唯一の恋

綾月百花   

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わくわくチョコレート大作戦 ~平等に愛して~♪

1   バレンタインの季節 響介

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 甘い香りがお店の中に広がる。
「美味しそうだね」
 普段は見かけない高級名店のチョコレート即売会にやってきた響介は、甘い香りに誘われて、チョコレーで作られたシンデレラの靴の前で足を止めた。
 シンデレラの靴には、赤い宝石のついたネックレスがデコレーションされている。
「こちらは、女性へのプレゼント用に人気なシンデレラコーナーです」
 案内してくれているのは、編集者の女性担当者だ。
 響介は父から引き継いだ会社の代表取締役社長をしているが、もともと作家をしている。
 仕事が忙しく、昔ほど頻繁に執筆できなくなったが、響介のファンは多く、新作を期待されている。
 今日は久しぶりに編集者と打ち合わせをした。
 テーマはシンデレラストーリーでと言われて、女性編集者に誘われて、バレンタインの催しをされているホテルに案内された。
 即売会なので、いろんなお店のチョコレーを買える。
 奈都を連れてきたら、喜びそうだ。
 海外のお店のチョコレートも並んでいる。
 チョコレートフォンデュがあり、チョコレートが噴水のように流れている。
「バレンタインは女性が男性にプレゼントをする日のように思われていますが、今は自分へのご褒美や大切な彼女へのプレゼントにされている方も多くなっているみたいですね」
 出版社の担当、三木梓は、少し興奮気味に響介に話しかけている。
「金森先生は、特別な方がおいでですか?」
「いるよ」
「そうですか・・・」
 担当の三木が自分に特別な感情を抱いていることに気付いている響介は、正直に答える。
 変に期待を持たせるような言い方は、後から面倒になる。
 弟の亜稀も兄弟として愛しているが、特別の相手と言えば奈都しかいない。
「アクセサリーと併せて贈られる方もいらっしゃるそうです」
「イベントとしてはいいね」
 響介の頭の中は、奈都の喜んだ顔しか浮かんでいない。
「さて、何か買っていこうかね。せっかく来たんだし」
 ブランド品や有名巨匠の物も置いてある。販売員が試供品のチョコを渡してくれる。
 それを受け取り、口に入れる。
 甘い味と香りが鼻に抜けていく。
 奈都に食べさせてやりたい。
 響介はいくつかの店で、チョコを購入し、義理チョコを一つ買って三木に渡した。
「今日はいい場所に案内してくれてありがとうね」
「先生。私、とても嬉しいです」
 三木もチョコをくれた。
 チョコの交換だ。
「義理チョコで申し訳ないね」
 ちゃんと釘を刺す。
「はい。先生からチョコがもらえる方が羨ましいです」
 会場で別れて、響介は奈都の待つ家に向かう。
 家に戻る途中で、宝石店に入ると、プチネックレスを購入した。
 チョコレートに合いそうなルビーの最高峰と呼ばれるピジョンブラッド。
 愛を語るには相応しい赤色の宝石だ。
 綺麗に包装してもらい、響介は家に戻る。
 バレンタインにはチョコと綺麗なネックレスを贈ろう。
 奈都の喜んだ顔を思い浮かべると、響介の心は白い鳩のように飛び立ってしまう。

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