花姫だという私は青龍様と結婚します

綾月百花   

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8   花姫たちが襲われています

8   赤ちゃんを食べないで

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 花姫の屋敷は取り壊された。近いうちに新しく建てるそうだ。

 御嵩家の重厚な建物は、被害が少なかったために、修理だけで済んだ。

 文化財的価値のある御嵩家の建物なので、取り壊すためには国からの許可もいる。

 その辺りは神の力でなんとでもなるらしいが、御嵩家の残った従者たちが取り壊すことを拒んだ。

 久しぶりに、聖域である花姫の生る木のある座敷に連れてきてもらった。

 龍星は、御嵩家の中で、達樹や従者たちと鬼ごっこをしているらしい。

 出産後1ヶ月ですくっと立ち上がった龍星は2ヶ月蜜を欲しがったが、すぐに離乳食が始まった。

 万年桜は美しく咲いている。

 唯が出産したとき、御嵩家とその周辺に花が咲いたが、それ以来、ずっと花を付けている。

 唯には結界は張ってあるが、出産時の花姫の霊気が強くて花を咲かせたのだろうと言われている。

 美しいが、この花の香りに誘われて龍磨が来るかもしれない。いつも不安な唯を喜ばせたせるために、唯はここに招かれた。



「花姫の生る木の実が落ちそうですね」


 龍之介がにっこり笑う。


「これから実をもぐ」

「実を取ってしまうのですか?」

「見たことはないだろう?」



 唯は微笑んで、木のそばに寄っていった。



「どうするの?」

「俺しかもげないから見ていてくれ」


 龍之介は庭に下りると、実を包みこむようにそっと実に触れた。

 ポトリと龍之介の手の中に実が落ちた。


「触れるだけなんですね?」

「自然に手の中に落ちてくる」


 白いリンゴのような大きな実を持って、屋敷に上がる。

 唯も急いで龍之介の後を追い、龍之介の隣に座った。

 実を割るように、少し力を加えると、実は二つに割れて、小さな女の子が丸くなっていた。


「唯が名付けてやれ」

「龍之介様のお仕事ですよ?」

「名付け辞典を持ってきてもいいが」


 唯は「こ行」の名前の羅列を思い出して、にっこり笑った。


「お顔を見せてください」


 龍之介は実の中から、小さな女の子をそっと掴むと、絹の布で包んで小さな布団に寝かせた。


「愛らしいお顔。そうね。私だったら愛花にします。愛される花ですね」

「では、愛花にしよう」

「そんなに簡単に決めていいの?」

「名付け辞典よりはよかろう」


 龍之介は声を上げて笑った。

 龍之介は小さな愛花に術をかけている。

 花姫の力を封印しているのだろう。

 一連の作業を終えると、龍之介は唯に微笑んだ。


「花姫の力を消したんですか?」

「16の歳まで封じた」

「私も同じようにしたの?」

「唯は何度も繰り返したし、途中で会いに行って封じた」

「そんなに?」


 龍之介は唯の頭を撫でる。

 二十歳の姿に変えたが、もともと童顔の唯の顔は、子を産んでも幼い顔立ちをしている。

 まだやっと17歳の唯は、年相応の素直さがある。


「今から親鳥に預ける。見ておるか?」

「はい」


 唯は龍之介の後ろに控えた。


「子を預ける」

 一組の夫婦が現れて、頭を下げた。

「顔をあげよ」

 唯を育ててくれた親鳥ではなかった。

 見た目はまだ若い夫婦だ。

「愛花だ。16の歳まで子として育ててくれ。素直な優しい子になるように」

 龍之介は女の子が寝ている布団を、夫婦の前に置いた。

「お預かりします」

 親鳥の母親は、小さな女の子を抱き上げると胸に抱いた。

「誠心誠意、務めさせていただきます」

 父親が宣言して、二人は頭を下げると、すっと姿を消した。

 空になった布団を、龍之介は引き出しの中にしまった。


「なんだか呆気ないのね?」

「16年後、愛花を迎えてやってくれ」

「私の仕事なの?」

「唯には花姫の屋敷の監督をしてもらおう」

「監督ですか?」

「唯は何度、川に流された?」

「一度でしょうか?」

「何度も流されておる。喧嘩や虐めのない屋敷にしてやってくれ」


 唯は頷く。


「そのお仕事、承ります。中庭で自害させるようなことがないように」


 龍之介も頷いた。


「次の花姫はすぐにお願いしないの?」

「最低、三ヶ月休ませる決まりになっている」

「木も大変ね。ずっと妊娠しているようなものだもの」


 唯は自分のお腹を撫でる。


「そうだな。もっと労ってやらないといけないな」

 唯の花姫の力を解放すると、龍之介は唯を押し倒して唇を合わす。

 出産後、唯の体の回復を待つために二人は抱き合ってはいない。

「唯を抱いてもいいか?」

「はい」


 着物を脱がせて、ずっと龍星に独占されていた胸を吸う。

 芳香な香りと甘い味は、以前より濃くなっている。


「花姫の霊気が強くなったな」

「そうかな?」

 存分に飲んだ後、キスが下半身に降りていく。

「あまり舐めないでね」

「唯の蜜は甘いんだ」

 膣口に舌が入ってきて、膣の中を舐めていく。

「龍之介様ぁ」

 もどかしい疼きに、腰が揺れる。

「待てぬか?」

「欲しいです」

 龍之介の綺麗な白銀の髪に指を絡めて、その先を強請る。龍之介は急いで痛みのないように、体内に麻酔をかけていく。

「入れるぞ」

「うん」

 久しぶりに受け入れる龍之介の大きさに、一瞬意識が遠のくが、優しいキスで目を覚ました。

「痛むか?」

「龍之介様のだから大丈夫です」

「可愛いことを」

 子宮口まで開かれて子宮の奥に龍之介の霊気を感じる。

 手でお腹に触れると、体の中で龍之介が大きくなる。

「唯の霊気で自制が効かなくなる」

「いっぱい抱いてください」

「唯」

 龍之介は我慢ができず、抽挿を始めた。

 熱い霊気に全身が包まれていく。

 何度も霊気をお腹の奥に出され、唯は幸せそうに微笑んでいた。

「愛しています」

「俺も愛している」

 抱き合ったまま寄り添っていると、龍之介の耳に龍星の悲鳴が聞こえた。



『父上助けて』



「何事だ?」



 龍之介が体を起こすと、唯も体を起こす。



「龍星が呼んでいる。何かが起きている」


「龍星のところに連れていって」


 唯は急いで着物を着付けている。


「唯はここにいろ」

「待って」


 龍之介は瞬間移動で消えてしまった。


「なにが起きているの?龍星は無事なの?」


 唯はこの部屋から出る方法を知っている。

 初めて妊娠した、生まれ変わる前の記憶だ。

 抱きかかえられて、この部屋から出たことがある。

 遠い記憶を頼りに密室と言っていい部屋から出て行く。時間はかかるが出ていくことは可能だ。


「龍星」


 ただ息子の無事を祈って素足で歩いて行く。

 やっと外に出られ、取り壊された花姫の屋敷を横断して、御嵩家の屋敷の中に足を踏み入れた。

 そこには、見たこともないほどの屍が横たわっていた。


「龍星」

「母上」

 やっと二ヶ月の我が子が、走り寄ってくる。

「龍星」

「行ってはならぬ」

 龍星を止めているのは、見知らぬ男だったが、緑の髪をした男性だ。龍神様だ。

 唯は足を止めた。

「その子を寄越せ。花姫の香りがする」

 幽鬼のような姿をしたのは龍磨だ。

 今にも龍星に襲いかかろうとしている。


「その子は誰にもあげない!」


 唯は自分に気を向かせようと大声を上げた。


「父上、あそこに花姫がいるわ」


 赤い髪の子鬼が龍磨の腕を引いた。


「ゆい、食ってこい」


「ゆい?」


 唯は自分の名前を呼ばれて、戸惑った。


「唯、逃げろ」


 龍之介の声がした。

 龍之介は龍星を守っている。


「龍星を守って」


 そのことで安心した唯は逃げるのが遅くなった。


「唯様、早く」


 達樹が唯を抱き上げて、瞬間移動をして御嵩家の屋敷から逃げ出したが、達樹は酷い怪我をしていた。


「達樹、怪我をしているの?」

「すみません。ご自分の足で地下神殿まで逃げてください」


 達樹は全身から血を流していた。


「早く、お逃げください」

「でも、達樹を置いていけない」

「唯様、急いで」


 みのりの声がして、唯を抱き上げ瞬間移動をした。

 地下神殿まで移動したが、みのりもその場に倒れてしまった。


「みのり。死なないで」

「死にません。治癒の力は龍星様に取っておいてください」


 手を傷にあてようとした瞬間に、龍星の名前を出されて、唯は手を握りしめた。

 治癒の力は何度も使えない。


「みのり、生きて」

「奥の部屋に逃げてください」


 唯は洞窟の中に入っていくと、寝室に入った。


「花姫のにおいがする」


 子鬼の声がして、唯は身を潜める。

 抱き合った後、花姫の力の封印をされていない。

 今の唯は、霊力の強い花姫の力を放出している。



『龍之介様、どうか龍星を。どうかご無事で』



「隠れててもわかるんだから。すごい霊力だね。美味しそう」


 子鬼の顔は出来損ないの顔をしていた。女の子のように見える。

 頭に白い角が二本生え、口は大きく裂けている。身につけているのは人の服だ。

 もともと白だった服が、乾いた血の色に変わっている。



「ゆい、待ちなさい。父上が先だ。その女はゆいだ。ずっと会いたかったゆいだ」


 龍磨が子鬼の後を追ってきた。


「父上、ゆいはわたしでしょう?」


「おまえではない。おまえはゆいの代わりに花姫に産ませた鬼だ」


「わたしはおにって名前じゃないわ。ゆいはふたりもいらない」


 子鬼は小さな体で大人たちの間をすり抜けていく。

「神殿に入るな」

 龍之介の声がした。

 たくさんの神の気配もする。

「くはっ」

 龍磨が苦しそうな声を上げた。

 けれど、子鬼は楽しそうに唯に近づいてきた。


「ゆい、逃げろ」


 龍磨の断末魔が聞こえた。

 龍磨は倒れたのか、神たちの歓声の声が聞こえる。

 子鬼のゆいは、花姫の心臓の味しか知らなかった。

 龍磨はゆいに花姫の心臓しか与えてこなかったからだ。


「龍之介様、愛しています。また唯をと願ってください」


 徐々に近づく子鬼に、後退る。


「唯、どうした?龍磨は死んだぞ」


 龍之介がにこやかに寝室に入ってきた。


「龍之介様。……あっ」


 小さな手が唯の胸を裂いて赤い塊を引きちぎった。

 花姫の霊気がプツリと消えて、寝室の桜の盆栽から花落ちた。


「唯っ!」


 龍之介の目の前で、唯は、前に倒れた。

 子鬼の手には痙攣した唯の心臓が握られていた。

「このガキ!」

 龍之介は子鬼の胸に手を突き入れて小さな塊を引きちぎり床にすてて、踏み潰した。

 子鬼の体が唯の心臓を握ったまま倒れた。

「唯っ、唯っ、なぜ、ここで死ぬ」

 体を起こしても、唯は動かなかった。

 愛らしい顔のまま、息をしていなかった。

 胸にぽっかり穴が空いて、血が着物に吸われて真っ赤になっていく。

「唯、唯っ、どうして死んでしまうのだ?やっと安心して暮らせるのに」

 龍磨を倒して喜んでいた神々は、龍之介の嘆きの声を聞いて、静まりかえった。

「母上。寝ているの?」

 龍星が唯に抱きつくが、唯は二度と龍星を抱きしめることができなかった。
 


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