お前は、ヒロインではなくビッチです!

もっけさん

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エルブンガルド魔法学園 中等部

コレット・ピューレ

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 私の名前は、コレット・ピューレ。
 数ヶ月前までは、ただのコレットだった。
 メイドをしていた母が、ピューレ男爵のお手付きになって私を身籠った。
 その後からは王道の展開で母はメイドを辞めさせられ、路頭に迷いかけたところを養父に助けられた。
 私は養父が本当の父だと思っていたし、折角転生したのに貧乏な暮らしを強いられなきゃいけないのかって、ずっと思っていた。
 でも、天は私の味方をしてくれたの!
 本当のお父さんが私を迎えに来た。
 赤毛碧眼のスラリとした長身イケメンが、私の父親と名乗り出て引き取りたいと言ってきたわ。
 勿論、私は二つ返事で承諾した。
 養父と母がゴチャゴチャ言っていたけど、私は貧乏な生活はウンザリなのよ。
 うんと良い男を捕まえて、一生遊んで暮らしたい。
 母譲りの可愛らしい顔立ちをフルに生かして、父であるビリーを最初に堕とした。
 ツルペタな身体だけど、瑞々しい肌と甘い言葉、男受けする仕草でビリーは私の虜になった。
 高位貴族に嫁ぐ為に最後まで致してないけれど、行為の最中は最後までやっても良いかもと思ったことは何度もある。
 ビリーは私を変態貴族に売るつもりだったらしいが、私にぞっこんになったことでその話は立ち消えた。
 私と同じ年の王子が、エルブンガルド魔法学園中等部にいると聞いて俄然やる気になった。
 これは、王道の乙女ゲームのパターンだわ!
 普通なら高等部から始まるものが多いけれど、転生者の特典でヒロインの登場より先に攻略者の心の闇を取り払ってあげれば逆ハールートが開かれるんじゃないかしら。
 そう思うと、ゾクゾクする。
「お父様、エルブンガルド魔法学園に行きたいの」
 早速おねだりをしてみたが、ビリーはあまり良い反応を示さなかった。
「学園に行かなくても、ここでのんびり暮らせば良いじゃないか」
「それも素敵だけど、学校にも行ってみたいの。貴族なら通う義務があるんでしょう? もし、行かなかったって知られたらお父様が罰せられてしまうわ」
 胸元で手を組み、上目遣いでウルウルと瞳を潤ませながら訴える。
 あくまで『お父様が罰せられる』を強調しておくことを忘れない。
「いや……しかしだな…」
「ちゃんと勉強するわ。だから、お願い」
 ウルウル攻撃で暫しの沈黙の後、ビリーは大きな溜息を吐いて学園行きを承諾した。
「今からだと編入試験を受ける必要がある。コレットは、まだ貴族社会に入ったばかりで色々と分からないことが多いだろう。勉強について行けるかも心配だ。家庭教師をつけて、ある程度の学力が付いたら学園に行って良い。嫌になったら、すぐに帰ってきて良いからね」
「お父様ありがとう! 大好き♡」
 あざとく『大好き』と言いながら、軽く啄むようなキスをする。
 ビリーの手が、私の腰をするりと撫でたので子供らしく元気よく椅子から飛び降りた。
「学校生活が楽しみ! 私も家庭教師の先生がくるまでに、出来る範囲で勉強しなくっちゃ。お父様、図書室で勉強するからお仕事頑張ってね」
 私は、それだけ言うと部屋を足早に出た。
 あー、嫌だ嫌だ。
 真昼間から盛る気はないのよ。
 もう少し自重してくれないかしら。
 私は、図書室に入り内鍵をして誰も入れないようにした。
 読み書きはメイドをしていた母から教わっている。
 計算も九九は覚えているし、問題は無いだろう。
 本を読むのはあまり好きじゃないけど、この世界がどんな世界か知らないと動きようが無いわ。
「ベターなのは、国の成り立ちが書かれた本かしら」
 私は、図書室の中をウロウロしながら必要そうな本を片っ端から読んだ。
 所々分からない字も出て来たので、飛ばし読みして大体のことは掴めたと思う。
 イーサント国が舞台の乙女ゲームなんてあったかしら?
「うーん、忘れているだけかしら? でも、聖女召喚系の乙女ゲームは何本かやっていたし、紙に書き起こせば思い出すかもしれないわね」
 乙女ゲームを沢山やってきた中で、召喚系の物も多く含まれている。
 ベタベタな展開からダークな展開まで色々やった。
 乙女ゲームの世界でなくても、乙女ゲーム同様に気に入った男を攻略すれば良いだけの話。
「やっぱり狙うのは、王子様よね~」
 どんな人物か気になるが、早く学園に行けるようにビリーの寄こした家庭教師から及第点を貰わねば。
 転生した時はふざけんなと思ったけれど、男爵令嬢になれた私はラッキーだ。
「ライバルになりそうな人物も事前に調べておかないとね」
 私の引き立て役になれるだけで光栄と思いなさい。
 私は、部屋に戻り今までやってきた召喚ファンタジー系乙女ゲームの情報を紙に書き記していった。
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