花姫だという私は青龍様と結婚します

綾月百花   

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9   二度目の転生

5   高校生活(4)

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 三人で弁当を食べるのが習慣になっている。

 唯は少し多めに作って龍星と辰成に、弁当を分ける。

 二人が持ってきている弁当は、明らかにコンビニ弁当だ。

 コンビニ弁当より学食で食べた方が割安だし、健康にいいと思うと二人に言ったが、二人は毎日、弁当を持ってくる。

 二人の弁当箱に、唯の手作りの弁当を載せていく。

 唯の弁当は薄味だし豪華ではないが、二人は喜んでくれる。

 三人で「いただきます」をして一緒に食べる。


「今日の部活、応援に行ってもいい?」


 唯は苦笑する。

 部長の勝間に言われた試合の話は、翌朝全校生徒が知っていた。

 全面的に唯に勝って欲しいと、みんなが思っているが、指名された佳奈が緊張していて、このところ調子が悪い。

 試合日は一週間後と言われたが、相変わらず練習はさせてもらえなかった。


「見に来てもいいけど、あまり騒がないでね」


 二人は他の男子と違って、紳士的で乱暴な言葉を発しないし、唯に付き合ってほしいと迫ってはこないので、唯は心を許している。

 二人が唯のそばにいることで、他の男子から言い寄られることがなくなり助かっている。


「今日のおやつは、イチゴのタルトよ」


 二人の目がキラリと光った。

 お弁当の後は、前日作ったおやつを持ってきて二人に食べてもらう。

 毎日、作ったおやつを食べると太ってしまいそうで、食べてくれる人を探していた唯には、二人の男子の存在は嬉しかった。

 紙皿に、ケーキを載せて、フォークも置く。


「美味しそう」


 龍星が嬉しそうにお弁当を食べ出す。おやつはお弁当を食べた後だ。

 唯もお弁当を食べ出す。二人におかずを分けた、すかすかのお弁当箱は、ほとんど残っていないが、その量が唯にはちょうどいい。

 唯が食べ終わると、二人も食べ終わる。

 唯は並べられたコップに紅茶を淹れてく。三人で飲むことを前提に大きな水筒に替えた。
 
 夏だけど、唯は暖かい紅茶が好きだ。香りも良くて味も安定する。

 食べているうちに飲み頃になるので、食べ始める前にお茶を淹れる。


「美味しい?」

「おいしい」


 ガツガツ食べる龍星の前に、唯は自分の分のお皿を置いた。


「良かったら食べて。私、昨日の夜も食べてるの。こんなに毎日食べたら太っちゃう」

「唯さんは痩せてるから、もう少し太った方がいいんじゃないの?」

「体が重くなると、早く走れなくなるから」

「テニスのために?」

「両親に言うと怒られるけど、体重は増やしたくないの」

「龍星が食べないなら、俺がもらうよ」


 辰成が横からお皿に手を伸ばすのを、龍星は急いで阻止する。


「だめ、俺が食べる」


 唯からお皿を受け取ると、唯は嬉しそうに微笑んだ。


「いっぱい食べて」

「おう」

「ねえ、迷惑じゃなかったら、明日からお弁当作ってこようか?」

「いいの?」

「うん。重箱に詰める練習を始めなさいって言われているの。食べてくれるなら嬉しい」

「それならお願い」

「俺もお願い」


 龍星と辰成が嬉しそうに承諾してくれた。


「明日はシフォンケーキにするつもり」

「毎日、ケーキ焼いてるの?」

「うん。なんだか花嫁修業させられているみたい。なんとかテニスだけ続けさせてもらっているけど。他の習い事は全部辞めさせられて、今は家に帰ると家事をさせられているの。不満はないけど、なんだか急にいろんなことが変わり始めたの」


 二人は頷く。

 その理由を知っているが、唯には教えられない。


「早くから自立できるのは嬉しいけど、早くお嫁に行けって言われそうで」


 唯はふうーとため息をついた。


「夏休みは旅行に行くんですって。部活に出られなくて残念だけど、父の仕事についていくらしいの。二人はどうするの?」

「帰省かな。今は二人で家を借りているから」

「ご両親に会えるのね。楽しみね」


 龍星は唯の顔をじっと見つめる。


「唯さんに会えないと思うと寂しいよ」

「新学期が始まったらまた会えるよ」


 唯はニコニコと微笑みながら、お皿を片付け、フォークをお弁当箱の中に入れて片付けていった。

 唯がいつも机を拭いているのを知っている辰成が雑巾を持ってきて、机を拭いてくれる。


「ありがとう。辰成さん」

「いつもご馳走になってるから、片付けくらい手伝わないとね」


 辰成は龍星の頭を撫でるように叩いた。


「ほら、片付け」

「もっとここにいたい」

「甘えた事を言うな」


 二人は机を元に戻す。


「じゃ、また明日ね」


 唯は二人に手を振る。辰成に連れられて龍星が名残惜しそうに教室から出て行った。

 すぐに佳奈たちが教室に戻ってきた。


「唯、最近、あの二人とご飯食べてるの?」

「うん。弁当組なんだ」

「三年生の男子だよね?」

「うん」

「付き合い始めたの?」

「そんなじゃないよ。ただご飯食べてるだけ」


 佳奈が心配そうな顔をする。


「あの二人、誰も相手にしないって有名なの。唯には話すのね。一緒にいて大丈夫?」

「大丈夫だと思う」


 危険がある時は、ブレスレットがきつく締まるが、あの二人といる時はブレスレットは締まらない。

 生まれたときからついていたお守りのブレスレットが、教えてくれる。


「それよりも佳奈、勝間さんところ行こう。私が勝ったら、部長を辞めてって言いに行こう」

「唯、まだラケットに慣れてないでしょう?大丈夫なの?」

「慣れていても慣れていなくても、今日が試合なら、条件を出すのは早いほうがいいと思うの」

「私、唯の弱点知ってるよ」

「私も佳奈の弱点知ってるよ」


 二人で頷いた。


「やるしかないなら、条件を出そう」


 やっと佳奈がいつもの調子に戻って、唯の手を引く。

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