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4   御曹司は玩具に夢中です

3   好きです

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 気持ちが溢れる。
 こんなに人を好きだと思ったことは、今までなかった。
「誉さんのことが好きです」
 運転しながら、誉が微笑む。
「僕も亜梨子を好きだよ」
 誉の手が、亜梨子の手に重なる。
「本当に結婚できるんでしょうか?」
「不安なの?」
「私、不幸体質みたいなので、シンデレラストーリーは信じてなかったんです」
「不幸体質?」
「高校一年生の時に両親を亡くして。ずっと一人で生きてきたので」
「親戚はいなかったの?」
「両親とも駆け落ちだったんです。なので、どちらの祖父母とも会ったことはありません。名前も聞いていません。こんな私が幸せになれるなんて、思えなくて」
「僕が幸せにしてあげるよ」
 誉の手が、亜梨子の手を強く握る。
 力強さに、亜梨子の心から不安が少しずつ消えていく。
 信号で止まると、誉がキスをしてくる。
「寄り道していこうか?」
「どこに行くんですか?」
「二人っきりになれるところ」
 車が走り出して、シティーホテルに入っていった。
「誉さん」
「亜梨子を抱きたくなったんだ。駄目かな?」
「抱いてください」
 車を止めて、誉は亜梨子の手を握って、ホテルのフロントへと歩いて行く。
「スイートルームを一泊」
「一泊するんですか?」
 部屋の鍵をもらうと、誉はまた亜梨子の手を握った。
「一泊では愛を語るための時間は足りないかもしれないけどね」
「誉さん」
 亜梨子は頬を赤くして、俯いた。
 天然の王子様は、さらっと恥ずかしいことを口にする。


 スイートルームで互いの体を洗いあって、水に近い温いお湯を入れてジャグジーの泡風呂に入る。
 お風呂の中で、キスを交わす。
 素肌と素肌が触れて、気持ちがいい。
 誉は相変わらず亜梨子の胸を愛撫する。
 コンパクトな体に、大きな胸。アンバランスな体なのに、誉は、このアンバランスさが好きなのだという。
 胸ばかりを弄られて、お腹の中がキュンキュンする。
 腰が揺れてしまう。
「亜梨子、僕を跨いで、入れてごらん」
 誉の欲望は、しっかり天を向いている。
「いいの?」
 以前お風呂で触れたときに、嫌がられたことがあったから、お風呂では誉の欲望に触れたことはなかった。
「おいで」
「はい」
 誉の手が、亜梨子の体を引き寄せてくる。
 息を吐きながら、誉を受け入れる。
 誉の楔は亀頭が大きくて、受け入れるときに抵抗があるが、亜梨子は誉に求められるのが好きだ。
 やっと愛してもらえた悦びが痛みも苦しさも凌駕する。
 座位で受け入れたことは何度かあるが、この体勢は大きな誉の楔が体の最奥を押し上げる。
「自分で動いてごらん」
「誉さんは抱いてくれないの?」
「亜梨子が乱れるところを見てみたいんだ」
「意地悪ね」
 亜梨子は腰を上げて、また奥まで誉を飲み込む。
 自分で動くときは、どうしても躊躇ってしまう。
「そんな動きじゃ、イケないよ」
「誉さん、気持ち良くないんですね。ごめんなさい」
 亜梨子はしょんぼりしてしまう。
 経験値が全くない亜梨子の初恋の相手は誉で、処女を捧げたのも誉だ。
「亜梨子の中にいるだけで、気持ちはいいよ。一生懸命な姿は愛らしいし、どうしたらこの気持ちを伝えられるんだろう」
 誉は亜梨子の痩せた腰を掴むと、最奥を楔で押しつける。
「あああん、誉さん」
 押しつけていた楔を、胎内から出る間際まで引き抜くと、勢いよく奥を突いてくる。
「誉さんっ」
 だんだんスピードが速くなっていく。
 亜梨子は誉の楔を手放したくなくて、胎内で締め付ける。
 その健気さに、誉はますます亜梨子が好きなる。
 速いスイングで最奥を突くと、体の奥が熱くなる。
 誉は射精するときは体を力一杯抱きしめてくれる。
 満たされて、二人はジャグジー風呂の中で抱きしめ合っている。
「二つの体が一つになれば、いいのにね」
「私、誉さんの一部でもいい」
 亜梨子の髪は、互いに体を洗ってから、黒髪が下ろされている。
 ジャグジーの流れで、髪が流されている。
「髪はいつから伸ばしているの?」
「もともと長かったんですけど、高校一年生の時。両親が事故に遭ったときから、美容院には行っていません」
「美容院代が出せなかったから?」
「それもありますけど、切りたくなかったんです。両親の思い出が消えてしまいそうで」
「それなら、綺麗に手入れをしなくては」
 誉は亜梨子を抱き上げて、楔から解き放つ。
「シャワーを浴びて、おいで」
 誉は先にシャワーで泡を流して、浴室から出て行った。
 亜梨子はジャグジーを止めると、立ち上がって、湯船を出た。
 誉が注いだ精液が流れてくる。
 シャワーを浴びて、精液も流す。
(コンドームつけなくて大丈夫かな?赤ちゃんができたら捨てられるとかないよね?)
 最初の日から、まったく避妊をされていない。

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