海上都市の機甲女 ~a point of change~

ケニーさん

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第三機

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 紅と蒼は礼儀正しく正座をして座る。全く無理をしている様子はなく、常日頃から礼儀正しいのだと思わせる。
 落ち着いた色合いの和服に身を包んだ女性が、水の入ったコップを木造りのお盆に乗せて現れる。

「いらっしゃいませ。お冷になります。お決まりになりましたら、お声をおかけください。失礼いたします」

 蒼はメニュー表を手に取って篤に渡す。

「二人は見ないのか?」

「私たちはもう決めている」

「よくここに来るのか?」

「まぁね。ここは美味しいし、落ち着くからね」

 紅は水の入ったコップを手にして氷ごと口の中に入れる。子供みたいに氷をガリガリと噛む。

「紅、はしたないからやめなさい」

 メニューそっちのけであれこれ言いあう二人を見て篤は和む。篤の視線に気が付いた紅は不満そうな顔で篤を見る。
 篤は慌ててメニューを見る。メニューの多さに選べないでいると蒼が声をかけてきた。

「悩むようなら、夏の和風パフェ氷フルーツにするといい。期間限定の上に美味しい」

「そうか、それにしよう」

 紅が先ほどの店員さんに声をかける。

「黒糖の寒天アイス添え一つとイチゴ大福二つと夏の和風パフェ氷フルーツにデザートの後にお茶を三つお願いします」


 まるで呪文を唱えるようにさらさらと紅が注文する。

「いつもありがとうございます。では少々お待ちください」

 店員に覚えられるほど故声来ていることが分かったところで篤は二人に聴く。

「なぜ組織内で取引が行われていた?」

 珍しく蒼の表情に驚きの色が見えた。全く予期もしていなかった発言に蒼は志向を停止させていた。
 そんなことを全く気にせず紅は今か今かとデザートが来るのを楽しそうに体を左右に動かし待つ。

「組織内の取引と考えた理由は?」

 落ち着きのない紅の頭に手を乗っけて頭を撫でる。

「蒼が従っていた男。別の取引で見たことがある。それも運び屋としてだ。俺は一週間ほど前にあったあの取引は別の目的で行われたものだと考えている」

「それは面白い。具体的にはどんな目的で行われたと考えている?」

 蒼は興味深そうに聴いてくる。まるで試すかのような問いに篤は答える。

「S・T6――ツバキを試すため。もっと正確にいうのであれば、ギアの性能を試すためだ」

 面白い発言だと言わんばかりに、蒼は笑う。

「だがそんなことどうでもいい。俺が聴きたいのはツバキを回収に来るかだ」

「それなら心配ない。データは十分取れた。それに彼女はいつか体の限界を迎えて壊れる身。それにギアは機甲警察の技術では再現できない。のわざわざ回収する必要性がない」

「お待たせしました」

 店員さんが注文したデザートを運んで持ってきた。
 話は一時中断となった。
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