上 下
315 / 426
冥府にGO!!

騎士と少女(ウィノside)

しおりを挟む
ウィノは屋敷を歩いていた。
ウィノの眼には極彩色に溢れた空間である。
ウィノの認識力は既に人間のそれを超えているのだ。
ウィノの耳には助けを求める声が聞こえている。

「・・・・・」

ウィノが歩くとそこには大きな期待感が有った。
ウィノは昔、 自分も父に期待されていた事を思い出した。
重苦しいと思った事も有った、 それをアスパルに利用されていたのか。
アスパルは一体何だ? 明らかに違和感が有った・・・いや、 今はそれは如何でも良い。
現状この巨大な期待は何なのか、 そして助けを呼ぶ声はここから聞こえる。
期待の中に足を踏み入れる。

『皇帝を殺せ』『帝国を壊せ』『正義を成せ』『仇を討て』『希望と成れ』
『皇帝を殺せ』『帝国を壊せ』『正義を成せ』『仇を討て』『希望と成れ』
『皇帝を殺せ』『帝国を壊せ』『正義を成せ』『仇を討て』『希望と成れ』
『皇帝を殺せ』『帝国を壊せ』『正義を成せ』『仇を討て』『希望と成れ』
『皇帝を殺せ』『帝国を壊せ』『正義を成せ』『仇を討て』『希望と成れ』

期待はまるで呪詛の様だった。
重すぎる期待は子を潰すと言うのだろうか。
何れにせよ、 子供にとって辛い事だろう。

先に進むウィノ。
そこには泣いている少女が居た。

「助けに来たよ」

ウィノが少女の手を取る。

「・・・・・!?」

少女が驚く。

「あ、 貴方は?」
「ウィノ、 ただの騎士くずれだよ、 君は?」
「わ、 私は誰でもないの・・・ただここで私はずっと閉じ込められて・・・
良く知らない人を殺す様にずっと言われてきたの・・・
私はそんな事したくないのに・・・」
「可哀想に、 外に出ようか」
「出ても良いの?」
「こんな所に子供を置いては行けないよ」

少女を御姫様抱っこするウィノ。

「行かせない・・・」
「ひっ!!」

ウィノ達の背後に現れるシアン。
その顔は憎悪に染まっていた。

「その子は私達の希望・・・ここで連れて行かせる訳にはいかない・・・」

ウィノはスタスタと去って行った。

「ちょっと? 聞いてる?」

ウィノはさっさと歩き始める。

「待て、 待てって!! 無視するな!!」

ウィノは期待の中を抜けた。

「おい!! ちょっと!! 待て!! せめて・・・せめて会話をしろおおおおおおおおおおおお!!!」

シアンは絶叫した。

「・・・・・お母さん・・・」
「気にする必要は無いよ、 君の声をずっと無視して閉じ込めてたんだ
無視されても文句は言えないよ」
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

百々五十六の小問集合

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:313pt お気に入り:2

怪異の忘れ物

ホラー / 連載中 24h.ポイント:255pt お気に入り:31

そして俺は召喚士に

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:4

処理中です...