122 / 181
エルブンガルド魔法学園 中等部
コレット、魔法学園に入る
しおりを挟む
図書室の本を数冊借りて、部屋に籠って前世でやった召喚系乙女ゲームの名前と大まかなストーリーを箇条書きにして書き出した。
その中で『Holy Maiden~ドキドキ★メモリアル ~』の設定に一番近いことが分かった。
念の為、それとなくビリーにキャラの存在を確認したらビンゴだった。
記憶が曖昧な部分も多いので断言は出来ないが、推しキャラの俺様王子アルベルトや宰相の息子でツンデレ担当のスピネル、コナルド商会のワンコ属性ルーク、悪役令嬢に仕える双子の片割れで騎士のガリオン。
隠しキャラもいたはずだけど、そのルートを攻略する前に死んじゃったから誰なのか分からない。
魔王復活で世界の危機が再び訪れようとした時に、教会が聖女召喚で平凡な女子高生を呼び出し、魔法学校に入って勉強しながら力をつけて魔王をやっつけるってストーリーだった気がする。
「思い出そうにも、虫食い状態で思い出せないわ。攻略本もないし、神様ももう少し特典つけてくれたって良いのに!」
バンッと机を叩きイライラをぶつける。
フーッと溜息を一つ吐き、頭を切り替える。
この容姿と前世で培った乙女ゲーム攻略のテクを駆使すれば、ビリーのように攻略者を落とすのは容易いだろう。
「そうと決まれば、学園に入るまでに攻略者たちの情報を事前に入手しなくっちゃ!」
フンッとやる気に満ちたコレットは、目指せ逆ハーと叫びながら拳を天高く突き上げた。
ビリーに手配して貰った家庭教師から勉強を教わっている。
魔法は日本語だったので何とかなった。
九九が出来たので、悪くないと評価を貰った。
しかし、歴史とマナーがなかなか覚えられず躓いていた。
歴史を覚える意味が分からないし、マナーなんて最低限出来れば良いじゃないと言おうものなら、学園行きは無しだと言われてしまっては頑張るしかない。
文字がギッシリと詰まった本を渡されて、数ページ読んだだけで眠りこけたのは悪くないと思う。
山羊でも活字中毒者でもないのよ!
国の成り立ちなんか前世でも知らなかった。
おとぎ話程度だったし、授業では数ページで終わった部分よ。
それくらい重要度の低いことを勉強する方が、時間の無駄だと思うしつまらないわ。
マナーだって、愛想が良ければ多少出来なくても笑って済まされるのに本当に五月蠅く注意されてイライラする。
ビリーに頼んでクビにしてやろうかとも思ったけど、そもそもビリーが連れて来たのよね。
最低限のマナーと教養が身に着かないと学園には行かせて貰えないから我慢するしかない。
大量に出された宿題を眺めながら、コレットは嫌々ながら出された宿題をこなした。
攻略対象に会いたい一心で、コレットは頑張った。
元々外面だけは良かったので、マナーに関してはギリギリ及第点を貰うことが出来た。
肝心の歴史に関しては、実際に史実のあった場所を巡って勉強したいとビリーを唆して国中を観光して回る。
現地で美容に良いとされるものを買い漁ったり、高価なドレスや宝石をビリーに強請って買ったりと豪遊三昧をしていた。
お陰でピューレ家の家計は火の車の状態で、色んなところから家財を担保に借款したりしていた。
当の本人は、そんなことを気付くはずもなく湯水のごとくお金を使っている。
そんな中、コレットが一番気に入った街はアングロサクソン領だった。
平民が来ている服も前世に近いお洒落なワンピースだったり、手頃なアクセサリーが沢山あった。
魔道具も他の領と比べてかなり進んでいて、便利グッズまである。
「お父様、私この街が欲しいわ」
「コレット、流石にこの街をプレゼントすることは出来ないよ。王妃になれば、全部君の物になるよ」
「まあ、本当!? 素敵ね」
ビリーの言葉に、コレットは王妃になった自分を想像してうっとりとしている。
「私としては、コレットがずっと傍に居てくれるだけで幸せだよ」
砂を吐くような甘い言葉に、コレットの表情が一瞬硬くなる。
「私は、将来お父様を楽させてあげたいの。この国の第一王子様は、私と同じ年なんでしょう? 頑張って王妃の座を射止めてくるわ♡」
白々しいおべっかを並べ最後は本音を交えて喋るコレットに、ビリーは何の疑いもなくコレットを褒め称えている。
「婚約者とは不仲と聞くからな。アルベルト王子もコレットのように気立てが良い娘の方が良いに決まっている。頑張りなさい」
「もちろんよ」
その会話を切っ掛けに、アルベルトだけでなく彼の学友の話を聞いてもビリーは何の不信感も抱かなかった。
豪遊の旅は終わり、勉強もそこそこにエルブンガルド魔法学園の編入試験を受ける為にコレットは馬車一杯に荷物を詰めて王都へと旅立った。
編入試験はマナー・歴史・算数・魔法の四種類のテストが行われ、歴史は散々だったが魔法に関しては魔力が少ないながらも正確に魔法を発動したり、高位魔法が使えることを評価されギリギリ入学を認められた。
コレットが学園に入れたのは、入学式から半年も遅れてのことだった。
その中で『Holy Maiden~ドキドキ★メモリアル ~』の設定に一番近いことが分かった。
念の為、それとなくビリーにキャラの存在を確認したらビンゴだった。
記憶が曖昧な部分も多いので断言は出来ないが、推しキャラの俺様王子アルベルトや宰相の息子でツンデレ担当のスピネル、コナルド商会のワンコ属性ルーク、悪役令嬢に仕える双子の片割れで騎士のガリオン。
隠しキャラもいたはずだけど、そのルートを攻略する前に死んじゃったから誰なのか分からない。
魔王復活で世界の危機が再び訪れようとした時に、教会が聖女召喚で平凡な女子高生を呼び出し、魔法学校に入って勉強しながら力をつけて魔王をやっつけるってストーリーだった気がする。
「思い出そうにも、虫食い状態で思い出せないわ。攻略本もないし、神様ももう少し特典つけてくれたって良いのに!」
バンッと机を叩きイライラをぶつける。
フーッと溜息を一つ吐き、頭を切り替える。
この容姿と前世で培った乙女ゲーム攻略のテクを駆使すれば、ビリーのように攻略者を落とすのは容易いだろう。
「そうと決まれば、学園に入るまでに攻略者たちの情報を事前に入手しなくっちゃ!」
フンッとやる気に満ちたコレットは、目指せ逆ハーと叫びながら拳を天高く突き上げた。
ビリーに手配して貰った家庭教師から勉強を教わっている。
魔法は日本語だったので何とかなった。
九九が出来たので、悪くないと評価を貰った。
しかし、歴史とマナーがなかなか覚えられず躓いていた。
歴史を覚える意味が分からないし、マナーなんて最低限出来れば良いじゃないと言おうものなら、学園行きは無しだと言われてしまっては頑張るしかない。
文字がギッシリと詰まった本を渡されて、数ページ読んだだけで眠りこけたのは悪くないと思う。
山羊でも活字中毒者でもないのよ!
国の成り立ちなんか前世でも知らなかった。
おとぎ話程度だったし、授業では数ページで終わった部分よ。
それくらい重要度の低いことを勉強する方が、時間の無駄だと思うしつまらないわ。
マナーだって、愛想が良ければ多少出来なくても笑って済まされるのに本当に五月蠅く注意されてイライラする。
ビリーに頼んでクビにしてやろうかとも思ったけど、そもそもビリーが連れて来たのよね。
最低限のマナーと教養が身に着かないと学園には行かせて貰えないから我慢するしかない。
大量に出された宿題を眺めながら、コレットは嫌々ながら出された宿題をこなした。
攻略対象に会いたい一心で、コレットは頑張った。
元々外面だけは良かったので、マナーに関してはギリギリ及第点を貰うことが出来た。
肝心の歴史に関しては、実際に史実のあった場所を巡って勉強したいとビリーを唆して国中を観光して回る。
現地で美容に良いとされるものを買い漁ったり、高価なドレスや宝石をビリーに強請って買ったりと豪遊三昧をしていた。
お陰でピューレ家の家計は火の車の状態で、色んなところから家財を担保に借款したりしていた。
当の本人は、そんなことを気付くはずもなく湯水のごとくお金を使っている。
そんな中、コレットが一番気に入った街はアングロサクソン領だった。
平民が来ている服も前世に近いお洒落なワンピースだったり、手頃なアクセサリーが沢山あった。
魔道具も他の領と比べてかなり進んでいて、便利グッズまである。
「お父様、私この街が欲しいわ」
「コレット、流石にこの街をプレゼントすることは出来ないよ。王妃になれば、全部君の物になるよ」
「まあ、本当!? 素敵ね」
ビリーの言葉に、コレットは王妃になった自分を想像してうっとりとしている。
「私としては、コレットがずっと傍に居てくれるだけで幸せだよ」
砂を吐くような甘い言葉に、コレットの表情が一瞬硬くなる。
「私は、将来お父様を楽させてあげたいの。この国の第一王子様は、私と同じ年なんでしょう? 頑張って王妃の座を射止めてくるわ♡」
白々しいおべっかを並べ最後は本音を交えて喋るコレットに、ビリーは何の疑いもなくコレットを褒め称えている。
「婚約者とは不仲と聞くからな。アルベルト王子もコレットのように気立てが良い娘の方が良いに決まっている。頑張りなさい」
「もちろんよ」
その会話を切っ掛けに、アルベルトだけでなく彼の学友の話を聞いてもビリーは何の不信感も抱かなかった。
豪遊の旅は終わり、勉強もそこそこにエルブンガルド魔法学園の編入試験を受ける為にコレットは馬車一杯に荷物を詰めて王都へと旅立った。
編入試験はマナー・歴史・算数・魔法の四種類のテストが行われ、歴史は散々だったが魔法に関しては魔力が少ないながらも正確に魔法を発動したり、高位魔法が使えることを評価されギリギリ入学を認められた。
コレットが学園に入れたのは、入学式から半年も遅れてのことだった。
1
あなたにおすすめの小説
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】16わたしも愛人を作ります。
華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、
惨めで生きているのが疲れたマリカ。
第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、
【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです
との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。
白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・
沈黙を続けていたルカが、
「新しく商会を作って、その先は?」
ーーーーーー
題名 少し改変しました
【完結】お飾りではなかった王妃の実力
鏑木 うりこ
恋愛
王妃アイリーンは国王エルファードに離婚を告げられる。
「お前のような醜い女はいらん!今すぐに出て行け!」
しかしアイリーンは追い出していい人物ではなかった。アイリーンが去った国と迎え入れた国の明暗。
完結致しました(2022/06/28完結表記)
GWだから見切り発車した作品ですが、完結まで辿り着きました。
★お礼★
たくさんのご感想、お気に入り登録、しおり等ありがとうございます!
中々、感想にお返事を書くことが出来なくてとても心苦しく思っています(;´Д`)全部読ませていただいており、とても嬉しいです!!内容に反映したりしなかったりあると思います。ありがとうございます~!
断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。
パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。
将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。
平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。
根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。
その突然の失踪に、大騒ぎ。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる