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3 醜い争い
4 美鈴の婚礼
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真優が旅だったその日に、美鈴の部屋にも従者が現れた。
美鈴は笑顔で従者を迎え入れた。
山梨にある白龍神社の白龍様が旦那様になるらしい。
従者たちが持ってきた贈り物は、真優よりたくさんあった。
「婚礼は急で、明日には出発するらしい」
「お受けいたします」
残り物には福がある。
白龍様と言えば、金運の神様だ。
裕福な暮らしができると、心の中で喜んでいた。
「至急、花嫁修業をいたしましょうね」
美鈴の付き人は、真優の付き人よりも多い。
我が儘いっぱいで19歳まで暮らしてきた美鈴は、千鶴が抜けてから、一番の年長者になったことから、親分肌をひけらかして、やりたい放題してきた。
青龍様の妃になるには、すべての花姫を殺してしまえばいいと思い込んでいた美鈴は、つい最近、それが間違いだと気付いた。この五人になる前に二人を葬って、紗椰も葬ったのに、青龍様からは声はかけられない。唯を川に流して殺そうとした後、青龍様に腕を折られてしまった。唯に治癒能力があることも驚いた。
特殊な能力があるから青龍様は、唯に特別目をかけているのだと思った。
最近では、唯は人の姿をした青龍様と逢い引をしている。
どんなことをしても、唯がいる限り妃にはなれないと、半ば諦めていた。
唯は紗椰が自害したときから、元気をなくしている。
あまり笑顔を見せなくなった。
華やかなドレスや着物も着なくなって、虐める気も失せてきている。
そのうち青龍様が、飽きるのではないかと思っていた頃、真優が嫁いだ。
田舎の神社に興味はない。
山梨なら、気候もいいし、果物も美味しい。
美鈴は自分さえ良ければいいと思っている。
着物の入れられた篭から、着物を取り出す。
「思ったよりも地味かな?」
一着ずつ、鏡の前であてがって見た。
美鈴に笑顔が浮かんでくる。
「どれも似合う」
黄色の着物に薄絹の羽織を身につけ、廊下に出て行く。
見せびらかすのは、唯しかいない。
唯の部屋に行くと、襖は強く閉じられた。
「散歩か?」
唯は神社に参拝し、よく湖の遊歩道を散歩している。
「面倒だな」
見せびらかすのは後にして、紗椰が自害した中庭が見える廊下に来た。
見事な枯山水が描かれている。
「紗椰見て、綺麗でしょ?」
自害させた理由が自分にあることも忘れて、今は亡き花姫に見せつける。
何も言ってもらえないので、つまらない。
部屋に戻れば、花嫁修業をしろと言われるので、戻りたくない。
「つまんないの」
やはり唯に見せびらかしたい。
屋敷から出て、いつも唯が出てくる遊歩道で待っていると、唯は男性と一緒にいた。
「また後でおいで」と言って、男性は先に歩いて行った。
「青龍様ですか?」
「はい」
唯は素直に頷いた。
「美鈴さんはご結婚が決まったのですか?」
「ええ、白龍様が旦那様なってくださるそうです」
「おめでとうございます」
唯は丁寧にお辞儀をした。
「綺麗なお召し物ですね」
唯は美鈴の着物を褒めた。
美鈴はにこりと笑うが、唯が身につけている着物も黄色い着物だった。
心の中で舌打ちする。
唯は青龍様と婚約してから、見てわかるほど美しくなった。
同じ黄色の着物も、唯が着ると上品に見える。着物が上等に見えるのだ。
(違う色にすれば良かった)
唯はそれ以上、言葉を発しなかった。
沈んだ顔を見ていると、その顔を叩きたくなる。
今まで紗椰に八つ当たりをしてきたが、その相手もいなくなり、かといって目の前の唯の頬を叩けば、お付きの者に取り押さえられ、また青龍様に腕を折られてしまうかもしれない。
一緒にいるのが嫌になり、美鈴は「それでは、お先に」と言いながら、唯から離れていく。
もともと唯とは仲良くしていない。宿敵のように唯の暗殺ばかりを考えていた。紗椰のように命を奪うつもりだった。
(なんで、私が白龍様のところへ嫁がなければならないの?私は青龍様の妃になりたかったのに)
部屋に戻り、着ていた着物を脱ぐと違う色の着物に着替えた。
(唯と同じなんていや)
……
…………
………………
翌朝早く牛車やってきた。牛の頭に華の冠が付けられた美しい牛車だった。
唯が「お幸せに」と見送ってくれたが、返事はしなかった。
もう唯には興味はない。
白無垢の花嫁衣装を身につけた美鈴は、今までお世話になった付き人にもお礼を言わずに牛車に素早く乗りこんだ。
美鈴の頭には、甘い果物や美しい着物。優しい旦那様のことでいっぱいになっていた。
牛車は龍道を通って、すぐに白龍神社に到着した。
立派な神社だ。綺麗な池もあり、人の賑わいもある。
観光地になっているのか、神社の周りにお店もたくさんある。
付き人に頼んで、美味しいものを買ってきてもらえる。
牛車の扉が開けられたが、目の前には神社の神主が一人いるだけだった。
「白龍様は?」
「お仕事をしておいでになります。婚礼は深夜になるかもしれません。急な神事が入りましたので」
仕事なら仕方がないだろう。
「案内いたします」
「ありがとう」
神主に連れられて、美鈴は広い部屋に案内された。侍女がひとり付けられたが、歳のいった老婆だった。話し相手にはならない。
花嫁衣装は重く、着ているだけで疲れてくる。それでも旦那様に見せるまでは脱ぐことはできない。じっと座って待っているのも退屈だ。
足を崩して、花嫁衣装の裾をまくり上げている。
「お行儀が悪うございます。仮にも花嫁でございましょう。凜となさいませ」
「うるさい、ばあさんね」
美鈴は皺だらけの顔の老婆を睨めつけた。
(醜い老婆だわ。こんな婆さんが、お付きのも者なんて嫌だわ)
「何か食べ物はないの?お腹が空いたの」
年老いた侍女は精進料理のような食事を持ってきた。
「薄味で美味しくないわ。お菓子はないの?」
老婆はお盆に甘いお菓子の重箱を持ってやってきた。
それを奪うように手に持ち、甘い菓子を黙々と食べる。
そっと出されたお茶もお礼も言わずに口にする。
「もっとお菓子をちょうだい。お茶も淹れて」
老婆は黙って、美鈴にお菓子とお茶を用意する。
重い打ち掛けを脱ぎ去り、帯を緩めた。
花嫁衣装は重くて窮屈だ。
お腹も膨れて、帯が苦しくなっていた。
やっと白龍様が帰ってきたのは、神主が言ったとおり深夜だった。
身なりを整えて、美鈴は猫を被るように可愛らしい仕草を見せる。
「美鈴か。いい名前だ」
「ありがとうございます。これからお世話になります」
深夜から披露宴が始まった。
お酒やご馳走が運ばれて、美鈴は目の色を変えて運ばれてくる料理を次から次へと食べていった。初めてお酒を飲んだ美鈴は、酔って花嫁衣装の綿帽子を脱ぎ捨て、だらしなく白無垢を緩め、足を開いて座って、お酒を飲み続けている。
白龍様の顔つきが変わっているのにも気付かず、美鈴はだらしなく、食べ物を食べ散らかしている。
「花姫というから花嫁に迎えたのだが、これでは家畜と変わらぬ」
宴会に招かれた客が、白龍様の顔つきを見て、帰って行く。
お客が一人もいなくなってから、白龍様は席を立った。
「はくりゅうさま。どこにいらっしゃるんですか?」
酔っ払った美鈴は、這うように白龍様を追う。
「美鈴、花姫の力を見せよ」
目の前に蕾の花を置かれて、美鈴はきょとんとその花を見つめる。
「花姫の力でございますか?」
「この花を咲かせて見せろ」
「私には、そんな力はございません」
「なんだと?」
白龍様が眉を寄せた。
「御嵩家近辺の山々や花咲町には花が年中咲いているではないか?」
「それは私の力ではありません」
「この縁談はなかったことにする」
白龍様は立ち去ろうとする。
「美鈴を気に入っていただけませんか?」
「家畜のような花嫁は恥にしかならぬ」
白龍様は、白い瞳を輝かせ美鈴を突き飛ばした。
「どうか美鈴をお側においてください」
縋り付く美鈴に、綺麗な白髪が背中まである白龍様は、腕を一閃した。
美鈴の口から歯がすべて抜け落ち、口から血が流れ出てくる。
「きゃっ!」
「卑しく、見苦しい」
お尻を叩くと、美鈴の姿は豚の姿に変わった。
「一生食べずに、家畜として生きよ。我が屋敷の家畜小屋を部屋に与えよう」
目の前で白龍様の姿が、老婆の姿に変わり、また白龍様の姿に戻った。
(あの老婆は、白龍様だったのね。今日一日、私の姿を観察していたのね。我が儘放題に過ごした姿を見て落胆させてしまったんだわ)
口から血が滴り落ちていく。痛みで意識が朦朧としてくる。
綺麗に磨いていた手の爪は家畜の醜い爪になり、その手は血に濡れている。
(これは罰なの?なんて醜い姿かしら)
花嫁衣装が豚の背中から滑り落ちていく。
「おまえの部屋は外だ」
神主が美鈴の首に縄を巻いて、引きずるように家畜小屋に連れてこられた。
くさい匂いに、美鈴は涙を流す。
首から縄を外されて、他の家畜の中に放たれた。
雄の豚の性器が、美鈴の膣口を裂いた。
(私は家畜に処女を捧げるの?なんて屈辱的なの)
代わる代わる家畜に襲われ続け、美鈴は十日後に豚の姿で亡くなった。
命がつきる寸前に、花の香りが強くなり、目の前に置かれた花が咲いた。
白龍様はその花を見て、美鈴も花姫だったのだと認めて、人の姿に戻した。
痩せこけた花姫を清め、綺麗な着物を着せると、御嵩家に牛車で送らせた。
美鈴の亡骸は、火葬されると花姫の生る木の肥やしにされた。
美鈴は笑顔で従者を迎え入れた。
山梨にある白龍神社の白龍様が旦那様になるらしい。
従者たちが持ってきた贈り物は、真優よりたくさんあった。
「婚礼は急で、明日には出発するらしい」
「お受けいたします」
残り物には福がある。
白龍様と言えば、金運の神様だ。
裕福な暮らしができると、心の中で喜んでいた。
「至急、花嫁修業をいたしましょうね」
美鈴の付き人は、真優の付き人よりも多い。
我が儘いっぱいで19歳まで暮らしてきた美鈴は、千鶴が抜けてから、一番の年長者になったことから、親分肌をひけらかして、やりたい放題してきた。
青龍様の妃になるには、すべての花姫を殺してしまえばいいと思い込んでいた美鈴は、つい最近、それが間違いだと気付いた。この五人になる前に二人を葬って、紗椰も葬ったのに、青龍様からは声はかけられない。唯を川に流して殺そうとした後、青龍様に腕を折られてしまった。唯に治癒能力があることも驚いた。
特殊な能力があるから青龍様は、唯に特別目をかけているのだと思った。
最近では、唯は人の姿をした青龍様と逢い引をしている。
どんなことをしても、唯がいる限り妃にはなれないと、半ば諦めていた。
唯は紗椰が自害したときから、元気をなくしている。
あまり笑顔を見せなくなった。
華やかなドレスや着物も着なくなって、虐める気も失せてきている。
そのうち青龍様が、飽きるのではないかと思っていた頃、真優が嫁いだ。
田舎の神社に興味はない。
山梨なら、気候もいいし、果物も美味しい。
美鈴は自分さえ良ければいいと思っている。
着物の入れられた篭から、着物を取り出す。
「思ったよりも地味かな?」
一着ずつ、鏡の前であてがって見た。
美鈴に笑顔が浮かんでくる。
「どれも似合う」
黄色の着物に薄絹の羽織を身につけ、廊下に出て行く。
見せびらかすのは、唯しかいない。
唯の部屋に行くと、襖は強く閉じられた。
「散歩か?」
唯は神社に参拝し、よく湖の遊歩道を散歩している。
「面倒だな」
見せびらかすのは後にして、紗椰が自害した中庭が見える廊下に来た。
見事な枯山水が描かれている。
「紗椰見て、綺麗でしょ?」
自害させた理由が自分にあることも忘れて、今は亡き花姫に見せつける。
何も言ってもらえないので、つまらない。
部屋に戻れば、花嫁修業をしろと言われるので、戻りたくない。
「つまんないの」
やはり唯に見せびらかしたい。
屋敷から出て、いつも唯が出てくる遊歩道で待っていると、唯は男性と一緒にいた。
「また後でおいで」と言って、男性は先に歩いて行った。
「青龍様ですか?」
「はい」
唯は素直に頷いた。
「美鈴さんはご結婚が決まったのですか?」
「ええ、白龍様が旦那様なってくださるそうです」
「おめでとうございます」
唯は丁寧にお辞儀をした。
「綺麗なお召し物ですね」
唯は美鈴の着物を褒めた。
美鈴はにこりと笑うが、唯が身につけている着物も黄色い着物だった。
心の中で舌打ちする。
唯は青龍様と婚約してから、見てわかるほど美しくなった。
同じ黄色の着物も、唯が着ると上品に見える。着物が上等に見えるのだ。
(違う色にすれば良かった)
唯はそれ以上、言葉を発しなかった。
沈んだ顔を見ていると、その顔を叩きたくなる。
今まで紗椰に八つ当たりをしてきたが、その相手もいなくなり、かといって目の前の唯の頬を叩けば、お付きの者に取り押さえられ、また青龍様に腕を折られてしまうかもしれない。
一緒にいるのが嫌になり、美鈴は「それでは、お先に」と言いながら、唯から離れていく。
もともと唯とは仲良くしていない。宿敵のように唯の暗殺ばかりを考えていた。紗椰のように命を奪うつもりだった。
(なんで、私が白龍様のところへ嫁がなければならないの?私は青龍様の妃になりたかったのに)
部屋に戻り、着ていた着物を脱ぐと違う色の着物に着替えた。
(唯と同じなんていや)
……
…………
………………
翌朝早く牛車やってきた。牛の頭に華の冠が付けられた美しい牛車だった。
唯が「お幸せに」と見送ってくれたが、返事はしなかった。
もう唯には興味はない。
白無垢の花嫁衣装を身につけた美鈴は、今までお世話になった付き人にもお礼を言わずに牛車に素早く乗りこんだ。
美鈴の頭には、甘い果物や美しい着物。優しい旦那様のことでいっぱいになっていた。
牛車は龍道を通って、すぐに白龍神社に到着した。
立派な神社だ。綺麗な池もあり、人の賑わいもある。
観光地になっているのか、神社の周りにお店もたくさんある。
付き人に頼んで、美味しいものを買ってきてもらえる。
牛車の扉が開けられたが、目の前には神社の神主が一人いるだけだった。
「白龍様は?」
「お仕事をしておいでになります。婚礼は深夜になるかもしれません。急な神事が入りましたので」
仕事なら仕方がないだろう。
「案内いたします」
「ありがとう」
神主に連れられて、美鈴は広い部屋に案内された。侍女がひとり付けられたが、歳のいった老婆だった。話し相手にはならない。
花嫁衣装は重く、着ているだけで疲れてくる。それでも旦那様に見せるまでは脱ぐことはできない。じっと座って待っているのも退屈だ。
足を崩して、花嫁衣装の裾をまくり上げている。
「お行儀が悪うございます。仮にも花嫁でございましょう。凜となさいませ」
「うるさい、ばあさんね」
美鈴は皺だらけの顔の老婆を睨めつけた。
(醜い老婆だわ。こんな婆さんが、お付きのも者なんて嫌だわ)
「何か食べ物はないの?お腹が空いたの」
年老いた侍女は精進料理のような食事を持ってきた。
「薄味で美味しくないわ。お菓子はないの?」
老婆はお盆に甘いお菓子の重箱を持ってやってきた。
それを奪うように手に持ち、甘い菓子を黙々と食べる。
そっと出されたお茶もお礼も言わずに口にする。
「もっとお菓子をちょうだい。お茶も淹れて」
老婆は黙って、美鈴にお菓子とお茶を用意する。
重い打ち掛けを脱ぎ去り、帯を緩めた。
花嫁衣装は重くて窮屈だ。
お腹も膨れて、帯が苦しくなっていた。
やっと白龍様が帰ってきたのは、神主が言ったとおり深夜だった。
身なりを整えて、美鈴は猫を被るように可愛らしい仕草を見せる。
「美鈴か。いい名前だ」
「ありがとうございます。これからお世話になります」
深夜から披露宴が始まった。
お酒やご馳走が運ばれて、美鈴は目の色を変えて運ばれてくる料理を次から次へと食べていった。初めてお酒を飲んだ美鈴は、酔って花嫁衣装の綿帽子を脱ぎ捨て、だらしなく白無垢を緩め、足を開いて座って、お酒を飲み続けている。
白龍様の顔つきが変わっているのにも気付かず、美鈴はだらしなく、食べ物を食べ散らかしている。
「花姫というから花嫁に迎えたのだが、これでは家畜と変わらぬ」
宴会に招かれた客が、白龍様の顔つきを見て、帰って行く。
お客が一人もいなくなってから、白龍様は席を立った。
「はくりゅうさま。どこにいらっしゃるんですか?」
酔っ払った美鈴は、這うように白龍様を追う。
「美鈴、花姫の力を見せよ」
目の前に蕾の花を置かれて、美鈴はきょとんとその花を見つめる。
「花姫の力でございますか?」
「この花を咲かせて見せろ」
「私には、そんな力はございません」
「なんだと?」
白龍様が眉を寄せた。
「御嵩家近辺の山々や花咲町には花が年中咲いているではないか?」
「それは私の力ではありません」
「この縁談はなかったことにする」
白龍様は立ち去ろうとする。
「美鈴を気に入っていただけませんか?」
「家畜のような花嫁は恥にしかならぬ」
白龍様は、白い瞳を輝かせ美鈴を突き飛ばした。
「どうか美鈴をお側においてください」
縋り付く美鈴に、綺麗な白髪が背中まである白龍様は、腕を一閃した。
美鈴の口から歯がすべて抜け落ち、口から血が流れ出てくる。
「きゃっ!」
「卑しく、見苦しい」
お尻を叩くと、美鈴の姿は豚の姿に変わった。
「一生食べずに、家畜として生きよ。我が屋敷の家畜小屋を部屋に与えよう」
目の前で白龍様の姿が、老婆の姿に変わり、また白龍様の姿に戻った。
(あの老婆は、白龍様だったのね。今日一日、私の姿を観察していたのね。我が儘放題に過ごした姿を見て落胆させてしまったんだわ)
口から血が滴り落ちていく。痛みで意識が朦朧としてくる。
綺麗に磨いていた手の爪は家畜の醜い爪になり、その手は血に濡れている。
(これは罰なの?なんて醜い姿かしら)
花嫁衣装が豚の背中から滑り落ちていく。
「おまえの部屋は外だ」
神主が美鈴の首に縄を巻いて、引きずるように家畜小屋に連れてこられた。
くさい匂いに、美鈴は涙を流す。
首から縄を外されて、他の家畜の中に放たれた。
雄の豚の性器が、美鈴の膣口を裂いた。
(私は家畜に処女を捧げるの?なんて屈辱的なの)
代わる代わる家畜に襲われ続け、美鈴は十日後に豚の姿で亡くなった。
命がつきる寸前に、花の香りが強くなり、目の前に置かれた花が咲いた。
白龍様はその花を見て、美鈴も花姫だったのだと認めて、人の姿に戻した。
痩せこけた花姫を清め、綺麗な着物を着せると、御嵩家に牛車で送らせた。
美鈴の亡骸は、火葬されると花姫の生る木の肥やしにされた。
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