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第二章 学校の異変
08 信じたい
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電気が復旧したのは、島田が職員室に着いた頃だった。
「お疲れ様です」
自席まで来ると、斜向かいの席の秋山が声を掛けてきた。
「今点いたんで、図書室ももう大丈夫だと思いますよ」
「え? ああ……」
電気が一斉に消えたのは図書室を出てすぐだったが、全く確認していなかった事を島田は今になって思い出した。
──まあ、同じだろうけど。
「他の先生が言うには、ブレーカーは落ちてなかったし、他に異常も見付からなかったらしいんですよ。原因不明です」
秋山が肩を竦めると、右隣の席で書類に目を通していた村田が振り向き、
「第二校舎や食堂、体育館なんかは無事だったようで、あくまでもこの第一校舎だけっていう」
「悪戯の可能性は?」
口にしておきながら、その可能性は低いだろうと島田は考えていた。それは二人の男性教師も同じだったようで、やんわり否定された。
「今年で六〇周年なんだし、一度しっかり点検した方が良さそうだよな」
「そういうのって定期的にやってるもんじゃないのか?」
二人はまだ話し続けていたが、島田は必要な書類を手に取るとすぐに職員室を後にした。職員用の昇降口を通り過ぎる途中、前方から男子生徒が小走りでやって来て、すれ違いざま島田に小さく頭を下げた。どうやら職員室に用があったらしく、しばらくすると用件を伝える少々興奮気味の声が聞こえてきた。
「食堂の近くの時計台がぶっ壊れちゃったみたいで、長針が勝手に反対に動いちゃってます!」
──どうやら、点検するべき箇所は一つじゃないみたい?
これが悪戯だと言うのには流石に無理があるだろう。もしもそんな事が出来る者がいるとすれば、そいつは人間ではないかもしれない。
──小さいおじさんの仕業ってか?
島田は一人苦笑した。
「ごめんなさい……ショックよね」
絶句する麗美に、絵美子は心底申し訳なさそうに言った。
「あなたを恐怖と疑心暗鬼に陥らせてしまいたくはなかったけれど……でももう、黙っておくわけにもいかなくなったから。少なくとも〝あいつ〟は、あなたに興味を持っている、存在を強く意識している……その事実を知った以上はね」
「……全然嬉しくないよ、悪い奴にモテたって」麗美は無理矢理笑おうとしたが、上手くいかなかった。「しかも、この学校の身近な誰かが、本当は実在しない……?」
麗美の頭に最初に浮かんだのは、千鶴、亜衣、七海の三人だった。
亜衣と七海とは一年時から仲が良かった。沢山お喋りして、沢山笑った。千鶴とは二年に進級してからの仲だが、一年時から存在は知っていた。昨日だって一緒に奇妙な体験をしたし、それらから少しでも気を紛らわすために美味しいものを──麗美は勿論トリプルアイスだ──を食べに行った……それも、気を遣ってくれた千鶴からの提案で。
── あの三人の内の誰かが? ……まさか!
しかし、そのまさかだとしたら。普通の人間ではないと知らずに共に学校生活を送っていた、あるいは楽しかった記憶そのものが創り物で、架空の出来事だった? そんな事、考えたくもなかった。
他にも様々な人間の顔が浮かんできた。るりかと健斗、公彦や他のクラスメートたち。皆何だかんだで、親切ないい人たちだと麗美は思っている。それから秋山、村田、島田、内野……。
「信じたい」麗美は両手を強く握り締めた。「皆を信じたい。せめて、亜衣ちゃん千鶴ちゃん七海ちゃんくらいは……信じたいよ」
「麗美……」
「体育館でのあの体験がなかったら、絵美子の話は冗談だと思って気にしなかっただろうけど……ああ、その方が良かった!」
怒りや恐怖、悲しみなど様々な感情がごちゃ混ぜになった、やり場のない想い。それらを絵美子にぶつけたところでどうにもならない事はわかっていたが、抑えられる程大人でもなかった。
「麗美、しばらくわたしに会いに来ちゃ駄目」
絵美子は穏やかだが力強く言った。麗美は一瞬、機嫌を損ねたのかとヒヤリとした。
「図書室に来るだけならまだいいわ。でも、わたしを見掛けても無視して。さっきも話したと思うけれど、麗美がわたしと関わっていると〝あいつ〟が知ったら、確実に標的にされる」
「……丸崎先生みたいな目に?」
「否定は出来ないわね」
麗美は左隣の本棚に手を突き、一度深呼吸した。そうしないと倒れてしまうような気がした。
「……しばらくって、いつまで?」
「わたしが無事〝あいつ〟を始末出来るまで」
「だったらわたしも──」
「駄目よ」絵美子はきっぱりと、少々キツさを感じる口調で言い切った。「今度はもう……友達は巻き込みたくないから」
「……さっきも言ってたけど、絵美子は前にも〝あいつ〟と争った事があるんだね?」
絵美子は無言で頷いた。
「全然知らなかった。それっていつ頃?」
時期は限られてくる。今年ではなく去年の話だろうか。学校全体で大なり小なり何かしらのトラブルはあったが、それらも〝あいつ〟が関係していたのだろうか。
絵美子の答えは、麗美の予想に完全に反していた。
「二〇年前よ」
「あれ、いなかった?」
「はい。山田君がいたので聞いてみましたが、見ていないそうです」
「もう帰っちゃったかな?」
話し合いを終えた亜衣、七海、千鶴の三人は、麗美がまだ残っているのなら一緒に帰宅しようと考え、第二校舎から戻って第一図書室までやって来た。亜衣と七海を廊下に残し、千鶴一人で中に入って探したものの、麗美の姿はなかった。
「しょうがないか。帰ろっ」
「もしかしたら昇降口ら辺にいたりして?」
三人で階段を降りる途中、ゆっくりと上って来るるりかと出くわした。
「あ、亜衣ちゃんたちお疲れ~」
「お疲れー」
「皆知ってた? 時計台が壊れたみたいで、針が逆に進んでたんだって! ウケるよね」
千鶴には、そう言う割にるりかはそこまで面白がっているようには見えなかった。
「さっきは停電も起こるし、うちの学校大丈夫なのかな」
「停電?」亜衣と七海が口を揃えた。
「あれ、知らない? さっき第一校舎中で電気が消えちゃったんだよ。何分かしたら戻ったけど」
「わたしたち、さっきまで第二校舎にいたから」
「そっか、そっちは大丈夫だったんだね」
るりかと別れ昇降口まで来ると、上履きからローファーに履き替え下駄箱の扉を閉める麗美の姿があった。
「あ、麗美ちゃんいた!」
亜衣の大きな声に、麗美は飛び上がらんばかりにビクついて振り向いた。
「あ、皆……」
「ほら、わたしの言った通りでしょ?」七海は自慢げに言うと、麗美の元に走り寄った。「一緒に帰ろ!」
「う、うん……」
「わたしたち、偶然上で会ったんだ!」
亜衣が少々上擦った声でそう言うと、七海も大袈裟に二回頷いた。
──不自然過ぎやしませんか、お二人さん……。
千鶴は麗美の様子を窺った。
「そうなんだ……」
麗美はぎこちなく微笑んでいる。
──やっぱり変に思われたんじゃ……。
全員が靴に履き替えると、亜衣と七海が一足先に歩き出し、千鶴と麗美も続いた。
「さっきね、三人で麗美ちゃんを迎えに行ったんだよ。でもいなかったから、もう帰っちゃったのかなって」
亜衣が振り返って言うと、七海も続いた。
「でも会えたから良かったよね。あ、停電があったみたいだけど、やっぱり図書室も消えた?」
「ううん……点いてた」
「あ、そうだったの?」
「全部じゃなかったんだ。強いな図書室」
「え、強いって何その表現」
亜衣は七海の顔を覗き込むようにすると、わざとらしくニヤリと笑いかけた。
「えー、別に変じゃないでしょー?」
「いやあ変だね。変態だね!」
「あんたに言われたかなーい!」
亜衣と七海はじゃれ合いながら走り出した。
「あーもう、何処まで行くんだか」
苦笑する千鶴はふと、隣の麗美がこれっぽっちも笑っていないどころか俯いている事に気付いた。
「麗美さん、どうしました? ……麗美さん?」
「へあっ!?」
麗美は弾かれたように顔を上げると同時に足を止めた。
「れ、麗美さん?」
「あ、ごめん……ちょっと考え事してた」
「大丈夫ですか? 昇降口で会った時から、何かちょっと変だったような」
「ああ、うん、あの時も考え事してたからさ。大丈夫だよ、有難う」
麗美は微笑んでみせたが、やはりどこかぎこちなかった。
「もしかして、昨日の変な体験が気になってます?」
「……うん、まあ」
「もしどうしても気になるようでしたら、昔この辺一帯にあったっていう森について、一緒に調べてみませんか? 図書室なら何かしら史料が──」
「図書室にはいかない!」
麗美が彼女らしくない強い口調で遮ったので、千鶴は驚いた。
「いや、あの……図書室はいいよ、わざわざ行かなくても。スマホやパソコンがあるんだし。ね?」
「まあ、確かにそうですね……」
「千鶴ちゃん麗美ちゃん、早くー!」
気まずい空気が流れかけていたところに、亜衣の陽気な大声が割り込んできた。先に進んでいた二人は、数十メートル先で端に寄って待っていた。
「はーい、今行きますよー」
千鶴は大声で答えると麗美に向き直り、
「やれやれ……麗美さん走れます?」
「うん」
「私思うんですけど、亜衣さんも七海さんも、変態度合いは同じくらいじゃないかなって」
麗美の顔に自然な笑みが戻ったのを目にし、千鶴はとりあえず安心した。
「お疲れ様です」
自席まで来ると、斜向かいの席の秋山が声を掛けてきた。
「今点いたんで、図書室ももう大丈夫だと思いますよ」
「え? ああ……」
電気が一斉に消えたのは図書室を出てすぐだったが、全く確認していなかった事を島田は今になって思い出した。
──まあ、同じだろうけど。
「他の先生が言うには、ブレーカーは落ちてなかったし、他に異常も見付からなかったらしいんですよ。原因不明です」
秋山が肩を竦めると、右隣の席で書類に目を通していた村田が振り向き、
「第二校舎や食堂、体育館なんかは無事だったようで、あくまでもこの第一校舎だけっていう」
「悪戯の可能性は?」
口にしておきながら、その可能性は低いだろうと島田は考えていた。それは二人の男性教師も同じだったようで、やんわり否定された。
「今年で六〇周年なんだし、一度しっかり点検した方が良さそうだよな」
「そういうのって定期的にやってるもんじゃないのか?」
二人はまだ話し続けていたが、島田は必要な書類を手に取るとすぐに職員室を後にした。職員用の昇降口を通り過ぎる途中、前方から男子生徒が小走りでやって来て、すれ違いざま島田に小さく頭を下げた。どうやら職員室に用があったらしく、しばらくすると用件を伝える少々興奮気味の声が聞こえてきた。
「食堂の近くの時計台がぶっ壊れちゃったみたいで、長針が勝手に反対に動いちゃってます!」
──どうやら、点検するべき箇所は一つじゃないみたい?
これが悪戯だと言うのには流石に無理があるだろう。もしもそんな事が出来る者がいるとすれば、そいつは人間ではないかもしれない。
──小さいおじさんの仕業ってか?
島田は一人苦笑した。
「ごめんなさい……ショックよね」
絶句する麗美に、絵美子は心底申し訳なさそうに言った。
「あなたを恐怖と疑心暗鬼に陥らせてしまいたくはなかったけれど……でももう、黙っておくわけにもいかなくなったから。少なくとも〝あいつ〟は、あなたに興味を持っている、存在を強く意識している……その事実を知った以上はね」
「……全然嬉しくないよ、悪い奴にモテたって」麗美は無理矢理笑おうとしたが、上手くいかなかった。「しかも、この学校の身近な誰かが、本当は実在しない……?」
麗美の頭に最初に浮かんだのは、千鶴、亜衣、七海の三人だった。
亜衣と七海とは一年時から仲が良かった。沢山お喋りして、沢山笑った。千鶴とは二年に進級してからの仲だが、一年時から存在は知っていた。昨日だって一緒に奇妙な体験をしたし、それらから少しでも気を紛らわすために美味しいものを──麗美は勿論トリプルアイスだ──を食べに行った……それも、気を遣ってくれた千鶴からの提案で。
── あの三人の内の誰かが? ……まさか!
しかし、そのまさかだとしたら。普通の人間ではないと知らずに共に学校生活を送っていた、あるいは楽しかった記憶そのものが創り物で、架空の出来事だった? そんな事、考えたくもなかった。
他にも様々な人間の顔が浮かんできた。るりかと健斗、公彦や他のクラスメートたち。皆何だかんだで、親切ないい人たちだと麗美は思っている。それから秋山、村田、島田、内野……。
「信じたい」麗美は両手を強く握り締めた。「皆を信じたい。せめて、亜衣ちゃん千鶴ちゃん七海ちゃんくらいは……信じたいよ」
「麗美……」
「体育館でのあの体験がなかったら、絵美子の話は冗談だと思って気にしなかっただろうけど……ああ、その方が良かった!」
怒りや恐怖、悲しみなど様々な感情がごちゃ混ぜになった、やり場のない想い。それらを絵美子にぶつけたところでどうにもならない事はわかっていたが、抑えられる程大人でもなかった。
「麗美、しばらくわたしに会いに来ちゃ駄目」
絵美子は穏やかだが力強く言った。麗美は一瞬、機嫌を損ねたのかとヒヤリとした。
「図書室に来るだけならまだいいわ。でも、わたしを見掛けても無視して。さっきも話したと思うけれど、麗美がわたしと関わっていると〝あいつ〟が知ったら、確実に標的にされる」
「……丸崎先生みたいな目に?」
「否定は出来ないわね」
麗美は左隣の本棚に手を突き、一度深呼吸した。そうしないと倒れてしまうような気がした。
「……しばらくって、いつまで?」
「わたしが無事〝あいつ〟を始末出来るまで」
「だったらわたしも──」
「駄目よ」絵美子はきっぱりと、少々キツさを感じる口調で言い切った。「今度はもう……友達は巻き込みたくないから」
「……さっきも言ってたけど、絵美子は前にも〝あいつ〟と争った事があるんだね?」
絵美子は無言で頷いた。
「全然知らなかった。それっていつ頃?」
時期は限られてくる。今年ではなく去年の話だろうか。学校全体で大なり小なり何かしらのトラブルはあったが、それらも〝あいつ〟が関係していたのだろうか。
絵美子の答えは、麗美の予想に完全に反していた。
「二〇年前よ」
「あれ、いなかった?」
「はい。山田君がいたので聞いてみましたが、見ていないそうです」
「もう帰っちゃったかな?」
話し合いを終えた亜衣、七海、千鶴の三人は、麗美がまだ残っているのなら一緒に帰宅しようと考え、第二校舎から戻って第一図書室までやって来た。亜衣と七海を廊下に残し、千鶴一人で中に入って探したものの、麗美の姿はなかった。
「しょうがないか。帰ろっ」
「もしかしたら昇降口ら辺にいたりして?」
三人で階段を降りる途中、ゆっくりと上って来るるりかと出くわした。
「あ、亜衣ちゃんたちお疲れ~」
「お疲れー」
「皆知ってた? 時計台が壊れたみたいで、針が逆に進んでたんだって! ウケるよね」
千鶴には、そう言う割にるりかはそこまで面白がっているようには見えなかった。
「さっきは停電も起こるし、うちの学校大丈夫なのかな」
「停電?」亜衣と七海が口を揃えた。
「あれ、知らない? さっき第一校舎中で電気が消えちゃったんだよ。何分かしたら戻ったけど」
「わたしたち、さっきまで第二校舎にいたから」
「そっか、そっちは大丈夫だったんだね」
るりかと別れ昇降口まで来ると、上履きからローファーに履き替え下駄箱の扉を閉める麗美の姿があった。
「あ、麗美ちゃんいた!」
亜衣の大きな声に、麗美は飛び上がらんばかりにビクついて振り向いた。
「あ、皆……」
「ほら、わたしの言った通りでしょ?」七海は自慢げに言うと、麗美の元に走り寄った。「一緒に帰ろ!」
「う、うん……」
「わたしたち、偶然上で会ったんだ!」
亜衣が少々上擦った声でそう言うと、七海も大袈裟に二回頷いた。
──不自然過ぎやしませんか、お二人さん……。
千鶴は麗美の様子を窺った。
「そうなんだ……」
麗美はぎこちなく微笑んでいる。
──やっぱり変に思われたんじゃ……。
全員が靴に履き替えると、亜衣と七海が一足先に歩き出し、千鶴と麗美も続いた。
「さっきね、三人で麗美ちゃんを迎えに行ったんだよ。でもいなかったから、もう帰っちゃったのかなって」
亜衣が振り返って言うと、七海も続いた。
「でも会えたから良かったよね。あ、停電があったみたいだけど、やっぱり図書室も消えた?」
「ううん……点いてた」
「あ、そうだったの?」
「全部じゃなかったんだ。強いな図書室」
「え、強いって何その表現」
亜衣は七海の顔を覗き込むようにすると、わざとらしくニヤリと笑いかけた。
「えー、別に変じゃないでしょー?」
「いやあ変だね。変態だね!」
「あんたに言われたかなーい!」
亜衣と七海はじゃれ合いながら走り出した。
「あーもう、何処まで行くんだか」
苦笑する千鶴はふと、隣の麗美がこれっぽっちも笑っていないどころか俯いている事に気付いた。
「麗美さん、どうしました? ……麗美さん?」
「へあっ!?」
麗美は弾かれたように顔を上げると同時に足を止めた。
「れ、麗美さん?」
「あ、ごめん……ちょっと考え事してた」
「大丈夫ですか? 昇降口で会った時から、何かちょっと変だったような」
「ああ、うん、あの時も考え事してたからさ。大丈夫だよ、有難う」
麗美は微笑んでみせたが、やはりどこかぎこちなかった。
「もしかして、昨日の変な体験が気になってます?」
「……うん、まあ」
「もしどうしても気になるようでしたら、昔この辺一帯にあったっていう森について、一緒に調べてみませんか? 図書室なら何かしら史料が──」
「図書室にはいかない!」
麗美が彼女らしくない強い口調で遮ったので、千鶴は驚いた。
「いや、あの……図書室はいいよ、わざわざ行かなくても。スマホやパソコンがあるんだし。ね?」
「まあ、確かにそうですね……」
「千鶴ちゃん麗美ちゃん、早くー!」
気まずい空気が流れかけていたところに、亜衣の陽気な大声が割り込んできた。先に進んでいた二人は、数十メートル先で端に寄って待っていた。
「はーい、今行きますよー」
千鶴は大声で答えると麗美に向き直り、
「やれやれ……麗美さん走れます?」
「うん」
「私思うんですけど、亜衣さんも七海さんも、変態度合いは同じくらいじゃないかなって」
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