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11 パーティー
2 お披露目会
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「わぁ……、すごく綺麗」
アリアはパーティー会場の入り口で天井を飾るシャンデリアを見て、目を輝かせた。
初めて見るパーティー会場の中には、美しいドレスを身につけた紳士淑女がたくさんいる。立食パーティーになっているのか、それぞれに食事をしている。
アリアはエスペランスに連れられて、着替える前にダイニングで夕食を食べてきたのでお腹は空いていないが、パーティー会場の中に並べられた料理は美しく、まるで飾り物を見ているようだ。
「アリアの社交界デビューだな」
「はい」
嬉しそうな声が返ってきた。
先ほどまでの怯えた声ではない。
「これから入場したら、挨拶に回る。アリアはお辞儀の練習だと思ってお辞儀だけすればいい。挨拶が終わったら、ダンスを踊る。1回踊れば十分だが、踊りたければ何曲でも踊ってもいいぞ」
「1回でいいわ」
エスペランスが微笑むとアリアも微笑み返してきた。
なんと愛らしい笑顔だろうか。
「では参りますか?」
執事がエスペランスに頃合いを窺う。
「では、参ろうか」
スポットライトがあたって、アリアの肩がピクンと震える。
「ほら、掴まれ」
「はい」
アリアはエスペランスの腕に掴まり、階段を降りていく。拍手が沸き起こった。階段を下まで降りると、スポットライトは消えて、室内が明るくなった。
アリアはいろんな顔つきの魔界の上流階級の人たちに、お辞儀をして歩いた。
怖そうな顔をしているが、アリアを棒で打ち続けた人間より、ずっと優しそうに見える。
人間は心の中に悪魔が住んでいるのだろう。
悪魔が住む魔界では、棒で叩く者はいない。
「可愛い奥様ですね」と皆が言うので、アリアの頬は色づいて胸がドキドキしていた。
その頃、アミーキティアは一人の男性を紹介されていた。
ずいぶん昔の魔王の子を祖父に持つ公爵家の長男だ。血の繋がりはあるが、血は薄くなっているだろう。
「デューク殿、この娘がアミーキティアと申します。どうぞお見知りおきを」
「祖父から聞いております。良縁をありがとうございます」
デュークは礼儀正しくお辞儀をした。
年齢は250歳で、アミーキティアと同い年だ。
本来であれば、もっと若い娘を嫁に迎えたいだろうが、魔王の妹という立場は、公爵家にとっては位があがる。良縁であることは間違いない。
デュークにとっては、棚からぼた餅状態だ。
「よろしくお願いします」
アミーキティアに選ぶ権利はないが、会ってみたら、嫌悪を感じるほど嫌な雰囲気を醸し出す方ではなかった。顔立ちも大好きな兄に比べれば、すべて落ちるが、標準よりは上であろう。身長もアミーキティアよりずいぶん高い。大好きな兄上と同じくらいだ。後は、相手がアミーキティアを好いてくれれば、確かに良縁だろう。
「挙式を行っていただいてもいいだろうか?」
父が心配して、デュークに窺う。
「こちらからお願いしなくてはならないのに、配慮が足りなくてすみません」
謙虚なところは、アミーキティアに学んで欲しいところだ。
両親どころか祖父母もアミーキティアの兄妹達もホッとする。
「アミーキティア様、どうかわたくしの嫁に来ていただけますか?」
「よろしくお願いします。わたくしのことは、アミーキティアとお呼びください」
猫を被ったようなアミーキティアは、美しくお辞儀をした。
「ありがとうございます」
デュークの両親も、良縁を喜んでいるようで、どうやらこの縁談は纏まりそうだ。
後は、若い者同志でと、両家の両親達は二人きりにして離れていく。
アリアはパーティー会場の入り口で天井を飾るシャンデリアを見て、目を輝かせた。
初めて見るパーティー会場の中には、美しいドレスを身につけた紳士淑女がたくさんいる。立食パーティーになっているのか、それぞれに食事をしている。
アリアはエスペランスに連れられて、着替える前にダイニングで夕食を食べてきたのでお腹は空いていないが、パーティー会場の中に並べられた料理は美しく、まるで飾り物を見ているようだ。
「アリアの社交界デビューだな」
「はい」
嬉しそうな声が返ってきた。
先ほどまでの怯えた声ではない。
「これから入場したら、挨拶に回る。アリアはお辞儀の練習だと思ってお辞儀だけすればいい。挨拶が終わったら、ダンスを踊る。1回踊れば十分だが、踊りたければ何曲でも踊ってもいいぞ」
「1回でいいわ」
エスペランスが微笑むとアリアも微笑み返してきた。
なんと愛らしい笑顔だろうか。
「では参りますか?」
執事がエスペランスに頃合いを窺う。
「では、参ろうか」
スポットライトがあたって、アリアの肩がピクンと震える。
「ほら、掴まれ」
「はい」
アリアはエスペランスの腕に掴まり、階段を降りていく。拍手が沸き起こった。階段を下まで降りると、スポットライトは消えて、室内が明るくなった。
アリアはいろんな顔つきの魔界の上流階級の人たちに、お辞儀をして歩いた。
怖そうな顔をしているが、アリアを棒で打ち続けた人間より、ずっと優しそうに見える。
人間は心の中に悪魔が住んでいるのだろう。
悪魔が住む魔界では、棒で叩く者はいない。
「可愛い奥様ですね」と皆が言うので、アリアの頬は色づいて胸がドキドキしていた。
その頃、アミーキティアは一人の男性を紹介されていた。
ずいぶん昔の魔王の子を祖父に持つ公爵家の長男だ。血の繋がりはあるが、血は薄くなっているだろう。
「デューク殿、この娘がアミーキティアと申します。どうぞお見知りおきを」
「祖父から聞いております。良縁をありがとうございます」
デュークは礼儀正しくお辞儀をした。
年齢は250歳で、アミーキティアと同い年だ。
本来であれば、もっと若い娘を嫁に迎えたいだろうが、魔王の妹という立場は、公爵家にとっては位があがる。良縁であることは間違いない。
デュークにとっては、棚からぼた餅状態だ。
「よろしくお願いします」
アミーキティアに選ぶ権利はないが、会ってみたら、嫌悪を感じるほど嫌な雰囲気を醸し出す方ではなかった。顔立ちも大好きな兄に比べれば、すべて落ちるが、標準よりは上であろう。身長もアミーキティアよりずいぶん高い。大好きな兄上と同じくらいだ。後は、相手がアミーキティアを好いてくれれば、確かに良縁だろう。
「挙式を行っていただいてもいいだろうか?」
父が心配して、デュークに窺う。
「こちらからお願いしなくてはならないのに、配慮が足りなくてすみません」
謙虚なところは、アミーキティアに学んで欲しいところだ。
両親どころか祖父母もアミーキティアの兄妹達もホッとする。
「アミーキティア様、どうかわたくしの嫁に来ていただけますか?」
「よろしくお願いします。わたくしのことは、アミーキティアとお呼びください」
猫を被ったようなアミーキティアは、美しくお辞儀をした。
「ありがとうございます」
デュークの両親も、良縁を喜んでいるようで、どうやらこの縁談は纏まりそうだ。
後は、若い者同志でと、両家の両親達は二人きりにして離れていく。
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