でさえ軽々と破る力の持ち主を相手に籠城戦など無意味ですから」
「…くっ…!もしも…もしも、だ!我々が降伏した場合。身の安全はどうなる?」
男と護衛の言葉におじさんは苦々しい表情で確認を取る。
「降伏された場合は捕虜として身の安全は保証されます」
「そんなもの!どうやって信じれば良い!」
「…今や我が軍の指揮権は一時的ではありますが全権、枢機卿に委ねられております」
男の説明に取り巻きが声を荒げると軍の内情を話し始めた。
「その枢機卿が捕虜を丁重に扱え、と宣言しておられます。ソレを信じるかは任せますが」
「…その枢機卿とやらは『魔導師』か?」
「おそらくは」
「……分かった。聖騎士が負けた時点で我々にはどう足掻いても打つ手は無い…降伏しよう」
おじさんの敗北宣言に周りの取り巻き達がざわざわと騒ぎ出すが直ぐに静かになる。
「素晴らしい判断だ、兵を無駄に消耗させない考えは流石は司令官の地位に登りつめただけはある」
「…ふん、抜かせ…敵の言葉など信じるに値せん。おい!王都にいる全ての兵へ命令だ!我々はこれより降伏する、速やかに武装解除をして城門を解放せよ!」
「はっ!」
男が褒めるもおじさんは鼻で笑って近くの兵に伝令を出す。
「…勧告は上手くいったようです…一旦戻りましょうか、お嬢様」
「うむ、何事なく進んで良かった!」
「私はココに残ります、地下に幽閉されてる兵達を解放しないといけませんので」
…こうして王都奪還作戦は敵方の降伏…という形で成功した。
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