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番外編『魔法使いがいく!』
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…翌日。
「…貴様が枢機卿か、よもやあの聖騎士を倒すとは…」
彼が牢屋を訪れると一人だけ違う部屋に入っていたおじさんが話しかけてくる。
「ふん、待遇はどうだ?貴様は腐っても司令官と呼ばれていたそうだな…普通の牢屋よりは豪華にするよう指示したが…」
「なぜ、私だけ特別扱いにした?他の者は地位関係なく同じように扱われているというのに…」
おじさんは胡散臭いものを見るような目で彼に問う。
「援軍の数が知りたくてな、このままで居たいなら情報を寄越せ」
「…嫌だと言えば?」
「他の者と同じ扱いをするだけだ。命の重さはみな同じだろう?」
「…断る、情報は言えん」
彼が軽く脅したにも関わらずおじさんは情報の提供を拒んだ。
「そうか。おい、もうコイツを特別扱いしなくていいぞ…他の者と同じ場所に入れておけ」
「はっ!」
「…甘いな!この程度の事で口を割るわけがないだろう!貴様は戦争には向いておらん!」
おじさんを房から出して他の兵が捕らえられてる場所へ移動する事になり彼が牢屋から出ようとすると、負け犬の遠吠えのように叫んだ。
「…戦争には向いていない…か、戦争向きの人間など社会においては不要な人材だろうに…」
彼は城の廊下を歩きながらおじさんの言葉を聞いてため息混じりに軽く呟いた。
「枢機卿殿!王都陥落の報せを聞き、抵抗していた北や西の町や村を占領していた敵兵達が投降したようです!」
「それにより我が国内での敵の拠点が全て消失しました!」
「…そうか」
城の会議室に入るや否やの兵の報告に彼はどうでも良さそうに返す。
当然だ。
彼は『早く帰って彼女の料理を腹一杯食べたい…』とホームシックのようなものに陥ってるのだから…
…更に翌日。
「敵援軍の後退を確認!どうやら国内には入って来ないようです!」
「よし!追い討ちをかけるぞ!国境付近に配備した兵達を進軍させろ!」
「陛下…まだ軍の指揮権は枢機卿殿にありますので…」
会議室にて兵の報告を聞いた王様が命令を下すも『大将』と表示されてる男に指摘された。
「…そうだったな…枢機卿殿、ここは一気に敵を攻めたてた方が」
「…いや、陽動の可能性もある…しばらくは様子を見た方が良い」
「私もそれがよろしいかと…捕虜の数からして敵はもはや大々的に攻めてはこれません、まずは国の守りを安定させる方が先だと思います」
王様の提案を受けないで様子見をしようとする彼に『元帥』と表示されてるお爺さんが賛同した。
「ふむ…確かに一理ある」
「敵国も守りが手薄になるのは避けたいでしょう…我々に軍を割いてると他のところから攻められかねませんし」
「…今日はここまでだな、何か動きがあれば知らせてくれ」
作戦会議が終わったと感じたのか彼は席を立って部屋から出て行く。
「…陛下、私は城の牢屋に囚われていたゆえ詳しい事は知りませんが…なぜ軍の全権を彼に委ねたのですか?」
「…魔導協会からの提案だ、戦況を変える戦力を派遣する条件として提示された」
『元帥』と表示されているお爺さんの疑問に王様が言いづらそうに答える。
「軍の全権を委ねる…ソレがどういう意味を持つか、お分かりにならないわけではないでしょう?」
「…結果論ではあるが、彼が来た事により一週間前とは状況が逆転した。陛下の判断はこれ以上にないまでの最上の判断だったと考えられる」
「…確かに、あのままでは大敗が確定していた…陛下の判断で状況が覆ったのは動かし難い事実」
責めるようなお爺さんの言葉に『中将』と表示されてるおじさんが王様を庇うような発言をし、『大将』と表示された男も賛同する。
「…結果だけを見て語るのは愚かな…と言いたいところだが、一理ある…ですが陛下、直ぐに指揮権をお取り戻し下さい」
あの男が我々に牙を向けば取り返しのつかない事になりますゆえ…と、お爺さんは彼を警戒したような警告をした。
「…貴様が枢機卿か、よもやあの聖騎士を倒すとは…」
彼が牢屋を訪れると一人だけ違う部屋に入っていたおじさんが話しかけてくる。
「ふん、待遇はどうだ?貴様は腐っても司令官と呼ばれていたそうだな…普通の牢屋よりは豪華にするよう指示したが…」
「なぜ、私だけ特別扱いにした?他の者は地位関係なく同じように扱われているというのに…」
おじさんは胡散臭いものを見るような目で彼に問う。
「援軍の数が知りたくてな、このままで居たいなら情報を寄越せ」
「…嫌だと言えば?」
「他の者と同じ扱いをするだけだ。命の重さはみな同じだろう?」
「…断る、情報は言えん」
彼が軽く脅したにも関わらずおじさんは情報の提供を拒んだ。
「そうか。おい、もうコイツを特別扱いしなくていいぞ…他の者と同じ場所に入れておけ」
「はっ!」
「…甘いな!この程度の事で口を割るわけがないだろう!貴様は戦争には向いておらん!」
おじさんを房から出して他の兵が捕らえられてる場所へ移動する事になり彼が牢屋から出ようとすると、負け犬の遠吠えのように叫んだ。
「…戦争には向いていない…か、戦争向きの人間など社会においては不要な人材だろうに…」
彼は城の廊下を歩きながらおじさんの言葉を聞いてため息混じりに軽く呟いた。
「枢機卿殿!王都陥落の報せを聞き、抵抗していた北や西の町や村を占領していた敵兵達が投降したようです!」
「それにより我が国内での敵の拠点が全て消失しました!」
「…そうか」
城の会議室に入るや否やの兵の報告に彼はどうでも良さそうに返す。
当然だ。
彼は『早く帰って彼女の料理を腹一杯食べたい…』とホームシックのようなものに陥ってるのだから…
…更に翌日。
「敵援軍の後退を確認!どうやら国内には入って来ないようです!」
「よし!追い討ちをかけるぞ!国境付近に配備した兵達を進軍させろ!」
「陛下…まだ軍の指揮権は枢機卿殿にありますので…」
会議室にて兵の報告を聞いた王様が命令を下すも『大将』と表示されてる男に指摘された。
「…そうだったな…枢機卿殿、ここは一気に敵を攻めたてた方が」
「…いや、陽動の可能性もある…しばらくは様子を見た方が良い」
「私もそれがよろしいかと…捕虜の数からして敵はもはや大々的に攻めてはこれません、まずは国の守りを安定させる方が先だと思います」
王様の提案を受けないで様子見をしようとする彼に『元帥』と表示されてるお爺さんが賛同した。
「ふむ…確かに一理ある」
「敵国も守りが手薄になるのは避けたいでしょう…我々に軍を割いてると他のところから攻められかねませんし」
「…今日はここまでだな、何か動きがあれば知らせてくれ」
作戦会議が終わったと感じたのか彼は席を立って部屋から出て行く。
「…陛下、私は城の牢屋に囚われていたゆえ詳しい事は知りませんが…なぜ軍の全権を彼に委ねたのですか?」
「…魔導協会からの提案だ、戦況を変える戦力を派遣する条件として提示された」
『元帥』と表示されているお爺さんの疑問に王様が言いづらそうに答える。
「軍の全権を委ねる…ソレがどういう意味を持つか、お分かりにならないわけではないでしょう?」
「…結果論ではあるが、彼が来た事により一週間前とは状況が逆転した。陛下の判断はこれ以上にないまでの最上の判断だったと考えられる」
「…確かに、あのままでは大敗が確定していた…陛下の判断で状況が覆ったのは動かし難い事実」
責めるようなお爺さんの言葉に『中将』と表示されてるおじさんが王様を庇うような発言をし、『大将』と表示された男も賛同する。
「…結果だけを見て語るのは愚かな…と言いたいところだが、一理ある…ですが陛下、直ぐに指揮権をお取り戻し下さい」
あの男が我々に牙を向けば取り返しのつかない事になりますゆえ…と、お爺さんは彼を警戒したような警告をした。
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