陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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インタイ

いんたい⑩

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 家に帰って、クラブバッグを置いてそのまま、ソファーに倒れ込む。

「おーい。水着洗わんでええんかいな?」
「洗ってる。向こうで。」
「じゃあ干さんでええんかいな?」
「干さなあかんなぁ。」

そんなことを言いながらも、このソファーの心地よさには抗えない。

「はぁ。じゃあ勝手に出して干しとくね。」
「ん。ありがと。」

楓は俺のバッグから今日履いた試合用水着を出して、2階に上がって行った。

 その後ろ姿を見送った俺は、そのまま眠りについた。

〇〇〇〇〇

 水着を干して降りてきたら、奏が寝ていた。

「やっぱり寝てる。無理しちゃって。」

私はその前髪をそっと触れる。少し湿った、ちょっと硬い髪が横に流れた。

 奏が戻ってきたときのあの顔。相当悔しかったんだろうなと思う。こんなにやってきたのに去年から1秒しか伸びなくて、ずっと目標にしてきた田辺先輩を越えられなくて、悔しいんだろうなと思う。でも、無理して笑ったその顔で、私がどうしたらいいのかすぐに分かった。

 だからあんなことを言った。酷いことを言ったのは分かっているからちゃんと労いもした。だけどそれだけじゃ物足りなくて、裏に行こうとしている何人かを引き止めた。無駄なお節介だったかもしれないけど、私がやりたいことをやった。それだけだ。

 しばらく奏の寝顔を見ていたら、私も眠たくなったので、1度眠りにつくことにした。

 目が覚めるとまだ奏は寝ていた。私はソファーの座面を枕にするように床に座りながら寝ていたので、ちょうど目が覚めたら奏の顔がすぐそこにあった。

 時間は5時半。外ではゆうやけこやけが流れている。

「さぁてと、とりあえず晩御飯作ろっか。疲れてるやろうから消化にいいものを。」

私は立ち上がってキッチンに向かう。手を洗って、冷蔵庫から具材を出した。

 今日作るのは塩焼きそば。まぁ、簡単だ。慣れた手つきで作っていったら15分もかからずに作りきった。

 その匂いにつられたのか、奏もちょっと動きを見せた。

「奏、晩御飯作ったよ。」

私がそう声をかけると、奏はむくりと起き上がって私の方を見る。

「俺、寝てた?」
「寝てた。」
「何時間ぐらい?」
「ん~、2時間ぐらい。」
「まじかー。まぁいいや。もうご飯?」
「そそ。ストレッチもしたいやろ。」
「やな。」

奏もしっかり目が覚めたようで、ググッと伸びをすると、こっちに来た。

「楓、会場で気ぃ遣ってくれたやろ。ありがとな。」
「まぁ、何年奏の彼女やってる思うてんねん。奏の考えてることぐらい分かるわ。」

出来上がった焼きそばを盛った皿を運ぼうとしたら、奏が後ろから抱きしめてくる。

「運ばれへんねんけど。」
「いいやん。ちょっとぐらい。」
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