花姫だという私は青龍様と結婚します

綾月百花   

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8   花姫たちが襲われています

7   赤ちゃんの出産と花姫の力の解放

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「みのり、お腹が痛い」

「陣痛が始まりましたね」

「うん、お腹が張っている」

「息を止めてはいけません」

「うん」


 唯はベッドに横になり、お腹を抱えている。

 その腰をみのりは優しく撫でている。


「兄様、出産の準備をお願いします」

「了解した」

「いつ生まれるの?」

「普通の子ではないので、早いと思います」

「龍神の姿で生まれるの?」


 陣痛の間に、唯はみのりにいろいろ質問する。


「人の姿で生まれると思います」

 
 唯は頷いた。


「龍神って大きなイメージがあったの。お腹が裂けてしまうかもって」

「青龍様のお母様は生きていらっしゃいますよ」

「そういえば、そうね」


 陣痛が来て、唯は痛みに苦しそうに喘ぐ。


「唯、戻ったぞ」

「青龍様、唯様に陣痛が来ています」

「なんと。間に合ってよかった」


 龍之介は走って洞窟の中の寝室に入ってきた。


「腰をさすってあげてください。少しは痛みが楽になると思います」


 みのりが龍之介と場所を変わる。


「痛むのか?」

「はい、とても」

「俺の子だ。安産にしてやる」


 唯は微笑む。


「安産祈願するのを忘れていました」

「俺が毎日、していた」

「よかった」
 

 龍之介が背中をさすると痛みが消えていくが、陣痛が来るとお腹は痛くなる。


「唯様、ゆっくり呼吸をしてください」

「うん」

 唯、赤子が降りてきているぞ」


「生まれそう」

「ほら、そこで力め」


 唯はお腹に力を入れた。その瞬間、唯にかけられていた結界が綺麗に飛んだ。


「ああああ!」


 子供が生まれてくる瞬間、御嵩家とその周辺に花が一斉に咲き出した。


「もう少し力め」

 龍之介が赤子の頭を支えて、するりと出てきた体を受け止めた。


「へその緒も切られますね?」

「もちろんそのつもりだ」


 膣口から子供を抜き出すと、龍之介は小さな背中を撫でる。


 すぐに泣き声が聞こえた。


「唯、男の子だ」


 唯は微笑む。


「龍之介様、そっくりですか?瞳の色は?」

「唯、少し、待っておれ」


 赤子をみのりに預けると、唯と洞窟と神殿に結界を張っていく。

 最後に赤子に結界を張って、臍の緒を切った。


「唯、瞳の色は俺と同じ青だ」

「見せて」


 唯は赤ちゃんを腕に抱いた。


「今度は産めた。ありがとう。龍之介様とみのりと達樹。みんなが守ってくれなかったら、産めなかった」

 みのりは「おめでとうございます」と頭を下げて、出産の後処置を始めた。

 胎盤が出てくると、それを受け取り桶に入れた。

 汚れた下肢をタオルで拭って出血している下肢にタオルをあてた。


「兄様、沐浴の準備を」

「了解した」


 すっと寝室にベビーバスとタオルの篭が現れた。
 
 唯から赤ちゃんを受け取ると、みのりは赤ちゃんを綺麗に洗った。

 タオルで拭うとおむつをして絹の着物を着せた。


「唯様、母乳を欲しがっておりますよ」

「もうあげてもいいの?」

「青龍様と唯様の赤ちゃんは、神ですから。これからすくすく育ちますよ」


 唯は両手を広げて、赤ちゃんを抱きしめた。


「本当に、綺麗な青い瞳。龍之介様と同じ色で良かった」


 白銀の髪をした赤ちゃんを抱くと、赤ちゃんは唯の胸に触れてくる。


「唯様はまだ起きられませんから、横になったまま吸わせてあげてください」

「母乳が出るの?私の胸、蜜しかでないよ」

「蜜が何よりものご馳走だよ」


 龍之介は唯と赤子のツーショットに顔がにやけていた。


「そうなの?」


 半信半疑で、乳首をくわえさせると、赤ちゃんは蜜を一生懸命吸っている。


「蜜が栄養になるなんて。ミルクじゃなくていいの?」

「母親が花姫でない時は、母乳かミルクを与えるそうだ。蜜は唯の霊気も含まれているから、この子の力も強くなる」

「蜜がいいならいいけど」


 両乳を吸わせると赤ちゃんは、眠ってしまった。


「ベビーベッドはここに置きますか?」

「うん。一緒にいたい」

「畏まりました」


 みのりは赤ちゃんを受け取るとベビーベッドに寝かせた。


「唯、お腹の傷を早く治してあげよう。出血が多いようだね」

「少し、ぼんやりします」


 龍之介の手がお腹に触れる。

 優しい霊気を当てられ、眠くなってくる。


「少し眠りなさい」

「はい」


 唯は目を閉じた。
 
 龍之介は疲れて眠る唯の体を癒やしていった。

 流れ続けていた出血も止まり、傷が塞がっていく。

 子宮が元の大きさに収縮する際の後陣痛を取ってやる。
 
 蒼白だった顔色が、もとに戻っていく。


……
…………
………………


 龍星と名付けられた赤ちゃんは、1ヶ月蜜を飲み続け、すくっと立った。

 唯は驚いて、声も出ない。


「赤ちゃんが立つのって1年くらいじゃなかった?」

「俺と唯の子だ。順調に育っているな。すぐに走り出すぞ」


 龍之介は楽しそうに笑った。


「達樹、龍星から目を離すな。こいつは早いぞ」

「畏まりました」

「唯はそろそろ散歩に出かけてもいいぞ。体も回復してきた」

「はい。でも、外に出て大丈夫ですか?」

「大勢の龍神が、龍磨を探している。この屋敷にも何人も滞在している。心配するな」

「わかった。けど、もし何かあったら、私じゃなくて龍星を守って。お願い」

「龍星も守るが唯も守る。俺には唯しかいない」

「龍之介様」

 唯は龍之介に抱きついた。

 早く安心して暮らせるようになってほしい。


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